
その点に着目した米バージニア大学文化心理学のトマス・タルヘルム氏率いる研究チームは、稲作も麦作も行っている中国を対象に調査を行った。
その結果、気候、言語・文化などに関わりなく、歴史的に長く稲作を行ってきた地域出身の人々は、和を重んじる全体主義的な傾向があり、麦作を行ってきた地域出身の人々は自立した個人主義的な傾向があることが分かったそうだ。 稲作を行うには全体的な労力が麦作よりも大きく周囲の協力が必要不可欠である。稲作農家は連携して入り組んだ用水路を整備したり、作業を互いに手伝ったりしなければならない。長い年月の中で、このようなチームワークの必要性が相互依存的、集団主義的性質を生んだのであろうと、タルヘルム氏は推測する。
それに対し麦作(小麦)は、他の農家と連携しなくとも栽培できる。それ故に自立的、個人主義的な性質を生んだと解釈できる。

あるテストでは学生に、「列車」「バス」「線路」など3つ1組にした言葉を見せ、その中で共通点のある2つを組み合わせるよう指示した。
その結果、稲作地域出身の学生は「列車と線路」のように具体的な関係に基づいた組み合わせをする傾向があったのに対し、小麦生産地域出身の学生は「列車とバス」のように抽象的な類似性に基づいて分析した組み合わせを選んだ。

さらに稲作地域出身の学生は、友人に対して助けてあげたいという気持ちが強く、一方で罰する傾向は弱かったという。これは、社会面および仕事面での相互関係において、集団内の絆がどれほど優先されているかを示すものだ。
タルヘルム氏は作っている穀物の違いが人々の性格や価値観、社会性に反映されるというこの理論を、「稲作理論」と名付けた。

via:lifestyle・nationalgeographic・afpbb
米を主食としている日本も古くからずっと稲作が中心として行われてきたわけだが、全体的に見て、欧米諸国に比べたら、極めて個人主義的な考えを持つ人は少ないように思えるね。現代では、都会でずっと暮らしてきた人と、田舎で育って稲作と多少なりともかかわりがあった人でも違いがあるんじゃないかな?
個人主義と全体主義のどちらが良いとかいう話じゃなく、環境によって、有利に生きられる考え方を選択したってことだね。ひとつの理論としては面白いかもしれないね。
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コメント
1. 匿名処理班
労力はむしろ麦を主食としてる方が必要だし、チームワークも必要。
この研究結果は間違ってる。
ご飯=米、水
パン=小麦粉、水、イースト菌、バター、卵、砂糖、塩
2. 匿名処理班
同じカロリーが摂れるなら麦の方がいいということはわかった
まあ米の方が好きだけど
3. 匿名処理班
意味の無い研究。エジプト文明はどう説明するんだよ。
4. 匿名処理班
この稲作・小麦作地域の違いが個人主義・全体主義の境目になっている、という分析は正しいのかもしれない。
ただもう少し調べてほしいと思う。
全体主義の文化で暮らしている人間は「個人主義」を正確に把握していないのかもしれないと思うことがある。
小麦は確かに水田のような水源争いや管理はないかもしれない。
でも小麦粉は取った後に挽かないと食べられない。
ヨーロッパでは長い間、粉引き屋が庄屋のような地位を占めてきた。水車小屋はステータスの現れだった。
コミュニティに一軒しかない水車小屋からハブられたら、いくらじぶんちだけで作れますといっても即、死に瀕する問題だった。
だからか、「チーム」、日本語に溶け込んで見えるこの単語の概念を本当の意味では日本人は理解していない、と、英語圏出身で日本人の精神構造をよく理解してもいる教授に言われて目から鱗だったことがある。
全体主義の人間の協調性と、個人主義の人間が集まったチームとは、集まることで生存のチャンスを高める草食動物の群れと、役割分担で狩りをする肉食動物のチームぐらいの違いがある。
5. 匿名処理班
水理。
6. 匿名処理班
必ずしも当てはまるとは言いがたい気がするけど
それでも面白い観点だ
他の地域でも同様の調査をしてみてほしいね
7. 匿名処理班
和辻の風土かと思った
8. 匿名処理班
この話は興味深い。
それとは別に、中国が単一文化だというのは中共のCMであって、それをナチュラルに「中国を単一文化とみなすことは簡単だが」という書き方で始まるのは実は恐ろしことだ。中国の世界への洗脳がうまくいっている証拠だから。
あんな広大な土地が全部漢民族の土地ですよですよ、という印象付けが進んでいるということだ。
先日TVCMでブルース・リーがきれいな北京語を話すところを見て、香港人が不快感を露わにしたそうだ。香港は広東語だ。
9. 匿名処理班
稲作は水路周りの利権が特に個人主義の個の字が見えた時点で村八分なぐらい厳しい歴史があるからなぁ
