
credit:Jorge Blanco.
恐竜がまもなく絶滅しようとしていた白亜紀末期、ゴンドワナ大陸には恐ろしい恐竜が生きていた。
アルゼンチン、パタゴニア北西部にある化石地帯ラ・インベルナーダのバホ・デ・ラ・カルパ層で発見された新種の肉食恐竜の化石は、「ルカルカン・アリオクラニアヌス(Llukalkan aliocranianus)」と名付けられている。
ルカルカンはマプチェ語で「恐怖をもたらすもの」、アリオクラニアヌスはラテン語で「珍しい頭蓋骨」という意味だ。
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トサカやツノが生えた短い頭蓋骨を持つ肉食恐竜
今から8000万年前、白亜紀末期に生息していたルカルカン・アリオクラニアヌス(以下L. アリオクラニアヌス)は、大型捕食恐竜アベリサウルス科の仲間で、その姿はあのティラノサウルスを思わせる。
体長は5メートルでティラノサウルス(13メートル)に比べれば小さいが、極めて強力なアゴや鋭い歯、巨大な爪に鋭い嗅覚といった武器で武装していた。
その名が示すとおり、特徴的な頭蓋骨をしており、トサカやツノがゴツゴツと生えている。生きていたときは、現代の一部の爬虫類にも似た、膨らんで目立つ頭部を持っていたようだ。

頭蓋骨の再現図 credit:Gianechini et al., doi: 10.1080/02724634.2020.1877151.
ワニに匹敵する鋭い聴覚を持っていた可能性
だがパタゴニア地質学・古生物学研究所の古生物学者アリエル・メンデス博士によると、最大の特徴は、中耳のあたりにある小さな空洞であるという。
これは他のアベリサウルス科の仲間にはない特徴で、これのおかげでL. アリオクラニアヌスは現代のワニと同等か、それより優れた聴覚を持っていた可能性があるという。
アベリサウルス科の恐竜は強い捕食者
L. アリオクラニアヌスの発掘現場のそばからは、同じくアベリサウルス科に属する「ヴィアヴェナトル・エクソニ(Viavenator exxoni)」も発掘されている。

このことは白亜紀後期において、アベリサウルス科の恐竜がパタゴニア地域の主要な捕食者だった可能性を示唆しているそうだ。
この研究は『Journal of Vertebrate Paleontology』(3月30日付)で発表された。
References:New Species of Carnivorous Dinosaur Unearthed in Argentina | Paleontology | Sci-News.com/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
恐竜なんてまだ全体の9割以上は未発見の新種
2. 匿名処理班
アベリサウルス科にはカルノタウルスのように角やらコブやらがあって面白い。
あと短い前足がかわいいw
3. 匿名処理班
シャチ 「俺の骨を見て俺が想像できるか?」
4. 匿名処理班
イメージ図と違って案外クック先生みたいな見た目だったりしてな
シャチやカバの例があるだけに
5. 匿名処理班
お辞儀するのだ!
6. 匿名処理班
私にとって名前を覚えにくく言いにくい2大恐竜であった「パキケファロ・サウルス」「パラサウロロフス」は、両者とも頭の形に特徴があるが、なぜかこの記事の恐竜も同様だ
7. 匿名処理班
↑殆どの哺乳類は骨格と肉付きの差が激しいものの、爬虫類に近い恐竜は差異は殆ど無いと思われます。理由はうろ覚えなのできっと誰かが解説してくれるはず…w
羽毛が生えている、非鳥類型恐竜の例もありますけど大体の姿は解剖学などから推測出来ると思います
8. 匿名処理班
珍しい頭蓋骨を持った肉食恐竜。。。といっても、
それ程は変な造型をしているとも思えない。むしろ合理的だ
恐竜は、どこまで多様性が有る動物なんだか?
生息期間が長かったから、これからも新種は発見されるだろう
9. 匿名処理班
※6
>パラサウロロフス
あの内部の鼻腔道が複雑に入り組んだ構造は不思議だよね。
生前の骨成分から共鳴具合を考慮して、鳴き声を再現できないかな?
なんて妄想を、昔良くしていた。今はPCシュミュレーターが有るから
鳴き声の再現も案外と可能かも知れない
10.
11. 匿名処理班
>>1
化石で見つかってない大小の恐竜はたくさんいるだろうな。
特に小型羽毛恐竜なんか化石に残ってないだけ始祖鳥以前の羽毛恐竜や以後の原始鳥類の類いはたくさんいたと思うよ。