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未知の遺伝子を持つ謎のウイルスがブラジルで発見される

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(著) (編集)

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Jakub Rupa/iStock
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 科学が初めて遭遇したと言ってもいいゲノムを持つ、謎のウイルスが発見された。その未知の遺伝子は、これまでウイルス学の分野で記録がないものだという。

 発見地は、ブラジル南東の都市ベロ・オリゾンテにある人造湖パンプーリャ湖だ。湖やその周辺の地区は、個性的な建築物が立ち並ぶことで知られ、「パンプーリャの近代建築群」としてユネスコの世界遺産にも登録されている。

 アメーバに感染するそのウイルスは、ブラジル神話に登場する水の女王イアラにちなみ、「イアラウイルス(ヤラウイルスとも 学名 Yaravirus brasiliensis)」と命名された。

 イアラウイルスは超自然の存在でもなんでもないが、神話の水の精に匹敵するくらい謎めいた存在だ。専門家にすらその起源も系統も分からないのである。

相次ぐ謎のウイルスの発見

 不可解なウイルスが発見されたのは今回が初めてではない。

 2年ほど前、今回の研究グループのメンバーでもある研究者が極限水性環境を調査し、ここから「トゥパンウイルス(Tupanvirus)」という新種のウイルスの発見につながったことがある。

 このウイルスは、巨大なカプシド(ウイルス粒子を包むタンパク質の外殻)を持つために、「巨大ウイルス」に分類されている。

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2年ほど前に発見されたトゥパンウイルス(Tupanvirus)

Jonatas Abrahao/wikimedia commons
 巨大ウイルスは今世紀に入って発見された比較的最近になって知られたグループで、ウイルスの進化やその分類について激しい議論を引き起こしている存在だ。

 巨大ウイルスは大きいだけではなく、複雑なゲノムを持つという特徴がある。このためにタンパク質を合成する能力があり、DNAの修復・複製・転写・翻訳に似たことをやってのける。

 こうしたことは、以前は生物ではない不活発なウイルスにはできないと思われていたことだ。

未知の遺伝子を持つイアラウイルスの発見

 新たに発見されたイアラウイルスは80ナノメートルの小さな粒子で構成されており、巨大ウイルスではないようだ。だが、とんでもなくユニークなゲノムを持っている。

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新たに発見されたイアラウイルス( 学名 Yaravirus brasiliensis)

J. Abrahao and B. La Scola/IHU-Marseille/Microscopy Center UFMG-Belo Horizonte
 ブラジル、ミナス・ジェライス連邦大学をはじめとする研究グループが『bioRxiv』(1月28日投稿)で公開した研究によると、既知のアメーバのウイルスのほとんどには共通する特徴があり、それに基づけば一般的な進化グループに分類できるという。

 それとは対照的に「イアラウイルスは大型/巨大粒子と複雑なゲノムによって表現されていないが、それでいてこれまで記載されたことのない遺伝子を大量に保有している」と研究では述べられている。

 その遺伝子の9割以上がデータベースに記載のないいわゆる「孤児遺伝子」で、さらに一般的なコドンとは一致しない転移RNAも6種類持つ。

 既存のデータベースに登録されているウイルスの遺伝子に、かすかにでも似ているものはたったの6つしかなく、8500以上の公開されているメタゲノムを検索しても、イアラウイルスがどの系統に近いのかすら見当も付かないとのことだ。

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新たに発見されたイアラウイルス( 学名 Yaravirus brasiliensis)

J. Abrahao and B. La Scola/IHU-Marseille/Microscopy Center UFMG-Belo Horizonte

イアラウイルスの正体はまだ謎に包まれている

「標準的な手順に則って行われた最初の遺伝子解析では、イアラウイルスの中にはっきりそうと分かるカプシドや他の古典的ウイルス遺伝子の配列は発見できなかった……ウイルス検出に用いられる現在のメタゲノム手順では、そもそもウイルス性因子であると認識すらされなかった。」

 現時点ではイアラウイルスの正体は推測するしかない。しかし他とは関連性のないアメーバウイルスの未知のグループである可能性や、小さく進化した巨大ウイルスの遠縁である可能性が示唆されている。

 「イアラウイルスの粒子を構成する未知のタンパク質の量は、ウイルス界に存在する可変性を反映したものだ。ここからどれほどの新しいウイルスゲノムが発見されるのか、それはまだまだ分からない。」

References:sciencemagなど/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. これ感染したらスタンド発現する奴じゃないの?

    • +6
  2. もしか、本当に、核酸のスープに雷が落ちて自然発生したやつの子孫なんじゃ?
    つまり、発生系統がうちらやそこらのウイルスとは別系統

    • +5
  3. 過去の大絶滅で生き残った別系統なのかもねぇ。

    • +4
  4. 不気味さよりも興味深さが先に来る
    失われた系譜を持つ可能性とか

    • +4
  5. ウイルスってなんのために存在してるんだろう?

    • +3
    1. ※8
      自然の事象に人間の論理で説明できる意味なんて無いんだろうけど
      ウイルスって何を思って日々過ごしてるんだろうなって思う
      生き物というより化学物質みたいな物らしいけど考えてると訳わからなくなる

      • +4
      1. ※13
        生物が進化する時のイレギュラーかもしれないね
        人間でいうところの障碍者(なりそこない)

        • -3
      2. ※13
        ウイルスって、生命の定義が揺らぐくらいわかんないですね。
        タバコモザイクウィルスとか結晶になっちゃうし……

        • 評価
  6. イライラウィルス?
    感染したら良くわからん苛つきに苛まれるのか

    • -4
  7. 巨大ウィルスが注目を浴びてると2年前に聞いたが、しばらく熱い話題が続くだろう。

    • 評価
  8. どれくらい危険か不明だがそのウィルスを研究所から漏らさないで下さいね

    • -3
  9. イアラという名前がもう怖い。楳図かずおの作品名だよね。

    • 評価
  10. 人間が知らない事、見つけていない事、気が付いていない事ってまだまだあるんだねぇ。

    まぁパンダもゴリラもちょっと前までは未確認生物だったんだ、不思議ではないのかな?

    • +2
  11. 動物だって大量絶滅した時代が過去に有った訳だし
    ウイルスだって、仲間がほとんど死に絶えている種が有るかも?
    調べてみると、こっちの方が昔は主流だった…なんて有るかも?

    • +3
  12. で、このウイルスは人間にとって有害なの?無害なの?
    ウイルスって聞いただけで恐怖と拒絶反応起きるんだけど・・・

    • 評価
    1. ※24
      そら現在の人類種の唯一の天敵だしな。
      現在進行形で襲われてる最中だし。

      • +1
  13. タンパク質を合成って天然のナノマシンみたいなものか。これは大発見では。

    • 評価
  14. ほとんどのウイルスは人間にとって益でも害でもないよ。
    一部が病原性をもつだけで。

    • 評価

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