
水道水のリチウム濃度と自殺率に関連性 / Pixabay
リチウムと聞くと電池を思い出すかもしれないが、クエン酸リチウム、炭酸リチウムなどは、気分安定薬として、精神科治療において躁状態や双極性障害に使用されている。『British Journal of Psychiatry』(7月27日付)に掲載された研究によれば、水道水に含まれるリチウム濃度と自殺率の低さには強い関係があることがわかってという。
コロナ禍の中、多くの人のメンタルヘルスが悪化している今、科学者らは、リチウムを飲料水に混ぜることで自殺抑制効果を期待している。
リチウムの自殺抑制効果に期待
ブライトン・アンド・サセックス・メディカルスクール(イギリス)の研究グループによるこの研究は、1946年から2018年までにオーストラリア、ギリシャ、リトアニア、イギリス、日本、アメリカで行われた関連研究を分析したもの。その結果、リチウムの自殺予防効果をさらに検証する価値があると研究グループは考えているようだ。
アルカリ金属元素のひとつであり、電池にも使用されているリチウムは、医療用気分安定剤として炭酸リチウム(リチウム塩)、クエン酸リチウムが躁状態および双極性障害の患者に処方されている。中枢神経に作用することで、本人ではどうにもならない気分の高まりを抑えることができる。
そのようなものを飲料水に投入するなど抵抗があるだろうが、科学者がその必要性を訴えているのは、コロナ禍で人々のメンタルヘルスが悪化しているという事情がある。
WHOによれば、世界では年に80万人が自ら命を絶っているという。15〜29歳の世代では2番目の死因だ。残念なことに、コロナ禍による孤独と経済苦はこの傾向を助長しており、自殺者が増えているのである。
「コロナ禍という未曾有の時代であり、心の病が増えている今、社会のメンタルヘルスを改善し、不安・うつ・自殺の発生を抑える手段は、これまでにも増して重要になっています」と、主執筆者のアンジュム・メモン教授は話す。

コロナによるメンタルヘルスの悪化 / Pixabay
リチウムは普段から体内に摂取している
リチウムはもともと土・海水・岩石に含まれており、それゆえに野菜・穀物・水にも含まれている。だから私たちは普段からそれを口にしているのだ。しかし、それが人間の気分に与える影響ははっきりしない。一説によると、神経細胞の成長に関係しているという。
薬として利用されるようになったのは1949年以降のこと。だが、じつはそれ以前から、気分を良くするという触れ込みで、清涼飲料水などに添加されていたことがある。
たとえば炭酸飲料の「7UP」がそうで、そもそもその名称がクエン酸リチウムの精神安定作用にちなんだものであるらしい(1920年代から添加されていたが1950年代に成分が変更になったので現在の物には含まれていない)。

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ただし自殺抑制効果が得られる適量は不明
ただし、現段階では自殺抑制効果が得られる適量がきちんと確認されていない。また微量のリチウムを摂取した場合の効果についても同様だ。ある無作為対照試験によると、毎日リチウムを400マイクログラム摂取した場合、気分の改善が見られるという。つまり、病院で処方される用量よりかなり少なくても、気分改善効果や自殺抑制効果が得られるかもしれないということだ。
またリチウムはさまざまな経路から摂取されている。たとえばテキサス州の一部のように、水道水に含まれるリチウム濃度が高い地域(340ug:マイクログラム/日)であってすら、食事やミネラルウォーターから摂取する量の方がずっと多い。
だが、それでいて、その地域では麻薬の使用による逮捕、自殺、暴力犯罪の件数が少なかったという。
ちなみに水道水に比べれば、ミネラルウォーターの方がずっとたくさんリチウムを含んでいるそうだ。実際に「ミネラルウォーター リチウム」で検索をかけると、リチウムの入ったミネラルウォーターが販売されているのがわかる。500mlで700ugのリチウムが含まれている温泉水なんかもある。
とは言え、適量がまだわからない状態なので、更なる研究報告を待ちたいところだ。
この研究は『British Journal of Psychiatry』(7月27日付)に掲載された。
Association between naturally occurring lithium in drinking water and suicide rates: systematic review and meta-analysis of ecological studies | The British Journal of Psychiatry | Cambridge CoreReferences:vice/ written by hiroching / edited by parumo
https://www.cambridge.org/core/journals/the-british-journal-of-psychiatry/article/association-between-naturally-occurring-lithium-in-drinking-water-and-suicide-rates-systematic-review-and-metaanalysis-of-ecological-studies/B7DDAF6E2A818C45EA64F3424E12D67A
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コメント
1. 匿名処理班
リチウムイオンバッテラ寿司もいかがでしょうか。
2. 匿名処理班
リチウムは血中濃度における薬効と中毒の範囲が狭いと聞いたけど大丈夫なの
3. 匿名処理班
歯の保護に有効だからといって、フッ素を水道水に混ぜてたのと同じような印象を受ける
今でも塩素とか色々混じってるけどさ
4. 匿名処理班
燥状態の人が大変なことになるんじゃ
5.
