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チェルノブイリ原発事故から34年。立ち入り禁止区域に住み続ける高齢者たち(ウクライナ)

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(著) (編集)

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 世界を震撼させたチェルノブイリ原子力発電所事故から34年。事故後、発電所周辺の半径30kmは立ち入り禁止区域に指定され、地域の住民たち全員が他の場所への移住を余儀なくされた。

 しかし、新しい土地に馴染めず、危険を承知で故郷に戻っり、立ち入り禁止区域となる地域で生活をしている高齢者らが約200人いるという。

 ここを、トラベルブロガーのイギリス人男性が訪れ、荒れ果てた土地に今でもひっそりと暮らし続けている人たちの様子をYouTubeでシェアした。

Inside The Belarus Chernobyl Zone 🇧🇾

事故から34年のチェルノブイリの立ち入り禁止区域を訪問

 1986年4月26日に旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリで史上最悪の原発事故が起こってから34年の月日が経った。

 爆発により放出された放射線量は非常に危険なレベルで、発電所周辺の半径30kmは当局により公式に立ち入り禁止区域に指定され、地元の住民らは直ちに別の土地への移住を強いられた。

 しかし、避難後ほどなくして、200人ほどの住民が危険を承知で政府の避難勧告に違反し、この立ち入り禁止区域に戻ってきた。

 自らの意思で戻り、再びその土地で暮らすことを決めた人々は「サマショール」と呼ばれ、そのほとんどは平均63歳の高齢者たちだ。

 当局は、最初こそ違法に戻って来た人々を立ち退かせようと説得を試みていたが、一向に立ち去ろうとしない彼らを次第に黙認し、限られた支援サービスを提供するようになったという。

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 2019年、イギリス人のトラベルブロガー、ベンジャミン・リッチさんはこの立ち入り禁止区域を訪問。そこで暮らす1組の親子に出会った。

92歳の高齢者、息子1人と立ち入り禁止区域に住み続ける

 ベンジャミンさんは、2018年から自身の旅の記録をYouTubeチャンネル『bald and bankrupt 』でシェアしており、2019年の3月にチェルノブイリの立ち入り禁止区域を訪れた。

 ベンジャミンさんは、ベラルーシ側から同区域の奥へと足を進めた。

 完全な荒れ地が広がる中、ぽつりぽつりと残される廃墟。34年前のこの土地が、どれほどの被害を受けたかはベンジャミンさんの動画からも想像に難くない。

 ここは近年、ヒグマやバイソン、オオカミやオオヤマネコ、モウコノウマといった大型哺乳類や、200種以上の鳥類などが暮らす野生生物の楽園と化しているという。

 万が一、オオカミやクマと遭遇した時のためにとナイフを片手に進むベンジャミンさん。やがて、民家に行き当たり、そこで暮らすイゴールと名乗る住民に出会う。

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 イゴールさんは、この居住禁止区域で92歳になる母親と2人きりで暮らしていた。

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 1927年生まれの母親は、10人の子宝に恵まれ、人生のほとんどをここで過ごしてきたそうだ。

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 今は、3人の子供は既に他界。イゴールさん以外の6人の子供たちは、別の場所で暮らしている。

 同親子は、発電所の爆発後一旦別の土地へ避難したが、再びここへ戻って来た200人のうちの2人だ。

 ほとんど誰もいなくなった土地で、今もなお暮らし続ける住民たち。彼らは、生まれた土地と深く結びつき、自分で畑を耕したりキノコを採ったり魚を釣ったりしながら、ほぼ自給自足の生活を送っている。

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 自治体は、そんな彼らの健康調査を続けている。現在は放射線レベルが安定し、観光客も訪れるようになったとはいえ、危険地域であることに変わりはない。

 荒れた土地には、爆発事故で亡くなった人たちのものだろう、複数の十字架がひっそりと立てかけられている。

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written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 38件

