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マヤ文明最大にして最古の遺跡が発見される。考古学史が覆る可能性も(メキシコ研究)

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(著) (編集)

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マヤ文明、驚きの発見/iStock
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 地上からでは足元になにがあるのかは完全にはわからない。だが、最新の光検出測距技術のデータにより、それはとてつもなく大きな建造物であることがわかった。

 メキシコ、アグアダ・フェニックス遺跡で見つかったその建造物は、長さおよそ1400メートル、高さ15メートル、9つの幅広い舗装道路が通っている。

 これはマヤ文明における、史上最大で最古の遺跡であり、今までの考古学史が覆る可能性すら秘めている。

最新の光検出測距技術で新たなる発見

 グアテマラとの国境に近いメキシコのタバスコ州は、料理や考古学遺跡で有名だが、そのほとんどは、何世紀も昔からこの地域にあったマヤやオルメック文明の名残だ。

 遺跡はたくさんあれども、まさか、これほど巨大な遺構が地面に埋もれているとは、研究者も思わなかったようだ。

 全部または半分が地面に埋まった遺跡は、肉眼ではわからないものだ。しかし、光を用いたリモートセンシング技術、ライダー(LiDAR)を使うことでその秘密が露わになる。

 飛行機かドーロンから、眼下に広がる森林に覆われた大地にレーザービームを放つと、地表の形状が3D映像で浮かび上がってくる。この方法で、この広大なマヤの遺跡の存在が明らかになった。

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ライダーで明らかになったアグアダ・フェニックスの3D画像

image credit:猪俣健/ Nature

マヤ文明の最大にして最古の遺跡

 アリゾナ大学の猪俣健教授とダニエラ・トリアダンが、ライダーのデータを見ていたとき、なにかずれて現われているのに気がついたが、それがいったいなんなのかはわからなかった。そこでさらに詳しく調査した。

メキシコ政府が集めた低解像度ライダーのデータで、なにか大きな構造物があることに気づきました。そこで、高解像度のライダーで詳しく見てみると、巨大なプラットフォームのような構造物の存在が確認できたのです(猪俣氏)

このあたりは開発されていて、ジャングルではありません。住民も住んでいます。でも、あまりに平らで巨大なため、気がつかなかったのです。一見、自然にできた光景のようにも見えますが、ライダーで見ると、非常によく設計された人工物が浮かび上がってきます(猪俣氏)

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 マヤの巨大なプラットフォームは、それだけで珍しい発見だが、この文明の歴史全体を通してもかなり重要なものといえる。

 紀元前350年頃までは、ここには初期のマヤ人が小さな村の単位で住んでいたと考えられるが、このような新たな構造物が見つかったため、そうしたタイムラインを考え直さなくてはいけないかもしれない。

 発掘チームが、放射性炭素年代測定法で69のサンプルを分析し、この構造物が建設された年代を紀元前1000年から800年の間だと割り出した。これは、マヤ文明の最大遺跡であるだけでなく、最古でもあることになる。

 この構造物は、メキシコ、ベラクルス州の西、サン・ロレンソを拠点としたさらに古いオルメック文明のものと似ている。このことから、ふたつの文明はなんらかの関係があったのではないかという考えに説得力が出てくる。

先にあったオルメック文明の影響でマヤ文明が発達したのか、マヤ文明が独自に発達したのかについては、いつも議論があります。だから、わたしたちはふたつの文明の間のキーとなる地域に焦点を当てて研究を進めています

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ライダーによって判明した遺跡と発掘現場 image by:猪俣健/ Nature

古代の巨大建造物の役割は?

