メインコンテンツにスキップ

世界初、古代エジプトの妊婦のミイラが発見される

記事の本文にスキップ

17件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 ポーランドの考古学者たちが、2000年前に亡くなった古代エジプト女性のミイラのレントゲン写真を撮ったとこえお、遺体に驚くべき秘密が隠されていることがわかった。

 この女性は、死んだときに妊娠していたのだ。これまで同様の例は見つかっていないため、世界初の妊婦のミイラということになる。

世界で初めて発見された状態の良い妊婦のミイラ

 『Journal of Archaeological Science』誌に掲載された研究論文によると、この妊婦は亡くなったとき20~30歳代で、そのときにお腹にいた胎児の頭部の大きさから、妊娠26~30週目だったことを突き止めたという。

この画像を大きなサイズで見る
20~30歳で亡くなった妊婦のミイラ credit:O. Leydo

「これは、妊娠している女性をミイラにした唯一の例といえます」ポーランド科学アカデミーのボイチェフ・エスモント博士は語る。

 妊娠しているミイラがこれほどいい状態で保存されている例はほかにないという。妊婦の埋葬例はいくつかあり、ツタンカーメンの墓では赤ん坊のミイラも見つかっているが、軟組織がきれいに残っている妊婦の埋葬例はほかになく、世界初の発見であるという。

 エスモントはこうも指摘する。「同様の例がほかにもあるのではと思うかもしれませんが、きちんと記録されていなかったり、保存状態が悪かったりして、今回の発見のように研究をさらに進めるチャンスはありませんでした」

 なぜ、死産の子どもの場合のように、胎児を取り出して単独でミイラ化するのではなく、母体に入ったままで保存されたのか、研究者たちはその理由を探ろうとしている。「まだ生まれていないので、胎児は母親の体の一部だと考えられたのかもしれません」

この画像を大きなサイズで見る

レントゲンやCTスキャンにより、ミイラは妊婦であることが判明(image credit: Journal of Archaeological Science

この妊婦は誰なのか?

 この妊婦のミイラは、古代テーベの王家の墓から発見されたものとされているため、研究者たちは、彼女は高貴な出なのではないかと考えている。織物で丁寧に包まれ、たくさんの護符に守られていたという。

 この護符はホルスの4人の息子を表わしていて、ミイラを包んでいる布の内側にたくしこまれていた。

 ”ホルスの4人の息子”とは、古代エジプト信仰における4人の神、イムセティ、ドゥアムトエフ、ハピ、ケベフセヌエフを意味する。彼らはミイラの体と共に置かれるカノープスの壺を擬人化したものとして表わされることが多い。

 とは言え、この妊婦の死因や身元はいまだ謎だ。

この画像を大きなサイズで見る

妊婦のミイラと共に埋葬されていたホルスの4人の息子を表わす護符(image credit:Warsaw Mummy Project

男性司祭のミイラとして展示されていた

 このミイラがテーベで発掘されたのは1800年代始めのこと。そのときの調査で、テーベが繁栄していた紀元前1世紀ごろのミイラだとされた。1826年にポーランド、ワルシャワに移され、現在は国立博物館の古代アートギャラリーで展示されている。

 展示の説明では、このミイラは男性司祭ということになっていたが、スキャンの結果、このたびの驚きの事実がわかったのだ。

 人類考古学者のマルツェナ・オザレク=ジルケはこう説明する。

「まず、驚いたのは男性器がなかったことです。その代わり、乳房と長い髪の毛がありました。そして、男性だと思われていたこのミイラが実は女性で、しかも妊娠していることがわかったのです。胎児の小さな足や手が見えたときは、本当に驚きでした」

 このミイラは、「ワルシャワ・マミー・プロジェクト」でスキャンされた唯一のミイラだ。このプロジェクトの目的は、ワルシャワ国立博物館にある古代エジプトの人間と動物のミイラをすべて徹底的に調べることだ。

 レントゲンやCTスキャンなどの先端技術を使うことで、古代エジプトの生活がどんなものだったのか、そのミイラの年齢、死因、病気、生活水準、生前のストレスレベルまで、もっと詳しく知ることができるという。

この画像を大きなサイズで見る

スキャンによって、母親は妊娠26~30週目だということがわかった(image credit:Journal of Archaeological Science

古代エジプトにおける妊娠についての洞察

 エスモントは、妊婦のミイラが見つかったことは、その特異な性質からただの驚きであるだけでなく、古代エジプトの周産期の子どもの健康についてほとんど知られていないため、エジプト学者にとっても大きな発見だという。

 エスモントは、この発見はさらに多くの興味の扉を開けてくれると考えている。

例えば、医師は胎児の腸内環境を調べることで、当時の免疫システムの発達に関する情報を得ることができるでしょう。

この女性と子供の命を救うために施されたと思われる古代の医療処置の痕跡を調べることもできる。古代エジプトの医学書には、行われていたらしいいくつかの処置が書かれているが、さらに調査が必要です

 この研究は、まだ特定されていないとはいえ、ほかにも古代エジプトの妊婦のミイラが埋葬されている可能性があることを示している。

 もっと多くのミイラをスキャンしてみれば、古代のミイラの体を実際にいじくりまわすことなく、デジタル的に詳しく調べることができるだろう。

References:World First! 2,000-Year-Old Egyptian Mummy Was Pregnant | Ancient Origins/ written by konohazuku / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 17件

コメントを書く

  1. エジプトのミイラって腸とか肺とか内臓(心臓以外)は取り出して壺に入れてあるイメージだったから驚き。19世紀のミイラを見世物にしてた興行がなかったらこういうミイラも発見されてたのかなあ

    • +9
  2. その辺の墓地も2000年後には
    掘り返されまくるんだな。

    • +7
  3. ミイラになった後、妊娠した、という可能性は……。

    • -15
  4. あの世でずっと私は女だ!とマジ切れだったじゃねえのw
    動物の性別にしろ、かなり技術進んだと思った中、意外に
    とぼけたミスあるとは生物世界は面白い

    • +19
  5. 出産中に死亡した母体のミイラは無かったっけ

    • +1
  6. まさか取り出してみるつもりじゃないだろうな

    • +1
    1. ※7
      10体20体なら可能性は低そうだが、これが100体200体と見つかっていったら実解剖までやりそうな気がしなくもない

      • +4
    2. ※7
      そりゃ最後にはそうなる。いくらスキャン技術が発達しても、実際に見る、組織を採取する方が情報量が多いから。
      剖検を断る遺族もいないし、実際に開くかどうかは研究者の匙加減よ。

      • +2
  7. 色んなミイラの棺を見たけどツタンカーメン王の黄金マスクって本当に凄い物だったんだな。他の王様のマスクも盗掘されてなきゃもっと凄いのがあったかもしれんね。

    • +8
  8. 漫画だったら「ドクンッ…ドクンッ…」「こ、この胎児、まだ生きているぞォッ―!!」となりそなシチュエーションですね

    • +4
  9. 泣きながら天国に送った家族が
    掘り起こされ、ほじくられ、ガラスに入れられ
    展示され見世物になっているって考えると
    辛いな

    • +4
  10. このミイラ、きっと姑獲鳥(うぶめ)になる。

    • +2
  11. こんなミイラはイヤだ。
       ↓
    ミニラのミイラ

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。