台風の日に水路見に行って亡くなる方も、自分の田んぼだけが心配だからじゃなくて、水路が壊れると地域一帯がダメになるからなんだよね。
皆で行けよ、とは思うけど
10. 匿名処理班
最近の日本でも「個人主義」は増殖してるね。最たるものが「自己責任」厨。死ぬも生きるも自己責任で、決して困ってる人に手を差し伸べようとはしない。そのくせ全体主義的で他人のミスを見つけると得意気にツイッターで晒しRT炎上、2chスレ乱立みたいな相互監視社会(チクリ)の先進国。まるで社会主義国家の秘密警察の仕事だね。
日本企業の文化も昔の村社会と同じで本質は相互監視の共産主義的なシステムになっている。分かりやすく言えば「出る杭」を叩き潰し、派閥間の足の引っ張り合いで有能な人材を徹底的に潰し合う官僚主義的集団と言える。例えば、何かに秀でた人をマスコミで祭り上げた後でスキャンダルまみれにして叩き潰す光景を、日本人は何度も目にしているはず。あれを会社の中でやり合うのが日本の会社。仕事なんか二の次で、実に非効率で生産性を下げる愚かな慣習。「倍返し」が去年流行ったけど、あれよりひどいのが日本企業の日常だったりする。就活生はガッカリするだろうけど、それが現実なんだ。
内弁慶なくせに外向きにはペコペコ頭を下げる卑屈な国民性。個人主義と全体主義のどちらが良いかは結局、国民の幸福度によるんじゃないかな?ただ、毎年3万人が自殺して7万人が不審死(大部分は自殺・孤独死)する日本がはたして幸福なのか?もう答えは出ているよね。
個人的には、他人を貶めるよりも他人と助け合う方がよいとは思うけれど、人生の大半を通じて他人に裏切られ続けていると、さすがに凹む。「日本は死んだ」とさえ思った事もある。それでも自分は他人を助け続けてる。やめたら「負け」だから。そして何よりも、わずかに残っている、他人に手を差し伸べる事を厭わない人たち、その一人であり続けたいから。他人を踏みつけにし続けた人生よりも、他人を助け続けた人生の方が、きっと安らかに死ねると思うんだ。みんなはどうかな?
11. 匿名処理班
大昔から中国は北と南で明確に個性が分かれてたのに、単一文化と見なすなんて事はないと思うけど
12. 匿名処理班
これ、別に革新的な発見でもなんでもないんだけどね
ずっと昔に日本人評論家が殆ど同じことを書いてて、その文章は高校受験の国語の問題の定番になってるよ。
13. 匿名処理班
小麦は主食じゃなくて、あくまでも肉の副え物だと思う
鯖田豊之氏の名著「肉食の思想」を読むべき
14. 匿名処理班
米研究になんかニヤッとした
15. 匿名処理班
稲の北限と麦の南限が重なるようになったのはほんの300年ほど前のことで、それ以前は稲作地帯と麦作地帯の間には米も麦も作れない雑穀地帯があった。
日本と周辺国の場合だと朝鮮半島や日本の東北地方がこの雑穀地帯だった。
雑穀地帯では米や麦の代わりに蕎麦やモロコシや稗や粟が栽培されていたため、それらの雑穀を使った伝統料理や伝統菓子が伝わっている。
16. 匿名処理班
言われてみればその通りって感じだね〜
日本の村八分なんて集団意識の顕れそのものだよね
17. 匿名処理班
※4
奴隷使ってたんだから関係ない
18. 匿名処理班
※16
少なくとも30年前には言われてた事だよね
19. 匿名処理班
米 研究
20. 匿名処理班
中国の国民性として『和を重んじ』とは思えないんだが
どーだろ、当てはまる個所もあるけど当てはまらない個所もたくさんある
「傾向」としてもどうなんだろ
21. 匿名処理班
稲作食文化の中でも、日本から東南アジア・インドまで多様な文化があるし、小麦食文化のなかでも西欧から中東まで様々な文化があることを考えると、コメと麦との間の差というのはそこまで大きな要因になっているのでしょうか?
むしろ問題は、社会の間で共有される価値観といったものを、「科学的」で「客観的」に見えるこういった農業生産と摂取食物とに短絡的に結び付けて納得してしまうところだと思います。こうした発想は、「納得するため」のものなので、新鮮な驚きと新たな視点を提示してくれはしません。
22. 匿名処理班
米作も色々あるしなあ
それに巨大トラクター使った近代じゃあるまいし麦だって家族だけじゃつくれんだろ
23. 匿名処理班
※21
こういう視点ってアナール学派っていう
歴史学の方法を取り入れてるんだと思うよ。
主食の栽培の様態が文化に与える影響って
のは大きいと言われてて例えば小麦なんかは
ずっと栽培してると土地が痩せてしまうので
土地を休ませてる間に牧畜が発展した、とか。そういう見えづらい環境が与える影響を
明らかにしていくのがアナール的な手法。
24. 匿名処理班
こういった風土とそこに住む人間の性格やパターンを結びつける研究結果は、今の御時世時代遅れの珍説扱いだと聞いたことがあるけど実際のところどうなんでしょう。
25. 匿名処理班
コメ1
何言ってんの?
