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20世紀始めのペルシャの悪魔本に出てくる星座別の悪魔

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image by:Princeton’s Department of Rare Books and Special Collections
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 イランやその近隣諸国では、古代神秘の伝統の中に悪魔、ジン、邪悪な霊が浸透している。これらは神や悪魔などの絶対的存在を、その絶対性のままに自己自身の内面を通して体験するのに役立っている。

 アメリカ、プリンストン大学が所蔵する希少本特別コレクションの中に、20世紀始めのペルシャ(現在のイラン)の魔術や占星術に関する本があり、世にも奇妙な悪魔や異界の生き物の水彩挿絵とともに神秘世界を垣間見ることができる。

 1921年にさかのぼる、「Kitāb-i ʻAjāʾib-i makhlūqāt(創造の驚異)」は、魔術や占星術、呪文や護符が網羅された本で、56の悪魔や天使の挿絵つき。文章はアラビア語やペルシャ語でつづられており、星座別の悪魔が描かれている。

十二宮の悪魔たち

「この本は、黄道帯の十二宮に関連する悪魔を表わしていて、それぞれが対応する病気や治療法を示している」というのは、ペンシルヴェニア大学の宗教学准教授、アリ・カルジョー=ラヴァリー。

 十二宮の悪魔たちは、それぞれ恐ろしい獣(とはいえ、いくぶん愛嬌もある)として紹介されている。複数の頭をもつ奇怪なもの、手足にカギ爪をもつもの、足が蹄になっているものなど、その姿はなんともユニークだ。手枷足枷をはめられて、拘束されているらしいこともわかる。

牡羊座(白羊宮)

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牡牛座(金牛宮)

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双子座(双子宮)

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蟹座(巨蟹宮)

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獅子座(獅子宮)

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乙女座(処女宮)

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天秤座(天秤宮)

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蠍座(天蠍宮)

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射手座(人馬宮)

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山羊座(魔羯宮)

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水瓶座(宝瓶宮)

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魚座(双魚宮)

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悪魔撃退法も記述

 また、ペルシャ語の呪文の文句とともに、人間に害を及ぼそうとしている、怪物のような悪魔の挿絵もある。

 病気と悪魔は互いに関連づけられていて、撃退する方法をイラストで説明している。例えば、魔術師は憑りつかれた者の足元の土を一握りつかみ、”天と地の神よ、急いで、急いで、美徳への愛を取り戻してください”という呪文を7回繰り返すよう指示している。

 さらに、この本には、悪魔や悪霊を追い払うために召集される、ミカエルやガブリエルのような翼をもつ天使のイラストも描かれている。

悪魔を退けるための方法がペルシャ語で書かれたイラスト入り指南書

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著者の正体は謎のまま

 この悪魔学の本の著者は、聖書に出て来るソロモン王の宮廷から知識を得たという。ソロモン王は悪魔や精霊を操る力を持っていたと言われている。だが、この著者の正体は謎のままだ。

 「この人物については、この本を書いたという事実だけしかわかっていない。なんらかの芸術的なスキルは持っていたことは確かだろう」カルジョー=ラヴァリーは言う。

 本に書かれた著者のサインは”Rammālbāshī, the son of Ja’far.” とあるが、Rammālbāshīは名前ではなく、ペルシャ語の治療者、魔術師を意味するrammalからきている職業名ではないかという。

「rammalは、秘術専門家の一種で、不治の病などの通常の手段では解決できない問題を抱えている場合によく頼りにされる人たちのことだ。彼らは占いをする、魔術を使う、呪文を解く、悪魔祓いをする、精霊を呼び出すなど、さまざまなことを行う」

ペルシャの悪魔学

 ペルシャの悪魔学は、イスラム以前からの長い伝統がある。ペルシャの詩人フィルドゥーシーが書いた『シャー・ナーメ』(王書)は、人間、悪魔、悪霊の戦いを描いた、5万の叙事詩を編纂したものだ。

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image by:public domain/wikimedia

非難されながらも現代に受け継がれる魔術

 イランではいまだに魔術師は存在し、たいていは手相を読んだり、信仰療法や悪魔祓いを行ったりするが、立場としては社会の片隅に追いやられているのが現状だ。

「魔術師は社会の笑い者になっている。聖職者組織はたいてい、魔術師や魔術に敵対し、最近でも、保守派のマフムード・アフマディネジャド(元イラン大統領)が魔術師を非難した。

