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ある種の適応進化か?世界中の陸と海の微生物がプラスチックを分解する能力を手に入れつつある

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(著) (編集)

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 過去数十年にわたって地球上におけるプラスチックごみは爆発的に増加しているが、それに対応するべく微生物は驚くべき進化を遂げているという。

 土壌に住む微生物も、海に住む微生物も、プラスチックを分解する能力を手に入れつつあるというのだ。

 この発見は、深刻さを増す世界的なプラスチック汚染が自然環境に与える影響を示すとともに、解決に向けての糸口にもなるという。

プラスチック汚染のレベルに比例して微生物が分解能力を持つように

 スウェーデン、チャルマース工科大学の研究グループは、世界数百か所から集められた環境DNAサンプル(環境に残されているDNA)を分析し、その結果を『mBIO』(21年10月26日付)で発表した。

 この研究では、環境DNAサンプルをコンピューターモデルで分析し、プラスチックを分解できる「微生物酵素」を特定。この結果を各地域・海域で排出されるプラスチック廃棄物の量と照らし合わせてみた。

 するとプラスチック汚染がひどい地域ほど、微生物が持つプラスチック分解酵素が豊富である傾向が判明したのだ。

 研究グループのアレクセイ・ゼレズニアック准教授は、「世界の微生物叢(多様な微生物の集合体)のプラスチック分解能力は、プラスチックによる環境汚染レベルと強い相関関係があることを裏付ける複数の証拠を発見しました」と説明する。

 この調査では、一般的なプラスチックを分解できる可能性がある微生物酵素が、3万種類も見つかっている。陸と海、両方の微生物からだ。

 そうした酵素がもっとも大量に見つかった地域には、地中海や南太平洋など、世界でも特に汚染が進んでいることで知られる地域が含まれている。

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Photo by Naja Bertolt Jensen on Unsplash

陸と海の微生物は分解酵素の種類が違う

 そうした酵素は、陸海どちらの微生物叢からも見つかっているが、種類に違いがあったようだ。その理由は、陸と海では、プラスチックの種類に違いがあるからだと考えられている。

 たとえば、陸上のプラスチックで多いのが、フタル酸系のプラスチック添加物だ。これはあらゆる処理に使われるもので、生産・廃棄・リサイクルといった過程で流出しやすい。

 そのために陸上の環境DNAサンプルからは、こうした陸にたくさんあるプラスチックを分解できる酵素がより多く見つかっている。

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photo by Pixabay

 一方、海のサンプルからは、水深が深くなるほどにプラスチック分解酵素の量が増えることが明らかになっている。

 これは深いところほどマイクロプラスチックが多いことと関係しているようだ。

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Photo by Antoine GIRET on Unsplash

微生物がプラスチック汚染解決に向けた糸口に

 今日、毎年800万トンのプラスチックが海に流れ込んでいると推定されている。

 そうしたプラスチックは自然環境ではなかなか分解されず、たとえばペットボトルなら数百年もそのまま残る。

 深刻化するプラスチック汚染は、世界が直面する最大の環境問題の1つで、これを管理する新しい方法が求められている。

 今回の発見は、そのための新しいツールになる可能性があるそうだ。

 ゼレズニアック准教授は、次のステップは「研究室で特に有望そうな酵素を試して、その特性やプラスチック分解速度を詳しく調べることです」と語る。

 いずれは人工的に作り出したプラスチック分解微生物によるリサイクルも実現されるかもしれないそうだ。

References:Plastic-degrading enzymes correlate with pollution | Chalmers / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 40件

コメントを書く

  1. もしもプラスチック製品の耐久年数が変わっちゃうくらいの分解能力が
    備わっちゃうとそれはそれで問題になるんだろうなあ。
    そのうちプラスチックで堆肥は作れる時代が来たりして。

    • +5
    1. >>2
      そこかしこの道路でタイヤが急にパンクしだす未来か

      • -1
      1. ※12
        あのお…
        タイヤはプラスチック製ではないですけど…

        ちなみに、ゴムを分解する微生物はすでに発見されています。

        • 評価
  2. プシュウドモナス・デスモチリカは実在した!?

    • 評価
  3. 分解できるプラスチックを作る人間の努力より先に微生物がプラスチックを分解しそう

    • +2
  4. 十年以上前に、土壌にはプラスチックを分解する微生物がいるってのを読んだ覚えがあるんだが?
    だからプラスチック製品を分解するには、微生物の活動ができる酸素が確保できる浅い地中が良い、みたいな記事だったと思う
    今更再発見なのではなく、その微生物の数が、餌が増えたから増えた、っていう事じゃないのか?
    それともその時呼んだのとはまた違う微生物なんだろうか?
    よう分からん

    • +1
    1. >>6
      分解能力を持つ生物がたまたま見つかったと考えられてたのが、実は世界中で微生物がそのように変化しつつあることがわかった
      つまり特定の微生物をばらまく必要なく、自然にプラスチックは分解される未来が来るってお話

      ただ地球さんのスケールの話なので、人類は何かしら手を加えないと恩恵にあやかれないだろうけどね

      • +3
  5. 昔からいたよね? 子供のころ「分解できるやつ発見!」みたいなニュース見たもの
    で、そいつらが餌が豊富で増加しただけじゃない

    • +1
  6. まぁだからと言って垂れ流して良い事にはならんわな
    これに頼るのは微生物本願過ぎるし
    微生物がどうにかする間に絶滅する動植物わんさか居るだろうし
    何よりわしらの汚物でわしらが死んでしまうわ

    • +12
  7. あははは、間に合わない間に合わないよw
    微生物分解に頼ってたら絶対に海が死ぬのが先だよ。
    まず利用を減らしていかないと、それもいますぐ。

    その上でコレを利用しても…
    間に合うかどうかわからない。

    • +3
  8. 大阪で随分と前にPETを分解する微生物の発見とその酵素の特定したとか。あとミルワームは発泡スチロール食べて分解できるとか。探せばもっとプラスチックを分解できる生物いるんだろうね。

    • 評価
  9. フルメタふもっふの生物兵器が実現できるかも?

