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アル中と戦った10人の作家

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(著)

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 過剰なアルコール摂取は、予防することができる死因のひとつだ。アメリカの疾病対策予防センターが2012年に発表した統計によると、毎年、8万人がアルコールが原因で命を落とすという。健康に害があることはもちろん、アルコール依存症になったり、子供がネグレクトされるなど、家族にもその影響は及ぶ。

 アルコールの障害は、貴賤問わずあらゆる人間がなりえる。これからあげる10人の作家は、その生涯の中で家族の中毒も含めて自らもアルコールと闘い、その苦しみの中でさえ、文学、詩など優れた作品を産み出した者たちだ。

10.ウィリアム・フォークナー

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 アメリカの偉大な作家のひとりと言われ、ノーベル文学賞、ピューリツァー賞(2回)を受賞している。1897年、ミシシッピー州オールバニーで生まれたこの作家は、アルコールという特殊な道具を使って、『響きと怒り』や『死の床に横たわりて』などの作品を産み出した。

 彼はかつて酒に酔った状態で書いたらしい文章で、フランス人翻訳家を困らせた。よく夜に執筆するので、アイデアがまったく浮かばないと、手の届くところにウィスキーを置いておくのだと、本人も認めている。ひとつの作品が完成するとたいてい酒を飲んでのどんちゃん騒ぎが始まり、次の小説を書き始めるまで何週間も続くこともあった。それでも1962年、64歳で心臓発作のため亡くなるまで書き続けた。

9.ジョン・チーヴァー

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 1912年、マサチューセッツ州クインシー生まれ。父親のフレデリックが飲み代に金をつぎ込んでしまい、幼い頃からアルコール依存症の影響をじかに受けた。チーヴァー自身は20年間アルコール依存症に苦しみ、バイセクシャルであったこともますます依存症に拍車をかけた。

 この体験は、ニューヨークで、離れ離れになっていたアルコール依存症の父親に会う少年の話として、1962年の短編『再会』となって生まれた。いわゆるこの“郊外のチェーホフ”は、アルコール中毒のせいで致命的な肺水腫になってもなお酒を飲み続けた。

 1975年、ホームレスたちと酒を酌み交わしながら、放浪しているところを警察に保護され、ニューヨークのアルコール依存症治療訓練センターに入れられた。7年後、70歳でガンのため死亡するまで、酒は一切飲まなかったという。

8.ドロシー・パーカー

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 彼女の著述や批評は、本人同様、辛辣で自虐的なことで有名。このアルゴンキン・ラウンドテーブル創設者は、1893年、ニュージャージー州ロングブランチでドロシー・ロスチャイルドとして生まれたが、生涯極度の鬱とアルコール依存症と闘った。

 ニューヨークのもぐりの酒場にいりびたり、バーテンに何を飲むかと訊かれて、おもしろくないものと答えたという話が伝わっている。サナトリウムでは、医者に対して部屋は快適だが、一時間ごとに自由に酒を飲む時間が必要だと言ったという。アルコールのせいで結婚生活は破綻し、1967年、73歳で心臓発作のため亡くなるまで、多くの作品を書き続けた。

7.エドガー・アラン・ポー

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 不気味さや謎をミックスし、探偵小説のパイオニアとして有名。1809年1月、ボストン生まれ。妻ヴァージニアを結核で亡くした悲劇から、特にアルコールにおぼれるようになったという。その後、詩人のサラ・ヘレン・ウィットマンに求婚したが、アルコールをやめたら結婚する言われてもやめず、ついに婚約は破棄された。

 1849年40歳という若さで亡くなったが、その死はいまだに謎に包まれている。アルコールが原因だと言われ

ているが、コレラ、心臓疾患、結核など死因はいろいろ言われている。

6.トルーマン・カポーティ

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 1924年、ニューオリンズでトルーマン・ストレックファス・パーソンズとして生まれる。両親の離婚によって複雑で荒廃した子供時代を経て、母親と長く離れ離れになったり、さまざまな人生の激変が、彼のランドマーク的小説『ティファニーで朝食を』や『冷血』を生んだ。

