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ハスキー犬の先祖はそり犬のルーツ。約1万年前からシベリアで犬ぞりを引いていた(アイルランド研究)

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俺はやるぜ!ハスキーの先祖は1万年前からシベリアで犬ぞり / iStock
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 雪深く寒い地域では、移動手段として人間が犬にそりをひかせる「犬ぞり」が古くからおこなわれていた。その犬種の系譜を辿るとシベリアに行き着くそうだ。

 『Science』(6月26日付)に掲載された研究によると、シベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュートといった今日でも人気の犬種は、9500年前にシベリアにいた血統の子孫で、北極圏で生きる人々にとって欠かせない存在だったという。

そり犬の祖先は9500年前のシベリアにいた

 ダブリン大学トリニティ・カレッジ(アイルランド)の遺伝学者チームは、グリーンランドのそり犬10頭のゲノムを解析し、それを9500年前のそり犬(シベリア、ジョホフ島で発見された下顎)ならびに3万3000年前の狼(タイミル半島で発見)のものと比べてみた。

 その結果、現代の北極圏で活躍するそり犬の多くは、9500年前のシベリアで生きていた犬の血統に連なることが明らかになった。

 このことは特にグリーンランドのそり犬について言えるとのこと。グリーンランドは地理的に隔離されているために、他の犬種の血がそれほど混ざっておらず、現代のそり犬たちは大昔の祖先にとりわけ近いのだそうだ。

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グリーンランドのそり犬 image by:Carsten Egevang / Qimmeq

そり犬には3万3000年前の狼の遺伝子が残っていた

 現代のそり犬たちには、3万3000年前の狼の遺伝子も残っていたという。だが意外にも、シベリア狼の生息域のそばで数千年も生きていた北アメリカ狼の痕跡は見つからなかったそうだ。

 北アメリカ狼は体も鳴き方も、シベリア狼と似ている。また北極圏の人々は、そり犬を野生の狼と掛け合わせる方法を知っていた。

 こうしたことを考えると、北アメリカ狼の遺伝子が、現在のそり犬に見られないのは不思議であるという。あくまで可能性ではあるが、そうした犬の祖先も北アメリカ狼と同じく絶滅してしまったのかもしれないとのことだ。

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image by:Carsten Egevang / Qimmeq

1万年にわたり北極圏の人々の暮らしを支えたそり犬たち

ジョホフ島からはそりとハーネスの痕跡も発見されている。

 また骨の分析によれば、この場所は判明しているものとしては最初期の犬の繁殖地である可能性もあるという。犬を育てたのはもちろんそりを引かせるためで、それは1万5000年前に始まってた可能性もある。

 こうした遺伝子の分析から明らかになったことは、考古学の証拠とも一致する。これらを総合的に考えると、そり犬は1万年近くもこの地域で暮らし、その間ずっと今日のそり犬と同じ仕事を担ってきたと推測できるそうだ。

 この地域で犬がそり犬として育てられたのも当然かもしれない。

 ジョホフ島で発見されたシロクマやトナカイの死体から、当時のハンターたちがさまざまな獲物を狩り、かなり大きな動物であっても運んでいただろうことが示唆されているからだ。

 さらに、ここで発見された黒曜石の石器は約1500キロ離れた土地のもので、彼らが長距離を移動していたらしいことも窺えるという。これだけの距離を移動するには、犬ぞりが不可欠だっただろう。

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iStock

そり犬はホッキョクグマやマンモスと似ている!?

 そり犬からはかなりユニークな遺伝子も見つかっている。ただ、このこと自体はそれほど以外でもないそうだ。

 北極圏の人たちと暮らすそり犬は、皮下脂肪をたっぷり蓄えたアシカやクジラといったこの土地ならではエサを食べて生きてきた。

 遺伝子に見られる珍しい適応の多くは食事と関係しているのだそうで、そり犬たちもまた大量の脂肪をきちんと消化し、それでいて体調を崩さないよう進化を遂げたということであるらしい。

 面白いことに、こうしたそり犬の進化は、シロクマとも同じであるという。シロクマもまた皮下脂肪をたっぷり蓄えた動物を食べて生きている。そうしたエサを食べるための遺伝子は、そり犬に見られるものとほぼ同じであるそうだ。

 こうした「共進化」の例は他にもある。たとえば、かのマンモスは気温の変化を感知する特殊な温度受容器を持っているのだが(これはその近縁であるゾウとの主要な違いでもある)、それと同じグループのタンパク質がそり犬にも備わっているのだ。

 マンモスとそり犬が同じタンパク質を獲得するようになった経緯は不明だが、研究チームによれば、それによって身につけることができた温度感覚は、北極圏において非常に重要なものなのだろうとのことだ。

Arctic-adapted dogs emerged at the Pleistocene–Holocene transition | Science
https://science.sciencemag.org/content/368/6498/1495

References:smithsonianmag / sciencedaily/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 17件

コメントを書く

  1. 1枚目の画像に「オレはやるぜオレはやるぜ」のキャプションが見える。

    • +13
  2. 樺太犬が北方モンゴロイドの相棒として超優秀だったってゴールデンカムイで見たよ(でも絶滅したっぽい)
    マラミュートやハスキーもかわいくて強くて優しい

    • 評価
  3. > そり犬はホッキョクグマやマンモスと似ている!?

    これはベルクマンの法則だな
    体を大きくした方が体熱を逃しにくい

    • 評価
    1. >>7
      この場合は機能の事だから、ベルクマン関係ない気が

      • +3
    2. ※7
      体格の問題ではなく、
      多量の脂肪分の消化能力や
      気温の変化を感知する特殊な温度受容器が共通する
      という話題だから、挙げるべきは「収斂進化」あたりでは?

      • +4
  4. 犬の顔ってかっこいい…
    凛々しいなぁ!イケメン揃ってる!!

    • +4
  5. なんかバルトってアニメ思い出すわ
    小学生の頃大好きだった

    • +1
  6. なんて、たくましい! かっけええ

    たった今、
    次の記事の「マラミュっ子」見てきたから…尚更

    • +3
  7. サムネの写真は、現在のスポーツとしてのそりレースじゃないかな。
    犬たちは細身で毛もモサモサじゃない。これでは夜、雪の中で眠る事はできないだろう。
    レース用に特化してグレイハウンドやダルメシアンなどさまざまな犬種を掛け合わせており、まとめてアラスカン・ハスキーと呼ばれている。犬種名ではないそーだ。

    • +1
  8. すごい運動量を満足させてあげなきゃならないから
    飼うのは決意がいるよね
    毎日20キロぐらいはしらせないと

    • 評価
  9. ハスキー飼ってますが、1日最低90分の散歩が必要です。

    • 評価

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