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気が散りやすくなかなか集中できない、不注意で落ちつきがない、忘れ物が多い、衝動的に行動してしまう。誰にも多少はそういった経験があるかもしれないが、これらの症状が、生活や学業に悪影響を及ぼし、その状態が6ヶ月以上続くと、発達障害の一種、ADHD(注意欠如・多動症)と定義される。
ADHDは、脳機能の発達や成熟に偏りが生じた結果と考えられているが、その原因はまだよくわかっていない。大勢の子供や大人が診断される一般的な症状だが、その原因はとても複雑だ。
脳の撮像技術を利用した診断を模索中
現在、ADHDの診断は、患者の行動の中に現れるサインを手がかりに行われている。そのために、ただ落ち着きがないだけ、あるいは行儀が悪いだけといった具合に、見過ごされてしまうこともしばしばだ。より客観的な診断を行うにはどうすればいいのか? 今、脳神経学者たちは最新の撮像技術を駆使して、脳の神経学的な特徴からADHDを診断できるよう調査を進めている。
そうした研究からは、脳の大きさや結合の乱れが、原因の1つかもしれないということが明らかになりつつある。
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ADHDの脳は一部の領域が小さい
2017年当時としては最大のデータセットに基づく研究では、ADHD患者1700名の脳にわずかだが、しかしはっきりとした差異が発見されている。それは側座核、へんとう、尾状核、海馬といった皮質下の構造が、普通の人よりも小さいことだ。また2018年の研究では、ADHDに関係する脳の構造的な変化は、4歳ごろからすでに現れることが明らかにされた。「灰白質」は活動や注意に関係している部位だが、ADHDを発症する子供のそれは一般的な子供よりも小さかったのだ。
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脳の構造からADHDの症状を見分けられるか?
『PLOS ONE』(5月5日付)に掲載された最新の研究では、脳の構造からADHDのタイプを見分けられないか調査された。ADHD(注意欠陥・多動症)の名が示すとおり、この症状には注意が欠陥するタイプや落ち着きがなくなるタイプなどいくつかの種類がある(一説によると、最大7タイプに分類できるという)。
それを調べるために、「トラクトグラフィー」という最新の3Dモデル化技術を利用して、脳の白質の微細構造やネットワーク結合が検査された。
ところが、ADHDの子供35名の脳を撮影した結果、白質の構造に特に違いは見つからなかった。少なくとも今の時点で、構造的な特徴からADHDのタイプを区別することはできないということだ。
ADHDの症状は、子供から大人に成長するにつれて変化することもある。そのタイプには過渡的な側面があるのだという。
こうしたことは、ADHDのタイプが脳の構造よりも機能的な部分に関係していることを示している可能性があるとのことだ。
References:ADHD Presents in Different Forms Which Scientists Still Can't Fully Explain/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1.
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3. 匿名処理班
うつ病もだけど、この手の医者のさじ加減でどうとでもなる病気や状態への科学的診断が早く実用化してほしい。
そうしたら障害年金めあての仮病が少しは減ってくれるでしょう。
4. 匿名処理班
今のところ親の証言という曖昧なものが基準になってるけど、生理的な面で判断ができるようになるといいね
発達障害の診断は親と絶縁している場合はほぼ詰みに近いんじゃないかと思う
5. 匿名処理班
当事者だけど自分でもはっきりと症状を把握しきれてない。こういう客観的な診断を下せる技術の普及は待ち遠しい。
6. 匿名処理班
脳内血流を観察した方が正確では?
構造ではなく機能不全ならば、通常より血流や糖の使われた方に、偏りが出ると思うけど。
7.
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9.
10.
11. 匿名処理班
携帯型端末の無線電磁波がADHDの原因になるという説もある。
子供の落ち着きのない言動は、無線電磁波のせいかも。
ちなみに低周波騒音は短期記憶や鬱、不眠、頭痛の原因になることがある。
実験をするなら電磁波の影響が皆無か、より少ない場所でやった方がいいと思う。
院内PHSの電波さえも届かない部屋とか。
12. 匿名処理班
ワテも子供の頃からスカタンマンだとばかり思ってたけど、ADHDかもしれない
13. 匿名処理班
自分は多動性はまったくないのだけれど、それ以外は欠陥障害そのもの。
忘れ物、注意散漫、何かをやっていてもすぐに他のことを始める、置いた物はすぐどこかに行く...
