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メスのハエをゾンビ化させ、死骸から媚薬を出しオスに交尾させる恐ろしい寄生菌の能力が明らかに

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(著) (編集)

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 菌類の中には、ハエをゾンビ化して胞子を感染させるための奴隷にする恐るべき寄生種がいる。

 それだけでも恐怖しかないが、デンマークとスウェーデンの研究者によって、寄生菌の驚くべき能力が明らかとなった。

 ハエカビの一種は、ハエのメスに感染するとゾンビ化して操った挙句、死んだ後は媚薬をまき散らしてオスを惹きつけ、交尾させてしまうのだ。 

ハエをゾンビ化して操る寄生菌

 ハエカビ目の寄生菌、Entomophthora muscaeは、感染したハエをゾンビ化させることで知られる菌類だ。

 ハエカビの胞子は、ハエに付着すると皮膚を侵し、体内に侵入。やがて脳を含む神経系を乗っ取ってしまう。

 こうしてゾンビ化されたハエは、奇妙にも高いところへ登り始める。そして、まるで処刑台のような高所で翅を広げ、胞子を放出する。

 無事胞子をまき散らしてしまえば、奴隷はもう用済みだ。哀れなハエを待つのは死である。

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ハエカビの一種、Entomophthora muscae / image credit:Hans Hillewaert / WIKI commons / CC BY-SA 4.0

メスの死骸から媚薬をまき散らしオスを惹きつける

 だがコペンハーゲン大学とスウェーデン農業科学大学の研究グループは、このハエカビの恐ろしさはそれだけにとどまらないことを突き止めた。

 感染したハエがメスだった場合、死骸から媚薬のような化学物質を放出して、オスを引き寄せ、交尾させてしまうのだ。

 実験で、イエバエのオスが「感染したメス」と「していないメス」のどちらと交尾するか観察したところ、オスは感染して死んだメスを選んだのである。

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ハエカビが寄生したメスの死骸に交尾しようとするオスのイエバエ / image credit:DOI:10.1101 / 2021.10.21.465334

世にも危険なハニートラップ

 一体何がオスを魅了するのか調べてみたところ、「セスキテルペン」という揮発性の化学物質が検出された。

 この化学物質は、通常イエバエには見られないものだ。だがイエバエをはじめ、さまざまな昆虫を引き寄せることで知られている。

 魅力的なメスの香りに誘われたイエバエのオスは、それが破滅を意味するとは知らずに交尾を試み、死をもたらすハエカビに感染してしまう。

 ハエカビにロックオンされたら最後、逃れることはなかなか難しいようだ。

 現在、この研究の未査読版を『bioRxiv』(21年10月22日投稿)で閲覧できる。

References: A fungus that uses chemicals to trick male flies into mating with infected dead females

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この記事へのコメント 40件

コメントを書く

  1. 虫の世界は遺伝子的にあまりにも合理的すぎる。
    一見残酷だけど、私たちも本質的には同じなんだなあ。
    私たちの体は「遺伝子」からすると「表現型」と呼ばれるもので、
    遺伝子をばらまくために最適化された遺伝子の乗り物にすぎないなのだから。

    • +10
  2. 人間に置き換えるとホラー映画一本撮れそう

    • +20
    1. ※5
      自分もそれ思った
      事実は小説よりも奇なり

      • +1
    2. ※5
      スピーシーズっていう映画がそれっぽい気がする

      • 評価
    3. >>5
      B級ホラー映画でありそうな設定。
      「ゾンビ女の誘惑:死と愛を見つめて」近日公開!