    • +2
  10. これからSF映画などで「廃墟内でプラスチックだけそのまま残っている、文明の残滓」などから、「まだプラスチックが残っている」「ビニールも存在しない遠い未来」といった背景描写の一つになるんだろうなあ

    • +3
  11. 嘆かわしい…

    微生物は変わる努力をしてるというのに
    人はポイ捨てを止める努力をしないと…

    そしてプラスチックを減らせだの環境汚染がどうのこうのと騒ぐ世界

    嘆かわしい…

    • 評価
    1. ※18
      逆に考えるんだ
      人類が微生物たちのご飯を作ってあげているんだ

      • -1
  12. これはヤバイだろ。食物連鎖で人が食えない物ばかりになったりしないか?

    • 評価
  13. いつだって生命は環境に適応、進化によって生き続けている
    そのむかし石炭紀と呼ばれる時代には木すら分解できる菌類や微生物すらいなかった
    でもあるときついに木を分解できる菌類が現れ、石炭紀は終わることとなった
    それと同じことが今起きているだけ

    ちなみにこの石炭紀は巨大な樹木が生い茂るある意味で植物全盛期みたいなもので、だからこそ木を分解できる菌類の進化が促されたとも考えられるんだけど、これにそって考えればそれだけ世界がプラスチックで覆いつくされているということかも

    • +10
  14. 「我々はプラスチックすら分解する能力を手に入れた」「人類よ、次はお前たちだ」

    • +1
  15. 沢山放置されてて誰も手が付けられない
    =超ニッチ
    な訳だから柔軟な奴等は現在獲得競争真っ只中なのかもね

    • +1
  16. 人類滅亡後の準備が進みつつある
    生命は安泰だな

    • +2
  17. あんまり知られていないんですけど、プラスチックを分解する微生物がいるんですよ

    • +1
  18. 石炭紀と呼ばれる時期とその由来の石炭が、木が進化で生まれたのに分解できる微生物がいないので腐らないのでそのまま残って化石になったことが原因、しかも微生物の誕生まで5000万年。
    ということをふまえると、プラスチックってのは分子式的にはとびぬけて異質なのもじゃないので、そこまで不思議なことではない気もする。

    • +3
  19. うーん、文章をよく読むと、プラスチックを分解する微生物が増えてきた種類も多い、しかも廃プラスチックが多いことろは特にであって、昔(それがプラスチック誕生前か後からは不明)からいたことはいたみたいだね。

    • 評価
  20. 生物の進化には只々驚かされるばかりだが、マイクロプラスチックなど環境に与える悪影響をなくすには地質学的(つまりとんでもなく長い)な時間がかかる。
    これで解決だ、とはならず廃棄プラスチックを減らす努力も並行して進めていかねばならないだろう。そのままでは適応するまえに絶滅する生物が多すぎる。

    個人的な感想をいえば、海鳥やウミガメなどの胃腸にプラスチック分解細菌が住み着いてプラスチックを消化できるようになり(あるいは胃腸に詰まらずに排泄できるまで分解がすすむとか)、誤飲が原因で死んでしまう海の生き物たちがいなくなれば、と思うが夢物語だろうか。

    • +4
  21. 漂流教室の未来オニヒトデが(焼いても化学薬品の臭いが猛烈で、とても食えない)、
    現れる可能性も、話の上では否定できんだろうなぁ。

    全世界にばら撒かれたプラゴミの量は、高分子化合物を低分子量の単純な化合物に分解しきって、普通に今生きてる生物の血肉になる様に消化吸収・再構成するのではなく、
    厄介な物質構造のまま生体材料に取り込み体に使う生き物が跳梁跋扈する、失敗したSF未来世界の可能性はありそうだ。

    • 評価
  22. 情けない
    人間がなんとかするべきことなのに
    微生物にも劣る愚かな生き物

    • -2
    1. 木材腐朽菌の再来か

      ※36
      元々現代社会の一部分(医療、食品)は死ぬほど微生物の恩恵受けてるし、恐らく人類を最も殺してきたのは微生物のみなさまなので
      人間が微生物にも劣るというより、微生物は人間よりも凄いというべきだ

      • +1
  23. ただ分解すればいいという話ではなくて。
    様々なプラスチック分解性の微生物が、
    プラスチックの何を生命エネルギーとして
    利用しているのか、分解した後に出てくる物質は
    何なのかをきっちり知っていかないと。
    入るだけで人間が死ぬ海域とかが出現しかねないぞ。

    • +3
  24. 微生物から段々大きい生物に波及してプラスチックが主食の虫とか爆誕するかもね

    • 評価
  25. プラスチックを分解してもう一度石油みたいなエネルギー物質再生成できたらいいのにね

    • 評価

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