
image credit:Poulton Research Project
イギリスのポールトン考古学グループは、失われたシトー会の修道院を探していたが、発見されたのは修道院ではなく、大量の中世の遺骨と、ローマ時代の遺物だった。これらは"西イングランドでこれまでに見つかった、もっとも保存状態の良い先史時代後期のタイムカプセルと言っていいほどのお宝だった。
鉄器時代の大きな集落を発見
この8年の間に、ポールトンの考古学調査チームが発見した10の円形車庫や5000以上の遺物は、この地に豊かで大きな集落があった証拠となった。これは、鉄器時代の北西イングランドには、あまり人がいなかったという、これまで主流だった考えを覆すものだ。
「今まで、鉄器時代の北西イングランドの集落が、高度な社会を築いていたということはほとんど知られていませんでした」リバプール・ジョン・ムーア大学の考古学者で、ポールトン研究チームの顧問でもある、ケヴィン・クーテス氏は言う。
このたびの発見物から、この集落は川沿いでの交易を行い、非常に豊かな暮らしをしていたことがわかりました。
ポールトンそのものが、数千年に渡る生活の保存状態のいいタイプカプセルと言えます。これは、めったにない大変貴重な発見です。
その発掘に携わることができたのは、なんともエキサイティングで、大変に光栄なことなのです

紀元前8世紀にさかのぼる遺物が続々
800年に及ぶ可能性がある鉄器時代のこの集落の手がかりは、とても魅力的なものだ。もともと研究チームは、中世後期の礼拝堂から900体以上の遺骨を発見していたが、遺骨と共にあった遺物は、遺骨が埋葬された時期よりもかなり前らしいことがわかった。どうやら、墓はもっと古い時代に掘られたもの思われた。
さらに深く掘り進めてみると、鉄器時代の円形車庫が10、紀元前8世紀にさかのぼる遺物が驚くほど大量に出てきた。
それらは、装飾が施された留め道具やトグル(留め釘)、生贄と思われる犬の骨、石の金床のようなもの、土器類、住民のゴミ捨て場らしき溝の遺構などだった。

見つかったたくさんの土器は、塩を運ぶために使われたものと思われ、この集落が30キロ離れたミドルウィッチから、塩を運搬するだけの余裕があったことを示している。
これだけでなく、ほかの多くの出土品も、鉄器時代の集落の人々の生活を知る上で、実に興味深い手がかりを与えてくれる。
ここで中世の遺骨を保護していた中性の土が、鉄器時代の繊細な遺物も同じように守っていた。その後、何百年もの間に地表が耕作されても、深いところにあった溝は破壊されずに済んだ2020年9月の『Current Archaeology』誌の論文にはこう書かれている。

こうした要因がうまく組み合わさったおかげで、骨、土器、金属が安定した環境で保存され、北西イングランドの低地で損なわれることなく眠っていた。この研究は『The Chester Archaeological Society』誌に発表された。
つまり鉄器時代の完璧なタイムカプセルが手つかずで発見されたということだ
References:Archaeologists Uncover Exciting 'Time Capsule' of Iron Age Artifacts in England / written by konohazuku / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ゴミ捨て場とトイレは、普段生きてる時にはバッチイものとして敬遠されるけど、
遺構となると何よりも当時の生活を知るための重要資料になるのが面白いよね
ここのゴミ捨て場からもおもろいもんが色々見つかるんだろうな
2. 匿名処理班
※1
当時の人々の食生活の一端がつかめたりするんですよね。
寄生虫の痕跡(宿主の種)などから推測したり。
日本でも縄文時代からそれ以降の「トイレ跡」と貝塚などのゴミ捨て場で当時はこんな物を食べていて、寄生虫の具合から火の通しは甘かったとか、そういうことも判っちゃう
3. 匿名処理班
※1
※2
工学を知れば、ネジ一本から機械の性能を予測想像できる。
文学を知れば、ワンセンテンスで文才がわかる。
考古学を知れば、土器のかけらから当時の生活が予測想像ができる。
学ぶことの大事さ楽しさよ…
4. 匿名処理班
研究者には夢のような話しだね☺️