 イスラム学者のアリレザ・ドゥーツダールは、自著『The Iranian Metaphysicals: Explorations in Science, Islam, and the Uncanny』の中で、20世紀始めのイランの世俗的な役人や知識人は、魔術をくわせものとして蔑み、進んでいる西側と比較して、迷信を信じる点でイランの後進性を非難したと書いている。

 魔術師に対する否定的な風当たりは、1979年のイランのイスラム革命の間も続いた。シーア派の聖職者たちは、魔術師たちが”見えない世界(Gheyb)”や精霊(ジン)といったイスラム的概念を使うことは、イランの精神支配に対する脅威だとみなした。

 しかし、魔術がよく行われているのはイランだけではなく、近隣諸国も同様だ。

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「魔術、ジンや悪魔の世界、悪魔祓いは、たとえ片隅に追いやられても、イスラム教徒やほかの社会でいまなお行き渡っている」

References:hyperallergic / Princeton University Library Catalog/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 85件

コメントを書く

  1. 乙女座に若干の乙女感が感じられるな

    • +48
    1. >>3
      色白でもち肌な感じがねw日焼け対策とか気ぃ使ってそうだ。
      絶対寝る前にパックしたり、コラーゲンやヒアルロン酸入ったサプリ飲んでると思うw

      • +3
  2. しし座が胸を隠しているのが気になる

    • +15
    1. >>7
      あと内股で座ってんのも気になる……
      獅子座の癖に(偏見)

      • +6
    2. >>7
      牡羊座と獅子座に対して山羊座の威風堂々とした姿たるやw

      • +4
    3. ※7
      なんか「いや~ん、えっち」とか吹き出し入れたい誘惑にかられる。

      • +4
  3. なんかカルタの絵札にできそう。

    蟹座

    【こ】んなにも
    首があるのに
    ぼっちなの

    • +22
  4. 絵が独特すぎて何も頭に入ってこない

    • +22
  5. 頭の数は何かを表してるのかな?と思ってしばらく考えてみたがさっぱり分からなかった

    • +6
  6. 聖闘士星矢の新エピソードのネタが出来たな。
    天魔黄金聖闘士編みたいな感じのタイトルで。

    • +6
  7. 蟹座の一番右の頭、なんかのキャラでこんな顔のやついなかったっけ?
    目が縦長に描かれているせいで現代のキャラっぽく見えるだけなのかなぁ?

    • +2
  8. 1921年 って、割りと最近やないか。

    「何らかの芸術的スキル」 くらいしか云いようがないな、確かに。

    • +5
  9. 天蠍宮の悪魔になんか既視感あるなと思ったらパンスト太郎だこれ

    • +4
  10. 全体的にやさしそう
    話せば分かってくれそう

    • +9
  11. FFのイヴァリースシリーズのルガヴィとか召喚獣みたいなかっこいいのをイメージして開いたみたら…うん ゆるキャラだね!

    • +6
  12. 70年代のタツノコアニメっぽいキャラデザ

    • +7
  13. 何人か胸を隠してるの気になる。なんか着たらいいのに

    • +7
  14. 悪いことなんも考えてなさそうな悪魔達でワロタ

    • +13
  15. なんでこんな小学生の落書きみたいな下手くそな絵が歴史的価値あるみたいな扱いなんかね?
    時の権力者や宗教権力者の抱える絵描きなんじゃないのかね?
    描画技術の進歩云々で当時はこの程度がプロの仕事だったんかね?

    • -19
    1. ふたご座で頭4つなので2つずつで片割れが分かれるのかなとか思ってたらもっと頭が多いのがいてですね(混乱)
      でもなんか可愛くて憎めない

      ※34
      こういう古い書籍は当時の人達の価値観や風習などが垣間見えたり考察できたりする、
      つまり歴史的資料的価値があるんだよ
      ただアートとして見ても独特な雰囲気で愛嬌もあって面白いと思うよ
      芸術は必ずしも上手い下手だけじゃないんだよなあ

      • +16
    2. >>34
      権力者のお抱え画家じゃないからこういう絵なんだよ。

      • +4
    3. >>34
      ネットも電話もなく手紙も必ず届くかわからんような時代だ
      少なくともその中で伝承から特徴を拾い集めて意匠をまとめてると思われるので創造性はある
      絵はゆるいが

      • +8
    4. ※34
      さそり座とみずがめ座が乗ってる馬や牛はしっかりそれらしく描けてるので究極に絵が下手ってわけでもなさそうだけどな
      獅子だけは描きなれてるのかなんなのか現代にも通じる獅子っぽさあるし、モチーフ動物を忠実に伝えようってよりかは12人の悪魔キャラとして描こうって意図が強いんじゃねーの

