
調査が始まってから1か月後の2022年3月、フランスの国立考古学研究所は、地下から14世紀のものとされる鉛でできた謎めいたサルコファガス(本来は石棺を意味する)を発見した。
今、その封印が解かれようとしている。すでに石棺は地下から運び出され、もうすぐ開封される予定だ。
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ノートルダム大聖堂の地下から発見された謎の棺
ノートルダム大聖堂は、12世紀のゴシック建築を代表する建物であり、それまでにない壮大なスケールのものとなった。ところが、2019年4月15日の夕方、大規模火災が発生し尖塔などを焼失した。この火災は世界中に衝撃を与え、大規模再建工事プロジェクトへとつながった。
聖堂の古い尖塔の再建準備作業中、地下1メートルほどのところに保存状態の良い棺が発見された。
棺は19世紀の暖房設備として設置されたレンガ製パイプの間に安置されており、14世紀のものと推測された。
すでに研究者は、内視鏡を使って棺内部をのぞき、遺骨の上半身を確認していた。遺骨は葉や布、まだ未確認な材料を枕にして横たわっているという。
Ancient sarcophagus found under Notre-Dame cathedral amid restorations
棺を地下から回収、開封作業へ
フランスの国立考古学研究所(INRAP)は、4月5日に大聖堂の地下から棺(サルコファガス)を回収したと発表した。現在、棺は安全な場所に保管されているが、近々、南西部のトゥールーズにある法医学研究所に移送される予定だ。
法医学の専門家が、棺を開封して中身を調べ、遺体の性別や生前の健康状態を調べることになっている。
研究チームリーダーで考古学者のクリストファー・ベスニエは、炭素年代測定も行うとしている。
棺が14世紀に完成した建造物の地下から見つかったことから、この棺が中世のものなら、極めて珍しい埋葬行為を扱うことになると、ベスニエは言う。
被葬者の社会的地位を特定できる可能性も期待される。埋葬場所やその様式から、当時のエリートだったのではないかと思われるという。
WATCH: Archeologists have uncovered a lead sarcophagus that probably belonged to a high dignitary under Notre-Dame cathedral and said it could date back to the 14th century https://t.co/0c6C990pT6 pic.twitter.com/9EBFMXuNqz
— Reuters (@Reuters) March 20, 2022
遺体の扱いを慎重にすべきとの声
しかし、INRAP代表のドミニク・ガルシアは、棺の中の遺体は、フランスの遺骨に関する法律に従って、調査されるべきだと強調した。「人間の遺体は、考古学物件ではありません。人骨として民法が適用されるため、考古学者も故人を敬い、従って研究を進めることになるでしょう」ガルシアは語る。
棺の研究が終了したら、遺骨は考古学物件としてではなく、人類学的遺産として返却されることになるという。
開封を恐れる人も
ネット上では、棺を開封することを恐れる人もいるようだ。2018年にエジプト、アレクサンドリアで発見されたた2000年以上前のものとされる、巨大な黒の石棺が開封されたが、その後世界に不幸が蔓延したと考える人も多く、Twitterでは、「鉛の棺を決して開けてはいけない。これはホラー作品における”フラグ”のようなものなのだ。それを開けて良からぬことが起こらないことがあっただろうか?」とつぶやかれている。
ノートルダム大聖堂の地下で何世紀も眠りについていたこの人物はいったい誰なのか?この棺がパンドラの箱出ないことを祈るばかりだ。
INRAPによれば、棺の中の遺体は調査後、再び大聖堂収容することが検討されているという。
References:Mystery sarcophagus found in Notre-Dame to be opened / written by konohazuku / edited by / parumo
追記(2022/04/19):サルコファガスは石棺を意味する言葉なので石棺としていましたが、鉛製なので石棺を棺に変更して再送します。
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コメント
1. 匿名処理班
ミイラが材料の絵具を使ってた人達が今更人道的な配慮とかいう矛盾
2. 匿名処理班
ノートルダム大聖堂の最終竣工が14世紀半ば。
建築責任者とかかな。
3. 匿名処理班
>「鉛の石棺を決して開けてはいけない。これはホラー作品における”フラグ”のようなものなのだ。それを開けて良からぬことが起こらないことがあっただろうか?」
開けようが開けるまいが良からぬこととやらは毎日起きとるわ
それとも前のやつを開ける前は良からぬこととやらは一切起きず世界は幸せに満ちてたとでも?
