
これは脳に電極を移植することなく、電極付きの帽子をかぶるだけで思考だけで複雑な三次元空間でロボットアームを伸ばし、物を掴むという操作を実現した世界初の事例である。「アームの動きを想像するだけで、操作することができます」と、ビン・ヘング教授は説明する。
Noninvasive EEG-based control of a robotic arm for reach and grasp tasks
脳波を読み取る電極付き帽子を被るだけで思考を動作に変換
操作には、非侵襲的な脳波記録(EEG)を利用した脳コンピューターインターフェース(BCI)による方法を採用する。被験者は64本の電極付きの帽子を被り、これによって微弱な脳の電気活動を読み取る。するとコンピューターが”思考”を動作に変換してくれる。▼電極を移植した実験。思考でロボットアームを操り、チョコレートを掴む

image credit:UPMC
このシステムは従来のBCIの問題を解決したものだ。この技術の初期においては、思考によってロボットアームを動かしたり、神経筋の電気刺激で被験者自身の腕を動かしたりするために、外科手術によって電極を脳に埋め込まねばならなかった。術後の合併症や感染症のリスクがあり、長期的な実験が難しかった。また使用できる状況も限られていた。▼腕の切断部に装着されたロボットハンドを制御するEEG式デバイス

image credit:University of Houston
脳を傷つけることなく脳波を読み取る
より最近では非侵襲的(生体を傷つけない)なEEGも開発されてきた。リスクの大きい外科手術は不要で、頭部に電極を取り付けるだけで済んだ。例えば、2015年には、ヒューストン大学の研究者が、EEGを利用するシステムで、ペットボトルやクレジットカードなどの物を掴むことに成功。腕の切断部に装着したロボット義手は80パーセントの確率で物を掴むことができた。別のEEG式システムによる実験では、下肢の外骨格や思考制御式ロボットハンド外骨格の制御が試みられた。しかし、これらのシステムでは三次元の動作で物を掴んだり、動かしたりということまではできなかった。
手術なして、思考による完全な三次元制御
今回のミネソタ大学のEEG式BCIシステムは、三次元空間でロボットアームを自然に動かすことを念頭に開発された。コップを掴んで水を飲んだり、また前掲の写真にあるチョコレートを食べるといったことを可能にすることが目的だった。基本原理は電極を埋め込んで使用するシステムと同じだ。人間が動いたり、動きを意識したりすると、動きを司る運動皮質の神経細胞に微弱な電流が発生する。異なる動きを思考すると、異なる神経細胞が活性化する。これまでのMRIを使用した研究で、この差異が確認されてきた。最新の研究では、先端の信号処理技術で起こりうる動作を選別した。
▼脳波で操作する3D仮想クアッドコプター

