
だが今回明らかになったのは、彼女は独りぼっちではなかったということだ。
この新しい研究では、乱雑な先史時代を分析するために人工知能を採用し、数万年前にアフリカから長い旅路に出た現生人類が出会い、そして交わった未知の祖先を特定しようと試みられた。
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ディープラーニングで明らかになった別種のヒト科との交配
現生人類はおよそ8万年前にアフリカから外に出て、ユーラシア大陸へと踏み出したとされている。そのとき、彼らはまた別の足跡をも残した。太古の時代に生きた、今では絶滅してしまったヒト科の種と子供を作ったのだ。
最近まで、こうした異種間の交わりの相手はネアンデルタール人やデニソワ人だったと考えられていた。
だがディープラーニングを用いて古代人と現代人の遺伝子コードを選別してみたところ、ユーラシア人のDNAから三番目の相手が発見されたのである。
第三遺伝子侵入
スペイン、ポンペウ・ファブラ大学のハウメ・ベルトランプティ氏は、この出来事を「第三遺伝子侵入」と呼んでいる――アフリカ脱出のさいに交雑した初期人類の痕跡だ。「この集団はネアンデルタール人・デニソワ人の祖先か、デニソワ人から初期に別れたもののどちらかに関係する」と研究論文では述べられている。
つまり、この三番目の相手は、ネアンデルタール人とデニソワ人の混血——例の13歳の少女のような人たちだったかもしれないということだ。
・ネアンデルタール人とデニソワ人。ふたつの違う古代人類から生まれた子供の骨が発見される : カラパイア

13歳の少女、デニソワ11の骨
image credit:image credit:Thomas Higham/University of Oxford
厚みを増す第三遺伝子侵入の証拠
「私たちの説は、最近デニソワで発見された雑種の標本と一致しています。他の可能性もまだ除外されていませんがね」とエストニア、タルトゥ大学のゲノム学者マユク・モンダル(Mayukh Mondal)氏は話す。そうは言っても、この分野での証拠は厚みを増している。
昨年、別の調査チームによって、デニソワ人とネアンデルタール人に加えて、「明らかな第三の混血現象」と呼ばれる証拠が特定されたし、つい先日も、こうした絶滅種が交雑した時系列をこれまでよりも詳細に明かした研究が発表されている。
人類の祖先に関する研究で、AIを用いて解析するという試みは、まったく新しいやり方だ。
歴史は浅くともしかし、研究者によれば、とうの昔に忘れ去られた異種間の情事による遺伝子侵入のプロセスが分かるだけでなく、今を生きる我々が何者かということをも教えてくれるのだという。
この研究は『Nature Communications』に掲載された。
References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
海を越えたアボリジニでしょう
2. 匿名処理班
そも、デニソワ人もネアンデルタール人も、その未知のホモ族も、祖先はホモサピと同じアフリカから出た人類なのだし、遠いいとこ同士のようなもののような気が。
3.
4. 匿名処理班
※1 恥ずかしながら寡聞で知らないのだけど、これって元ネタありますか?
5. 匿名処理班
「異種間の情事」とか、外国の記事は真面目な内容にこういう茶目っ気のある単語を混ぜてくるのが多いよね。
6. 匿名処理班
ネアンもデニソワも広い意味で捉えれば親戚のようなものなんだろうけど
現代はホモしかいない世界だし、3種が共存し時に混じり合っていた時代にはやはりロマンを感じるよ
7. 匿名処理班
こういうのは研究しなくていい
知ったところでどうなるわけでもないし
人種差別に利用されるのがおちだ
今を生きる我々が何者かと問うこと自体が差別のもとだ
なに人(ジン)だっていいじゃねーか
人類みな兄弟だろ
8. 匿名処理班
宇宙人やで
9. 匿名処理班
グローバルの闇を穿つ光と成らん
10. 匿名処理班
※7
こういう感覚は日本人には解りづらいらしいが、「世界の法則を知ること」が科学の原初にして崇高なる目的。人間の成り立ちも同じ。
11. 匿名処理班
※7
そうは思わない。
研究が進めば進む程、異人種交配が続いて来た歴史が明らかになる
今を生きる我々が何者かと問うことが重要なんだ
無知こそが差別の元だ。
12. 匿名処理班
※7 人種国籍差別のためにデータねじ曲げて曲解してる界隈、既に存在してますよ。いくら誤りを指摘しても話を聞きやしない。だって彼らは気持ち良くなりたいだけで、そのために振り回す理屈だから、穴だらけだろうが矛盾あろうが、どうであってもかまわないんだもの。
しかしそんな下らないもののために、研究を止めさせてたまるかっ!研究は私たち世代だけのものじゃない。私たちのずっと先の世代まで渡すためにあるんだ。
宇宙人に遭遇したとき、私は子孫に胸を張ってルーツを語ってほしい。そのための準備として、研究する人を応援する。差別する者を軽蔑する。
13. 匿名処理班
話は聞かせてもらった!人類は滅亡する!!