おかげで、小学校の頃の評価は散々だった。
注意散漫には鉄壁の自信があるので(爆)、運転免許を取ることは子供の頃にすでにあきらめた。
自分が運転をしたら、信号無視、一方通行の逆走、アクセルとブレーキの踏み間違いなど、余裕で乱発するだろう。
走る凶行魔そのものとなるだろう。
日本と世界の平和のために、私は決して運転免許は取らない(キリッ)
14. 匿名処理班
ADHDとそうでない人との脳構造上の差異自体は分かってきているというのが凄いね
最終的に表れる症状の違いは、同じ風邪でも喉にくるか鼻にくるかのように、結局他の病気にもある個人差の話になってくるのかもしれない
15. 匿名処理班
知ってた
普通なら覚えられることが覚えられない
覚えたはずなのに頭から抜け落ちる
脳内メモリーが通常より少ないからだ
対策は外部メモリを増やすしかない
16. 匿名処理班
>>13
いわゆるADDってやつだね
「いわゆる」とつけても今はADDとは言わないってコメントがつきそうだけど
17. 匿名処理班
>>3医者をなめるんじゃないよ。日本はそんな早とちりな診断しないしうつ病は採血で調べるよ。
18. 匿名処理班
医者からADDのグレーゾーンと診断された。記事の技術が確立すれば、グレーゾーン診断がなくなるのかな
19. 匿名処理班
>>17
そちらこそテキトーな事を言うんじゃないよ。
自分はADHDで鬱病も3回経験し、精神科は6ヶ所かかったけど、採血なんて1度しか経験ないぞ。
それ以外はどこも「死ぬほど辛いです」→「はい、鬱病の診断書」だったよ。
そんな医者が多いんだよ
20. 匿名処理班
>>4
発達障害の診断に親の同行は必ずしも必要ないよ。
高次脳機能障害と区別するために親を同行させたり、子供の頃の通知表を持って来いという病院もあるけど、
大半は本人の話だけ聞いてADHDの診断される。
21. 匿名処理班
※18
それは、なくならないんじゃない?
知能検査でIQを数値化できる知的障害なんかでも、
「健常」の線引き基準をどこに設けるかによって
“障害判定されないけど実生活では一部支障もある”
というボーダーライン層って存在するし。
22. 匿名処理班
ADHD当事者で精神医学、臨床心理学、人類学、遺伝学などからADHDの知識を多角的に知り得てきた者としては、
このような脳の構造上の違いから判断する診断方法は、必要ない。
まず、論理学的に前提となるものの中立性を立証してから仮説を立て、データを集め、そしてさらに検証という段階まで進まねばならない。
このような脳の構造上の違いのデータだけを集めた場合、西洋人の多くは、科学では最後には絶対に必須だといえる「検証」をおこなわないことが多い。ほかの排他できる論理性、そのデータの信憑性を担保できるものとはならないため、脳の構造上の違いだけに着目した診断方法は、差別の要素にはなりえても、当事者にメリットとはなりえない。
脳科学的にも、脳の部位の大小、あるいは、酸素の供給状態によって、その身体的な機能性の(たとえば優劣などの)評価はできない。
23. 匿名処理班
>ADHDに関係する脳の構造的な変化は、4歳ごろからすでに現れる
つまり4歳までは変わらないのか
24. 匿名処理班
>>20
1時間半〜2時間くらいかかるWISC検査を病院で受けて、その結果から発達のバラつきを見る、てのが判断の基準じゃない?少なくともうちの子や周りの子はそう。
親の証言は、プラスアルファの情報として聞かれはするけど、それが診断基準になんかならないよ。
発達じゃなくて、知的障がいがある場合に手帳を取ろうとすると、親や教師の証言もいることが多いとは聞いたことあるけど、それって各種割引等の金銭的メリットがあるから、なりすましを防ぐ目的だと思う。発達=知的障がいとは限らない
25.
26. 匿名処理班
>>20
自分も親の証言は無かった
ただ長年通ってるクリニックで改めて調べた結果判明。自閉も混じってるらしいから自覚無かったな
27. 匿名処理班
>>5
記入タイプのテストだと自分は日常の行動たいして覚えてないから結果がホントに正しいのか不安になる
28.
