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停滞する高気圧が地上を覆うヒートドーム現象による熱波で10億匹の海洋生物が大量死(カナダ)

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(著)

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 今年の猛暑はただの猛暑ではない。停滞した高気圧が屋根のように大地を覆うヒートドーム現象による熱波が続き、気温は日に日に上昇を続けている。

 特に深刻なのがカナダやアメリカの西部で、様々な生物に影響を与えている。

 カナダの太平洋岸では10億匹以上の海洋生物が死滅しそうになっている。いわば暑い日に車の中に放置された子供や動物たちのようなもので、極端な高温に対応しきれずに死んでいるのだ。

停滞する高気圧が蓋をして熱波を閉じ込めるヒートドーム現象

 ヒートドーム現象とは、高気圧が半球形態の熱幕を作り、熱い空気を閉じ込めた状態のことだ。このヒートドームが、カナダ西部やアメリカ北西部に居座りつづけ、海岸沿いの地域の気温を40℃まで上昇させ、長年の記録を塗り替えた。

 ブリティッシュコロンビア州ではヒートドーム現象による被害が深刻で、同国の観測史上最高となる49.5℃の気温を記録、500人もの人が亡くなり、現在、この地域で発生している数多くの山火事の原因となったと言われている。

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photo by Pixabay

10億以上の海洋生物が高温により死亡

 専門家は、海洋生物に与える壊滅的な影響も心配している。

 ブリティッシュコロンビア大学の海洋生物学者、クリストファー・ハーレイ氏は、この異常な熱波のせいで、最低でも10億匹の海洋生物が死んだ可能性があると算出している。

 バンクーバーの海岸を歩いてみると、熱波がもたらした被害の大きさがよくわかるという。

こんな海岸の姿を見たことがありません。おびただしい数の中身のないムール貝の殻がいたるところに散乱していて、足の踏み場もないほどです。異様な光景が広がっているのです

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credit:Chris Harley/University of British Columbia

 死んだムール貝の腐敗臭もひどい。異常に高い海水温のせいで、多くがボイルされてしまったのだ。巻貝、ヒトデ、二枚貝なども浅瀬で腐っており、フジツボやヤドカリ、ヒトデなどにも被害が及んでいる。

 「とてつもなくおぞましい体験でした」ハーレイ氏は言う。

 バンクーバー周辺の空気が30℃前後を推移していたとき、ハーレイ氏と学生は、赤外線カメラを使って、海岸線の岩場で50℃を超えるとんでもない気温を記録した。

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credit:Chris Harley/University of British Columbia

あまりにも暑くて、短時間でデータを集めるとすぐに日陰に入り、冷たいものを食べました。でももちろん、ムール貝やヒトデや貝にはそうした選択肢はありません

 ムール貝は丈夫な貝で、30℃を超える気温にも耐えられる。数時間なら40℃半ばの気温でも生き残ることができる強い貝類もいる。だがそれ以上の温度になると生き残るのは無理だ。

海洋生物の死滅が水質や生態系に悪影響を及ぼす可能性

 ムール貝や二枚貝は海を濾過し、太陽光が海底のアマモの生息地に届くほどの透明度を保ち、ほかの生物に棲みかを提供するのに役立っている。

 そのため、貝の大量死は一時的とはいえ、水質にかなりの影響を与えるだろう、とハーレイ氏は言う。

 ムール貝がいる1平方メートル四方には、ほかにも数十から百種の生き物が生息している可能性があり、これらの生物も死滅した可能性が高い。ムール貝は密集して生息していることから、ハーレイ氏は死んだ個体数の範囲を推定した。

まるでオーブンの上にいるようなものです。何百キロも続く海岸の岩場は、本来ならムール貝にとって快適な棲みかです。

数が多ければ大きいほど、死骸の数もどんどん増えていきます。でもこれはムール貝だけの話ですので、もっと多くの海洋生物が死んでしまったことでしょう

 ムール貝は2年で再生することができるが、ヒトデや貝の多くは数十年生きるものも多く、再生する速度はもっと遅いため、数の回復にはもっと時間がかかるかもしれない。

 他にもイソギンチャク、メバルなどの岩礁魚やカキの死も報告されているという。

 専門家たちは、気候変動の影響で、急激な熱波が今後も継続的に起こる可能性が高い現実に、州政府がなんとか対応するべきだと、警告している。

 アメリカ西部とカナダ南西部は、来週以降も熱波が予想されていて、乾燥した厳しい夏の暑さが続くようだ。

「生態学者のはしくれとして、今後どうなってしまうのか、考えると末恐ろしい」ハーレイ氏は言う。

本当に残念でなりません。多くの生物は、こうした急激な変化のペースについていくことはできないでしょう。生態系は、予想もできない方向へ変化するかもしれません。どこが転換点になるかはわかりません