6. 匿名処理班
外に出て運動しよう!という気持ちは鬱からの脱出に凄く重要なんだけど、そうしたポジティブな高揚すらも抑える効果があったとしたらそれはそれで悪影響がありそう
7. 匿名処理班
妙なもの入れなくてもレモン汁をちょい入れるだけでも効果あるぞ
しかも水道水にある塩素が消えるのと同時にレモン特有の爽やかな
味で疲れも消える
8. 匿名処理班
最先端の研究は最適とは限らんからなあ
9. 匿名処理班
>>7
洗濯物が臭そう
10. 匿名処理班
※7
元素は消えたりしませんよ…
化学合成でレモンの成分と反応して塩などに転化するだけです。
「カルキの風味が消える」ならそのとおりかなと、
ただし除菌効果は無くなるので早めに消費してくださいね
11. 匿名処理班
本物の鬱は元気になってくると自殺しようという行動に出ることがある
医師とのカウンセリングもセットにしないとダメ
12. 匿名処理班
人間って何かに支配されてる?
13. 匿名処理班
電池をばらして食べてもOKってことかな?
14. 匿名処理班
「日本 自殺率 コロナ」でぐぐると日本ではコロナ禍で4〜5月の自殺率が20%低下していて「???」となった
通勤通学のストレスのほうが大きかったのか?
15. 匿名処理班
心の安定を求めて水依存症となり、さらに水依存症による多飲症で水中毒になるなんて新たな問題がおきるかも。
16. 匿名処理班
>>4
ヒャッハー!! ♪ヾ(゚¬゚)ノシ 。.:*:・;'☆
17. 匿名処理班
ある世代の落ち着きのない子供に薬飲ませたら
青年になって麻薬中毒や自殺者が多くなったって
統計あったよな…
薬の影響はその時じゃなくて
あとから出てくる、結果が出るものも多いだろう
同じようなこと繰り返さないで欲しいわ
18. 匿名処理班
たぶんいろんな考えの人たちからものすごく反対されるだろうけど
試みとしてはやる意味はあると思う
19. 匿名処理班
肝心の自殺願望ある人間に対しての拷問でしかなくて草
20. 匿名処理班
コロナ禍と経済の回復優先では?
それでも自殺者が出るのも、結局は個々の環境をいちいち変えていくしか、無いんだよ。
師匠の言葉じゃないが、小さな事からコツコツと変えていくと、未来は変わる。by自殺しかない状況から、ガラリと変わった現代に生きる自分がソース。
21. 匿名処理班
不特定多数の人が引用する水道水に、特定の対象を狙った薬剤や物質を混入させるというのは、そもそも論理的に破綻している。
科学者というのは、専門性に没入するあまり、往々にして「木を見て森を見ざる」という罠に陥りがちではなかろうか。
まあ、この記事に載っている愚かな研究者たちはイギリスの話なので、当面我々には関わりがないのだが、一般論として、公共の必需品である水道水には、殺菌のために必要最低限の物質以外には、いっさい何も混入させて欲しくないし、してはならないと考える。
22. 匿名処理班
必要な人に安価に供給で良いじゃない…
無差別は勘弁してくれ
23. 匿名処理班
毎日飲む物に変な混ぜ物しないでほしい。
24. 匿名処理班
リチウム電池をドロップ代わりに舐めてればいいんじゃ?
25. 匿名処理班
当人の了解や同意なしに人格を変容させるような医療的措置を半強制的に行う
ロボトミー手術と同レベルの発想
26. 匿名処理班
※12
脳神経の電気信号に
27.
28. 匿名処理班
遺伝子破壊するよね…安定剤レベルで効果期待するならさ…
29. 匿名処理班
虫歯予防に水道水にフッ素混ぜてるアメリカならやりかねない。
30. 匿名処理班
バナジウム水ならぬリチウム水をペットボトルで作れば売れそう
31. 匿名処理班
アメリカはリチウム中毒患者がいっぱいいるけど世界中をあんなゾンビだらけにしたいのか?
32. 匿名処理班
※3 米国では今もやってるんじゃなかったっけ?フッ素 in 水道水。
33.
