
dottedhippo/iStock
土星の第2衛星 エンケラドゥスは、表面をおおう氷の下に海をたたえており、もしかしたら生命が存在するかもしれないと期待されている星だ。そして最新の研究でも、やはりその海は生命が暮らせる条件が整っているかもしれないと指摘している。
広告
エンケラドゥスの氷の下に広がる海の底で何が起きているのか?
今回、米サウスウェスト・リサーチ・インスティテュートの研究グループは、土星探査機カッシーニがもたらしたデータから、プルーム(表面から噴出される物質)に含まれている分子を解析。ここからエンケラドゥスの海に溶けている二酸化炭素濃度を推定し、そこで起きているプロセスのモデル化を試みた。「プルームの構成を理解すれば、その海がどのようなもので、なぜ現在の姿になったのか、生命が生存できる環境かといったことを知ることができます」と研究の中心人物、クリストファー・グレイン博士はコメントする。
『Geophysical Research Letters』(1月10日付)で報告されているように、エンケラドゥスの海底は、炭酸塩鉱物が豊富に含まれる堆積岩(石灰岩のようなもの)で構成されていると考えられるようだ。
さらにその下には、マグマのような溶けた鉱物からできた火成岩から形成され、鉄やマグネシウムを豊富に含む蛇紋石鉱物があると考えられるという。

NASA/JPL-Caltech
生命誕生につながると期待される化学反応
作成されたモデルによれば、海底に堆積した鉱物は熱水噴出孔と結びついて、じつに興味深い化学反応を引き起こす。それは生命の誕生につながるのではと期待されるものだ。「複雑なコアと海水のダイナミックな接点は、生命を維持するエネルギー源を作り出す可能性があります」とイオン中性質量分析器のデータ解析を担当したハンター・ウェイト博士は話す。
エンケラドゥスの海に微生物が存在するという科学的証拠はまだ見つかっていませんが、科学的非均衡を示す証拠なら増えており、氷殻の下に生命が生存可能な条件が整っていてもおかしくはないらしいことが仄めかされています。ただし「生存可能」と「生命が存在する」は同義ではない。「エンケラドゥスに生命はいるか?」という問いに対しては、今のところはせいぜい「かもしれない」と答えられる程度だ。それでも十分にワクワクさせてくれる案件だろう。
References:swri/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
そうドゥスか〜 (京都弁)
2. 匿名処理班
熱水があっても電気的刺激がないとアミノ酸がたんぱく質へと変化しない可能性ってあるんでない?
3. 匿名処理班
タイタン、エンケラドス、あと木星の衛星エウロパ。近場に生物のいる可能性がある星がある太陽系って凄いな
4. 匿名処理班
早く探査機を送って、居るのだか、居ないのだかの
結論を出して欲しい。何時までも可能性のママでは嫌じゃ!
5. 匿名処理班
仮に存在したとしたら、地球へ持ち帰る計画が当然のように始まるんだろな
凶悪なウイルスとかだったらどうするんだ
6. ・・・
エンケラドゥスの内部には太陽光が届かないことを考えると、地熱のみをエネルギー源とする生態系が形成されている可能性があるというのは興味深い
7. 匿名処理班
可能性 か‥
8. 匿名処理班
潜水艦型のロボットを搭載した衛星がエンケラドゥスに行って早く探査してきてほしいな!
9. 匿名処理班
モヤモヤしてきたぞ!
リュウグウノツカイみたいのがいたらな。
10. 匿名処理班
宇宙とか星生命とかって何億年単位での話だから、人間が誕生する前に他の星には生命がいて絶滅して今に至るとかありそうだなと思ってる
人間なんて宇宙規模で考えたら一瞬の出来事だもんね
こわくてぞくぞくする!