14. 匿名処理班
スペインのAIてどうなん?
「人は交雑しながら様々の形質を獲得して行った」というのは有力な仮説だとは思うけど…
信用していいのかな。
あと「マンホールの蓋に塗られたチョコレートについて君には何がいえるか?」を読むと品種改良と選別についてよくわかるよ。
作品のテーマも人の進化についてだし。
15. 匿名処理班
冒険好きの遺伝子を持ってないと新天地を目指そうなんて思わないだろうな。保守的なグループは同じような環境の所をグルグル周るだけだろうし。どこかでアグレッシブな遺伝子を手に入れたのかな。
16. 匿名処理班
猿じゃないもっと別の生物が関わってる可能性かと思ったら、意外とスケール小さかった
17. 匿名処理班
見つかっている化石何て限られているのに混血が見つかるのは、異種間後輩が結構あったってことじゃない?
それより今生きている人のDNAを調べた方がもっとたくさんわかると思う。
18. 匿名処理班
※7
何がどう人種差別に利用されるのか判らない
今のところむしろ人種差別の根拠となるものを否定できることに繋がる研究結果しか出て無いと思うが
19. 匿名処理班
当時の生活だと、さあアフリカ脱出の大冒険だ!って勇ましいノリじゃなく、「なんか人数増えたら獲物足りなくなってきた。生きるために俺たちグループは引っ越しします。お隣なんで、お祭りでまた会いましょう」くらいのテンションだったんじゃないかな。
それを繰り返してるうち、アフリカ出てた。
でも当人たちはそんなの知らない。地図も地球儀もないし。
んで、引っ越し先で「……え、お祭りでも見たことない誰かが、向こうに住んでる」から始まる物語。
私たちは、その長い長い物語の結末。
この虫食いだらけの物語の、登場人物とあらすじだけでも知りたい。
それを叶えてくれるのが、こうした研究だと思う。
20. 匿名処理班
※17
「何て」→「なんて」、「後輩」→「交配」かな?
