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登校時間を選択できる自由があるだけで睡眠不足は解消される。ドイツの高校生を対象に行われた研究実験

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(著) (編集)

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seb_ra/iStock
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 多感な高校時代は、勉強にせよ遊びにせよ、つい熱中してしまって、気がついたらこんな時間なんてことはよくあるものだ。

 夜更かしをした次の日の朝、けたたましく鳴る目覚ましによって無理やり夢の国から追い出される。大慌てで身支度して、眠い目を擦りながら学校へ向かう。睡眠不足の学生の出来上がりだ。

 今回ドイツの高校生を対象に実験したのは、1限目の授業に出席しなくてもいい権利を与えることだ。その結果、権利を使用するしないにかかわらず、登校時間を選択できる自由があるだけで睡眠不足は解消されることがわかった。

世界的に問題となっている学生の睡眠不足

 学生の睡眠不足は世界的に問題となっている。それはもはや個人の生活習慣の問題を超えて、公衆衛生上の問題と認識されている。

 慢性的な睡眠不足は、授業中の集中力を奪うだけでなく、通学路で事故に遭う危険性を高める。さらにうつ病、肥満、糖尿病などのリスクも上がる。

 こうしたことを鑑みれば、学校の始業時間を遅くしろという声が大きくなったのもうなずけるだろう。

 だが、仮に始業時間をズラしたとして、本当に良い結果が得られるのだろうか? 本当に学生の睡眠不足が解消されて、成績が向上するのだろうか?

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Kerstin Herrmann from Pixabay

1限目を出ても出なくてもいい権利を高校生に与える実験

 ドイツ、ミュンヘン大学の研究グループは、ある高校で学生に1限目の授業に出席しなくてもいい権利を認めるという実験を行ってみた。

 高校生たちは普段通りに登校しても構わないし、1時間遅れて登校しても構わない。どちらの時間に登校するのか、その日その日で自由に決めさせてみたのだ。

 実験開始前の3週間と開始後の6週間の期間、高校生に毎日睡眠の日記をつけてもらい、さらに半数の学生には客観的な睡眠時間データを得るためのモニターも着用してもらった。

 睡眠時間にくわえてさらに、全体的な満足感や授業の集中力などの評価も行われた。

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AntonioGuillem/iStock

真面目なドイツの高校生、その結果は?

 研究グループにとって意外だったのは、遅刻する権利を認めたというのに、ドイツの高校生たちはこれまで通りに登校することが多かったということだ。平均すると、遅れて登校してくるのは1週間に2回程度でしかなかったのだ。

 だが、権利を使用し、遅れて登校してきた日は、学年や性別、遅れてくる頻度にかかわらず、普段より睡眠時間が1時間長かったことがわかった。つまり、遅れてきた学生のほぼ全員が1時間遅れ登校の恩恵を受けていたということだ。

 ただし、登校時間が固定されていたときと比べて、毎日の全体的な睡眠時間に有意な増加があったわけでもなかった。

 だがそれでも登校時間を選択できる自由は、学生にかなり好評だったようだ。起きなきゃいけないというプレッシャーから解放されたようで、その権利を使用するしないにかかわらず、圧倒的多数が寝不足が解消され、授業に集中しやすくなったと回答しているのだ。

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Heiko119/iStock

登校時間を選択できる自由があるだけで睡眠不足は解消される

 「おそらく朝起きたときに登校時間を自分で決められるというその事実だけで、睡眠不足のサイクルを破り、心理的負担を軽くするには十分なのでしょう」と研究グループの1人は述べている。

 ただ、せっかくの柔軟なシステムが有名無実化してしまっては何の意味もない。学生たちにその権利を行使するよう積極的にうながすのも大切であるとのことだ。

 なお、研究対象となった学校では「ドルトン・プラン」という指導法を採用しており、そのために今回の研究が可能になったそうだ。

 このプランは、生徒それぞれが教師と学習計画を話し合い、それにしたがって学習を進めていくもので、個々の学力や適性に応じた柔軟な学習設計を行うことができる。同校ではドルトン・プランを採用したことで、2013年に表彰もされているそうだ。

 この研究は『Sleep』(12月16日付)に掲載された。

 ただ登校時間を遅くするだけじゃなく、1時間の遅刻を認めるというやり方も面白い。今回の実験は高校生が対象だが、中学生や小学生だとどうなるんだろう?日本でやったらどんな結果が得られるんだろう?ただしどこの高校で実験するかでも違いがでそうな気がするけどどうだろう?

References:“We’ll be in later” – LMU Munich/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 29件

コメントを書く

  1. 日本でも中高生の睡眠時間が足りて無いってのは結構前から言われてるからなあ

    • +21
  2. 真面目なドイツと違って遅くなったら遅くなっただけ限界まで時間を使い切るのが俺らだから

    • +11
    1. ※3
      宿題みたいな勉強やスポーツの練習で時間が取られて睡眠時間が短くなってるってんなら登校時間の改善をした方が良いとは思うけど、おそらく睡眠時間が短くなってる理由はそうじゃないだろうしな
      早く寝ろ、スマホを何時までもいじってんな、ゲームしてんな、夜ふらふら出歩いてんなとしか

      • -1
    2. >>3
      夜勤生活に耐えられない体質の人がいることからもわかるように、体内時計が日照時間に大きく作用される人も多い。
      身体が成熟してない子供はなおさら、無理をするのは難しい。
      こういうのも不登校の原因の一つだったりする。

      • +9
  3. 朝早過ぎるってのはまぁ判らんでもないけど
    自制心無い内から自身に任せっきりだと寝る時間が欲望のまま更に遅く成るだけって気がする
    子供の自主性育くもうって事ならデメリットもちゃんと教えないと

