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超大質量ブラックホールの謎を解明するため、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が参戦!

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  NASAの次世代宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」が、ブラックホールの観測を試みる国際プロジェクトに参加することが決定したそうだ。

 今年12月19日に打ち上げが予定されるJWSTは、その運用初年度にして天の川銀河の中心に鎮座する超巨大ブラックホールの謎に挑むことになる。

ブラックホールの謎に挑め!「イベント・ホライズン・テレスコープ」

 JWSTが参加する国際プロジェクトを「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」という。

 世界中の電波望遠鏡を連携させて1本の仮想望遠鏡に仕立て、普通では見えない天体の観測を行うという壮大なプロジェクトだ。

 2017年にM87銀河にあるブラックホールの撮影に世界で初めて成功したプロジェクトとしても有名だ。

 このとき、地上にある8つの電波望遠鏡が連携して、謎めいた超大質量ブラックホール周辺の姿がとらえられた。

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EHTが撮影した銀河M87中心の巨大ブラックホールシャドウ / image credit:EHT

ターゲットは天の川の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*」

 今回、JWSTが参加するミッションでは、天の川銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール「いて座A*」がターゲットになる。

 いて座A*はM87ブラックホールよりも近くにあるが、1時間ごとに謎のフレアを発生させるため、撮影はより困難とされている。

 フレアが発生するのは、ブラックホール周囲の粒子が高エネルギー状態へと激しく加速し、それにともなって光が放たれるためだ。

 いて座A*観測プロジェクトの責任者ファラッド・ユセフ=ザデ氏は、このようなフレアが発生するのは「いて座A*が唯一で、それゆえに科学者にとっては興味深い」対象であると説明する。

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天の川銀河の中心にあるいて座A* image credit:NASA、ESA、SSC、CXC、STScI

月の向こうから観測 

 普通の望遠鏡とは違い、JWSTは月の公転軌道より4倍も離れた宇宙に設置される(現行のハッブル宇宙望遠鏡は、高度559キロの地球低軌道)。

 このために星に視界を遮られることなく、いて座A*で繰り返されるフレア活動を観測することができる。

 その観測結果とEHTのデータを組み合わせれば、より鮮明な画像が得られると期待される。

一般相対性理論を実際に試せる

 いて座A*のフレア発生メカニズムが解明されれば、ブラックホールだけでなく、粒子物理学、プラズマ物理学、さらには太陽フレアの研究にも影響があるだろうという。

 EHT評議会の副議長セラ・マルコフ氏によると、数多くの研究者がブラックホールに注目するのは、「既知の宇宙でもっとも極端な環境で、一般相対性理論のような基礎理論を実際に試せる」からだ。

 一般相対性理論によって予言されたブラックホールは、”穴”と名付けられてはいるが、それとは真逆の存在で、宇宙でもっとも密度が高い領域だ。

 あまりにも巨大な重力のために、光すら脱出できず黒く見える。そのため望遠鏡で観察できるのは、ブラックホールそのものの姿ではなく、その周辺から届いた光だ。

 光が脱出不能になる境界を「事象の地平面(イベント・ホライズン)」といい、これはEHTの名称の由来でもある。

 EHTが撮影したM78銀河のブラックホールの姿によって、アインシュタインの予言の正しさは史上初めて直接証明された。

 そしてブラックホールは今も、一般相対性理論の正しさを証明する試験場であり続けている。

 だがマルコフ氏は、これは始まりに過ぎないと話す。「これはプロセスなのです。最初は答えよりも、疑問の方が多くなるでしょう。」

 いて座A*の研究チームは、JWSTの稼働時間を増やしながらフレアを観測し、一見無秩序に思えるこの現象にパターンを見出そうと計画している。

 こうして得られた知識は、ほかのブラックホールにも当てはめられ、ブラックホール全般に共通する特徴と、それぞれ独自の特徴が究明される。

 世界各地の望遠鏡を連携させるのは、研究者が「スケジュールの数独」と言うほど、手間のかかる作業だ。だがそれでも、彼らはその価値があると考えている。

 ユセフ=ザデ氏曰く、「真実の探究は、人間にとってもっとも崇高な行為」だからだ。

References:NASA’s New $10 Billion Webb Space Telescope Will Reveal the Supermassive Black Hole at the Heart of the Milky Way / written by hiroching / edited by parumo

追記:(2021/11/07)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 10件

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  1. ジェームスウェッブって電波望遠鏡じゃないけどどうやって連携するんだろ。電波望遠鏡のデータとジェームスウェッブの画像を照らし合わせでもするのだろうか。

    • 評価
  2. 自分はしょっちゅう家の中で物を無くすんだが、部屋の中にブラックホールがあるんだ。きっとそう…

    • +2
  3. ウルトラマンの故郷が混ざってるw
    私も誤読したけどさ

    • 評価
    1. ※3
      まあ、ウルトラマンの故郷とゾフィーの必殺技は間違えられやすいからね。
      しょうがないね。

      • +1
  4. ひとみが生きてれば一緒に連携して貢献できたんだけどなー…

    • +2
  5. 望遠鏡の形とか「イベント・ホライズン・テレスコープ」とかファラッド・ユセフ=ザデ氏とかなんか全部かっこいいな

    • +1
  6. どうもこの形が宇宙に浮かぶ砲台に見えて仕方がないw

    • 評価
  7. 何度も何度も何度も何度も打ち上げ延期してきたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
    こんどこそ無事に打ち上げてもらって、新しい宇宙と発見と謎を我々に届けてほしい

    • +1
  8. 太陽や中性子星のジェットは恒星内部からなのに、BHに成った途端、メカニズムが変わって外部からの物質が弾き出される様に説明されているのが謎。
    問題の有るゼロ除算系の重力無限大の方が怪しい感じだが?

    JW望遠鏡は地球のラグランジュ点L2に置かれるらしいが、同様の物を他のラグランジュ点に置いて連携させれば巨大な電波望遠鏡と成り、更なる発見が期待できる。
    しかし故障時は簡単に修理が出来る距離では無いので、ドローン的に動き回れるロボットサポーターが必要?

    • 評価

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