メインコンテンツにスキップ

強いストレスを受けると脳に動的変化が起きることが判明

記事の本文にスキップ

18件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 強い精神的ストレスは、急性ストレス障害(ASD)を引き起こすことがある。その症状は、怖い体験がフラッシュバックしたり、不安や緊張が続き、めまいや頭痛、睡眠不足などがある。

 今回の研究は、急性ストレスを感じる状況で脳がどのように変化するのか、その一部始終を観察した初のものだ。

 それによると、脳の異なる領域間のコミュニケーションに変化が生じるだけでなく、動的変化も確認されたという。

 すなわち、急性ストレスを受けている間、脳内では異なるネットワークが異なる振る舞いをするようになるのだ。

 このことは、人がネガティブな気分にいかに弱く、それが精神を病むリスクをどれほど引き上げるのか示唆しているという。

急性ストレスを受けた脳では動的な変化が起きている

 急性ストレスを受けた脳で起きる動的プロセスについては、ほとんど知られていない。と言うのも、脳研究のほとんどは、ある一時点における活発な領域にのみ焦点を当てたものでしかないからだ。

 そこでマックス・プランク精神医学研究所とテュービンゲン大学のグループは、難しい数学問題を解いているときなど、ストレスを受けている間の脳の状態を最初から最後まで観察してみることにした。

 「この研究では、変化が起きている場所だけでなく、ストレスが続いている間中にさまざまな領域が相互作用する様子や、それらのコミュニケーションが変化する様子を明らかにしています」と、マックス・プランク精神医学研究所のアンネ・キューネル氏は話す。

 この研究結果は、『Biological Psychiatry』(2022年1月25日付)に掲載された。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

人によってストレスの反応に差がある

 この研究では、MRIに入った参加者に、限られた時間内で数学の問題を解くよう指示している。そして参加者は実際の成績とは関係なしに、必ず悪い結果を受け取った。

 この状況なら誰でもストレスを感じるはずだ。この間の脳の働きをMRIで観察してみると、脳内ネットワークの動的反応は人によって違ったのだという。

 こうした反応の違いは、どれだけ不安や落ち込みを感じていたかと関係があるようだ。性格がネガティブな人は、それだけ心を病むリスクが高いことが知られている。

こうした脳領域間コミュニケーションの変化は、精神疾患がネットワークの病気であるという仮説を裏付けています。心を病んだ人は、神経単位での相互作用が乱れていると考えられるのです

 マックス・プランク精神医学研究所のエリザベス・バインダー氏は「この新しい発見は、個人に合わせた診断や治療を行う上で重要です」と付け加える。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

個人に最適化された精神疾患の治療に期待

 テュービンゲン大学のニルス・グローマー氏は、患者一人一人に合わせた治療が可能になるかもしれないと、この発見に大きな可能性を感じている。

脳のストレス反応には、人それぞれに重要なパターンがあることを初めて明らかにできました。PTSDや好ましくないストレスの後遺症など、ストレスに起因する体験の理解が深まるでしょう。

将来的にこの脳反応動的モデルを利用すれば、たとえば薬の標的効果を研究して、リスクの高い人のストレス反応を改善するなんてことができるかもしれません

 この研究には、うつ病や不安障害といった気分障害のある人とない人、どちらも参加している。

 MRIによる検査のほか、ストレスホルモン(コルチゾール)や心拍数も計測された。さらに精神疾患の重要な情報源となる客観的指標としてのバイオマーカーも探された。

References:Acute Stress Leads to Dynamic Changes in the Brain – Neuroscience News / written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. 虐待は脳の機能に明確に損傷を与えること、そしてその許容範囲は個人差がある為に「自分の個人的経験からこれくらい平気」は全くあてにならないことの一例。

    • +21
  2. 鬱になってまあまあもとに戻ったけど
    意外と記憶力が良くなった気はする

    • -2
    1. >>2
      そもそも記憶力が良い人が鬱になりやすい気がする。

      • +1
  3. 自分の経験上強いストレスはアレルギーを悪化させると思ってる
    エビ好きのエビアレルギーでずっとエビを食べてたらほとんど症状が出なくなったのに強いストレスだったのかその時食べたエビチリではアレルギー症状が強く出たから
    花粉症持ちでもあるんだけどここ10年ストレスが減って症状が軽かった
    今年ストレスの要因を排除したら全くと言っていいほど花粉症のアレルギー症状がでてない

    • +11
    1. >>6
      アレルギー症状は免疫機能の誤作動だとよく言われるけれど、この「免疫機能」も本人のメンタルコンディションの強い関与を受けるという。
      精神状態が良好だと感染症に罹りにくく(または軽症のうちに回復しやすく)、逆もまた言えると。
      精神と肉体は決して切り離して考えられないもの。

      • +10
    2. ※6
      メンタルが落ちてるときって体の免疫力も下がるもんね
      にきびできたり頭痛がしたり肌がカッサカサになったり

      自分は一度ストレスで体壊してからというもの、ちょっとのストレスでもすぐ体調悪化するようになってしまった
      もう普通に週5でフルタイム働くのは諦めた…

      • +5
  4. どうせ自分の存命中は医療向上が進まないんだろうな(既にネガティブ)

    • +5
  5. ストレスが脳に影響するのも、それが個人差が大きいのも理解できるし正しいと思う
    だが、この実験の数学の問題を解かせて悪い結果を与える、この状況なら誰でもストレスを感じるはずだ、この議論展開には疑問
    数学が苦手な人なら問題の時点でストレスになる、好きな人ならストレスにはならないから脳が違う反応をして当然
    悪い結果に関しても個人のストレス耐性よりもテストに対しての価値観や虚栄心の強さが大きく影響しそうだし
    もっと万人がストレスを感じる実験で証明して欲しい

    • +4
  6. 強いストレスを受けると
    脳内が「ランボー」祭り
    になっていることがある。
    ダダダダ、ダダダダ!
    でやーっ! ドカン!

    • 評価
  7. ショックを受けると前頭葉の血流が下がってるのか知らないけど、急に頭が働かなくなって記憶力、判断力が軒並み低下するんだよなぁ。

    • +3
  8. ワテも、突発性難聴・不安神経症・乾癬・めまい・と、かすり傷の連発でおますが、ストレスが無くなったからと言って改善されるとは到底考えられまへん。
    「未だ生を知らず、焉いずくんぞ死を知らん」 病なぞ尚更、訳の分からん現象でおます。

    • 評価
  9. 記憶力に自信があったけど鬱と複雑性PTSD(7年以上DVなど)で記憶力・集中力壊滅になったぞい…
    ストレスも物によっては治らないし、メリットを見出して受けるのはギャンブルと同じ

    • +2
  10. ストレスは有って当たり前。我々はパラダイスに住んでるんじゃ無い、むしろ地獄に近い。

    • -4
  11. 義理家に行く年末と盆が近くなると恐ろしい量の髪の毛が抜けて毎朝血管迷走神経反射が起こって動けなくなるわ
    これも強いストレス障害なのかな
    40年生きててここまで顕著に身体に出るのは初めてだよ
    絶縁してもらって5年経つのに去年の末も抜け毛が凄くて怖かったなぁ
    これって治るのかな…不安

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。