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チェルノブイリで育った放射線を好む菌類、宇宙ステーションへと運ばれる

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(著) (編集)

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 NASAとSpaceX社は国際宇宙ステーションに向け、今後数ヶ月にわたり行われる研究に必要な250種類の道具が積まれた貨物を打ち上げた。中でも際立っていたのが、史上最悪の原子力事故を引き起こしたチェルノブイリ近辺で発見された放射線を好む菌類である。

 1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故の後、灰の中不死鳥のごとく息を吹き返したのは菌類だった。それらは放射線を物ともせず、むしろその地域に順応するように成長したのだ。

 これらの菌類の研究を深める事で将来的に被ばくした患者への治療に大いに役立つのではないかと科学者たちは考えている。

 1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所4号炉は非常用発電系統の実験中のミスにより科学的連鎖反応を起こし、炉心溶融した。地域一帯には健康被害を引き起こすレベルの放射線が降り注ぐこととなったのである。当時の研究者たちによれば炉心溶融により発生した放射線は当時の核弾頭の400倍に匹敵する量だという。

 30年後の今年、地域一帯の生物・作物・住民からは炉心溶融の爪痕が今も尚確認できる。しかしながら、その中でも科学者たちは一筋の希望を見つけたのである。

放射線を好む菌類

 NASAのジェット推進研究所の科学者の一人、カツーリ・ヴェンカテワラン(省略ヴェンカテ)氏はこれらの菌類を国際宇宙ステーションに打ち上げる作戦を指揮した人物である。

 チェルノブイリ事故現場から採取された菌類は、立ち入り禁止区域に指定されていないギリギリの場所で採取され、科学者たちはこれらの菌類が放射線の影響を受けず、むしろ放射線を好んで取り入れる事で成長する性質を持っている事を発見した。

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 ヴェンカテ氏は今回の研究について以下のコメントを残している

 「ローレンス・バークレー国立研究所はチェリノブイリ研究所付近からサンプルを採取する許可を得ています。チェルノブイリ事故の後、初めて命を吹き返した生命は菌類だったのです。私達科学者はなぜ彼らがこういった環境下で生きていけるのか、確かめたかったのです」

メラニンと放射線の関係

 ヴァンカテ氏とジェット推進研究所は世界中で行われる同様の研究を行うグループの一つである。他にも数多くの企業が放射線の影響を受けて尚も生き続けるこの菌類に注目している。研究チームによると私達の皮膚を黒く染めてしまう原因を引き起こす、「メラニン」という成分が菌類を放射線から守っており、放射線を食料に変えているのではないかと考えている。

 「チェルノブイリ事故現場から発見された菌類は他の場所で採取された菌類よりもメラニンの量が極めて多く、これは菌類がその場の環境に対応してきた証拠です。また、採取された菌類の20%は放射線から身を守るだけでなく、それを糧として育っているようです」とヴァンカテ氏は語る。

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 物質的な変化は事故現場から採取された菌類にしか見られない。ゆえに放射線が菌類に何らかの影響を与えているのは明らかなようである。これらの研究は行く行く新たな医療を切り開くのではないかと期待されている。

 今後チェルノブイリ事故現場から採取した7種の菌類、そして過去に国際宇宙ステーションで育てられた菌類1種、計8種の菌類が14日間無重力の宇宙空間で実験され、育てられることとなる。

 その後菌類はその後地球に送り返され、ジェット推進研究所のヴェンカテ氏に送られ、そこで同じ期間地球上で育てられた菌類と比較・検証されるそうだ。

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 「これらの菌類を宇宙ステーションに送るのは、彼らがなにか特殊な物質を作っているかどうかを確認するためです。これらの物質はガン治療や精神病治療を飛躍的に向上させる事ができるかもしれません」とヴェンカテ氏は語った。

チェルノブイリ菌は惑星での農業開拓の鍵に

 だがこれらの菌類の魅力はそれだけではない。

 放射線耐性のある菌類は農業の分野でも大きな革新をもたらす可能性を秘めており、菌類の物質変化やゲノムを紐解く事で、これまで過酷な環境であるが故に農作物が育てられなかった地球外の惑星等でも農業開拓が可能になるかも知れないのだ。