化石人類も今生きている人間も両方調べれば、あなたの提案よりもっと多くを知ることができるだろう。
21. 匿名処理班
※17 異種間交配の頻度はその通りだと思う。でも、今生きてる人のDNAだけ調べても、見つけるべきものがわからないままだと、どれがどれだかわかんないよ。DNA配列は自分から由来をしゃべってくれないし、めっちゃたくさんある。
22. 匿名処理班
我々は、交雑することで我々になったのだな
いや我々だけじゃなく、生物は大体みんなそうかもしれない
23. 匿名処理班
※15
別の見かたも有る。冒険が大嫌いでも、襲われれた時に逃げなきゃ絶滅する。チカラと呪術の世界で、全力で逃げるor遠方に潜むを選択した消極的な人間も多かったと思う。北海道開拓民もブラジル移民も表向きは冒険者では有るが後ろ向きな理由の人も多かった。その他、飢饉・地震・火災・洪水・呪い・差別・冤罪・駆け落ち、など理由は様々。その場で生きれるのは強者と選ばれた民のみの弱肉強食の世界だからね
24. 匿名処理班
※22
その通り。だから純血主義と言うのは成立できない。交雑し進化する事により出来ているわけだから、全ての生き物が混血なわけだ。犬猫の血統にしても単に似通ったDNAを数世代交配させただけでしか無い。(犬になる前から)過去に数万回以上交雑している。人種差別主義者は自分の血を完全解析出来る様になったら卒倒すると思う。
25. 匿名処理班
旧人、原人の人骨が見つからなくてもホモサピエンスのDNAからその痕跡を見つけられるというのは斬新だ。
26. 匿名処理班
※24 横からだけど、それ過去に黒人差別グループであったらしい。メンバーたちが血の白さ()を確かめてグループ外に誇ってみようとしたら、アフリカ大陸由来のDNA配列出るメンバー続出。
たしか結末としては、名誉白人だかいう謎カテゴリこしらえて、仲良く黒人差別を継続したとさ。
差別って、主義主張の内容が大事なんじゃなく、孤独をグループ活動で満たしたい部分がかなりあって、そこを失いたくなくて、理屈通らなくてもグループ維持に走ったんだろうな、と思わせるエピソードだよね。
でも誰かの仲良しこよしのためになら誰かを殴りつけていい、なんてことは絶対にない。
お前らのやってることクッソだっせえな、本当にお前ら他で輝く部分持ってねえの?そこはもう調べたか?まだやってねえなら速く調べてこいよ、そのついでに新しい友達できるかもしんねえぞ!と、きっちり差別する者へはツッコんでおきたい。
27. 匿名処理班
トバ事変で人類は約数千〜一万人まで減ってそこから人種が広がっているのでDNAのバリエーションは他のそこそこ多い動物と比べると意外に少ないんですよね。
なので祖先を持ち出して人種差別してる人はほぼ同じ遺伝子同士で貶しあってる非常にスケールの狭い考えに陥ってるとも言えるんです
現代人のどんな人種の交配よりも、デニソワに枝分かれした近縁種が交配した事の方が凄いことだと思います
例えばゴリラとテナガザルが交配してたらビックリしますよね。
とてもちっぽけな事だとは思えません
28. 匿名処理班
※11
区別⇒差別という見解もあるし
知(区別)に対する無邪気な態度が差別の元だという見解もあるらしい
詳しくは分からないけれど…
29. 匿名処理班
正直、デニソワとネアンデルタールを父母に持つ子の骨そのものが出てきてくれるなんて、10年前には夢にも思わなかったんだよね。確率的にそんな発表、自分の生きてるうちには出逢えないんだろうと諦めてた。
発表見て、ディスプレイ前で踊ったよ。自分が生きてるうちに発表された!!って。
過去に混血した人がいたこと自体はDNAからわかってたことだけど、こうして実際に骨があるのはやっぱり、その、うまく言えないけど、本当に感慨深かった。
だからきっと、この記事の第三の人種の詳細も生きてるうちに見れらる。もっと他の発表も聞ける。もっと知ることができる。そう思うだけで、1日でも長生きしたくなるんだ。
30. 匿名処理班
※28 うーん、自分は※12なんだけれど、確かに中途半端に隣グループを知ることが妙な偏見に繋がることは歴史上よくあったし、現代でもよくあると思う。
その反応は人類が小グループで生きてた時代の名残で、縄張り確保には有効だった。実際人類が小グループで生きてた時代は長い。人類史は数十万年、都市形成は一万六千。国際交流都市となると受験でやった世界史の範囲内で、都市から離れた田舎暮らしの人が他大陸人を見るのなんて、ここ数百年もないんじゃないだろうか。