 彼の晩年の飲酒は、母親も苦しんだアルコール依存症に端を発していると言われている。何度もアルコールを断とうとしたようだが、数ヶ月はうまくいっても、また元の木阿弥になってしまった。また、『冷血』を出した後、神経を鎮めようとして服用した精神安定剤依存症とも闘った。1984年、肝臓ガンのため、59歳で死去。静脈炎と多くの薬物中毒も死因だと言われている。

5.ジェームズ・ジョイス

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 1882年、アイルランドのダブリン郊外で生まれた、20世紀のパイオニア的作家のひとり。父親がアルコール依存症気味だったため、ジョイス自身もそうなる危険性をすでにはらんでいた。結局、ジョイスの息子もアルコール依存症になった。

 もっとも有名な1922年の小説『ユリシーズ』は、酔っぱらった状態で書かれたといい、ジョイスもアルコールがなければあそこまで書けなかったと認めている。逆境に立ち向かう手段として大量のアルコールに頼ったにもかかわらず、機能的なアルコール依存症として、1941年58歳で腹膜炎のため亡くなるまで作品を算出し続けた。20世紀最大の作家としてのは誰もが認めるところだ。

4.ハンター・S・トンプソン

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 ゴンゾー・ジャーナリズムというスタイルを作り出した、アメリカン・ニュー・ジャーナリズムの旗手。1937年、ケンタッキー州ルイヴィル生まれ。若い頃に、ニューヨークの編集者たちとの初めての会合で、ワイルドターキーのダブルを3時間で20杯飲み干し、けろっとしていてみんなを驚かせたという。

 彼の人生にウィスキーはなくてはならないものだったが、ほかのスピリッツ、カクテル、ビールも飲み、数々の暴言と同様、酒が好きなことを弁解しなかった。2005年67歳で自ら命を絶ったが、最後まで辛口のジャーナリズムを貫いた。

3.カーソン・マッカラーズ

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 わずか23歳のときに、ベストセラー小説『心は孤独な狩人』を書いた。その後も一貫して、失われ踏みにじられたアメリカ南部をテーマに小説を出し続けた。

 1917年ジョージア州コロンバスで、ルーラ・カーソン・スミスとして生まれた。生涯、アルコールと縁が切れず、朝はビール、続いてシェリー、夕飯前にマティーニ、夜通しパーティで飲んでいたという。自らアルコール依存症について掘り下げ、1951年に出版された短編『悲しき酒場の唄』の中の、A Domestic Dillemmaという一編に、飲酒問題で苦しむ家族の話として反映させている。彼女自身、ずっと病気に苦しみ、1967年、脳出血のため、50歳の生涯を閉じた。

2.チャールズ・ブコウスキー

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 1920年、ドイツ生まれのハインリッヒ・カール・ブコウスキーは酒をこのなく愛し、地球上でもっともすばらしいもののひとつと言っている。10代の始めから、すでに酒を浴びるように飲み、それは彼の小説や詩にも表れている。

 1987年の伝記映画『バーフライ』は、ブコウスキー自身が脚本を書き、ミッキー・ロークが酔っ払い作家の分身ヘンリー・チナスキーを演じた。数年筆を折っていたのは、着想が浮かばなかったからではなく、映画の中で描写されているように、単に飲んだくれていたからだけだった。桁外れに酒を飲むことで、もともと内向的になりがちな彼の性格の助けになっていたのは確かで、ブコウスキー自身、アルコールが生きる理由を与えてくれると言っている。1994年、73歳で白血病のため死去。

1.アーネスト・ヘミングウェイ

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via:socialworkdegreeguide・原文翻訳:konohazuku

 『老人と海』や『武器よさらば』の作者であるこのノーベル賞作家は、旅に関するユニークな見解をもっていて、その土地の文化を知りたいなら、そこのバーでひと晩過ごせと言った。ヘミングウェイ自身はバーに精通していて、フロリダ州キーウェストにあるスロッピージョーズという酒場の有名なパトロンだった。

