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タコにも痛覚が存在し、痛みを避ける行動をとることが判明

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(著) (編集)

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iStock
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 我々は痛みを感じる「痛覚」をもっている。タンスの角に小指をぶつけたら痛いし、食中毒を起こしたらお腹が痛くなる。最近では、甲殻類にも痛覚があると指摘する研究結果も報告されている。

 そしてどうやら、頭足類のタコにも痛覚があり、痛みを避けるための逃避行動をとることが新たなる研究で明らかになったようだ。

タコの痛みに対する反応を調査

 私たちにとっての痛みは、危険な刺激や怪我に対する単純な反射とはまるで違う。肉体の痛みに続いて、苦しさやら情けなさやら感情な痛みまで味わうことになる複雑な反応だ。

 そうした肉体と感情両面の苦痛は人間に限ったものではなく、脊椎動物ならば一般なものだと考えられている。

 だが謎なのは無脊椎動物だ。その神経系はずっと単純なものであることが多い。そんな彼らにも心と体で生じる痛みがあるのだろうか?

 『iScience』(3月19日付)に掲載された研究では、無脊椎動物の中で、もっとも複雑な神経系を持つタコに少々辛い思いをしてもらって、彼らの痛みの謎に迫っている。

痛みを感じたタコが逃避行動をとることを確認

 米サンフランシスコ州立大学の神経生物学者ロビン・クルーク氏が行ったのは、マウスなどの痛みを調べるための標準的な検査法で、次のようなものだ。

 水槽の中に3つの部屋がある。部屋のいずれかにタコがいるとき、その腕の1本に酢酸を注射して痛みを生じさせ、その後の行動を観察する。

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credit:iscience

 すると、タコはその部屋を明らかに嫌がるようになったという。一方、特に痛みが生じない生理食塩水を注射されたタコにはそのような行動は見られなかった。

 さらに酢酸注射を打たれたタコに、即効性の痛み止めとしてリドカインを注射する。するとそのタコは、リドカインを打たれた部屋をお気に召すようになった。生理食塩水を注射したタコにリドカインを打っても、そのような変化は観察されなかった。

 もちろん動物の主観的な気分や感情を読み取るのは簡単なことではない。しかし脊椎動物では、こうした安全な場所を好むようになる変化は、感情の苦痛を味わっている強い証拠だと考えられている。

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iStock

タコは脳で痛みを感じとっている

 脊椎動物の場合、体で感じた痛みのサインは脳に送られそこで痛みとして解釈される。ところがタコは、「腕に脳がある」と言われるくらい神経細胞が体に分散しており、我々とは神経系の作りがかなり異なっている。

 だが、それでも腕に生じた痛みを中枢の脳で感じ、その質や強さを区別しているようだ。

 酢酸を注射たれたタコは、20分間ずっとその部位の皮膚をクチバシで剥がそうとしていたという。

 また、あるタコの研究では、痛みに対する反応として腕を潰したり、切り落としたりする姿が観察されている。こうした行動は、ある種の中央集権化された反応を示唆しているのだそうだ。

 頭足類の活動は末梢神経系に強く依存しているので、腕で感じた痛みの情報がどのくらい中枢神経系に送られているのか定かではない。

 しかし電気生理学的な計測データからは、脳へといたる経路で継続的な末梢反応が起きており、それが痛みの強さを表しているらしいことが間接的に確認されている。

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Pixabay

タコも痛みを苦痛と感じている

 こうした実験結果を総合して考えると、痛みという点でタコは哺乳類とそれほど変わらず、肉体的・感情的苦痛を感じている可能性が高いとのことだ。

頭足類に意識や感覚があることを裏付ける証拠はないが、本研究でタコが示した反応は、痛みを感じた哺乳類のものとよく似ている。これらまったく異なる種の内面の状態も似ている可能性が濃厚だ

 と、クルーク氏は結論づけている。

References:/iscience / academictimes/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. いやあるでしょ。
    それを科学で証明したことは大切だけどね。

    • +10
    1. ※2 ※8
      「身体への侵襲から逃れようとする反射行動」と
      「“痛み”というクオリア(感覚質)が生じている」とは
      必ずしもイコールじゃないからなぁ…。
      「もがいてる」という外からの観察だけでは、なかなか難しい。

      例えば人間が煮えてる鍋に触ってとっさに手を引っ込めるのも、
      「熱いから引っ込める」んじゃ間に合わず
      引っ込めるまでは脊髄反射で、
      脳が熱いと認識するのは 手を離した後になる。
      つまり、「熱い」という知覚は無くても、逃避行動はとれる。
      むしろ、危険に瀕しているその場より、回復のための休養や
      事前回避のための学習(今回の実験はココ)に痛みは役立つ。
      (本当の危機の最中は、興奮で痛みを麻痺させたりするし。)

      麻酔剤なんかも、鎮痛(感覚遮断)と筋弛緩(運動遮断)は
      別々の機能で、両方を兼ね備えている薬ももちろんあるけど、
      「鎮痛効果はあるが筋弛緩効果は薄い」という種類なら
      本人は痛みも意識も無くても
      メスを立てると反射的に体が暴れたりする物もある。

      • +7
      1. ※19
        この手の話で思うのが、人間の言葉で表される「痛み」を感じてさえいなければ、
        魚はさばいていいし、植物はちぎっていいし、って思ってる人結構いるよね。
        そういう人たちは、まさに人間至上だなって思う。

        生命を脅かす要因を無意識的に回避するために「痛み」が生まれたとすれば、
        タコのそれが反射だろうと、他の神経反応だろうと、同じく尊重されるべきなのに。

        • +4
  2. そりゃ、痛覚くらいあるだろう
    とっさにどの足ぶつけたのか分からなくなるだけで

    • +13
  3. >一方、特に痛みが生じない生理食塩水を注射されたタコにはそのような行動は見られなかった。

    注射はそんなに痛くないんだね?すごいね?

