メインコンテンツにスキップ

AIロボットが人間の助けなしに複雑な外科手術に成功。その精度は人間を大幅に上回っていた

記事の本文にスキップ

36件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 AIを搭載した自律型の手術ロボットが、人の手を借りることなく、ブタの腸の腹腔鏡手術に成功したそうだ。

 この手術は、体表皮膚より腹腔(ふくくう)内に内視鏡器具を挿入して行う複雑で繊細な作業を要するもので、ロボットは4頭のブタの腸を縫合したが、その結果は人間の外科医よりもずっと優れていたとのこと。

 人間の手術の完全自動化へ向けた大きな一歩であると、ジョンズホプキンス大学(米)などの研究グループは、『Science Robotics』(2022年1月26日)で報告している。

高度な技術が要求される腹腔鏡手術

 ブタの手術に成功したロボットは「STAR(Smart Tissue Autonomous Robot)」といい、正確な動作と反復作業が必要とされる「腸の手術」を得意としている。

 今回行った術式は腹腔鏡(内視鏡)手術というもので、腹部に数か所の穴を開け、内視鏡を腹腔内に挿入。手術を行う空間を作るためお腹の中に炭酸ガスを注入し、そこからスコープや器具を入れて手術を行う。

 腸と腸をつなぎ合わせる作業は、手術でも特に難しいものとされている。まったく同じように正確に繰り返し縫わねばならないからだ。

 手の震えなどで縫い間違えて中身が漏れるようなことがあれば、合併症が起きて命取りになる危険すらある。

AIロボットは人間よりも上手に手術に成功

 しかし今回のブタを対象とした実験で、STARはその難しい手術を人間の外科医よりはるかに上手にやってのけたという。

Robot performs keyhole surgery on pig without human help for first time

 ジョンズホプキンス大学のアクセル・クリーガー助教(機械工学)は声明で次のように話している。

腸の両端をつなぐ手術は外科手術でもっとも複雑かつ繊細な作業ですが、今回の成果はそれを自動化できることを実証しています。STARはブタ4頭に手術を行い、人間よりもずっと良い結果を残しました

 今回のSTARは、2016年に開発されたモデルを改良したものだ。

 2016年モデルもまたブタの腸を手術できたが、そのためにはお腹を大きく切開せねばならず、手術部位まで人間が導いてやる必要もあった。

 最新モデルでは、構造光ベースの「三次元内視鏡」と機械学習による「追跡アルゴリズム」を搭載しており、体に小さな穴を開けるだけで、腹腔鏡による手術を行える。人間による操作も最小限だ。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

予測が難しい軟組織に対応

 腸のような軟組織の手術は、ロボットにとって特にハードルが高いものとなる。どのような状態であるか予測することが難しく、予期せぬ障害に素早く対応せねばならないからだ。

 だがSTARは、まさに人間の外科医が行っているように、リアルタイムで臨機応変に手術を進めることができる。

 「最小限の人間の操作で、軟組織手術を計画・適応・実行できる初のロボットシステムです。だからSTARは特別なのです」と、ハメド・サエディ氏(機械工学)は話す。

ロボットの普及で高水準の手術が誰にでも受けられるように

 腹腔鏡手術は、皮膚切開創が開腹手術よりも少なく術後の痛みも少ないことから、ますます増えていくこととなるだろう。

 そうした手術のために、それ専用の手術ロボットが重要になるとクリーガー助教は説明する。

 「手術ロボットは、精密さと反復作業が必要な手術を確実に行うための1つの方法です。これによって外科医の技術に左右されることなく、どの患者も正確で緻密な手術を受けられるようになるでしょう。」

 つまりどの病院でも、毎回最高の手術を期待できるようになるということだ。それはいずれ「手術の民主化」につながるだろうとクリーガー助教は話している。

References:Robot performs first laparoscopic surgery without human help | Hub / written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 36件

コメントを書く

  1. こういうのこそ動物実験繰り返して制度どんどん上げるべきだよな~、毎年へぼい医者量産する為に莫大な数の実験動物と不幸な患者の犠牲のもとに医者育てても一人で見れる数は大したことなく使える年数も寿命のため限界があり、そもそも技術の継承には毎度同じだけの犠牲を強いる、比べて機会が覚えることが会出来ればバージョンアップしていくだけで、失敗してもそれも経験となり実験は無駄にならないんだし

    • +14
  2. すごいな、これ。
    いずれ殆どの手術をロボットがやる時代が来るのかね。

    • +13
  3. 素晴らしい。「人間が間違うかもしれない」ものを正確にやらせるのがロボットの醍醐味だからね。
    AIの進歩に対してたまに「ロボットが間違ったらどうする!」っていう人がいるんだけど逆やがな。

    • +12
    1. >>3
      後者はいわゆる「大量破壊Ai」リスクの話でこういった技術的機械のコントロールをするaiの事を言っている訳ではないだろ。

      • 評価
  4. 最大の課題は「AIが手術ミスをした場合の責任は誰がどう取るのか」問題をどういった形で解決するのかって所だな。
    逆に言うとそれさえ解決すれば、って所までは来たって訳か。

    • +14
    1. >>4
      AIだってロボットだって、所詮は不完全な人間が作るのだから、ミス無く完璧!はないと思ってる。
      責任の所在を最初に決めてほしいよね、ホント。

      • 評価
      1. >>12
        決めても命や医療過誤は元には戻らないのが難点でもあるけどね

        • -1
    2. 医療カプセルに横になると何もかもが元通りになるSF世界がまた一歩近づいたな。

      ※4
      人間でもミスをした場合に備えて「同意書」取ってるから、AIも同じでは?