 今回の研究が順調に運んだ後は火星での農作物の栽培などが行われる事だろう。これらの菌類が私達の未来を切り開いていくのかもしれない。

via:cbrneportalmotherboardなど / written riki7119 / edited by parumo

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この記事へのコメント 54件

コメントを書く

  1. 希望ある情報だね。
    でも肝心なのは放射線を食べるより、それを発する放射性物質を食べて集積する菌ならいいんだけどな。
    そのまとまった堆積物を物理的に回収すれば、その周辺の放射線値は下がる。
    “日本の奇跡”の開発は日本の希望

    • +1
    1. ※2
      そうだよな。臭い匂いは元から断たなきゃダメってもんで放射線を出す放射性物質を菌に食わせたら劇的に放射線数値は下がるよな。ただ放射線に耐性を持つ人間の誕生ってのは現段階では厳しいな。人間は細胞が複雑すぎる。コールドスリープでさえクリアーしてないだろ。今後に期待だな。

      • +1
  2. どんな環境にも対応してくる生き物ってのはいるもんなんだな
    それが長い年月をかけてそれに適した生態系をだんだんと作っていくのだろうな

    • +7
  3. >チェルノブイリ近辺で発見された放射線を好む菌類である
    子供が湯豆腐のタラばっか食べるから母親は「この子タラが大好きなのね!」と思うけど、子供の方からしてみれば湯豆腐の具の中でタラが一番マシだから食ってる的な何かを感じる…

    • +1
  4. メラニンはお肌で紫外線をエネルギーに変換していたのだ。

    • +5
  5. このステーションが地球に落下して
    ゾンビやミュータントの爆誕でつね

    • +1
  6. 深海のガスやクジラの骨が好きな生き物もいるし
    放射能が好きな生き物がいても不思議じゃない
    そのうちプラやPCBなどの有害化学物質を
    好む生き物出るかもね

    • +4
  7. 毒だった酸素を吸収する生物が発生したのだから、放射線に対してもあるんだろうけど
    こんな短期間で適応するとは驚いたぜ
    あと、メラニンがというなら遺伝子の多様性が最も多い黒人なら数世紀かければ対応する種が生まれるのかしらね。

    • +11
  8. 通常我々が肉眼で確認出来ない生物こそが生態系を司る長なのはもはや確実。私たちも牧場の一員か。

    • 評価
  9. 生物は生命を維持するためにありとあらゆるものをエネルギーに変換できるこの世で最高のエネルギー産生機能を持った存在なのか。

    • +1
  10. チェルノブイリの事故も無駄なことではないのかもしれないな
    日本も失敗を成功に転換してもらいたいが

    • +8
    1. ※16
      進化してガミラス星人みたいに……

      • 評価
    2. ※16
      プラスチックは好むかは知らんけど石油性のを分解する菌は見つかってるね、菌類ってほんとにこの上ない雑食だよ。むしろこれ菌類の食べれないものを探すほうが難しいんじゃないかな、絶対どこかしらにそれを食べる菌ってのがいると思う

      • +1
    3. ※16
      大阪の廃ペットボトル置場でPET樹脂を食べて分解する菌が見つかったってニュースが少し前にあったな。

      • +1
    1. ※17
      放射線は生命誕生前から地球に降り注いでたんだし、むしろ最も古い古細菌の一つかも知れないな

      • +2
  11. 太古に地球上が放射線で満たされていた頃の生き残りか、先祖返りという可能性もありそう。
    菌と言っても、どの辺りに属するものなんだろうか?アーキアとかワクワクする。

    • +6
  12. スリーマイルも開けたら藻が凄かったっていうね。
    光が差さない環境でも放射線を光合成に利用しているとかなんとか。
    福島第一の原子炉内もそんな感じになっている事でしょう。

    • +3
  13. ゴジラか、ビオランテか、デストロイアか。いずれにせよ碌なものにならないだろう。
    科学を弄ぶことによって生まれた人間の業の上に、我々はさらに業を重ね、遂に取り返しの付かない災厄が生まれる。
    そう、究極の生命体○○○○○○だ!
    みたいなノリで一本いけるネタだろうコレ

    • +6
  14. ほぼ抗核バクテリアじゃねーか!
    これがあればゴジラを無力化できる…薬は注射より飲むのに限るぜ!ゴジラさん!

