アマゾンの配達
 近所にある花屋や飲食店からAmazonの荷物が届く。そんな配送プログラムがアメリカのAmazonで昨年夏より実施されている。地方のお店や事業者に報酬を支払うことで、荷物の配達を委託しているのだ。

 膨大な量の荷物を迅速に配達したいアマゾンにとって、米国の田舎は厄介なところだ。都市部に比べて、荷物の数が少なく、家から家までの距離も長いため、運送業者に依頼しても、どうしても運送コストが高くついてしまう。

 アマゾンの新しい配送プログラムは、地方も自社の物流ネットワークで対応し、より迅速に商品を届けるための試みだ。米国では最近のことだが、すでにインドなどでは2015年から行われているという。
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地方事業者の副業として

 プログラムに参加するのに運送屋の経験は必要ない。ただほぼ年中無休(年に360日)で、毎朝荷物を受け取る場所を指定するだけでいい。

 ただし、参加できるのは、すでに事業を営んでいる事業者だけだ。その理由の1つは、すでに損害賠償保険に加入していることであるようだ。

 Amazonによると、週に600〜800個の荷物を配送すると、1500〜2000ドル(19.4万〜25.8万円)ほど支払われる(荷物1つにつき、2.5ドル(320円))。

 本業ではなく、あくまで副業としての位置付けならば、地方の事業者にとって満足のいく報酬かもしれない。

 もちろん楽して稼げるわけでもなく、これまでのAmazonの試みを振り返ってみれば、大きな成功を収める事業者が出る一方、失望するだけで終わる事業者も出てくることだろう。
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Photo by ANIRUDH on Unsplash

コロナ禍の厳しい経営環境でチャンス

 このプログラムは、Amazon社内で「Amazon Hub Delivery Partner」と呼ばれている。

 アラバマ州でこのプログラムに参加した事業主は、新型コロナで事業環境が厳しかった近年、良い収入源となり、家族や従業員を経済的に支えることができたと語っている。

 「事業を多角化できるのは魅力です。また地域に雇用を生み出すこともできます」

 その一方で、プログラムへの参加条件が厳しいと感じ、撤退する事業者もいる。「年に5日しか休みが取れないというのは、人によってはかなりの負担であるようです」と、彼は言う。
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自社の物流ネットワークを整備

 Amazonは、注文されたその瞬間から商品がきちんと配達されるまで、顧客の注文をできるだけ自社でコントロールしようと試みている。

 その背景には、とりわけホリデーシーズンになると、大手運送業者ですら捌き切れない注文が入ってくることがある。

 またAmazonは、こうした自社の流通サービスをいずれ他の事業者に貸し出したいとも考えている。

 Amazonの流通部門アマゾン・ロジスティクス(AMZL)は、米国内の注文の3分の2を担っており、運送業者への委託割合は減少傾向にある。

 グローバル・コンシューマー部門のデイブ・クラークCEOによると、AMZLの取り扱い量は年々増加しており、年内には米国最大の運送業者になる見込みであるという。

 米国の都市や郊外において、AMZLの物流ネットワークを通じて出荷された荷物は、Amazon専属の運送業者(社内では、運送サービスプロバイダー/DSPと呼ばれる)に委託される。

 こうした運送業者の従業員は、Amazonのロゴ入りの制服をきて、ロゴ入りの車を運転。その働きぶりは、Amazonの技術と評価基準によって監督される。
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photo by iStock

地方での配送問題に対応するために事業者と手を結ぶ

 しかし地方でこうした運送業者は募集されていない。荷物の少なさゆえに、独立した事業として成り立たなかったからだ。

 そこで、地元で飲食店や小売業などを営んでいる事業者に白羽の矢が立てられた。こうした事業者は、自社の社員と車で配達を請け負う。

 Amazonの採用担当は求人情報の中で、このプログラムは2022年に拡大を予定していると説明する。

 例のアラバマ州の事業者によれば、試用期間が終わり、投資額の増加が承認されたという。一方でまだ、試用期間が続いている地域もある。

 Amazonのオンラインウェビナーでは、最初期のパートナー(ネブラスカ州の花屋)は、2021年7月から荷物の配送を開始したと説明されている。

 Amazonはここ数ヶ月、地方の商工会議所に顔を出して、アラバマ州やアーカンソー州をはじめとする10州でプログラムを売り込んでいるようだ。
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photo by Pixabay

地元のお店が配送を担うことでWinWinの関係に

 10年ほど前、自社のサービスをより魅力的なものにするべく、Amazonは米国郵政公社と提携し、プライム会員向けに日曜日の配達も開始した。

 しかし1年も経たないうちに、地域によってはこのサービスが受けられなくなってしまった。そして今、こうした物流ネットワークの穴を、地元のお店が担おうとしている。

 「小さな町にとって、日曜日にも商品が届くというのは珍しいことです。顧客から感謝されますよ」と、アラバマ州の事業者は言う。

 米国では、コロナ禍でネットショッピングが増えたおかげで、運送業者たちの負担が増大していた。
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Photo by Daniel Eledut on Unsplash
 Amazonが自社の物流ネットワークを整備するもう1つの目的は、他社に配達サービスを提供することだ。

 この計画はコロナ禍のせいで延期されている。だが、まだその野望を捨てていないのならば、mazonは既存の運送業者より広い範囲に安定して荷物を届けられることを証明しなければならないだろう。

 「Amazonは、既存の運送業者よりも賢くなる方法を探しています」と、物流コンサルタントのマーク・ウルフラート氏は説明する。

 最大の難関は、これまで物流ネットワークから取り残されてきた残り15%の人口、すなわち僻地に住む人々の配送に対応することだ。それには莫大な費用がかかるという。

 だが、その費用を地元のお店が負担すれば、Amazonはその野望を達成できるかもしれない。こうしてAmazon帝国の勢力圏はますます拡大していくのだ。

References:Amazon’s surprising new delivery partners: Rural small businesses - Vox / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2022年05月16日 21:08
  • ID:Gfu6VES20 #

三河屋のサブちゃんがアマゾンも配達する感じかな?

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2. 匿名処理班

  • 2022年05月16日 22:23
  • ID:bO0rhVcs0 #

副業で週に600〜800個の荷物を配送、しかも日曜配達、僻地あり。
日本のアマゾンフレックスだと1日90〜130個配達で15,000円(ガソリン代と車両リース代は自己負担)。

こっちが正業になりそうだけどな。

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3. 匿名処理班

  • 2022年05月17日 03:33
  • ID:7PJ3fLlz0 #

日本で言う所のアスクル方式か。

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4. 匿名処理班

  • 2022年05月17日 12:22
  • ID:jMUppeQc0 #

商店に限らず、向こうだと個人の家で集積所というか受取代行やってるってのあるよな

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5. 匿名処理班

  • 2022年05月17日 15:45
  • ID:xZz9VPTZ0 #

デリバリープロバイダよりはマシだろうか。

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