
その細胞を心臓からとってしまうと鼓動が速まり、関連する遺伝子をとってしまえば心拍が不規則になるという。
先天的な心臓の病気を理解する鍵になる可能性がある細胞で、意外にもその姿は脳に存在する細胞にも似ているそうだ。
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新たに発見された心臓のグリア細胞の一種
オランダ、ノートルダム大学の研究グループが新たに発見したその細胞は、「ネクサス・グリア細胞(nexus glia)」と呼ばれている。「グリア細胞」とは、神経系を構成する神経細胞(ニューロン)以外の細胞の総称だ。
その中でも、「アストロサイト」や「星状膠細胞」と呼ばれるタイプのグリア細胞は、文字通り星のような形をしている。ネクサス・グリア細胞は、それによく似ているのだ。

心臓の鼓動をコントロール
ネクサス・グリア細胞が最初に発見されたのは、ゼブラフィッシュの心臓からだ。だがその後、人間とマウスの心臓からも発見されている。これを取り除くと、心拍数が上昇。さらに、その発達をうながす遺伝子をとってしまえば、鼓動が不規則になる。
このことから、心臓の制御に重要な役割を果たしていると考えられている。
ネクサス・グリア細胞があるのは、心室と動脈をつなぐ「流出路」という部位だ。奇しくもここは、数多くの先天性疾患が見られるところでもある。
だからと言って、ネクサス・グリア細胞が、心臓の先天性疾患に直接関係しているということではないが、しかし、そうした病気の解明につながる鍵を握っている可能性はあるようだ。
かつて脳以外に存在しないと考えられていたグリア細胞
かつてグリア細胞は、脳以外には存在しないと考えられていた。だが現在では、神経系だけでなく、膵臓・脾臓・肺・腸などの臓器からも見つかっている。そうした臓器には、末梢神経が広まっている。ならば心臓でグリア細胞が見つからないのは不思議だ。この疑問が今回の発見につながった。
アストロサイトは神経の構造を支える”のり”のようなものと考えられてきたが、最近ではそれだけではないことも明らかになってきた。
たとえば、あなたが朝にスッキリ目覚められるのは、アストロサイトが睡眠中に脳の掃除をしてくれているからかもしない。
この研究は、『PLOS Biology』(21年11月18日付)に掲載された。
References:New cell, shown to regulate heart rate, discovered at University of Notre Dame | News | Notre Dame News | University of Notre Dame / written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ウワハハハ!どうだケンシロウ。人体にはまだまだ神秘が隠されている
2.
3. 匿名処理班
神経系の進化の歴史から考えると、高等生物であっても体中にいわば「ミニ脳」が散在していても、なんの不思議もないかもしれませんね。
4.
5. 匿名処理班
グリア細胞ってなんじゃい?と思ってリンク先を見に行ったら、論文レベルの分量だった。
6. 匿名処理班
グリア細胞さんって脳のイメージしかなかったわ
体中に散らばって各所コントロールしてくれてたのか
7. 匿名処理班
ネクサス・・・
ネクサス・グリア細胞なんだ・・・
そうなるんだね、すごいなー
それにしても心臓にはICチップが付いてたんだね
何事も良く見なきゃならないという教訓なんだね
8. 匿名処理班
人の体はまだまだ未知の領域が隠されているのだなあ。
9. 匿名処理班
これが「臓器を移植された人が元の持ち主の記憶や嗜好を受けつぐ」というアレの原因なんだろうか。
10. 匿名処理班
ペースメーカー必要な人に移植できれば良いのかな?
11. 匿名処理班
※9
通常のアクセス先にはしてないだけで脳が重要だと判断した情報のバックアップをこうした細胞のある場所に置いたりしてるのかもしれないね