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半分動物で半分植物。それがイソギンチャクの正体だったらしい(オーストリア研究)

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(著)

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 これまで、イソギンチャクは動物に分類されていた。しかし、今年ゲノム・リサーチ(Genome Research)に発表された2つの研究からイソギンチャクは遺伝的に半分植物で半分動物であることが分かった。

 今回の研究でイソギンチャクの今までの分類学的な位置は変わらないが、地球の生物がいったいどのように相互に関係しあってるかを解明する手がかりとなる。

イソギンチャクの転写と翻訳

 この研究を率いたオーストリア、ウィーン大学、進化発生学のウルリッチ・テクナウ氏はこう話す。「人を含め全ての動物は植物とは遠縁である。しかし、イソギンチャクは刺胞動物門と呼ばれる動物群の代表であり、ごく初期に分岐し、多くの祖先的な特徴を持っている。」

 今回の研究で研究者たちは遺伝子発現の仕方に注目した。遺伝子発現とは、遺伝子の情報からタンパク質やRNAなどといった産物が合成されるまでの過程のことである。遺伝子発現は「転写と翻訳」と呼ばれる、少なくとも2つの主要な段階を踏まえて行われる。

 「転写」とは遺伝子配列からRNAが作られるまでの過程の事である。「翻訳」とはmRNA(メッセンジャーRNA)の配列をアミノ酸配列に変換しタンパク質を合成するまでの過程である。

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動物と植物両方の特性を合わせ持つイソギンチャク

 研究グループは、イソギンチャクで行われる転写の制御方法を他の動物と比較したところ、動物間で行われる方法とほぼ同じであることがわかった。ところが翻訳の制御方法は、動物ではなく植物のものと類似していた。

 「動物の遺伝子発現は長い時をかけ進化してきた。」共著者であるミケーラ・シュワイガー氏はこう説明する。「イソギンチャクは複雑な遺伝子制御を行っている。この方法は約6億年前、私達人間やハエ、イソギンチャクの祖先にあたる生物が生まれた時にはすでに存在していたのかもしれない。」

 イソギンチャクはとても早い段階で分岐した為、植物と似た転写方法を維持したままだったと考えられる。他の昆虫や脊椎動物の祖先は分岐した時には既に、植物の制御方法を失ったか、大きく方法を変えたと考えられる。

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人間やハエと共通の先祖

 テクナウ氏は、イソギンチャクと人間、ハエの祖先は基礎的な神経系と口、消化管を持った単純な形をした生き物であったのではないかと推測している。

 ジェームズクック大学のサンゴゲノム解析グループのデイビット・ミラー氏は今回の研究について完璧でとてもすばらしい研究であると述べている。

「刺胞動物は典型的な動物の遺伝子を制御するのに植物に似たシステムを採っている。しかもその制御される遺伝子はイソギンチャクや私達に共通してあるものだ。これは凄いことだ。」

via:discovery・原文翻訳:Copris

 イソギンチャクは6億年前から地球上に存在し、その命を絶やすことなく適応させながら今に至っているわけだ。水中恐るべし。植物とか動物とか、なんかもうそういう概念取っ払った、とんでも生物がまだまだたくさん潜んでいそうだ。

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この記事へのコメント 28件

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  1. なるほど
    つまりイソギンチャクは不思議なのか

    • +11
  2. 食虫植物で触るとバーンて閉じるやつは動物に近くないのかな?って思った

    • +1
    1. >>4
      ホヤはどっちかつーと脊椎動物に近い系統。
      ナマコはウニとかヒトデの仲間。

      • +5
  3. 「翻訳」に植物的な制御方法を使ってるのは、イソギンチャク類だけなんだろうか、それとも刺胞動物門全般にいえるんだろうか?

    • +2
  4. まあ動物ですって言われてもパッとしないもんな
    動物と植物の間にいますって言われたほうがすっきりするわ

    • +8
  5. もう伝統的な生物分類だけではゲノムで見えてくる分類と噛み合わなくなってきてるな。
    ゆくゆく大規模に再編しようって流れになるんかな。

    • +1
  6. 分岐の初歩段階という意味では、確かに植物に近いかもしれない。
    ただ、それは原始的な生物というだけの意味しかなく、
    より発展した植物からはやはりかけ離れた存在といえる。
    イソギンチャクに限らず、原始的な生物は系統樹の根元に近いという
    ただそれだけのこと。

    • +18
  7. あえて言うなら、動物になりきれなかった植物・・・か・・・

    • -3
  8. 案外、地球の生物って、個体や種の系統進化じゃなくて
    ウイルスとか食物連鎖とか地球環境全体を利用した
    遺伝子レベルでのネットワーク全体の進化
    やってるのかも知れないね

    • +3
  9. 痛覚を退化させたのが植物でストレスに快感を覚えたのが
    猿なんでしょ

    • 評価
  10. ウミシダとかカイメンとか、昔から植物疑惑のあった奴は他にもいっぱいいるよね
    あいつらも怪しい
    再審請求するべきと思う

    • +2
  11. 植物と似てるのは翻訳なの?転写なの?序盤は動物観とほぼ同じ転写方法とあるのに、中盤に『植物と似た転写方法を維持したまま』と書いてるが・・

    • 評価
  12. それにしてもこう…背筋がぞぞっとくるデザインのイソギンチャクさんばっかりですね…凄い柄だ……

    • 評価
  13. 半分植物で半分動物というのは言葉のあやで、動物なのは間違いない。
    それより植物から引き継いだ特徴が見つかったというのが衝撃的。
    多細胞動物の起源として、襟鞭毛虫→カイメン説と繊毛虫→刺胞動物説が
    あるがイソギン有利になったのかもしれない。
    繊毛虫は藻類に近いと言う説もあるし、エディアカラ動物群の中にはこれは
    どう見てもイソギンだろっていう容姿のエディアカリアってのもいる。

    • +2
  14. つまりピクミンはイソギンチャクだった・・・?

    • +9
  15. 同じ刺胞動物のクラゲは岩についた芽から「生えて」くるよね。それよりもキンチャクガニが持っているイソギンチャクがどこから発生するかの謎も解明してほしい

    • 評価
  16. 昔の仮面ライダーの怪人で「イソギンチャック」ってのがいた。
    ・・・それだけのことだ。

    • 評価
  17. >23
    ttp://www.amsl.or.jp/midoriishi/23_31.pdf
    キンチャクガニが持つことによってカニハサミイソギンチャクになるんですってよ!

    • 評価
  18. あれ磯巾着って腔腸動物と習ったが…とゐきったら、今は有櫛動物と刺胞動物に分けられてるんだね。おいちゃん、系統分類学好きだったけど、日々フォローしてないと学問の進歩に取り残されるのか…他にも自分では気づかずに陳腐化してる知識があるんだろな。はぁ…

    • 評価
  19. 気になるのはクラゲというかヒドロ虫のやつらだなあ。うまくすればヒドロ虫と花虫(イソギンチャク)とどっちが先祖型かわかるかもしれない。

    • 評価

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