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現在、大気に含まれる二酸化炭素の量は、過去300万年で最大である可能性が濃厚であるようだ。これほどのレベルともなれば、この期間全体で初となる劇的な気温の上昇をもたらすかもしれない、と最新の研究は主張している。
氷河の拡大・後退サイクルの変化
現代は「第四紀」という地質時代に区分されている。258万8000年前から現在までの期間だ。第四紀の始まりは氷河期で、グリーンランドから拡大した氷床が北アメリカやヨーロッパ北部の大半までをも覆っていた。
そして、こうした氷河は、地球の軌道の位置に応じて、4万1000年のサイクルで拡大と後退を繰り返していた。
しかし125万年から70万年前にもなると、不思議なことにこのサイクルが10万年間隔に延びた。
これを「中期更新世気候遷移」というが、地球の軌道自体は変わっていないのに、このような変化が生じた理由は大きな謎である。

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大気中の二酸化炭素の減少
この謎に挑んだのが、ドイツ・ポツダム気候影響研究所のマッテオ・ウィライト氏らだ。彼らは、大気の条件、海洋の条件、植生、地球規模の炭素量、塵、氷床といった多彩な変数を含めたコンピューターモデルで、中期更新世気候遷移の原因を突き止めようとした。
すると4万1000年のサイクルが10万年に延びるには、2つの現象が必要であると判明した――大気中の二酸化炭素が減少することと、氷河が「表土」という堆積層を削りとることだ。
二酸化炭素が減少する原因はいくつか考えられる。
たとえば、火山からの排出が減ったこと。あるいは岩石の風化速度が変化し、海底に運ばれる堆積物の中に閉じ込められる量が増加したことなどだ。
大気中の二酸化炭素が減れば、そこにとらわれる熱も減ることになり、その分気候が低下。氷床も形成されやすくなる。

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サイクルの変化と地質学的プロセスとの関係
2つめの地質学的プロセスもまたサイクルの変化に大きく関わっている。陸上に氷がない状態では、地表の一番上に表土(月の分厚い塵層がその好例)という未固結の岩石がたまる。
この表土の上に形成される氷は、しっかりとした岩盤の上に形成されるものよりも不安定となる。そのために氷床はより速く流れるし、厚さも薄いままになる。
地球の軌道内での位置が変わると、地球表面にあたる日光の熱量が変化するが、熱くなった場合に特に解けやすいのはこうした不安定で薄い氷床だ。
一方で、氷河には表土を押しのけ、再び岩盤を露出させる働きもある。初期第四紀にいくどか到来した氷河期では、この作用のおかげで岩盤が露出し、新しく形成される氷床はしっかりとした場所に固着することができただろう。
氷河期が延び、間氷期が短くなったのは、寒冷化した気候と、回復力のある氷床が原因であるというのが今回の研究の結論だ。

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気候変動の今後の動向
こうした発見は、現在の都市が今後も住めるのかといったことを予測するうえで重要なことだが、現在の気候変動の動向を知るうえでも大切なことだ。ウィライト氏らのモデル研究によれば、初期第四紀における大気中の二酸化炭素は400ppm以下だったという。だが現在の世界平均は405ppmで、まだまだ増加を続けている。
250万年前の後期鮮新世(第四紀の前の新第三紀に区分される)の世界平均気温は、化石燃料の使用が普及する以前の平均よりも1.5度高かったとモデルは示している。
そして、この気温は現時点で第四紀をとおして一番高い気温である——しかし、それもすぐ変わるかもしれない。
すでに地球は産業革命以前と比べて1.2度暖かい。2016年のパリ協定では、気温上昇を1.4度以内に抑えることが合意されたが、これは250万年前の気温に相当する。
万が一、この範囲に抑えることができず、それまでの目標だった2度まで気温が上昇することになれば、この地質学時代において最高平均気温の時代が到来することになる。
この研究は4月3日づけの『Science Advances』に掲載された。
References:popsci / livescience/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
あと30年くらいでさ
SF小説とかである大気調整装置
見たいなのが世界に十数基設置されて
ギリギリ人類は生存
退廃的なブレードランナーみたいな
世界になるんじゃないか?
2. 匿名処理班
普通なら特定の生物が環境を激変させても、その生物がその環境に適応できなきゃ個体数が減ってそのうち元に戻るんだろうけど、人間の場合は石油をもっと燃やせば過ごしやすい環境を作れる技術があるから、本気で対策しないと地球温暖化は加速するだろうな。
3.