ヒートドームの影響は猛禽類にも

 ヒートドーム現象による熱波の影響は当然地上にも及んでいる。オレゴン州では熱波から逃れるために、巣立ち前のハヤブサ属のヒナが数十羽が、地面に急降下したという。彼らには暑さから逃れるため飛び降りる以外に選択肢はなかったようだ。

 同様に飛ぶにはまだ若すぎる50羽近くのクーパーハイタカやアレチノスリが熱さから逃れるために飛び降りたという事例が報告されており、保護にあたっている野生生物リハビリセンターによると、そのうちの13羽は安楽死させなければならないほどの重傷を負っていたそうだ。

 他の地域でも同様のことが起きており、ブリティッシュコロンビア州でも巣から飛び出した約140羽の鳥のヒナが保護されているという。

References:‘Heat dome’ probably killed 1bn marine animals on Canada coast, experts say | Canada | The Guardian / More than a billion seashore animals may have cooked to death in B.C. heat wave, says UBC researcher | CBC News / written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. 猛暑日が最高気温35℃だっけか。
    それより15℃も高いとか想像もつかない。
    サウナか。

    • +6
  2. どこもかしこも気候が極端になっている気がする。
    カナダは日中こんなでも熱帯夜にはならないとどっかで読んだんだけど、夜間の気温てどうなってんだろうな(あと湿度)。

    • +6
  3. 人間の適温は19度あたりなんだけど
    身体が25度に順応してしまったよ私。

    • +1
  4. とにかく異常だよね、暑さも集中豪雨も。
    侵略外来種のムール貝だから数が減ってもいいかもしれないが、他種より丈夫なそれが死ぬというのは他の全種が危ないということだろう。

    地球はいよいよ駄目かもしれない。
    個人で出来ることは色々してるんだけど、みんながやらないと変わらないくらい大きな問題。

    • +1
    1. ※4
      このケースに当てはまるかはわからないけど、数百年、数千年の頻度で起こる異常気象だった場合、在来種は耐性がある可能性はある
      そういったケースが有るから、人類が大昔に持ち込んで、半ば定着したと言われる外来種も問題視される
      短期的には外来種が有利でも、超長期的に致命的な要素があった場合、生態系がまるごとなくなる恐れがあるから

      • 評価
  5. 本来は10数万年かけて起こる温暖化が、
    数十年で起こってるから天候がグチャグチャになってる。
    凍土層に大量に貯蔵されているメタンが放出されたらさらに悲惨になる。
    これを防ぐのに一番効率良いのはそれぞれの適地への植林
    学者も専門家も現場の人も懸命。だから自分たちも頑張れる。

    • +5
    1. ※6
      その通り
      よく、「地球の歴史から見たら温暖化なんて誤差」という人がいるが、問題なのは数十万年はかかるはずの変化が高々100年程度で起こっていること。
      長いスパンの変化なら適応できても、ここまで急激な変化では生物が適応する前に絶滅してしまう

      • +8
  6. オゾン層の穴(オゾンホール)は、すでに消滅したことが分かった。

    欧州の地球観測プログラム「コペルニクス大気監視サービス(CAMS)」が先週発表した。

    CAMSによると、異例のオゾンホールは北極上空にできた極渦(きょくうず)と呼ばれる大規模な気流の渦によって発生していた。

    南極のオゾン層破壊の原因とされる人間活動とは無関係に出現し、消滅したとみられる。

    地球温暖化も人間活動とは無関係に出現した可能性が高い

    • -4
    1. ※8
      それは気象力学によるもので、
      フロンがオゾンホールの原因となることは否定してないよ
      今の地球温暖化が人の活動と関係なく発生したという結論にも至らないよ

      • +4
    2. >>8
      「北極の」オゾンホールが、人類の活動により発生したわけではない、と分かったとして、
      ・「南極の」オゾンホールが、フロン規制が奏功して縮小に向かっている、(のには触れない)
      ・地球の大気の平均温度が上がっている(のも人類活動と無関係と推定する)
      のはいささか不誠実ではないでしょうか?