      まじない系の医学資料みたいに書いてあるが、あくまでも「正当は自国のまじない術である」という気持ちを持ったうえで、「異国のおとぎ話に垣間見える余所の呪術」みたいなスタンスでちょっと面白おかしく伝えよう(異教に権威を持たせないように自国の宗教に配慮している)ってのがあるのかもしれん

      • +6
    5. ※34
      記事内にもあるけど、悪魔の専門家の人が描いたんだよ。
      そういう人だけしか知らない知識だし、そういう人しか悪魔を描いてはいけなかったのかもしれない。魔術に精通してるわけじゃない絵描き(それも王室お抱え)がこんなの描いてみなよ、おまえ悪魔見たのか、呼び出したのか!?ってなっちゃうかもしれないじゃん。
      芸術作品としての価値じゃないんだよ。

      • +8
    6. ※34
      上手さなんて受け手や時代の流行にも大きく左右されるだろ
      アンリ・ルソーなんて小学生の落書きレベルと言われるけど凄い評価されてるし、日本の浮世絵だって独特の持ち味だが西欧絵画の遠近法は用いられていないからね

      • +2
  16. 話してみたら案外良いヤツなんじゃないか?と思えてくる

    • +14
  17. (º﹃º )てんびん座が弱そうだぜ・・・どんな凶悪な悪魔かと期待したのに・・・

    • +4
  18. 射手座は何かボーッと考え事してるな。

    (今日の晩飯、何食おうかな~?)みたいな。

    • +3
  19. ひとたび絵とタイトルがバラバラになってしまったら、絶対に正解にたどり着けない確信。

    • +13
  20. 悪魔より射手座の乗ってる象らしきものの方がコワい…

    • +3
  21. 味があるわ~
    このデザインのガチャあったら思わずやる。そして飾る。

    • +3
    1. >>47
      全キャラ、コンプリートするまでガチャり続けてくれw

      • +2
  22. 推測するに絵の才能があっても一般庶民は絵なんか描く余裕もそれが残るチャンスもなくって、
    高位の宗教家とかがありがたくも絵を描いて残してくださったがその腕前については誰も突っ込めなかったという話なんじゃなかろうか。

    • +4
  23. 作者は病んでるかイッてるにしか思えんw
    スポポビッチ手稿とかいうアレによく似てる。

    • -3
  24. 足を舐められている女性の、脚の向きが気になってしょうがない。
    布団の中でどんな体勢になってるんだ。

    • +1
  25. ちょいちょい仕草がフェミニンなのが気になるw

    • +9
  26. 全部牛じゃねぇか!と思ったけど、悪魔のイメージなのね

    • +5
  27. 100年前のイランにも星座別のキャラデザスキーはいたんだなって

    • +4
  28. たまに女子力高そうなのがいるよね
    乙女を見いだしてしまうわ…

    • +6
  29. 悪魔ってのはカッコ悪く描かなきゃいけない決まりがあるのかね

    • 評価
  30. ふたご座だけびっくり驚いてつぶらな瞳でこっちを見てるけど
    あとのやつはみんな悲しげに目を逸らしてどこか遠くを見ているよ

    • +4
  31. 射手座の象っぽいやつが地味にヤバい造形してる

    • +3
  32. 某画伯ポケモンvtuberが描きそうな絵だ

    • -1
  33. トップレス&ノーパンでフリルのミニスカなのに息子スティックが反応しないんだ!

    • 評価
  34. 「ぼくのかんがえたさいきょうのあくま」ペルシャ編

    • +3
  35. なんで上目使いが多いんかなー何か物乞いでもするのかな

    • 評価
  36. 悪魔の説明コメントあるかと思ったのになかった

    • +3
  37. 大人になってタンスの奥から出てきて「あぁぁぁ…」てなるやつですか?

    • +1
  38. 今も昔も悪魔は女性系が多いなって印象

    • +2
  39. 頭いっぱい生えてれば良いってもんじゃねーぞ

    • +3
  40. ジェンダーレスの先駆けですね

    気の抜け感が可愛いといえば可愛いんだけど、一応悪魔なわけだし、もうちょっと怖そうというか強そうというか、何とかならなかったのだろうか

    • +1
  41. 19世紀末から20世紀初頭は全世界的にオカルトが流行った時代で中東もその例に漏れないというわけだ

    • +3
  42. シャー・ナーメの表紙?めっちゃ日本画と似てる

    • 評価
  43. さそり座は馬と蛇までついてくるからお得だな

    • +1

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