4. 匿名処理班
地球は生まれてこの方、ずっと劇的な気候変動の中に居ますよ
スパンの違いのせいで分かり難いですけど
5. 匿名処理班
考えてもどうしようもない
水没する国や都市もあれば
寒冷地のロシアやカナダやバルト3国のようにメリットがある国もある
気象変動に生き残ることが生物の進化の過程ならそれもいいじゃないか
6. 匿名処理班
氷河期に向かって温度が下がる論文と温暖化で気温が上昇する論文が溢れててどっちがどっちかわからんw
ただ太陽の活動が低下して気温が下がりそうってのはあるし温室効果で気温が上がりそうってのは拮抗してそうでちょうどよいのではと思ったり・・・。
7. 匿名処理班
コーラいっぱい作れるな
8. 匿名処理班
既に二酸化炭素の排出対策は必須だろうなあ。
道路に穴が開いてるかも、と情報があったら確定でなくてもスピード落として地面を良く見ながら走るだろう。前輪が穴に落ちるまで気にせず突っ走ったらアホだよ。
9. 匿名処理班
そりゃ自然破壊して開発ばかり進めてたらバランス崩れるわな。開発と並行して自然回復も進めりゃ均衡も取れそうなもんだが開発の方ばかりに目を向けてるんだもんな、そりゃ良くなるわけがない
10. 匿名処理班
300万年前の二酸化炭素の量じゃむしろ人間に悪影響やろjk
11. 匿名処理班
>>4
ほんとコレ
環境変動を人間のせいにしたがる奴いるけど驕りがすぎるわ
地球自身の変化の大きさに比べたら人間が地球に与えられる影響なんてホント些細なもの
地球舐めんな
12. 匿名処理班
>>11
見当外れの話をしてますねえ。
地球にとって些細であっても、人類の生活環境にとってはそれなりに大きな問題になるってことだよ。
13. 匿名処理班
※11
で、それは根拠があるの?
地球の気分で突然温度が上がったり下がったりするわけじゃない。
少なくとも今まで数百万年、数億年の気象の変化には火山噴火、酸素の大量供給、隕石の衝突、軌道の変化といった何らかの原因があった。
現状、今の地球温暖化を一番合理的に説明できるのが「人為的CO2の排出による地球温暖化」なわけで、それ以外に合理的に説明できる理由があるならぜひ書いていただきたい。
14. 匿名処理班
※8
でも走り続けなきゃ競争に負けるなら走りつづけるだろう・・・?
みんなで一斉に減速できるならいいんだけどな。
15. 匿名処理班
>>11
人間のせいって部分は少なからずあるんだろうよ
自然なめんなって言うけど、実際に人間のせいで滅んだ生物は数知れないし、フロンガスの例もある
それが環境に及ぼしてる変化を考えると、人間が環境に変化を与えないとはとても断言出来ない
君の言いたいのは、地球規模の気候変動と比べれば、人間の与える影響は少ないって所だろうけど、それを理由に二酸化炭素をバンバン出し続けて良い理由にはならないな
16. 匿名処理班
大昔は火山活動が活発化して二酸化炭素が激増して大量絶滅が起こったが、案外、ちょっとした事で生物が終わるのはある。
歴史上、3,4回、大量絶滅している。
恐竜の隕石だけではない。
人間が絶滅するというより、食料となる植物、動物が激減して、人類の一分だけが残るというパターンだろう。
当然、富裕層。
17. じょん・すみす
これで地球温暖化が進むなら、防ぐんじゃなくて
上手に付き合う方法を考えた方が良いのかも知れないな。
18. 匿名処理班
※13
あるよ
最近は発表されたばっかりやんそんなもんにすら目を通してないのになんでそんな上から目線で話せるの?
もとは20%以上co2やったんやで
植物の台頭で大気中の炭素は熾烈な奪い合い状態がいまでも続いててむしろ植物にしてみればもっとco2よこせってもんなんや
砂漠化も炭素不足が原因なんやで
19. 匿名処理班
災難に逢う時節には、災難に逢うがよく候。死ぬ時節
には死ぬがよく候
20. 匿名処理班
白亜紀とかのが圧倒的に濃かったしなぁ
いまの温暖化の数式で行ったら白亜紀は摂氏400度コシテル。。。
21. 匿名処理班
只の三百万年やろwええやんw滅んでもw
22. 匿名処理班
全て地球内の物質の話なのに増えたとか減ったとかおかしくない?
