
何を言っているかよくわからない人の為に説明しよう。
例えばあなたが、あなたの顔写真の横に立っていたとする。そして誰かがその場面をカメラで撮影したとしよう。すると写真にはあなたの顔と写真の顔が写っている。
ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)の心理学者アラン・キングストン博士によると、人はその顔写真をその横に写っているあなたの顔ほどリアルに感じられないのだという。
人は現実感に乏しい人物を思いやれない
人は目の前にいる生身の人間と、人間の写真をはっきり区別することができる。ところが、それだけでなく、写真に写る生身の顔と写真の顔まで区別していたのだ。そして後者をそれほどリアルなものと感じられない。だから、その人物について真面目に考察したり、注意を向けたりといったことがやり難い。
『PNAS』に掲載される予定の実験では、写真の中の写真の人物にはあまり寄付が集まらないことが明らかになっている。

Photo by Tim Mossholder on Unsplash
リモートワークに影響を与える可能性
それの何が問題になってくるのか? 研究グループが懸念しているのは、新型コロナの影響でリモートワークが普及した社会への影響だ。こうした状況では、写真に写った人物を相手にしなければならないことも多々あるだろう。
たとえばバーチャル裁判が開かれれば、裁判官は動画で被害者の写真を目にするかもしれない。人間が本質的にそうした相手を現実の人間として捉えることが難しいのならば、それは判決に影響するおそれがある。
こうした話は、ほかにもオンライン医療やオンライン教育などにも当てはまる。

photo by iStock
バーチャルリアリティなら現実感が上がる可能性
もしかしたらバーチャルリアリティ(VR)などを利用すれば、問題を少しは緩和することができるかもしれない。たとえ映像であったとしても、徹底的に現実感を演出してやれば、よりリアルな人間として感じられるようになる可能性があるからだ。
「今後の研究では、VRのような没入感ある環境がこうした影響を緩和できるのかどうか調べることが大切でしょう」と、キングストン博士は声明の中で語っている。
Top Photo by ian dooley on Unsplash / References:More to pictures than meets the eye: study / written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ぼくも卒業アルバムの10年前好きだった子の写真に毎日話掛けてる
2. 匿名処理班
ヒトを超越した認識能力が要るね
3. 匿名処理班
媒体への慣れと、想像力(想像するクセ)の問題じゃないかな
自分は顔も声もわからん相手にさえ気を使ってしまうからオンライン要素あるゲームやると精神がすり減るわ
みんな喜怒哀楽ある人間なんだ
4. 匿名処理班
今までの疑問が解けた気がする。
自分は写真は撮るのも撮られるのも嫌い。電話も苦手。対面ではむしろコミュ強なんだけど。
人とモノとの感覚の違いなんだよね。
5. 匿名処理班
逆に言えば、写真と実物とを区別せず同じように感じていたら、写真を破いたり捨てたりできないはず。
まあ初恋の人とか元カノのものが捨てられないのは、普通より思い入れが強いからといえるわけで、いままで当たり前のことが証明されたと…
VRなら思い入れが上がるというのはどうかな?
VRゲームで簡単に人を殺せるのだから、思い入れがそれほど上がるとは考えられないよ。
6. 海馬1/2
え、通勤電車とか、渋谷交差点とか、で、他人に配慮なんかしないだろ?
7. 匿名処理班
子供の頃昆虫図鑑の蜘蛛のページに触れるのも嫌だった感覚はこれ?