34. 匿名処理班
とりあえずその科学者に、何言ってんのキミィ、と言葉を贈りたい。
35. 匿名処理班
何かに依存したり、無しでは駄目になるってのに抵抗があって薬とか使ったことない
36. 匿名処理班
もう水道で酒を流せばいいんじゃね?
37. 匿名処理班
死にたくても死ねないのも残酷だと思うが
死にたくなる理由を脳をごまかして延命してどうなる
38. 匿名処理班
※14
ステイホームほんと快適
だけど家に居場所がなかった思春期の頃なら病んでたかも
家に毒義父みたいなのが居座っててしんどかったので
39. 匿名処理班
※2
精神科ではリチウム製剤などを使うときは血中濃度を測りながら投与を続けてるよ。
つまり「とても中毒症状が出やすい」んだ。
水道に入れるのは反対、耐性が出来ると量が必要になり「必要量と中国量の性狭くなる」(麻薬と同じ)あとすでに飲んでる人には致命的な問題にもなる。
40. 匿名処理班
気分を抑えるから元気にはならないのでは?
自殺者が減って無気力な人が増えそ〜
41. 匿名処理班
自ら摂取するのは勝手だけど、水道水とかいう使わざるを得ないものに混ぜて強制的に摂取させられるのは抑圧されてるようで逆効果では?
効果より水と政治への不信感が上回る気がする
42. 匿名処理班
※39
「必要量と中国量の性狭くなる」 X
「必要量と中毒量の差が狭くなる」○
43. 匿名処理班
>>36
下戸の基本的人権のためにオレンジジュースのやつも用意すべきだな
44. 匿名処理班
個人的には水道水にフッ素、リチウム、塩素を入れるのは賛成だけど、
塩素にすら反対してる人がいるんだから、実現はしないだろうな
45. 匿名処理班
フッ素と同じ問題孕んでるな
やめとけ
46.
47. 匿名処理班
※39
コメ2ですが、ですよねー。
安易だよなぁ
48. 匿名処理班
※43
グレープフルーツもお願いね
49. 匿名処理班
土粥でも食べときな
50. 匿名処理班
※36
ビールが出る蛇口を希望します。
51. 匿名処理班
あ〜〜〜リチウムの音〜〜〜
52. 匿名処理班
>>15
そもそも薬剤入れて自殺防止しようという考えが間違っている。死なれて困るなら死ななくて良い社会を作ろうとか、それこそ苦しまずに死ねる方法とか考えてあげるべきだと思うが、人間って何故か他人を無理矢理生きさせようとするよね。
53. 匿名処理班
フッ素同様、同じような事態になるから辞めとくに越した事なし
やるならリチウム入りの水って形で売り出せばいい
54. 匿名処理班
※37 あの、精神科の治療ってそんなもんだよ。
ごまかしごまかし、何とか生きる。
55. 匿名処理班
※14 「自分だけ不幸」な感じは薄れているので落ち着く、という人は多いと思う。
56. 匿名処理班
毎日気分高揚でシゴトバリバリの僕、水同水飲むとヤル気減退。
57. 匿名処理班
※14
「ふと飛び込みたくなる」という衝動が自殺の背中を押すので
電車通勤がなくなったらだいぶ下がると思うよ
なんのきっかけもなしに命を捨てるのはハードルが高いんだ
58. 匿名処理班
※43
愛媛では、お祭りとかの時に実際にみかんジュースのでる蛇口を設置するらしい。
59. 匿名処理班
>>24
ちょっとやってみて
60. 匿名処理班
>>14
通勤通学そのものをそうだし
それによって「行った先」がストレスだったかもしれないし
あと自宅から極力出ない生活は
負担引きこもりの人の罪悪感を 少しだけ安心させたのよね
ソースは私とSNSで繋がった鬱仲間
61. 匿名処理班
>>39
それに炭酸リチウムは妊婦さんには禁忌だったはず。
そんな薬を水道水に混ぜるとか、正気を疑う。
62. 匿名処理班
>本人ではどうにもならない気分の高まりを抑えることができる。
誰も恋なんてしなくなるんじゃないかな?w
(キューピッドが「やってらんねえ」って弓矢放り出してやさぐれちまうかもw)
63. 匿名処理班
リチウムの価格高いからなぁ
同じ効果の抗うつ剤を水道水に混ぜろよ
64. 匿名処理班
>>16
リチウムは抗躁薬だぞ。
65. 匿名処理班
そもそもなんでリチウムに薬効があると発見されたか考えてみれば変なことじゃない。
66. 匿名処理班
サプリ推奨した方がよっぽど健全なんだが