外宇宙から異物を持ち込んでいるというなら話はべつだけどそうじゃないでしょう
まるで一時の地球の姿が正しいかのような一方的な言い方もおかしいと思う
23. 匿名処理班
明日(4月10日)の関東甲信越の山間部では大雪が降る予想が出ています。
さらに、本来雨が降らないはずのサウジアラビアでは4月1日に大雪が振り、アルジェリアでは4月4日にはすさまじい雹嵐に見回れ、溶けた雹による洪水が発生したそうですが、こういうこの季節や地方ではあり得ない、雪や雹嵐はco2の増加で説明がつくんですかね? 教えて××い人。
24. 匿名処理班
で、現在は何%くらいなんだ?確か1%切ってるんだよね?
調査では、Co2の量が増えてるにもかかわらず気温が下がっていた地点もあったため、結果をねつ造したということもあったな。
地球は氷河期と温暖化を繰り返してきて、それは人類が誕生する以前の話。
それだけでも人間は関係ないということがわかる。
25. 匿名処理班
※23
いわゆる地球全体の現象と、局地的な現象は合致しないことはよくあるよ。
地球全体の温度が上がることで、大気の動きや天候のパターンに変化が生じて(いわゆるバタフライエフェクト的な現象が起きて)、局地的に寒冷化が進んだりすることもある。
ま、マクロとミクロはちょいと違うということやね。
26. 匿名処理班
※5
日本も北極海航路が確立すれば大いにメリットあるし
一方で洪水災害は増える事になりそうっていうデメリットもある
27. 匿名処理班
※23
とりあえずCO2で温暖化するというのが正しいとして、
普通に温暖化すれば水蒸気の量も増えるから降水量は増えるはず。
寒波は温暖化と逆だろう、というかもしれないけど、
温暖化すると地球全体の大気の流れが活発化するので寒気も大きくかき回される。
ざっくりと昔から「暖冬だと大雪になる」って言われてる。
28. 匿名処理班
まぁ、CO2増加は化石燃料よりも、火山噴火と森林減少のせいだろうとは思うけどな。
29. 通りすがり
火力発電所の排気を海に溶かして藻を栽培して生物がほぼ居ない深海に捨てるとかすればその分の炭素は一時的に大気から隔離された事になる
多分金が出せないな
30. 匿名処理班
>>14
減速せずとも技術革新と自然を増やすことでも充分減速出来るはずなんだよなぁ
自然壊して開発進めたらその分をどっかで回復させりゃよかったのに壊す一方なのが問題
31. 匿名処理班
※25
先ほどツイッターを見てみたら、箱根で大雪が降っている旨の投稿がありました。
あと、今現在も今時期にはありえないくらい寒いです。
いずれにしても、これからどんどん暖かくなる時期に、この雪と寒さを考えると、原因が何であれ、地球規模の大規模気象変動の真っただ中にあるのは、確かでしょう。
32. 匿名処理班
化石燃料一切使ってなかった縄文時代の方が暑かった定期
地球45億年の歴史の中で温暖期であるここ1000万年の方が異常定期
33. 匿名処理班
温暖化って、地球の平均気温の話 なのかな?
だから、局地的に 異常気象が あっても 、、、
それとも 季節外れに 寒いのは 単に 暑いとこ と 寒いとこ を かき混ぜて いるのかな?
34. 匿名処理班
※18
いやいや、※13で酸素の大量供給に触れてるよね。
それが植物やシアノバクテリア以外の何であると?
少なくとも植物が地球の環境に影響を与えることは認めてるよね。
(当然だけど、植物やシアノバクテリアが大量繁殖する前は地球の気温は今よりも高かったと言われてる。)
これを「地球自身の変化」とは言えないし、「些細な影響」とも言えない。
どちらも同じ生物という括りにあるのに、植物は大きな影響を与えられて、人間は些細な影響しか与えられない理由は?
無いんでしょ?
ただ単に「人間は地球に些細な影響しか与えられない」という公理のもとで「人間は地球に些細な影響しか与えられない」という結論を導き出してるとしか思えない。
それは最早科学じゃなくて宗教だ。
つまり、「人間だから」で考えるのは正しくない。
それに、「今の地球温暖化を一番合理的に説明できる理由」を聞いてる。
植物やシアノバクテリアの大量繁殖によってCO2が吸収されて酸素が大量に生み出されたように、過去の気象の変化には理由があった。
じゃあ、今の気象変化の理由は?理由もなく変化したと?
地球、植物、人間のどれかを特別視してるのは君じゃないのか?
