
その機能とは、熱赤外線センサーとまったく同じ、付近にある物体の熱を感知する力だ。
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犬の熱感知実験
ルンド大学(スウェーデン)とエトヴェシュ・ロラーンド大学(ハンガリー)の研究グループは、3匹の犬に2つの物体を提示するという実験を行った。この物体はそれぞれ温度が異なっており、1つは周囲の気温と同じくらいの温度で、もう1つは被毛のある哺乳類の体の表面くらいの温度だった。
犬を訓練したところ、物体から1.6メートル離れたところから、放射熱だけでその温度の違いを区別できるようになったという。

実験中に撮影された赤外線画像 / Lund University
濡れた鼻が熱を感知する
そこで今度は、MRIで犬の脳が先ほどと同じ程度の熱刺激にどのように反応すのか探ってみた。すると暖かい方の物体は、感覚情報を処理している「体性感覚野」の左側に反応を引き起こした。
研究グループの結論によれば、この反応は「鼻鏡」という鼻の孔の周囲にある濡れた部分からもたらされたものである可能性が濃厚だという。

K_Thalhofer/iStock
1万5000年越しの新発見
研究グループによれば、オオカミのような捕食者の狩猟能力が非常に高いのは、彼らが遠くから獲物を見つけることができたからであるそうだ。一方で、これを一種のカモフラージュのように利用した動物もいただろうとのことだ。たとえば被毛が分厚い動物ならば、オオカミや犬の熱センサーを誤魔化すことができるだろう。
ちなみに、人間の体温を検出するには、犬の鼻はしっかりと冷えていなければならないそうだ。そのため鼻が冷えないような犬種は、狩猟犬や救助犬としては不向きであるということも言える。
またニオイに加えて熱を利用すれば、より効果的なトレーニングが行えるかもしれないとのことだ。
「人類が犬と1万5000年一緒に暮らしてきたことを考えれば、この発見までずいぶんと時間がかかったものです」と、ロナルド・クローガー教授(ルンド大学)はコメントする。
この研究は『Scientific Reports』に掲載された。
References:lunduniversity/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
風邪引いたりすると寄り添ってくれたりするけどそれも体温の変化を感じ取ってんのかな
2. 匿名処理班
うちの何でも食べる犬がホカホカの焼き芋落とした時にすぐに食べなかったのでなんで?って思ったけど熱いの分かってたのかも。
3. 匿名処理班
犬と豚どっちも嗅覚すごいけど鼻の形けっこう違うので、それぞれこの熱感知の話みたいなことを細かく見ると得手不得手があるのかもしれんね
4. 匿名処理班
蛇のピット器官?だっけ
あれを鼻のオモテに出した感じなのかな
ネコとかキツネとかの狩りをするような動物にも備わってるんだろうか
5. 匿名処理班
犬飼ってて行動観察してたら普通に推測できるしなんとなく知ってたろ
経験則的に理解してたことを実験検証するってことでは意義あるけどな
6. 匿名処理班
温度を感じるのは知ってた。
だって毛がないからね、人より感度がいいだろうとも、神経の数が多い分は優れてるはず。
ただどこまで感じるのだろう?
蛇のピット器官は「皮膚感覚の延長、痛みに近い感覚」と聞いたことがある。
犬も「ホカホカ」じゃなくて違う感じ方をするのかな。
どういった神経と脳の領域が反応するかきないなるところ。
7. 匿名処理班
触れた物の熱さなら俺の鼻でも分かる
って書こうとしたらリモートかよ
8. 匿名処理班
ヒトも直接肌で触れなくても遠赤を熱感知する事である程度の温度は分かる
ただかなりの接近をしないと無理
1.6mからの熱感知はかなり驚異的
9. 匿名処理班
犬だけじゃないような気がします。体の表面で、鼻、眼球、肉球は毛が生えていない。
10.
11. 匿名処理班
センサーみたいな見た目してるとは思ってたがどうりで
12. 匿名処理班
鼻か冷えない犬種なんてあるんだね