年数重ねてないから新しい環境にまだ適応できてないともいえるし、ほ乳類が野生環境で生きてくために必要だったものだから、なかなか消えないようになってる反応なんだ、ともいえる。
でもその反応の原因や功罪、解消法を追求するのはこの分野の学者さんたちの担当じゃないし、※12※26でも書いたんだけど、差別する人の心境って、突き詰めると仲間意識と孤独と承認のミックスだと思う。ほめてくれる仲間と一緒にいたい。
中途半端に知ることが差別に繋がるなら、誰もがなんでも深く知れば差別なくなって良いだろうとつい思っちゃうけど、人間向き不向きはそれぞれあるもんだし、その多様性は人類の強みでなくしちゃいけないもの。
そうなると、実は愛と優しさを全方位へって※11さんの手法は、世界的な差別解消には間違ってないかも。多数の人に参加してもらわなきゃ、世界は変わらないしね。
優しさ派と研究派、お互いに邪魔しあわないで仲良くやっていけたら、人類はもっと差別解消を可能にできるんじゃないかな。
31. 匿名処理班
※28
「知=区別=差別」では無いからな。特にこの記事が言っているのはAIにより人類と亜種の混合の可能性が高まった事。人種差別主義者は自身の血が何処から来ているか、何処までの混血を許すのか真剣に考える必要が出てきたわけだ。ネアンデルタール人は許せるのか?デニソワ人は白人なのか?パーセンテージは誰が決めるのか?決めた人物は正しいのか?つまり白黒黄の世界から全員グレーに変わったわけだ。
32. 匿名処理班
※30※31
たぶん知にうるさいのは近代以前の反実在論(仏教、老荘、エレア派等)に説得力を認めている人達だと思う
まあ記事とは直接関係ないね
33. 匿名処理班
今生きている私達もいつかは絶滅するのかもなぁ。国際化した社会で混血がより進み、肌や髪や瞳の色や骨格なんかの特徴はどんどん深く混ざりあってまた違う人類として分類されそう。未来の人類が見てみたいな。
34. 匿名処理班
※19
少し離れた狩場まで往復するの面倒だし、夜になったり悪天候とかで帰れないアクシデントに備えて中継拠点を作ろう→だんだん中継拠点の方に普段から住んだらよくね?になる
とかそういうのでも新しい集落が成立したりするそうだ
35. 匿名処理班
※32 どうだろう、あなたが挙げてる思想家の名前も直接は知らない派じゃないかな。意外とあちこちで広く引用されてる内容だから。たしかに記事とは直接関係ないな。
つーわけで記事にかえって、第三人類と現生人類が混血した年代と場所とか、デニーが生きてた時代の人類の料理法を予想しない?(ワクワク)
自分は出アフリカ後、アルタイ山脈よりやや西側あたりでの混血が、第三人類と現生人類の最古の混血だと思う。デニソワ人の出土位置からの平凡な予想だけど。
あと調理法。紙鍋ぽく皮を使って原始的な煮炊きしてたグループはデニーの時代、もういたんじゃないかと思ってるんだ。時代はかなり後になるけど土器発明前によくあった手法だし、デニーの家族はほぼ確実に毛皮を利用してただろう。皮鍋なら石器のようには残らない。もしかしたら現生人類だけが鍋を発明してたわけじゃなく、はるか過去、デニーの時代から皮鍋煮炊きをしてる可能性はあるんじゃないか?って自分は予想してる。
36. 匿名処理班
※34 そうした過程で狩場近くへ引っ越しすると、同じ獲物を追うなかで生まれた関係もありそうだね。それが協力だったのか対立だったのかは、獲物の強さや得られる肉の量にも左右されそうだ。例えばマンモス狩場なら、マンモスが多くいた時代には互いの協力へ繋がっていったんじゃないだろうか。
37. 匿名処理班
※36 ひと昔前のなろうタイトル風に言ったら、「ようやく倒したマンモスに長老も知らない形の槍が深々と刺さってた〜え、俺たちのほかに誰かいるかも?」みたいな。
38. 匿名処理班
※17
現代人のDNAの分布を調べるってのは普通に行われてます。
一般人が参加できるプロジェクトがあるので検索してみて。
遠い祖先がどこから来たのかわかります。
39. 匿名処理班
分かれて広がって再会して交ざって。世界は意外と狭かった?
遺伝子が離れていた方がやっぱり惹かれるのかな?日本でも白人が魅力的に見えるみたいな?