29. 匿名処理班
グレーゾーンやスペクトラムの概念はより正確な診断につながると思うけどな
ほぼ同じような重さのADHDが2人いたとして
ハイあなたは健常、あなたはADHDって分けたら、当事者の不利益につながりそう
30. 匿名処理班
親の証言が診断の判断材料にされてるのは確かだけど、当人以外の第三者の客観的主観による証言って曖昧にも程があるといつも思う。
しかも親となれば我が子を障害者にしたくないから否定するもしくは障害者にしたいから話を盛る、みたいな偽証がありそうだし。
自分語りになるけど私は親が発達障害なんて理解できない偏見丸出しタイプ(心療内科なんてキチ○イが行くところとか平気で言う)だから親に黙って診断受けたよ。
当然だけど証言なんて求められない。できるだけご家族と来てくださいと言われたけど無理ですと即答した。
発達障害に限らず精神病患者でも家族の理解がなく協力が得られないパターンってかなり多いと思うけど、家族の協力を得られるのが当然みたいな基準になってるのどうにかならないかな。
31. 匿名処理班
>>19
そもそもADHDの診断が出てりゃ、自己申告でも鬱は通るよ。
一般人は『社会の勉強不足ですね。少々子どもです。』とテキスト渡されて帰されていた。
(友人がやられて、知能テストで発達障害の診断が出ていた私には鬱認定が出たので、八つ当たりやイヤミを言われた。)
しかし、医者が曰く、表情や動きを見てたら鬱のレベルや、仮病もだいたい見抜けるし、コツを聞いたらごもっともと思いました。
話を聞いて決める前に、けっこう色々と観察されているから、テキトーでイイカゲンとは言えない。
32. 22
ADHD者は、そうでない者と比べてDRD4-7R対立遺伝子を持ち、この遺伝子を持つ者は長寿であることもわかっている。つまり、ADHD者のほとんどは先天的、遺伝性によるもの。後発的にADHDの特性が発現することがあるが、それは幼少期の脳神経の切断・構築の段階(ニューラルプルーニング期)に決まることが多い。両親がADHDなら、子は確実にADHD、片親がADHDでも子にはADHDの遺伝子は100%遺伝しており(中学理科にいう顕性)、その発現率は身長の遺伝発現率と同じ約20%前後だという(つまり遺伝の要素が高い)。
このような遺伝学的アプローチから考えてみても、遺伝子の有無によって、ADHDの特性を持つか否かの判断をするのは、ポリティカルコレクトネスという観点からも賛成である。
しかし、「脳の構造」に着目した科学的アプローチは、そのほとんどが誤謬といえるものが多く(脳科学は発達しているが、そのほんとどは解明されていないから)、根拠のない差別につながらないよう配慮しなければならない。
たとえば、脳の一部が小さい、とデータが取れた場合、その小さい状態がどのようにADHDと関連していて、本当に機能性に関連づけられるのかどうかはしっかり論証できなければ、そのデータそのものの信ぴょう性は皆無といえる。
「いま体温が37.6度だ」ということがわかっても、(免疫学的には体温を上げることで体内の免疫力を活性化しウイルス等の異物を排除している状態であって、身体的には好ましい状態ともいえる)そのスナップショット的なデータから、内部で起きている機能性や優劣などは判断できない。この場合、熱が高いことをもって「体の発達が未熟だ」とか「体の状態が異常だ」とか「身体能力が制限されている」とかいうことが言えないのと同様である。
33. 匿名処理班
※17
採血では診断できない(自称)うつ病患者を
「新型うつ」とわざわざ新しい病気つくって対応してるのが日本の精神科でしょ?
34.
35. 匿名処理班
私なんか皆んなの長文が読めない
頭に入ってこないのもADHDかな?
36.
37. 匿名処理班
>19
>6かしょいったが、採血は1回だけ
血からアドレナリンとか採取検査する機関が
すくない、と本でみた 結果も1ヶ月かかるとか
なので、金儲け主義なとこは採血しないのかもしれん
38. 匿名処理班
ここのコメント欄見てたら分かるね 読まずに訳も分からずマイナス押してる人多いし
やっぱ脳がおかしいのか
39. 匿名処理班
>>11
ADHDなんて携帯開発以前から今と変わらず居たのに何言ってんだこいつ
40. 匿名処理班
>>35
どこのブログでも長文は読まず飛ばしてる
読まれたければ、端的にまとめるのもマナー。長文書きたければブログを開設して記事を挙げるか、いくつかに分けてコメントすべきだと思う。
自分はADHDではない。だから35も違うかもよ 。誰だってコメントでの長文は読みづらいよ