      • +2
  7. 常に死はあるし、気候も仕方のないことだけど、悲しい

    地球規模の試練
    人類は悪化させない努力をしていくしかないね

    • +2
  8. 欧米人て温暖化はCO2が原因だと言う割には、木を植えろとは決して言わないよな
    世界中で森林伐採しているのに木を植えているの日本人位
    中国は日本を真似て植林しているけど生態系はお構いなし
    トランプ大統領が1兆本の木を植えろと言ったら、大統領選に負けてしまった、真面な事言うとダメなんだね
    石原慎太郎知事の時ビルの屋上の緑を義務付けたら若干気温下がったんだけど・・・

    • -10
  9. 去年の梅雨明けはすごく遅かったと記憶してるが、今年はどうなるかな…
    「緊急事態」も「異常気象」も、聞き慣れるどころか聞き飽きて、それがいつもどおりだと感じてしまうよ。

    • 評価
  10. これからアフリカをコンクリートで埋め始めるんだからいちいちうるさいよ
    バブルで株価があがってグローバル企業がもうかるんだから

    • -6
  11. 地球からしたら誤差なんて自分らの責任の可能性から目を逸らして
    正当化してるようにしか見えないな。

    • +1
  12. オゾンホールの原因は核実験によるものと言われてる説もあって
    大気圏内核実験が禁止されて消えたともいわれている

    縄文時代は氷河期でありそこから一気に温暖化しており当然、人類の活動は関係なく
    その後の氷期と温暖期の繰り返しにも人類の影響はみとめられていない
    じゃあ原因は?と言えば太陽の周期的な活動であり数百年の単位で見れば異常気象であるが
    数万年単位では平常運転ともいえる

    じゃあ人類はどうすればいいかと言えばエアコンを買うくらい

    • +1
  13. 二酸化炭素による地球温暖化は絶対にあり得ない
    太陽以外ないでしょ
    夏と冬、違いは太陽光の差
    太陽はこれだけの温度差を作り出す圧倒的存在なのに二酸化炭素?
    太陽の影響力に比べたら二酸化炭素の温室効果なんて無だよ

    • -11
  14. 地球からしたら、何でもないことだし
    生物だって何回も大量絶滅してるし
    大気の濃度もだえず変化してる

    でも、これから生物はどんどん絶滅していくだろうし
    いずれは人間も住めなくなるだろうね
    コロナだって解けた永久凍土からウィルスが出たのかもしれないし
    他の腐敗した土から伝染病だって出るでしょうし
    例えるなら、デカい水槽に熱帯魚を入れ過ぎて、水質悪化で大量死ってとこだね
    良くある話

    • -6
    1. ※19
      スーパープルームによるわけでも、隕石衝突によるわけでもない人為的なものだと分かっているからこそ惨劇は止められるべきだし、現実にその手立てもあるんだよ

      • +1
      1. >>22
        熱波が人為的!?
        いつから人類は気象まで操作できるようになったんだ?

        そもそも温暖化すら人類とは関係なかったし(二酸化炭素と気温のグラフは捏造と認めてる)
        なんで自然現象をなんでもかんでも人類のせいにしようとするのか

        • -10
  15. ムール貝は黒いし、潮が引いて水面から出てるものは丁度良くボイルされて死ぬだろうね。エドのサバイバルでは野外で簡単に調達できて最もおいしいのがムール貝だったが・・人間もサバイバルできなくなりそうだな。

    • 評価
  16. カナダのあのあたりは40%ぐらいしかエアコン設置してる家が無くて、今周辺のホテルは完全に満室、地域の公的建物でエアコンが入っている建物をクーリングセンターとして開放したりもしているそうです
    電気店では当然エアコンは売り切れ、転売ヤーも跋扈してるらしい…(買えても設置業者はなかなか来てくれないのでは?と思う)

    タンパク質って42℃で固まり始めますよね? 49℃って…

    • +1

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