大人になると平気になったけど、成長とともに鈍くなる物なのかな…
8. 匿名処理班
直接対面した場合、コミュ力以外の要素が大きく絡んで来るけど、
モニタ越しなら冷静になって本来のコミュ力が強く発揮されるって事なんだろう。
臭いとか威圧感とか動物の本能を刺激して来る要素が無くなる訳だしね。
9. 匿名処理班
写真に映りたがらないっていう嫌悪感の根本にはこの考えへの気付きがあるよね
勝手に軽く扱われるものにされる
10. 匿名処理班
目の前の人をオカズにおっぱじめることはないけど
雑誌やモニターの画像の人はオカズにしちゃうもんな。
11. 匿名処理班
そもそも生身>写真だろうから、写真>写真の中の写真という風に遠ざかっていくのは納得できる
12. 匿名処理班
もう人間の脳が科学技術に追いつけなくなってるんだよな
人間の脳って狩猟採集時代から全然進化してないそうだし
13. 匿名処理班
それまでのリアル体験量とかと関わって来ないのかな
経験が足りなければ想像も出来んよね
人間って結局自分の経験からしか相手の気持ちなんて測れないし
14. 匿名処理班
※6
車内で少しづつ奥へ詰めるとか、歩道を向かって歩いてくる人のコースを予測して自分の進路を微調整するとか。日常だれもが普通にする小さな配慮でしょ?地球の中心に存在するようなお方も時にはお見かけしますが。
生身の人間と比べて、画面が相手なら、そういう無意識に気配を読み取る行動に移りにくい、ということじゃないですかね。冒頭の実験も、写真と並んだ本人は一応の立体感は備えているわけですし。
15. 匿名処理班
写真であって、動画までは検証してないわけでしょ?
表情が動くことで微妙なニュアンスを探ったりするわけだし、リモートで写真だけを見てコミュニケーション図ることはないと思うけどな
翻訳的に写真ではなく画像であって動画も含むのかな?
16. 匿名処理班
マッチングアプリとかもそうだよな。
多分普通に出会えばもうちょっと丁寧な対応するだろうなって思う。
イケメンは大事にされてるかも知れないが。
17. 匿名処理班
なんだか論点がズレてる人がちらほらいるけど、写真に写る人、じゃなくて写真の中の写真に写る人、ってことでしょ?
例えば遺影をもって写真に写った時に、その遺影の人には現実感を抱きにくいっていう話。
この場合遺影を持ってる人には現実感をきちんと抱けるから、例えば病気のための寄付なんかを求める際には、本人の写真を持って映像に映るよりも、本人と一緒に映像に映った方が効果がある、っていうことだと思う。
18. 匿名処理班
なるほど、対面ではそうでもないのにネットでとなると他人をCPUやAIのように扱う奴が出てくるのはこれが原因か
19. 匿名処理班
※6
こういう人は少ないけどいる。
多くの人がそうではないけどね。
20. 匿名処理班
今問題になってる、SNSで芸能人やアスリートに罵詈雑言を飛ばす人とかそうなんだろうね
あの中の何人が実際に本人が目の前にいたとき同じことを口に出来るんだろう
21. 匿名処理班
いうほど配慮が必要だろうか
たた圧倒され気圧され(暴力や雰囲気に流され)言いたいことも言えずいることが良いのだろうか
22. 匿名処理班
>>21
根本的にズレてんなー
どんな人間に対して最低限の配慮は必要だろ
言いうべきこと言うのと、暴言を叩きつけるのは別物だぞ
有名人が相手ならどんな誹謗中傷でも許されると思ってんの?
23. 匿名処理班
>>22
ズレてると批判されますが
自身こそが匿名バイアスによって増長された暴走した書き込みなされてますよね
レスつけられた書き込みにどこにどんな誹謗中傷を許すとよみとれるのか理解出来かねますが
深く読み取り勝手に反レスするくらいご自身には大切なんでしょうね
24. 匿名処理班
芸能人への異常なアンチとかネット上の荒らしとか、着ぐるみ着た人間を殴ったり蹴る子供とかも似たような感じですよね。戦争での兵士の心理とかも。顔が見えないとかモニター越しだと認知にフィルターかかりやすいんですかね。
25. 匿名処理班
自然災害が迫っているのに動画撮ってる人も感覚が鈍くなってると思う
危機感や緊張感や緊迫感を、レンズを通すことで軽減させてしまうと言うか
26. 海馬1/2
※6 居たじゃねーかw というか、公共の場には、何考えてる(考えてない)かわからんやつが、居るんだよ。