コメントを書く

  1. 人に限らず動植物もあんまり影響受けてないらしいし放射線はまだまだわからないことだらけだね

    • +21
    1. ※1
      致死量と安全量はわかってるが、その間にある範囲の量は全部判らない
      それが放射線
      しかも安全量ってのも本当にどこからが危険なのか判んないから最大限安全マージンとって自然被爆量よりも下に設定してた時期もあったくらいなんで
      安全量より多く被爆しても普通にDNAや細胞は自己修復しちゃうから、安全量ってもっと上の数値に設定していいものなんじゃ?というのも割りと最近になって判ってきたことという…

      • +7
  2. 人間が断トツで放射能に弱い。大抵の動物も植物も人間よりは放射能に対して強靭。

    • -4
    1. >>2
      ヒトが弱くて動植物が強靭なのではなくて
      ・ヒトは長く生きる(時間でかかる異常性が観測しやすい)
      ・ヒトは体格からは考えにくいくらい生態系のてっぺんにいる(生態系の上の方にいるでかい魚とかを食っちゃう=生物濃縮の影響もろかぶり)

      動植物は、特に野生の動植物は、そもそも奇形とかで脆弱性を持った個体は生き残れない。生き残れる程度の異常は多様性レベル。そして生き残ってきた個体も大抵がんになる前に別の要因で死ぬ

      • +14
      1. ※13
        植物に関しては放射線で良く育ち収穫量が増える報告例があったみたい
        そこで未来型農園でアイソトープ農園って考えがあって
        それが宮沢賢治のグスコーブドリだっけ?に出てきたり
        手塚治虫の火の鳥のロビタの話で子供が被爆してしまう所
        放射線に対してネガティブな考えが主流になって
        研究も下火になってしまったみたいだけどね

        • -1
  3. 平均63歳で、34年前の事故だろ。なら当時20代後半~30代前半じゃん。
    なんでそんな一番活力のある世代の人間がここに居座り続けてるんだろうか…

    いや、わかるよ。実際は80~90代ばかりで、事故後にやってきたごく一部の若い人たちによって平均年齢を大幅に下げてるので、平均が63になってるっていうのは…。

    • +4
    1. >>3
      都会でしか暮らしたことないのかな?
      東北の震災復興を扱ったドキュメンタリーも見たことない?
      たとえ不便だろうが、合理的でなかろうが、生まれ故郷で暮らしたいと考える人間は多いんだよ。

      • +9
      1. ※25
        逆だろ。田舎に住んでるからわかる。殆どの若い子は地元から離れていくよ。だから不自然だよ。

        • -4
        1. ※27
          不便でも結局帰省はする
          いつでも帰れるって意識があるから出て行けるだけで
          実際に二度と帰れないとか取り壊されて無くなるとかなるともっと居て思い出作りたかったって激しく後悔する
          その程度のもんなんすよ田舎から出て行く人の心理なんて

          • +5
  4. 国の指針に違反して住み続ける人達を”黙認し、限られた支援サービスを提供”している。
    ロシアみたいな国がね。
    そこが一番意外。

    • +9
    1. >>4
      支援金みたいなのはテキトーな放射線検査みたいのして、早々に打ち切られたって映像だと話してたよな。そこはやっぱテキトーなのかな。

      • +4
    2. >>4
      現ウクライナだぞ。
      ロシアとは違う国だ。

      • +2
  5. 放射性セシウムなんかは半減期超えてるので一番酷い時ほど寄りは改善されているだろうけどねぇ

    • +9
  6. 丁度いい距離なら放射能浴びても
    却って元気になって長生きするって本当❓

    • -11
  7. 以前テレビで見た、秘密閉鎖都市の原子力施設の下流に位置
    する村の人々も、汚染された地域でずっと住み続けて、今更
    どこにも行くことはできないっていってた。健康状態に異常が
    でようがもちろん国は知らぬ存ぜぬ。旧ソ連の闇は今なお深い。

    • +6
  8. 何が凄いってロシアの平均寿命が五〇台なのにそれを上回っているという

    • +2
  9. 興味深い映像だったな。息子とおばあちゃん、
    「前は政府から手当が出ていたけど、だいぶ前に打ち切られた。役人が来て放射線を測り、家の中に放射線反応がないからと。家にほんの2~3歩出た場所は放射線反応があったのにだ!」
    と話しててヒェ~となった

    あと、「ポニョ、ポニョ」ってロシア語の相槌なのかな。ちょっとかわいい

    • +10
  10. 原爆の放射能は一瞬であれだけの被害に対して、原発跡地は放射能が出続ける。

    • +1
  11. 電気ガス水道全部止ってるはずだけどよくそんな場所で暮らせるなあ。
    風呂やトイレはどうしているのだろう?