image credit:Bin He / University of Minnesota
このロボットアームの基礎は、ビン・ヘング教授が2011年に発表した非侵襲的EEGを用いた仮想および現実のクアッドコプター飛行実験である。ビン教授は次の段階として、BCI技術をさらに発展させ、麻痺のある患者の体に装着したロボット義足を制御することを計画する。
via:nature・twin-cities・kurzweilaiなど/ translated hiroching / edited by parumo
脳を傷つけることなく脳波を読み取れる時代がついにやってきちゃうとかすごいね。そういや前に、頭の中で考えてることを読み取るデバイスが実現可能かもという記事をお伝えしたが、ちょっと油断すると頭の中身を見られちゃうとか、おちおちアレとかアレのことを考えてらんなくなるな。
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コメント
1. 匿名処理班
サイコミュだ!
アスペルガーの自分も
もしかしたらこういうシステムの方がまともに動けるんじゃないかと思ってしまう
2. 匿名処理班
このまま行けば脳硬化症的な怖さが無くていいな
けど、これが一般的になって精度に限界感じ始めたら…やっぱ埋め込み式の方へ進むんだろうな…
3. 匿名処理班
失った手足を復元させるのが先か機械で補うのが先か、いずれにしろすごい時代になってきたね
ここまで来るとより直感的なデバイスとしてゲームの操作も出来るようになりそうで少しだけ長生きしてみたくもなるね
4. 匿名処理班
すげー、普通にちょっと使ってみたい。
5. 匿名処理班
しかも脳波コントロールできる、が現実になるとは・・・
6. 匿名処理班
こんなコト考えてたんだ…
7. 匿名処理班
しかも脳波コントロールできる!
8. 匿名処理班
きっと今に人格も情報化されて仮想現実の中で生きることになるんだ
ドローンや工作機械にダウンロードされて仕事をするようになるんだ
そうだそうだきっとそうだ
9. 匿名処理班
手塚治虫の作品で鉄の旋律ってのがあったなあ。別な作家にカヴァーされてた。
10. 匿名処理班
アームを頭に取り付けたら重いだろと思ったが
土台が背景に溶け込んでるだけだったのね
11. 匿名処理班
身体欠損とかになっても不自由なく暮らせる日が来ると良いね
2chのハンディキャップ板にあった「海で泳いだり恋愛とかしてみたいなあ」ってレスが忘れられない
12. 匿名処理班
これ応用してお互いに送受信機つけて思考を飛ばしていわゆる、こいつ脳内に直接。みたいなことも出来るようになるの?
13. 匿名処理班
この技術、健常者にとっても使い道が山程あるよね
14. 匿名処理班
>異なる動きを思考すると、異なる神経細胞が活性化する。
右手を右に10センチ動かしたい
左に動いた→違う
前に動いた→違う
下に動いた→違う
右に10センチ動いた→もっと
こんな感じかな
試行錯誤の時間がものすごくかかるな
右手を右に10センチ動かしたときの脳波を断定できない限り、実用は遠い未来の話だ
現代技術では不可能だろな
15. 匿名処理班
サムネ、すっごいでかい装置付きのヘルメットに見えてびびった。
極大ちょんまげかとw
16. 匿名処理班
全身麻痺で意志の疎通すら難しい人が
自分のことを自分でできるようになれば大きな福音だよね
17. 匿名処理班
MSの症状で一時期身体感覚が麻痺してたけど、
末梢からのフィードバックが無いと手脚はちゃんと動かせないのよ
自分の手脚が今どの位置にあるか目で確認しながら動かすという
ラジコンみたいな身体操作になる
歯磨きの時とかコップを掴もうとすると手が感じる圧力感が無いので
力加減が分からずコップがスッポ抜けたり逆に握り潰したりして苦労した
ハイテク義肢には感覚の再現も課題よね
18. 匿名処理班
港湾にあるクレーンにこの技術を応用すれば
わざわざ操縦室まで登らなくてもいいし
コンテナを直近で見ながら上げ下ろしの作業ができる、ってことだよね
19. 匿名処理班
日本には世界に誇る黄色のアームロボットが(仕事脳)
20. 匿名処理班
手足への信号を送るのが体外の物になっただけなら、リハビリしてる人的にはあんまり変わらないか。
21. 匿名処理班
もちろんマスクも付属するよね?
個人的にはギター弾いてるとゲームや読書できなくて二、三本腕ふやしたかったんだよね
特別なものでなく誰もが持つものになってほしいな
22. 匿名処理班
やったぜ!これで手を汚さずにポテチ食えるぜ!
23. 匿名処理班
※10
なんでそんなデザインに…
と思ったのは俺だけじゃなかったか
24. 匿名処理班
思考制御かよ
SAOに近づいたな
早くアインクラッドを作ってくれ
25. 匿名処理班
頭の中がピンク色なのバレてしまう
26. 匿名処理班
ALS患者の不便を一時的に軽減出来るかな?旧麻痺に及んだら食事の楽しみは難しいだろうけど
27. 匿名処理班
すげーな、いよいよ義体の時代の到来か
28. 匿名処理班
これもっと進めばこう、犯罪調査とかに使えそう
容疑者にかぶせてさ
勿論、念入りに調べる必要があるけど
29. 匿名処理班
神経伝達の技術は結構解決されてるみたいだけど、実生活の中の物を見てると
これからの課題は反射速度だよなぁ…
電気信号が脳から伝わる→受け取る→作動する までに時間がかかりすぎて
本人の感覚はともかく他人から見たら「元通り」とまではいってないよね
今後そこのブレイクスルーがあるといいんだけどな