4. 匿名処理班
※1
価値観がきちんとアップデートされてるって事で、矛盾も何もない
5. 匿名処理班
棺を開けた程度で世界に災いが起こるなら世界中であらゆる王墓だのなんだのが散々盗掘されてんだから、現代を待たずにとっくに人類が滅びてるよ
6. 匿名処理班
災厄は概に東に向かって飛び出してしまった
果たして希望は残されているのか
7. 匿名処理班
石棺を見つけちゃった若い男が慌てて博士を呼びに行くと、若い女助手を連れた白髪で黒縁のメガネをかけた博士が出てきて、なぜか嵐の夜に開封するんですね。
8. 匿名処理班
鉛の石棺てどういうことなの
石棺に鉛の覆いがかぶさってるとかそういう?
9. 匿名処理班
※8
それそれ、モヤモヤする。総鉛製なら鉛製の棺にすればいいし、本体が石なら「鉛の覆いがされた石棺」とするとか。記事書いてて違和感なかったんだろうか。
10. 匿名処理班
※1
それどころか昔のヨーロッパじゃ薬としてミイラを砕いて飲んでたらしいぞ
11. 匿名処理班
悪魔は金属が苦手だからそういうことだろうな…
12. 匿名処理班
※8
石棺自体は動画を見る限り、すでに半壊してる。
その中に鉛板で密封された遺体が入ってるように見える。
13. 匿名処理班
大聖堂が建てられる時に、そこに石棺があった事をわかった上で建てたのか、それとも実はこの棺の主の為に大聖堂が建てられたとか…この人物に関する記録は火災とともに全て消失してしまったのかな?
それともここに石棺がある事自体、偶然発見されるまで誰一人として知らなかったのかな?
ダークファンタジーものの設定みたいで、ちょっとワクワクするわ。
不謹慎だけど。
14. 匿名処理班
歴史的建造物の大規模な火災
そして発見される謎の棺
物語の導入みたいでワクワクしちゃう
15. 匿名処理班
※4
ミイラは考古学物件レギュにアップデートしとくか
16. 匿名処理班
※10
江戸時代の日本でもやってますぜ、それ。
17. 匿名処理班
やべぇウイルスとかいたのかな
18.
19. 匿名処理班
※10
日本でも江戸時代に木乃伊が万能薬として飲まれていたよ。貝原益軒の『大和本草』に載ってる
20. 匿名処理班
鉛で覆うって事は外に出したらまずいと思ってとか?
例えば…何かのウイルスにかかって…封印したとか…
21. 匿名処理班
危険なウィルスとか持ってたら怖いな。天然痘で亡くなった人だとしたら、ワクチンって一般的な病院にあるのかしら?
流石にウィルスでも何世紀も前なら大丈夫か
22. 匿名処理班
フロローではないか…
23. 匿名処理班
火災事故がなければ今でも寝ていたということなのか…
24. 匿名処理班
傴僂男が入っていたんだろ
25. 匿名処理班
鉛製かぁ
地域的に棺の一般的な材質じゃないなら毒とか病気とかで死んだ可能性もあるのかな
26. 匿名処理班
>>1
まあそれもだいぶ前だから許してあげてw
トキうめえうめえって食ってた我々も今さら保護してるやん。
27. 匿名処理班
こういうニュース見ると、昔見た宇宙からのツタンカーメンって映画思い出すなぁ、こいつも実は宇宙人の遺体だったりして。
28. 匿名処理班
>>16
印籠「だって原材料とか知らんし」
29. 匿名処理班
>>8
鉛は放射線を遮断するから、レントゲン室の壁や天井の中に鉛板を入れて施工する法的義務がある
とはいえこの棺が埋められてから、キュリー夫人がラジウムを発見するまで数百年の期間があるから、単純な装飾か、故人の死因となった疫病の蔓延を恐れて覆ったとかかなぁ
30. 匿名処理班
この手のニュースを見ると思うのだけど...どうしても調べなきゃいけない訳でもないんでしょう?それが人間だと分かっているならただ目の前の故人を偲んでそっとしておくという選択肢は無いのかしら?
31. 匿名処理班
あー、それ封印な、開けたらヤバイのが復活する。
直ぐ死ぬ吸血鬼だけどな。
32. 匿名処理班
超有名な聖堂に隠されてた棺…表沙汰にできない聖人?
聖人の遺体…( ゚д゚)ハッ
33. 匿名処理班
>>9
サルコファガスにwikipediaのリンク貼ってあるから飛んで読みな
34. 匿名処理猫
なんでもない大聖堂の掃除係のおじさん とかであってほしい