      • +1
    3. ※4
      人間は手術ミスした時に責任を取ると思っているの?
      そんなことしてたら医者はいなくなるよ

      • -2
  5. これで人間の外科医の数が激減するうえに、医学教育を時間をかけてしなくても、手術を経験すればするほど経験値データをして次世代のロボットへ継承されていくので医学教育が特権階級のみ受ける事ができる教育へとなりそうだな

    質の高い手術を安価に受ける事ができるようになればいいな

    • +8
  6. AIロボットが人間の助けなしに複雑な外科手術に成功・・・嘘

    人間による操作も最小限だ・・・本当

    • -8
  7. 手術が終わったらダースベーダーになってるんだよな

    • +5
  8. 💻 ワ・タ・シ シ・ッ・パ・イ・シ・ナ・イ・カ・ラ

    • +3
  9. 心理的なマイナスが無いしね。
    まあでも、助けたいという思いもないけども。

    • +3
  10. ドンドン人間の仕事を奪っていって下さい

    • +2
  11. 人件費がかからないから、従来では莫大だった手術料金が格安になるって事だろうけど。
    完璧に実装されたら医者の失業率がグンッと増えてしまうし、不要になる。
    医者が儲かってた時代はもう古いんだな。

    • 評価
    1. ※13
      そうとは限らないよ。手術は医者の仕事の中の1つにすぎないからね。それにAIの手術ミスの責任を取る監督役として、手術に立ち会う医師は必要になる。

      • 評価
  12. 外科より産婦人科や小児科の仕事奪ってください

    • -1
  13. 手術中に停電になったらどうなるんだろう

    • +1
    1. ※15
      充電池「内臓」で、どうでしょう

      • +2
      1. >>18
        内蔵ではなく内臓ですか
        なかなか生々しいですね

        • -1
  14. 過去を見て現代人は「麻酔なしで手術なんて凄いな」
    未来人は「人が手術してたなんて凄いな」
    さらに未来人は「手術が必要だったなんて凄いな」

    • +8
  15. おれもゴミ医者の医療ミスで右手の指動かなくなったけどそういうことがなくなるのか

    • +5
  16. 映画エイリアンの時代がすぐそこまで来てるな
    医療費も安くなるでしょう。

    • +2
  17. 普及し始めたら最初の頃は「やっぱり機械は怖い 信用出来る腕の良い人間の外科医に手術してもらいたい」って人も多いだろうけど、次第に「人間の医者は信用出来ない 間違いのないAIに手術してもらいたい」と人々の感覚が変わっていくんだろうな
    あと手術だけじゃなく、普通の診察でも

    • +8
  18. 技術全てに言える事だけど職人技の類がAIに移行していくといずれ人間の方で出来る奴が消えそうだな
    AI利用できない様な途上国との技術差が逆転したりしてね

    • +1
  19. 部分麻酔で意識のある患者さんが不安や痛みからパニックになって動いたり暴れたりしたら、そういうのをAIが落ち着かせる事はできるんだろうか。

    • -1
    1. >>29
      コメにあるようにミシンのような道具にすぎないんだし、オペレータの医者や看護婦が励ますんじゃないかな
      AIが進歩したら、励ましもやってくれるかもしれないけどね

      • +2
      1. ※37
        救急車で病院に運ばれたとき、頭が痛いから小さい声でお願いしますと頼んだが、
        医者も看護師もキンキンの大きな声で、耳元で質問を何回も繰り返された、、、
        笑いながらだった、意地悪としか思えない
        ほかにも手術後、看護師が気持ち悪かったとか話し声聞いた患者の女性もいた

        病院は良い人もいるけど、良い人ばかりじゃない、励ましは家族や友人でも充分。

        AIが普及して、意地悪な病院は淘汰され、まともな病院だけになれば良いと思う

        • 評価
  20. 人間より上手に手術できるロボットを作ったのもまた人間。
    AIが自分で作ったロボットが人間よりうまく作業できるようになったら本当にすごいと思う。
    今はあくまで人間の技術革新でしかないな。

    • 評価
  21. 手術の仕方を方針を決めるのは、患者を診た人間の医者じゃないのかな
    さすがに外科手術が必要な患者を、そのまま手術台に乗せてボタン押すだけで完了!みたいな段階ではないだろうし
    そういう仕組みを作るにも、やっぱり医学を修めた人間の知識をAIにインプットしないといけない

    • 評価
  22. 外科手術が可能なら、髪を切るのもロボットがやってくれないだろうか。美容室が…というより美容師さんが苦手って人も意外と多いだろうし(自分もそう)、絶対に需要はある。いきなり医療にAIロボットだと抵抗があるけど、美容系の領域からなら実験も兼ねてロボットの導入が活発に進みそう。っていうか進んでほしい。

    • +3
  23. ブラックジャックで見たことあるな。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動画

動画についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。