    • +2
  12. この前の新映像の世紀で見た消防士の話は壮絶だった。そういえば11月7日夜6時「アメリカ 自由の国の秘密と嘘」の放送があるらしいよ…番宣でしたw

    • 評価
  13. 住人「電燈点かない」
    おれ「うっくらいな」

    • +3
  14. チェルノブイリについてはとても興味がある。

    • +2
  15. bald and bankruptの動画は素晴らしいよ。この家族の他にも、ベラルーシのkolyaというアル中老人との出会いも面白いのでぜひみて欲しい。
    チェルノブイリだけじゃなくて、誰も近寄らないようなマイナーな土地へ赴いて次々と友達を作っていく様子は爽快だし感心する。
    今のソビエトの本当の姿を伝えている唯一のVlogerだよ

    • 評価
  16. 今年も福島に行ってきた
    コロナ禍でガラガラだったし

    国道6号は変わらなかったよ
    封鎖されたままで

    もうすぐ10年になるけど

    あの瞬間のままだよ
    行くと涙が止まらないよ

    • +9
  17. 福島でも戻って暮らしてる人いたなぁ
    インタビューとか見てると故郷愛よりも深い何かがあるんだろうね

    • +5
  18. チェルノブイリは当時はソ連で今はウクライナだね。

    • +2
  19. チェルノブイリ周辺での健康調査については、政府の指示通り立ち退いた人には劣悪な住環境と生活の激変によるストレスで体を壊した人が多く、平均的に見れば立ち退かなかった人達の方が健康だったという報告もあるとか

    • +2
  20. 身内はいなくても、故郷には思い出がある
    どこへ行っても必ず帰ってしまうとこなんです

    • +2
  21. 低線量被曝地域の寿命からチェルノブイリの放射線の影響を調査しようと
    したら、その後のソ連崩壊による混乱でガクッと平均寿命が縮んでしまい、
    放射線の影響を評価するのが困難になってしまったらしい。

    • +1
  22. チェルノブイリの祈りというノンフィクションで、猫と暮らしているおばあさんが出てきていたな。あと除染作業員相手に密造酒を売って生活している人々、周縁国の内戦で追われた難民たちも住んでいたようだ。

    • +7
  23. 日本語字幕のついたドキュメントで題を忘れてしまったが
    医師たちが子供たちの健康状態を調べに来ていた。
    曰く「なぜこの場所でこんなに子供達に影響が出ているのか
    分からない」。
    調査によると土地が粘土質で放射線を吸収し易く、
    そこで育った牧草を食べた家畜の乳や肉を摂取している
    ためらしい。これが内部被爆。

    • +3
  24. 「アレクセイと泉」というドキュメント映画でも避難する事をやめた人々の暮らしを追っていた。100年前の水が湧く泉と美しくて素朴で自然豊かな村の暮らしを淡々と写していて、でもそれだけじゃない。最後のテロップまで見てもう一度最初から見返したくなる作品。これを見た
    頃はまさか日本が当事者になるとは想像もしなかった。

    • +5
  25. 「もの食う人々」には、ガイガーカウンターが鳴りっぱなしの中
    年老いた科学者までもが大丈夫、大丈夫と呟きつつ土地のものを食べてる話が有った。
    それを初めて読んだ時は、ただただひたすら怖いと思った。

    でも原発事故への対応は、ソ連も日本も大して違わない…。それが現実だった。
    原発前の浜通りを知ってるだけに、記事中の人達の悲しみが相変わらず身に染みる。

    • +1

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