35. 匿名処理班
※22
厳密には君の言うように増えていないし減ってない。
(衛星の打ち上げとか小さい隕石の衝突とかは除く)
数十億年前の地球はCO2の濃度はめちゃくちゃ高くて、温度も気圧も高かった。
それが光合成する生物の誕生で炭素固定化(いわゆる化石燃料)されて「大気」からはCO2が減った。
それを人間が燃やしまくってCO2を大気に放出するから、以前の地球の姿に戻り始めてる。
「正しい姿」が生き物によって違うのは当然の話で、人間にとっては産業革命の少し前あたりが「正しい姿」だからそれを維持しようとしてる。
36. 匿名処理班
未だに何度も否定された質の悪い懐疑論に引っかかってる馬鹿も多いんだよなあ。
そういう馬鹿はほんと口を噤んで欲しい。デマに踊らされるのは害悪だ。
※33
「地球温暖化」は英語"global warming"の訳語。Globalって言葉は「世界全体での」って意味。
それで「気候が変わる」のは「気候変動(Climate change)」と説明される。
似て非なる「気候変動(Climate variability)」という言葉もあって、
その違いを理解できない ひっかけるために
「地球は過去にも気候が変わっていた」という詐欺的な懐疑論がある。
いわば「火事で熱い」のを「夏が近いから」と誤魔化すようなもん。
37. 匿名処理班
※35
個人的には縄文時代くらいに温暖化してほしいと願ってるけど、海進はいろいろ不都合があるだろうから歓迎されないだろうとは思ってます。
現在の状態から変化を望まないから、地球温暖化を避けようという話ですが、ツンドラでバナナは育たないかもしれないけど、現在ツンドラなところでも畑作ができるようになるわけで、砂漠は広がるでしょうが、トータルとしては畑の面積は広がるんじゃないかな。ま、そんなわけで温暖化を歓迎してます。
だからといって、二酸化炭素排出=温暖化を強化するような無駄に化石燃料を使っていいわけもなく、一人暮らしで基本料金込みで四千円前後の生活に節制しています。
38. 匿名処理班
※11のような「人間ごときが」ってのは、アメリカ南部の政治家を元とする懐疑論ね。
オクラホマ州のジェームズ・インホフがその筆頭。
オクラホマでは「進化論を教科書に載せるな」みたいにキリスト教の力が強くて、
「神の思し召し」「人間ごときが」って言ってれば当選しちゃう。そんな土地柄。
インホフは「石炭・電力業界を守るために地球温暖化説と戦う」と公言している人物。
化石燃料業界からのプッシュも強い。
そんな利権まみれで宗教を利用する人物の話を真に受けちゃう日本人もいる。
39. 匿名処理班
40億年前の地球の大気組成は90%が二酸化炭素だぞ
なんで大騒ぎするんだよ。
40. 匿名処理班
こーゆー系(温暖化とか二酸化炭素とか大気汚染とかオゾン層に穴とかとかとか)のニュース見たところで毎回、
んー。なるほど。大変そうだ。
と、まるで他人事のようにしか思考出来ない正直。
自分というゴミみたいな人間と、地球規模の問題なんて、釣り合わなすぎて....
とりあえず一般人で、地球に良さそうな電気自動車とかも買えない様な階級の人は、
なにから始めればいーんですかね?
41. 匿名処理班
二酸化炭素濃度は増えているし平均気温も上がってる
じゃあ関係があるのかと言ったら実は無い
一番わかりやすいのが南極の平均気温で二酸化炭素濃度が増えても平均気温は変わっていないがこの事にはなぜか触れない
じゃあ温暖化の原因はと言えば太陽の周期的な活動で氷河期の前兆だから地球を温める方法を探さないといけないという矛盾
42. 匿名処理班
※18
砂漠化の主要因は降水量の不足。それこそペルム紀から現代まで共通。
農耕を始めてからこっちは、過剰な灌漑と地下水くみ上げによる塩類の蓄積。
あるいは不適切な耕法による土壌の不毛化、雨による表土流出。
炭素関係ないやろ
43. 匿名処理班
二酸化炭素って気温と海水温依存で噴火や人間の活動によっては変わらんていうけど実際どうなん?
それに「二酸化炭素!二酸化炭素!」いうけど温室効果ガスは他にもあってさ、メタンなんて温室効果は二酸化炭素の10倍なんでしょ?
ニュージーランドなんて温室効果ガス排出量が凄いって話。
「二酸化炭素」って言葉に踊らされてる感あるんだ温暖化してるとして考えるべき、やるべき事は何?
44. 匿名処理班
そもそも意味もなく車乗ってエンジン掛けっぱでたむろしてる奴等多過ぎんだよ
しかも「ガソリン高ぇ!」とか言うんだよなぁ