麦をパンにするのにどんな手間がかかってると?
粉屋が挽いて、パン屋が焼く
麦自体、直播き、麦踏み
自分ちでパン焼くなんて珍しいらしいぞ
米は苗床で育ててから手植えだぞ?しかも水の管理、雑草取り、乾燥も綺麗に杭や柵に干して、乾燥したら脱穀、毎日自分で竈で炊く
米には八十八の手間がかかっていると言われているのに
そもそも酪農民族と、非酪農民族のメンタリティが同じはずがない
26. 匿名処理班
確かに、アナール学派にそういった理論はありますが、それだけがアナール学派の特徴ではなくて、政治史的な時間制、経済構造の時間制(※29さんの指摘する部分)、地質学的な時間制という重層構造を設定したことがこの学派の画期的だった部分なのです。むしろ、この部分だけとるなら、マルクス主義史学の「下部構造は上部構造を規定する」(ある社会の経済構造がその社会の精神性を組み立てている)というあのテーゼの方をまず指摘した方が適切ではないですかね。
本文の誤解を招きがちなのが「全体主義」で、これは引用もとの英文の中ではtotalitarianismではなくてholisticという語を苦肉の策で訳したものだと思いますが、第二次世界大戦以降のあの政治体制と指向性を意味してしまうのでまずいでしょうね。問題はあくまでも中国国内での文化的差異なので(その部分は少し勘違いしました)。
あと、ここでの問題は、麦生産社会の集団倫理と米生産社会の集団倫理が異なった発達をするということを示したいので、どちらが作るのが大変かとかは正直問題にならないです。
27. 匿名処理班
そもそも狩猟採集民で肉食動物に近いバックグラウンドを持つ遺伝子の民がタンパク質のおい麦を好み農耕の歴史の長い草食の民がよりコメを好んだんじゃないかな
28. 匿名処理班
※22
エジプト文明で農耕やってたのは自由身分
奴隷身分は数も少なかったので、広大な土地で労働させるほどいない。もっぱら家内仕事してたんよ
29. 匿名処理班
※7
全体主義っていうと一党独裁のファシズム的な意味に受け取られがちだから、この場合は集団主義と言った方が良いと思う。細かいことだけど。
30. 匿名処理班
※35
日本の場合は村・集落を単位とした共産主義だったものが、今は企業や自治体を単位とした社会主義に変化してる。どちらも全体主義的な要素があって、規則を破ると集団から追放されて生きていけなくさせられる。これって「村の掟」が今も形を変えて残っている証じゃないかな?「一個人よりも村全体」は「一社員よりも会社のため」とあまり意味は変わらない。それがいい場合もあれば悪い場合もある。世の中難しいね。
31. 匿名処理班
※2
麦食はパンに限った事ではないし、そのパンもバター・卵・砂糖は無くていいだろ。
32. 匿名処理班
※2
※31
水と塩だけで発酵なしに作れる小麦料理
うどん、おやき、肉まんの皮、ぎょうざ(皮のみ)、しゅうまい(皮のみ)、お好み焼き
日本料理、中華料理だけでもこんなにあるよ。
33. 匿名処理班
お好み焼きはよく考えたら卵入っていたから、なかったことにしてください。
34. 匿名処理班
なんか結果が先にありきな感じの研究やね
35. 匿名処理班
米7なんだけど、あと、
小麦は播いた種1粒から何粒の麦が収穫できるかっていう率が、米の数分の1しかないこと、
緯度が高い冷涼な気候のために食べ物全般の確保が厳しい、というのもあると思う。
食べ物の確保が厳しい地域は独立独歩の精神が発達しやすい。(犬とか他の生き物でもそうなんだけど)
小麦も米もないイヌイットは徹底的な個人主義同士の協力で成り立つ社会という。
アラビア半島も個人主義よりの地域。
36. 匿名処理班
稲作ベースの共同体論ってのはWW2の大東亜共栄圏の精神的ベースじゃなかったっけ?w
別の観点で稲作の作柄の不安定さから、凶作時にエリアを越えて助け合わないと生き残れないので、助け合うモラルが生まれたとかってゲーム理論的な話もあったはず
37. 匿名処理班
欧米では照葉樹林文化論は知られとらんのか。植生と文化を結び付けた30年も前のカビの生えた古典だぞ。鯖田豊之と同時に中尾佐助を読めば日本人はすでに通った理論というのがわかる。