11. 匿名処理班
※6
地球の深海底も同様に太陽光が届かないのに、熱水噴出孔からのエネルギーとミネラルの供給をもとに生態系が成立しているので、エンケラドゥスでも可能性がありますね。
はるか彼方の衛星の奥底に、チューブワームみたいのがゆらゆらしている様を想像するだけでワクワクします。
12. 匿名処理班
多くの科学者が「生命が生存可能な環境」と「生命が発生可能な環境」が同じであると勘違いしていると思うんだよね。これが同じであるなら、今の地球上でも新しい生命が次々と発生してないとおかしいじゃん。そもそも地球の原始生命が誕生した時代は大気には酸素がほとんど無く現在いる多くの生命体には生存不可能な環境だったと言われているんだし。
氷に閉ざされたエンケラドゥスが地球ほど劇的な環境変化を経験しているとは思えない。地球型生命が生存可能な環境の可能性にロマンを感じるのはわかるがちと期待しすぎかと。
13. 匿名処理班
原始的なの居るかもしれないが、氷溶けると磁場が無いし地球の様な発展は無理そうだよなぁ
違う発展の仕方って、想像してる学者とか作家居たりするんだろうか…
14. 匿名処理班
※12
はぁ…??今の地球はお前も俺も含めて溢れかえるほど命が生まれては消滅しているのに
勘違いというか、これはもう思い上がりか
酸素が無くたってあるものでなんとかしてただけで、人間が生命と呼ぶものが発生する条件はもっと別にある
15. 匿名処理班
でもさ、12が言うように地球に最初の生命が発生したときの環境と、今の地球の環境は全く異なると考えられるから、そのぶん生命が存在する可能性は増えるよね。
16. 匿名処理班
>>14
生物が子孫を産むという意味ではなく、原始の地球みたいに無から生物が発生したことを言ってるんじゃない?
人類は生物の発生についてのサンプルデータは地球のデータしか持っていないし、原始の地球とかけ離れた環境で生物が発生する可能性が低いと考えるのは妥当かと。
自分もロマンは感じるけどね。
17. 匿名処理班
※4
まぁまぁ、火星に運河がないってわかってからまだ 100 年くらいしか経ってないくらいだから、焦らないで💛
※5
当然持ち帰ったら BSL4 な施設で扱うから安心していいです。
それにサンプルリターンはとっても大変だから当面実現しませんよん。
18. 匿名処理班
エンケラドゥスが、ひとつの生命体かもしれない。
19. 匿名処理班
※12
自然科学は現在観測可能な事実に基づいて組み立てた理論や推論であって、絶対ではないから
生物の起源に関する常識も、現状はあくまで地球とその付近で観測した情報に基づいた推論でしかない
地球から離れた、より広域の情報を収集すればその常識も十分覆る可能性があることぐらい、その分野で仕事をしている研究者たちなら百も承知だろう
勘違いしがちなのは、与えられた科学の知識だけで万物の尺度を図ろうとする俺ら素人の方な
20. 匿名処理班
※16
無から生物が生まれたってのも分からん…
かつての地球みたいに色々混ざったあったかいスープ(海)があれば、地球と素材が違っても微生物が発生してそれを利用してる可能性は十分ある
そんなもの実際にいつ観測できるかは俺も分からんけどね
ロマンとかではなくごく普通の話だと思ってる
21. 匿名処理班
海まで30キロ掘らないとダメなんでしょ?
火星に移住するより難易度高いよな
22. 匿名処理班
※12
「宇宙における生命の起源、進化、伝播、および未来を研究する学問」としてアストロバイオロジーという学問分野があって、多くの異分野から参入しています。
原始生命の発生プロセスは未だ不明な点が多いですが、宇宙空間に存在する有機物が原始地球に降り注ぎ、原始の海中で長い時間をかけて化学進化を繰り返すなかで、生命らしき物質ができあがったというシナリオが有力です。
であれば、すでに生命に満ち溢れた現在では、有機物やアミノ酸は化学進化をするいとまもなく、エネルギー循環に取り込まれてしまうので、全く新たな原始生命(例えばDNAを用いず、別のシステムで繁殖するなどの)が発生することは不可能に近いか、観察することが極めて難しいかと。
エンケラドゥスにしても、内部海が報告され始めたのはごく最近で、その成因も解明しつつある段階なので、まだまだ新しい発見があるかも知れず、我々が知らないだけで、もっとダイナミックな活動をしている(又はしていた)可能性もあるわけです。そのような思いがけない発見は天文分野ではよくあるので、先入観にとらわれずに調べることは重要だと思います。
---参考---
宇宙からみた生命史 (ちくま新書) 小林 憲正 (著)
23. 匿名処理班
※3
もしそれらに本当に生物が存在していたら、
太陽系と言う銀河から見ればほんのちっぽけな領域でも複数発生するほど
宇宙には(知的かどうかは別として)生命なんてありふれた存在であると言う可能性が高まる
24. 匿名処理班
もしダメでも、また他をあたれば良いだけの話だ
25. 匿名処理班
硬い表面の下に海があるって構造はガミラス星に似てるねえ
26. 匿名処理班
「古代。地球をユキカゼのようにはしたくはないな…」