 1899年、イリノイ州オークパーク生まれのこの作家は、15歳のときから酒を飲んでいたという。さんざん飲んだくれてもけろりとしているように見えたが、アルコールは確実に彼の健康をむしばんでいた。1961年61歳で、うつ病から自殺した。

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この記事へのコメント 29件

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  1. あれ?スティーヴン・キングも入ってると思ったんだけど・・・
    あの方はヤク中のほうが有名だからかな

    • 評価
  2. ヘミングウェイのネコは酒くらい余裕でたしなんでそう

    • +3
  3. お酒は自分だけでなく他人にも多大な被害を与えるから
    タバコ並みかそれ以上の免許制にして欲しい
    と小売業から言わせてもらいたい

    • +7
  4. ごめん
    俺おっちゃんやから、こんな時は、中島らもしか思いつかん。
    堂島のトークショーでアホな質問して、会場バカ笑いさせたのは一生の思い出

    • +2
  5. 日本人作家なら中島らもだろな
    自分の小便で危うく失明って

    • +21
  6. アル中と戦ったって言っても、負けてるほうが多い気がするんだが
    単に「アル中だった作家」でいいだろ

    • +14
  7. 首までどっぷり漬かった人ばかりで、あんまり戦っていないんですけど。

    • -1
  8. レイモンドカーヴァーが入ってないのは
    知名度が低いから?詩人枠だから?

    • 評価
  9. アル中は、忘れたり薄れたり飽きたりする事は有るが、
    決して抗ったり打ち勝ったり面と向ったりする事は出来ない。
    飲んでる時点でもうペナルティ負ってるから、絶対に勝ち目無いねんw

    • 評価
  10. 俺的にはレイモンド・チャンドラーだな。
    誰が言ったか「医者は患者から酒瓶を取り上げることはできるが、酒を飲む理由を取り除くことはできない」んだとさ・・・言い得て妙だろ?

    • +7
  11. 意外とある程度の年齢まで生きた人多いじゃん。

    • +1
  12. 日本だとやっぱりらもさんだよね・・・
    「今夜すべてのバーで」は生涯忘れられない名作
    俺は12才の時に読んでしまったけど・・・
    若い方はお酒を飲める年齢になってから
    読むことをお勧めします
    ヘミングウェイの館は今プチテーマパークになってるみたいだね
    当然、庭も中も猫だらけ
    団体様ご一行が来ても、デスクやガラスケースの上で平然と寝そべってる
    暖かい土地でカクテル飲んで猫に囲まれて一緒にゴロ寝してられるのなら
    何百年でも生きていたいぞ!

    • +1
  13. 普通の人を超越するには、普通の状態を超えるための何か道具が必要なんだと思う。
    それが、人によっては麻薬であり、酒であると・・・。
    常軌というリミッターを外して、薬物やアルコールなどの精神作用がある物を摂取して、
    表現したからこそ、一般人・普通の人から見れば名作に思える作品に着地出来たのかと・・。

    • +3
  14. 意外と早死だらけというわけでもないし、優れた作品を残してるから他人がとやかく言うことじゃないな。

    • 評価
  15. 常人と天才の違いのひとつに、常識のフィルターを
    外せるのが天才で、外せないのが常人だという指摘
    がよくされる。
    実際問題、常識のフィルターは日常を生きていくには
    必須の機能だけど、芸術には邪魔になるというジレンマ
    を克服するのに、酒やドラッグは有効なんだろうね。
    ひきかえに日常が崩壊するけど・・・

    • 評価
  16. アル中って話ならレイモンド・カーヴァーも有名だと思うけどなあ

    • 評価
  17. 自業自得で死んだ馬鹿十傑。
    何の慈悲も感じない。

    • +1
  18. 執筆のプレッシャーから飲んでるパターンが多いな。
    あれは本当に心身を激しく消耗する行為だからなぁ。長く書こうと思えば、まともじゃいられないわな。

    • +7
  19. 若い人は誤解しないで欲しい。
    彼らは苦しみを癒すために飲んでいたのであって、創作の助けのために飲んでいたのではないことを。

    • +6
  20. 太宰治も酒とタバコに溺れた作家ですね

    • 評価

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