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目の瞳孔の大きさは明るさだけでなく、見ている物体の数によっても変化する

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(著) (編集)

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 瞳孔(瞳)の大きさが明るさによって変わるのは常識だ。だが実は、見ている物体の数によっても変化するのだという。

 目に映る物体の数が増えると、それに合わせて瞳孔が大きくなるのだ。

 イタリアとオーストラリアの研究グループは、こうした数に応じた瞳の変化は、原始的かつ自動的なものであると『Nature Communications』(21年10月12日付)で報告している。

点と線の錯覚

 まずは、たくさんの点が並ぶ画像を見てみよう。そして、これらの点と点を線で結ぶ。するとあら不思議、その数が減ったかのように見える。

 さて、このときあなたの瞳孔の大きさはどうなっているだろうか?

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credit:Castaldi et al.Nature Communications、2021

点が減ると瞳孔が小さくなる

 ピサ大学やシドニー大学などのグループがやった実験がこれだ。

 被験者にこれを試すと、点が少なくなったかのように錯覚する。そのとき瞳孔の大きさを計測すると、小さくなっていたのだ。

 ピサ大学の心理学者エリサ・カスタルディ氏の説明によると、この結果は「数値情報と認識に本質的な関係がある」ことを示しているという。

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photo by Pixabay

なぜ物体の数で瞳孔の大きさが変化するのか?

 一体このような反応はどこから来ているのか? どうも生物が生存するために必要だった可能性が高い。

 ほとんどの種には、「数の感覚」が備わっていると考えられている。これは襲ってくる敵の脅威を把握し、どこに行けばたくさん食べ物を手に入れられるのか知るために必要な感覚だ。

 人間について言えば、数を把握する力は、生まれて数時間後には芽生えているようだ。また数学が大の苦手という人でも、数の感覚はある。

 瞳の変化は、こうした感覚に対する原始的な反応であるようだ。それゆえに進化で手に入れた基礎的な能力と考えられる。

 私たちの瞳は、ただ光を感じているわけではない。無意識のうちに明るさ、大きさ、形、動き、色などを認識している。

 そして過去の研究では、これらが関係する錯覚によっても瞳が反応することが確かめられている。

 このことは、瞳の大きさの変化が、(少なくとも部分的には)脳の上位にある信号によって制御されているという説を裏付けている。

 研究グループは今後もこうした反応について探り、どのようなものが瞳の大きさを変化させるのか詳しく調べたいとのことだ。

References:More than light detectors: the magic of your eyes’ pupils – The University of Sydney / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 11件

コメントを書く

  1. ってことは猫の瞳孔がギュッとなるのは一点に見つめてるってことか

    • +1
  2. 実際にはそうではないんだろうけど
    カール・ツァイスの光学理論に通じる物が逆説的に紐解かれる的なワクワク感があるな

    • +1
  3. これ検証されてなかったんだ。
    まず同じ広さに点が現れてるんだよね?
    いくつ点が現れても現れてもそれらをくくる円周(楕円も円だ)も、ほぼど同じ大きさとしてなきゃ(一つなら中央だけじゃなくてあちこちに、二つなら対角位置の必要はないけど広めに)。

    人はただの点でも色や動きなどがないか理解しようとする。
    それが複数ならよく見ようとして瞳孔が開くわけだ。
    普段の行動ならこれの首や体の動きが伴うのだけど、実験では制約されてるはず。

    当たり前だと思っていることでも、こうして確かめるのも大事。

    • 評価
    1. ※4 記事の図を見てからコメントした方が・・・
      実験では比較されてるのは
      ・一定の範囲に複数の点が散らばってる状態
      ・上記の図で、点を2個一組で線でつないだ(鉄アレイ型にした)状態
      なので、それらをくくる円周はどちらも同じです。
      個数の認識そのものが、瞳孔の大きさを変える実験ですね。

      • +2
      1. ※6
        ありがとう読み直してみたよ。
        たしかに見るべき視野は変わらないよね。

        ただ別のことに…点から亜鈴になるとき図が変わってるジャン。
        これは?

        あとは見るべきものが減ると瞳孔が小さくなるのは「脳の処理量が減る」(意識をかける物が減る)からなのは同じ。

        • 評価
  4. 追記
    具体的に
    狩りで獲物の群れを見つけする、動きを見るため瞳孔は広げられるだろう。
    まず逃げるか、警戒してるか、どんな群れか(老練か若いか子連れか)狩れる個体がいるかなど。
    そして動物は同一方向に逃げるとは限らない、それを個体別に見極めなければいけない。
    結果、獲物が増えればその情報を得ようとして、さらに瞳孔は大きく開かれる。

    • 評価
  5. 何かどこかのネット記事で読んだんだけど,履歴書の写真を駅とか本屋さんの前にあるスピード写真で撮るときに,カメラの向こうに自分の好きな人とか動物とか食べ物とかを思い浮かべると良い写真が撮れるって。好きなものを見ると,瞳孔が開いて顔全体の印象が柔らかくなるからだってさ。自分はパンフレット制作で素人モデルを撮影してるんだけど,「ほらカメラの向こうに好きな人が〜。」って言うと,たいていニッコリとした良い表情が撮れるよ。(あんまり瞳孔の開閉と関係ないかもしれないけどね。)

    • +2
    1. ※8
      笑った後「瞳孔が開く」そうだよ。
      グラビア撮影で同じことやってるのをTVで見た。

      • +1
    2. ※8
      今回の件と関連するかわからないけど、エピネフリン(アドレナリン)が出ると瞳孔が開きます。男の人だと、女の人のエ●チぃ写真を見て興奮すると瞳孔が開きます。昼行性の人間が夜行性の動物に襲われること(興奮して暗い中でも良く見えるように瞳孔が開く、血圧を上げて体を動かせるように準備し、怪我等しても痛みも減るという作用がエピネフリンにあります)が多かったからだという説があります。

      • 評価
  6. ガチの皆さんの蘊蓄について行けないアホがここに1人……
    (´・ω・`)

    • 評価

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