    • +3
  15. 生き残る為のニッチな選択が放射線だったっていう進化なんだろうなぁ
    やっぱり菌とか微生物とかは逞しい

    • +2
  16. こんなんみつかるしAIは人間より利口になるしナウシカの世界までもうちょいやんけ

    • +1
  17. 本当に放射線の多い所と少ない所で育ててみて放射線を
    好むのか確認する必要があるが、本当に好んでいるのであれば大発見だな。

    • +3
  18. 菌類だと細菌類と区別つかない人いると思うから
    菌類(カビの仲間)とか書いてあげるといいんじゃないかと

    • +5
  19. しってる!こういうの蓼食う虫も好き好きっていうんだろう!
    蓼のレベルが違った。

    • +10
  20. 何がどうすると糧になるのか…想像もつかないなー

    • 評価
  21. たった30年そこそこで放射線にまで適応出来てしまうなんて、やっぱり自然の力には勝てないよなぁ

    • -1
  22. カビとキノコで菌類。
    高放射線下でもいキノコる菌類。

    • 評価
  23. 菌「本当は普通の環境でのんびり繁殖したいんだお…」
    菌「でもこの辺りは事故のせいで、放射線マシマシなんだお…」
    菌「だから放射線食べるお!」

    • +5
  24. そして地球上の全ての人工的な放射能を食べ尽くした菌は怪獣王となって日本に上陸するんですよね分かります

    • +2
  25. 放射線への耐性が強い、までは分かるが放射線を糧にしてるって言われるとうーんほんまかいなと思う
    続報を待ちたい

    • 評価
  26. じゃあこの菌が人類と共生したら・・・
    それこそウイルス進化説の代弁のように
    人類は宇宙進出が容易になると言う事か
    あとチェルノブイリなんかでも余裕で住める様に
    なるしなんか未来がありそうな話だな

    • +2
  27. 誤記について
    >過去に国際宇宙ステーションで過去に育てられた菌類1種
    どちらかの「過去に」はいらないのではないでしょうか。
    いつも楽しませてもらってます。
    これからもがんばってください。
    あとネコカワイイデス ^∇^

    • 評価
  28. 最近はあまり聞かなくなったが、福島第一の事故直後は放射性物質を無害化する菌や微生物といった詐欺が横行していました。
    この記事の菌もあくまで放射線を好むというだけであって、放射性物質を食べる方向にはまったく期待できないものなので注意してください。
    放射性物質を食べて無害化する生物はフィクションの中だけの存在です。

    • +1
  29. この菌、放射能食べるのか?!生命って恐ろしい。
    日本もこの菌分けてもらって繁殖させれば放射能を食べて減らしてくれるのかな?
    ナウシカの「腐海」そのものな気もするが。

    • +2
  30. もしこれが映画だとすると最近が宇宙で急激に成長してエイリアンになるんだろうなW

    • 評価
  31. とても興味深い生物。
    放射線に耐えるだけでなく、エネルギー源として利用しているというそのメカニズムは、
    メラトニンが関係すると書いてあるけど、実際のところどんなものなんだろう。
    ちなみに放射性物質を取り込んで、減衰(無害化)させる生物なんて居たら世界がひっくり返ります。
    効率よく集めて蓄積してくれるだけでも、今世界で持て余している放射性廃棄物の減容化にすごく役立つけど。

    • +2
  32. 太陽光発電みたいに放射線から直接発電できたら永久電池作れるな。

    • +1
  33. 古生物にとって有害だった酸素をエネルギーに変えることで動物種が爆発的に進化したように、放射線が多すぎる環境で放射線をエネルギーに変えられれば爆発的に進化する可能性はあるんだよな

    • 評価
  34. 葉緑体は光という電磁波を利用して生きている。
    一方このカビは、放射線という電磁波を利用して生きているんだな。
    そう考えるとアリな話だ。

    • +1
  35. まだ放射線と放射能の区別がつかない人がいるな。

    • 評価
  36. つまり松崎しげる氏のみがチェルノブイリや福島原発の最深部に到達可能な救世主である可能性が…?

    • 評価
  37. こいつは酵母菌なんだ。
    福島に持っていきたいと事故後に厚生省に言ったら、10年後何になるのか分からないからやめてくれ、と言われたよ。

    • -1

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