 この建造物の役割については、完全にはわかっていない。建設された年代は、サン・ロレンソのオルメック文明が衰退した後で、次に台頭してきた王はまだいなかったため、絶大な権力不在の時代だった。

 さらに、周辺で異文化交流があった時代だったため、この建造物にも、多数の文化の影響がみられるようだ。巨大だということは、多くの人間が利用したことを意味する。儀式のためのものという可能性が高いが、推測にすぎない。

 この建築物が、マヤ社会に階級の差があまりない、つまり不平等が少なかった時代のものだったらしいことは、注目に値する。

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発掘された遺構の例 image by:猪俣健/ Nature

 巨大建造物というと、エジプトの例のように、階級社会の典型のように思われるが、アグアダ・フェニックスのこの遺構は、巨大建造物を生み出すことができるのは、階級社会だけだという定説を変えることになる。研究者たちは建設プロセスを見直さなくてはならないことになるかもしれない。

このような構造物の建造が可能だったのは、エリートのいる階級社会組織だけではなかったのです。こうしたことを理解すると、人間の能力や集団の可能性についての重要な意味合いがわかります。

この手の巨大プロジェクトを実行するのに、きちんと組織された支配体制は必ずしも必要ではないということなのかもしれません。

強力なリーダーがいなくても、人々は自発的に集まって力を合わせ、驚くような結果を成し遂げることができるものなのです

のちの時代に、強力なリーダーや管理システムがあらわれ、人々は命令されて仕事をするようになります。でも、この遺跡はそれよりももっと早い時代のものです。

強力なリーダーが存在した痕跡は見られないので、大勢の人々の共同作業の結果である可能性が高いとわたしたちは見ています

この研究は『Nature』(6月3日)に掲載された。

Monumental architecture at Aguada Fenix and the rise of Maya civilization | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2343-4

References:zmescience / physなど/ written by konohazuku / edited by parumo

追記(2020/06/10)本文を一部修正して再送します。

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この記事へのコメント 14件

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  1. これは素晴らしい発見。
    儀式か交易の場か、もしくはその両方かな。

    記事中のオルメック文明は、オルメカ文明という呼び名のほうが日本では知られてるね。

    • +12
  2. ドローンや衛星画像で新発見が相次いでるね
    そろそろ教科書変わるかな

    • +7
  3. 上意下達の組織構造なしにこれだけの巨大建造物を自発的に作り上げた可能性があるという事実がとんでもない
    正直それが具体的にどんな集団や社会だったのか、生まれた頃から民主主義社会にどっぷり浸かっているはずの21世紀人でもなかなか想像つかないなぁ…

    • +5
  4. 数年前に…マヤ遺跡は天空の星座を写して作られているかも?
    もし星座通りなら、ココに遺跡が有りそう…???
    という話題が有ったと思うのだけど、アレはどうなった???

    中南米には、まだまだ未発見の都市&遺構が眠っていると思う

    • 評価
  5. マヤの遺跡とに観光旅行で行くと観光ガイドの人は 王族は日本語を使っていたんですよと説明してくれる。
    だからあなた達と私達は同じ人種なんですと説明される。
    ???えっ!!
    古代の日本人はマヤ語とヘブライ語使っていた。漢字が導入されたのは聖徳太子時代。
    つまりマヤ文明というのは古代の日本人が
    移住して作った文明。

    • -14
    1. 発掘現場の写真見る限り、
      住民いても土地の買収には困らなさそうって真っ先に思ってしまった…。

      ※7
      そんなおもろいガイドさんには会えなかったよ。

      • +1
    2. >>7
      ネットの政治と親和性の高いトンデモ説はやめてくれや

      • +1
  6. 皆敬互尊主義(造語)とでも言うのだろうか

    しっかし、鳥肌が立つほどの『道の真っ直ぐさ』
    これを3000年ぐらい前に、人力で、重機なしに?
    やべぇくない?(語彙消失)

    • +1
  7. こういうシリーズが一番好き。
    調査はこれからなんですね。南米の古代史はばんばん変わっていきそう。

    • +3
  8. 何が凄いって、この広い基盤からみるに宗教施設と言うよりも実用的な町っぽいんだよね
    宗教施設なら教義の成否が収穫の多寡にも関わってくるから階級社会でなくてもある程度凄いの作れるだろうけど

    • +4
  9. 画像に床のタイルかな?ってのがあるな

    • 評価

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