世界で7番目に汚染された都市、ロシア・ノリリスク

　ロシアの首都モスクワから3千キロ、北極圏から北に640キロ、中央シベリア高原の北西部に位置するノリリスクは世界で7番目に大気汚染のひどい都市だ。

　人口は約17万人、ニッケル生産の世界最大手であるノリリスク・ニッケルが操業する世界有数のニッケル鉱山があるほか、銅やコバルトなど種々の金属を産出する鉱山都市である。 　年間のニッケルの産出量は30万トンにのぼり、ロシア国内のニッケル産出量の96%、世界の17%を占める。狭い地域での過度の鉱山操業は、深刻な大気汚染をもたらしている。年間約200万トンものガスが排出され、現在も市民たちの健康に被害を及ぼしている。

　ノリリスク市民の平均寿命は60歳とロシア他の地域に比べ約10年程低く、多くの人ががんや呼吸器疾患、うつ病を患っている。がんになるリスクは、他の国に比べて2倍にもなる。 　ノリリスクに住む市民たちは何を思い、この地で暮らしているのだろうか。

　学校が夏休みなると、子供たちの多くは祖父母が住む他の地域へと送られる。しかし、他に行くところがなく、ノリススクに残る生徒も多数いる。政府はこういった子供たちのために、街の中心街にある学校の中に子供たち用のキャンプを編成する。このキャンプでは、軍事訓練が行われたり、コサックに参加したりする。 　88歳で亡くなったアンナ・ワシリェヴナ・ビーガスは、19歳の時にソビエト軍によって家族から引き離され、ウクライナ西部にある故郷の村からグラッグ刑務所に10年間収容された。 　ビーガスは、ノリリスクのメインとなる道路、Lenin通りの建築に強制的に働かされた。自由の身になった29歳の時には、周りには知り合いが誰もいなかった。彼女は当時の頃についてこう語っていた。「グラッグ刑務所にいる時の唯一の楽しみは歌うことでした。皆で歌うことで、生きる気力を得ていました。」ビーガスは、2012年10月30日、ロシアの政治的弾圧の犠牲者の日に死亡した。 　ノリリスクには癒しとなる緑の空間がほとんどない。バスで30キロ移動し、そこからかなり歩かなければ、自然の残っている所までいけない。また、ノリリスクの町の建物は暴風雨を防ぐために、建物同士が近くなるよう建築されている。 　ノリリスクに住む若者たちは、この街から出ていきたいと思っている。若者たちは、他都市の高校に通い、そこで仕事を探せるためになんでもする。厳しい気候、環境問題、他に行くところがない。彼らの抱える悩みは切実だ。このままでは鉱山で働くぐらいしか道がないのだ。

　厳しい寒さに見舞われたノリリスク via:featureshoot・原文翻訳：Copris

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