    • -2
    1. 多くの生徒に恩恵のありそうな方法ですね。
      ただ、息子が通っていた高校(公立の進学校、なんかのランキングで名前を見かけるくらい)は、授業が始まる前というか朝早くから登校して勉強している生徒が多かったそうです。運動部の生徒などは家には寝に帰ってるだけみたいな感じで、朝練直前や雨の日などにそういう生徒が多かったとかで、体力に任せて睡眠不足でも遅寝早起きをしている生徒が多いとか。そこは体力をつけさせて、同時に学力もつけさせるという、ぬるい高校を出た私のような軟弱な親からすると無茶じゃないかと思うようなことをしてましたが、まぁそういう学校なのだと傍観してました。
      だから、私は進学校ってそういう特殊環境なところなのだと思いこむことにしておりまして、今回の記事のような話は私のような多数のだいたい普通な生徒には福音があったはずと思いますw ※4 のような危惧は私も流されそうなのでそう思いますわwww

      • -3
      1. >>6
        早起きは三文の徳というけど、実際は「早起きできる体質は三文の徳」なんだよねえ…
        私なんか早寝しても早起きなんかしたら午前中ゾンビだったもん。それどころか何度脳貧血で倒れたか。(起立性低血圧)
        今だって午前中は仕事のパフォーマンスも悪くて、フレックスだったらいいのに…と思うけど、私のような人間がフレックスあるようなホワイト行くのはそう簡単じゃないのだ…。(頑張ろ。)

        • +10
  4. 通勤時間と被らなくするのはええんじゃない?

    • +7
  5. 一限目を出なかったことで単位不足や進度に追いつけない等で文句言い出すのが一人もいないならやってもいいんじゃない

    • +4
  6. 体調あるのわかるが馴れておかないと
    働くようになったら仕事制限されちゃうけどいいんだろうか

    • -2
  7. それに付き合わされる教職員の負担やら人件費どうすんだよ
    税金の無駄遣い

    • -8
    1. >>14
      欧米みたいにディスカッション取り入れないなら授業なんざ動画でいいよね

      • +6
  8. 実際のところ遅刻した分の授業は受けられないからデメリットやペナルティは受けてるし、遅刻を犠牲に睡眠時間が取れたところで学力向上したりはしない
    そもそもちゃんと起きれるように&生活習慣を自分で乱さないように毎日決まった時間に寝て充分な睡眠時間を確保し、遅刻しない余裕を持って起床し授業を受けるのがメリット高いし当たり前だわな
    それはそれとして「遅刻しても重大なペナルティが課されるわけじゃないという心理負担の軽減」に効果はあるってのは面白い研究だ

    • -1
  9. 時間どおりに行動できない社会不適合者を量産してどうする。寝る時間に合わせて行動するだけの事だろうに。

    • -3
  10. 知り合いのドイツ人技術者は朝イチまったり派
    時間をかけてベットから起き時間をかけて朝食をとりと
    ゆっくりと当日の予定を綿密に脳内で組み効率化させるのが快感なんだって

    • +2
  11. 「自分に選択肢がある」と思うだけで気が楽になるってこともあると思う。
    少なくとも「○時に起きなくちゃ」から開放される。そして意外と起きれる(笑)

    • +4
  12. 好きなだけ睡眠時間取らせたらいいのに。

    今の時代、簡単に、故人がどの時間帯がより活動的に動ける時間帯かなんて容易に情報収取できる。
    それに合わせて色々用意すればいいだけ。
    無限時間分用意する必要ない。
    せいぜい30分区切りで済むんだから。
    やらないのがバカバカしい。

    • +1
  13. 生まれついての夜型。両親も休みの日は昼まで寝てた。小中高と地獄で高校は日数ギリでサボり。不良とかじゃなく、途中下車して山中行って河原で寝てた。おかげでひどい人生、朝型人が羨ましすぎ。

    • +2
  14. 学校の始業時間って実は地域でバラバラだよな

    • 評価
  15. ぶっちゃけ会社より学校のがきつい。会社や役職にもよるけど。

    会社はフレックスある、自転車や自動車を使える、都合悪ければ有休を使える、
    真夏や真冬に体育でスポーツとかしない、マラソンみたいな理不尽なイベントがない、
    授業で拘束されるようなことが少ない、宿題がない(これは任意なだけだが)、
    定期テストみたいなストレスが無い、そして何より給料(報酬)が貰える。

    ゲームとかで遊びたかったからほぼ毎日寝不足だったわ。
    仲の良い友達がいる小学校はまだよかったが、中学高校は苦痛でしかなかった・・・。
    朝から寝不足で気分悪いから暗くなっちゃうし友達作れなかった原因でもあるだろうな。

    • +2
    1. >>24
      仕事なんてお給料もらえるしねー
      お金のために朝からゲーゲー吐いてでも頑張って行ったわ
      学校は、回らない頭でフラフラ出席して、授業も頭に入らないし、午前中の体育なんてあった日にゃ最低だし、意味がなかった。卒業資格だけを私にくれた。
      もっと違う選択項があれば、もっと良い人生にできる子がいると思うよ。

      • +1
  16. 私の若いころはSNS疲れがない分まだマシだったが
    それでも運動すると興奮で眠れない事があったり
    勉強の遅れを取り戻そうと頑張りすぎたりで睡眠不足になる事はあった
    若いころの睡眠はそれはそれは大変大事なので
    睡眠を取れる選択肢があるのは良い事だと心底思います

    • +1
  17. ドイツ人はさぼりなさいと言われないとさぼれない
    そういう笑い話通りの結果なようだ

    • +1
  18. 根本的に思春期の子供の体内時計自体が学校の始業時間とあってないという指摘もこのサイトで見たはず
    10時ぐらいに始業するのがいいんじゃなかったかな

    • +1

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