      • +1
  3. タナトスとリビドーの架け橋に寄生菌がいたとかロマンがないねえ

    • +3
    1. >>6
      寄生菌も実は愛を求めているのかもしれない

      • +1
      1. ※44
        愛なんかなくても既成事実さえあればいいいのかもしれない
        寄生だけに

        • +1
  4. 死体から媚薬を撒きオスを寄せそこにまた寄生するのかな?生き残るには凄い仕組みだ…しかしなかなかに恐ろしい。

    • +2
  5. これがゾンビもの新境地か、なんだかエイリアンチックだな。

    • +3
  6. ただのカビのくせにこうやれば子孫を増やせるなんて考えてるってどういうことなんやろ

    • +5
    1. ※10 ※24
      べつに考えている訳じゃなくて、
      いろんなタイプの菌や寄生虫が生まれていった中で、
      物蔭でじっと隠れておきたい症状のまま死んだり
      嫌な臭いを撒き散らして仲間が寄り付かなかったり
      するタイプの寄生菌は あまり広まらず早々に絶滅し、
      苦し紛れに高所へ出てきて胞子を撒き散らしたり
      媚薬効果のある化学物質を放出するタイプの寄生菌は
      順調に繁殖を繰り返して現在に至る、って感じなだけでは?

      • +2
      1. >>41
        自然選択説がそれだと思いますが、本当にそれだけでここまで複雑な仕組みが偶然できて受け継がれるというのがなかなか納得しがたいんですよねえ。

        • +1
        1. ※48
          我々が思い描く時間やトライ&エラーの規模とが
          違いすぎているだけだと思ってる
          人においても「よくこんなの食ったなぁ」ってやつで
          結果残っただけっていうことが
          なかなか合理的だとは判断できないのと似てる

          • 評価
  7. オスの死骸でもメスの匂い?出せば無限ループ出来るのに、メス由来の何かが必要で出来ないのかね。

    • +1
    1. ※11
      感染したオスは他の健康なメス探して感染させるから、無限ループ成立してるよ
      カブトムシなんかはオス同士でやると交尾器壊れてしぬっていうし、昆虫で同性交尾はどうなのでしょう

      • 評価
  8. 相手が生きてるのかどうかも確認せずに交尾してしまうのか。
    ディープすぎる…

    • +7
  9. 変な薬を使わずに処理できるとは
    ハエにとっては不幸だが、人様にはぜひ欲しい奴だ

    • 評価
  10. 天使の囀りを初めて読んだ時は想像上の寄生虫のおぞましさに戦いたけど、実在する寄生生物も負けてないよねえ…

    • +2
  11. どんな進化したらこんな恐ろしいもんになるん?

    • +3
  12. ゾンビフェチってじつは操られてるんじゃないの?

    • 評価
  13. こわ…
    どうやったらこんな事思いつくんだろう

    • +2
  14. このカビ、確か腹部を膨満させることにより、視覚的にもオスの死体を雌っぽく見せてるって話もあった。オスは大きい雌を好むんですよ。
    あとは文章中の写真にもあるように、たいてい死ぬとき頭を下に向けて翅を広げて死ぬんだよね。腹部を強調して見せて、更には匂いが広がりやすくなるように。そこまで行動を操っている。
    今度の論文は、誘引物質を同定したところが新しいのかな?まだちゃんと読んでないけど。

    • +13
  15. 記事のタイトルだけで下手なホラーよりホラーなんだが!

    • +3
  16. 感染したハエがメスだった場合しか書かれていない

    なぜ、オスの場合は調査しないのか?

    オスとメスは同じ行動をとるのか?それとも違うのか?

    • 評価
    1. ※29
      >無事胞子をまき散らしてしまえば、奴隷はもう用済みだ。哀れなハエを待つのは死である。感染したハエがメスだった場合、死骸から媚薬のような化学物質を放出して、オスを引き寄せ、交尾させてしまうのだ。

      オスの場合はそのまま死に、メスの場合は死後に新たなハエを引き寄せるということでは。

      • +1
      1. ※32
        >オスを引き寄せ、交尾させてしまうのだ。

        >オスの場合はそのまま死に、メスの場合は死後に新たなハエを引き寄せるということでは。

        オスが交尾してすぐ死んだら、交尾する意味がない

        • 評価
  17. 人間ももう既に感染していてこの意識はカビの・・・

    • +3
  18. もしかしてヒト免疫不全ウイルス(HIV)もそんな性質あるんじゃないか?

    • +2

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