    • +5
  4. 痛覚がわかってもたこ焼きのうまさはやめられん折れ
    おやつになったタコに感謝しよう

    • +11
  5. 注射針には無反応なところをみると物理的刺激に対する感覚と化学的刺激に対する感覚に有意な違いが認められる。酢酸注入部位を食いちぎろうとする行動からも外傷に対しては中枢神経は鈍感である可能性がある。海には毒針を持つ動物も多いから命にかかわりかねない毒を認識して対処するように進化してきたんだろう。

    • +12
    1. >>7
      そうそう
      ちょっと刺されることは見過ごせる敵対的刺激、
      酢酸が内部で荒らす刺激は「この腕はダメになったかもしれない」行動を引き起こす(人だと恐怖を感じるタイプの)刺激。
      痛みって破壊から体を守ろうとする本能だから
      わりかしホイホイ自切できるタコとかの生き物には、私たち人間と同じレベルの「チクチク、ビリビリ、ズキズキ」を感じているかは疑わしいかも。
      怖さの度合いこそが痛みなのかもしれない。

      • +9
  6. だって、イカの活け造りの足と頭の部分に醤油たらすと「しみる~」みたいに動くじゃない?
    アレ、見るからに痛がってるなあと思っていたけど。

    • 評価
  7. 植物や昆虫、魚だってそうなんだから
    タコにないわけはないと思っていたが
    まだ科学的に検証されていたわけではなかったんだね
    有意義だけど物理的な痛みに関しては検証が難しそうだ

    • 評価
  8. 一言痛みと言っても哺乳類と同じような感覚なのだろうか
    足自分で食ったり簡単に取れちゃったりするし

    • +4
  9. タコって足で光を感じるとか言うし脳みそたくさんあるしもうなんなん?

    • +2
  10. 人間の痛覚という感じで判断するのって明らかに馬鹿だと思うんだがどうなんだろう?
    ましてや「痛みを感じている!」なんてのはなぁw
    だったら針が刺さった時から嫌がるだろうw
    海にいる生物が傷を負った際に何の害もない水分が侵入してくるのと明らかに刺激を与えるものが入ってくるのとでは意味が全く違うだろう

    • -11
  11. 人間みたいに痛がってたとしたら皮膚剥がそうとするかな?

    • 評価
  12. 死にたくない生き物なら大なり小なり危険回避の為の探知機は持ってる気がする
    痛みって一番原始的な仕組みじゃないのかね

    • +4
  13. 動物も植物も何かしらそういうのはあるだろうなぁ
    魚類が無いとかも人間がわかってないだけだろう

    • +2
  14. 痛みを感じたからその部分を自ら切除しようとするって、
    その切除作業の方が痛いだろってなるよな。
    だからやっぱりロボットの故障とかエラーに近いように感じる。

    • -3
  15. 逆に、タコを包丁で切ったりしても痛みはないって証明に成り得るねこれ
    自切は自分で感覚を遮断する仕組みもあるかもしれんけど

    • -5
  16. 水の温度とか分かれば普通にありそう

    • 評価
  17. 怪我の感知ではなく不快感を得ているらしいってことだね。

    しかし本当に痛いか、人間と同じかは永遠にわからない。
    人間どうしでさえ同じ怪我なら同じように痛いと証明できないし、なんなら意識すら無いのに痛がるような反応をしているだけかもしれない

    • +2
  18. まぁこれはあくまで掲載された”学説”にすぎないからね。
    「○○大学の研究チームによると」みたいなアカデミックな
    権威付けって、自分自身はその真偽性を留保できても他人が
    それを鵜呑みにして拡散するのは止められないからなかなかやっかい。

    • 評価
  19. 実験で証明するのは難しいんだろうけど、
    「痛み=生命を脅かす外的要因を認知する力」
    って考えたら、痛みに近いなんらかのクオリアを
    すべての生命が持っているのは自明に近い。

    生命を脅かす要因を回避しない生命は、
    すぐに死んでしまって種族として生き残れないからね。

    • +5
  20. 人間の痛覚と一緒にするのは違うのではって言ってるだけじゃない?

    • 評価
  21. えっ、なんでマイナス付いてんの?
    なんか間違ってる?
    体内に注射された酢酸には反応するけど、生理食塩水には反応せず、同時に注射器自体にもしておらず、自切も平気そう
    よって、タコは少なくとも足の外傷に対する痛覚を持たない可能性がある
    なんかおかしい?

    • -2
  22. タコを生きたままぶつ切りにして暴れても、
    「不快反応が働いているから暴れているだけで、痛みを感じているわけではない」
    って言われてきたから安心してたんだけど、まさか痛みを
    感じていたとは・・・

    • 評価

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