
そのモジュールは2001年の打ち上げ以来、長きにわたり船外活動や物資の供給に貢献したドッキング室「ピアース(Pirs)」だ。
まもなくやって来る新モジュールに席を譲るため、役目を終えたピアースは再び大気圏に突入。その機体は火球のごとく燃え、残骸は南太平洋に落下した。
寄る辺ない空間で20年続いたISSとの結合を解かれ、遠ざかっていくモジュールの姿はある意味切なく、永遠の別れを惜しんでいるかのようだ。
ISSから分離し大気圏へ。役目を終えたピアースとの別れ
今年7月29日、ロシアの宇宙機関ロスコスモスがハードウェアの終焉ともいえる壮大な映像を投稿した。そこにはISSから離れまぶしい火の玉へと変わるピアースの姿がとらえられていた。飛行機能をもたないピアースは無人補給船プログレスとドッキングしたまま、軌道上のISSを離れ地球に向かってゆっくり遠ざかっていく


20年ISSに貢献したピアース。ドッキングポートの仕事はナウカに
ピアース・ドッキング室はロスコスモスによるISSへの貢献の一つといわれている。この小型モジュールは2001年の打ち上げ以後、ISSの居住および生命維持モジュールにドッキングされ、船外活動のエアロックや補給船のドッキングポートとして長らく機能した。
なお20年もの間ISSの一部だったピアースの後継はすでに決まっている。エアロックの役割はすでに他のモジュールが引き継いでおり、残るドッキングポートの役割は新しい多目的実験モジュール「ナウカ(Nauka)」に引き継がれる。
最期は火の玉になり、残骸は太平洋に
ISSからピアースを見送ったクルーの一人、欧州宇宙機関の宇宙飛行士のトーマス・ペスケはメッセージと共にいくつかの写真をシェアした。ISSで最古参のロスコスモスのモジュールの一つが約20年の任務を称えるメダルの代わりに大気圏を旅行しました
船の一部が空中に飛び立つなんてとてもおかしな気分です(ここは大気が無いので)。この火の玉は数時間後にはっきり見えました。 ピアースの最期のサービスです燃えるピアースとプログレス

同様にその経過を見守っていたロスコスモスも、長い尾を引く火の玉の様子と太平洋に落下したピアースと補給船の残骸の確認をツイッターで報告した。So long DC1! After almost twenty years of service, instead of getting a medal 🥇, one of the @Space_Station's oldest @roscosmos modules got a little trip through the atmosphere. 🌠#MissionAlpha https://t.co/EP9154jL2k pic.twitter.com/8p7QI2UFDX
— Thomas Pesquet (@Thom_astro) July 27, 2021
The non-combustible structural elements of the #ProgressMS16 cargo ship and the #Pirs module fell in a non-navigable area of the Pacific Ocean.
— РОСКОСМОС (@roscosmos) July 26, 2021
Thank you for your work, Progress and Pirs! pic.twitter.com/Cgb900lDNp
新モジュールのナウカがドッキング。ISSは新たな時代へ
ロシアは29日、ナウカがISSとのドッキングに成功したと発表。その直後に推進装置の誤作動でISSが傾くハプニングがあったものの、その後は元に戻り乗組員への危険はなかったそうだ。1998年に打ち上げられて以来、軌道上に20年以上もいるISSはこれまでもアップグレードや新しいテクノロジーに対応してきた。
ISSは今年6月、ロール状の新型ソーラーパネルを設置
ピアースの廃棄、ナウカ追加からその先へ。今後も時代に沿った進化を遂げていくのだろう。#ICYMI: This time-lapse video shows the new roll out solar arrays deploying from start to finish. @Astro_Kimbrough and @Thom_Astro completed the installation work today then readied a second set of solar arrays for an upcoming spacewalk. pic.twitter.com/hCx1A5PoVc
— International Space Station (@Space_Station) June 21, 2021
References:cnetなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
リアルゼログラビティ
2. 匿名処理班
なんか、想定外のエンジン噴射が起きてステーションが傾いたって記事を見たけど、大丈夫なのか?
3. 匿名処理班
長いあいだお疲れさま
4.
5. 匿名処理班
カラパイアってエコとかそういう記事が多いように思えるけど
このようなモノを落下させ有害なアルミナを大気の上層にバラ撒いて
やがて地上に降りて来て悪影響出るのを好意的に紹介するのって不思議だな
6. 匿名処理班
僕の毛根がー!髪の毛が消えていくー!(`;ω;´)
さておき、せっかくの資材が消えてしまうのは儚いし勿体ないね。
こういうのを手軽に回収できるようになると嬉しいね。
僕の髪はもう回収できないよ。
7. 匿名処理班
切り離すだけで落ちるんだ、高度を下げて大気の抵抗を上げてるのかな?
アームで離したり、人の手で押したりするかと(ハッブルの修理は人の手で取り付けてたから)。
あと、もっとパネルとかいろいろ剥がしてるのかと、あそこじゃ何一つ安いものはないからね。
8. 匿名処理班
お疲れさまでした。
処理できる時に処理できないとスペースデブリになった時に大変だからなぁ…
宇宙開発が進んだ先の未来でこの手の設備が再利用できる手段が確率されるといいね。
9. 匿名処理班
※6
くよくよせず旅を楽しめ
10. 匿名処理班
※2
ナウカ側のスラスタが燃料使い切って停止
ISS本体側のスラスタで姿勢を戻した
一時通信が途絶えて危険な状態だった模様。
11. 匿名処理班
※7
くっついてる無人宇宙船プログレスがコントロールして軌道を下げる
12. 匿名処理班
>>7
そりゃあ地球の重力圏内だからな
13. 匿名処理班
※7 人工衛星とか宇宙船の話題になるとよく勘違いしてる人がいるけど、押そうが引こうが軌道が狂うだけで、何らかの方法で減速しない限り軌道上の物体が地球の大気圏内に降下して行くことはないよ。
極端な楕円軌道にすれば近地点で大気摩擦の減速を受けてそのうち高度が落ちていくだろうけどさ。
14. 匿名処理班
※5
仮に猛毒だとしても、地球に対して数トンだから何も影響ないよと言っていいレベル。影響はいわゆる微レ存。貴方くらい賢いならもうちょっと考えればわかるハズ。
15. 匿名処理班
※13
ISSって加速してないと大気との摩擦でだんだん速度と高度下がって来るでしょ。高度400kmでもわずかに摩擦が生じる。毎年数回ブースト掛けて速度と高度を維持してる。
16. 匿名処理班
※13
※12に言ってくれないか。
分離しただけでは落ちないと思うから、起動を下げたかなって書いてるんだけど。
17. 匿名処理班
※16
軌道だった…
粟展望いや、慌てん坊と横から突込みが。
18. 匿名処理班
何か勿体ないな。