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家を捨て、命からがら逃げてきたシリア難民たちが持ち出した唯一の宝物

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(著)

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 シリアでは、長く続いた独裁的なアサド政権支配から逃れる為に民衆が蜂起。2011年1月26日よりシリア政府軍と反体制派による激しい武力衝突が続いている。この内戦によりたくさんの命が奪われ、2011年3月以降に死亡した子どもの数はゆうに4000人を超えていると言われている。

 長引く内戦のため、100万人以上のシリアの人々がこれまでの生活を捨てて、ヨルダン、レバノン、トルコ、イラクなど近隣の国に脱出せざるをえなくなった。持ち出せたのはポケットや服にしのばせられるものだけ。彼らはそれぞれ、もっとも大切にしているものだけを持って内戦から逃れ、難民キャンプや一時避難所に駆け込んだのだ。

 ここでは、命からがら戦地から逃れてきたシリアの人々が、どうしても持ち運びたかった唯一のモノを見ていくことにしよう。そのモノには、持ち運んだ人の思いが込められている。

1.コーラン 2人の子どもの母親、イマン(25歳)

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 トルコ、ニジップの難民キャンプで、息子アフメトと娘アイシャ、そしてコーランを抱きしめる25歳の母親イマン。女性への暴行被害の噂を聞いて、アレッポの町を逃げ出してきた。トルコへの逃亡の途中、5人の親戚を亡くしたが、コーランを持っていれば、守られていると感じたという。

2.妻の写真 医師のワリード(37)

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 イラク、クルジスタンのドーミッツ難民キャンプ。キャンプ内の病院に勤務している37歳の医師ワリードは妻の写真を手にしてカメラの前に立った。彼にとってもっとも大切なものだ。家族で一緒にシリアを逃げ出した時、妻は出産後まだ20日しかたっていなかった。写真は結婚前、交際している時に妻がくれたものだという。平和なシリアでの一番幸せだった生活を思い出させてくれる貴重なものだ。国を出たのは、子供たちを孤児にしたくなかったからだという。

3.ブスクという楽器 オマル(37)

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 ブザクというアラブ圏で愛されている伝統的なリュート型弦楽器をかかえる37歳のオマル。首都ダマスカスで隣人が残忍に殺され、家族と共にドーミッツキャンプに逃れてきた。持ってきたリュートを奏でていると、故郷を思い出して郷愁をかきたてられ、わずかの間だが、悲しみを忘れて、安堵できるという。

4.おもちゃのブレスレット メイ(8)

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 ドーミッツ避難所で、宝物だというブレスレットを見せる8歳のメイ。お気に入りのナンシーという人形はダマスカスの家に置いてこなくてはならなかったため、寂しいという。ドーミッツに来てから、悪夢がよみがえるようになった。メイたち家族は徒歩とバスで国境を超え、厳しい寒さの中、やっとのことでドーミッツにたどり着いたのだ。

5.母の形見の指輪 サルマ(90)

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 90歳になるサルマは三人の息子たちと、シリアのカーミシュリーから逃げてきた。彼女が10歳の時に亡くなった母親からもらった古い指輪をしている。ずっと指輪をつけて思い出して欲しいと母親に言われたのだ。もちろん墓場までもっていくつもりでいる。シルバーでもゴールドでもなく、価値はないが、自分に残された唯一のものだからという。

6.体の一部である車椅子 アリア(24)

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 車椅子で目の見えない24歳のアリアは、家族と共に逃げ出したダーラで起こったことにいまだに怯えている。制服の男たちがいきなりやってきて飼っていた牛を殺し、家の外で戦闘が始まり、おびただしい兵士の死体があったという。アリアのもっとも大切なものは、自分の魂だけだという。車椅子はと訊かれると、それはもう自分の体の一部だと思っていると答えた。

7.卒業証書 タマラ(20)

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 20歳の学生タマラは、トルコのアディヤマン難民キャンプで、卒業証書を持って写真におさまった。イドリブの家が破壊され、家族はトルコとの国境へ向かうのが安全だと決めた。家を出た時、空から銃弾が雨のように降ってきたという。身を守るため、避難所から避難所を転々としたのだ。

8.家の鍵 アブドゥール

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 レバノンのベカーバリーで、家の鍵を見せるアブドゥール。武装グループの砲撃で妻が負傷したため、ダマスカスのアパートから家族で逃げ出した。アパートがまだ無事かどうかはわからないが、毎日祖国に帰れることを神に祈っている。今は妻と娘とその三人の子供たちと避難所生活だ。

9.妻 アイマン(82)

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 67歳の妻ヤスミンのことを、自分がアレッポから連れてきたもっとも大切なものだと言う82歳のアイマン(左)。55年前に戻ったとしても、また同じ女性を選ぶだろうという。ふたりは隣人と息子を無残にも殺され、アレッポからトルコのニジップ難民キャンプに逃れてきた。近くの農家が襲撃され、略奪されて火をかけられるのを見たという。人間が人間に対してあんなことができるなんて、信じられないとアイマンは涙ながらに語る。

10.お気に入りのジーンズ レイラ(8)

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 9歳のレイラは、イラクのクルジスタンの避難所で、エルビルのジーンズを見せてくれた。隣人が砲弾で殺され、家族と一緒にデリゾールから逃げてきて、ほかの30家族と共にこの避難所に住んでいる。“両親とショッピングに行ったけど、気に入ったものがなかなか見つからなかったの。でも、これを見た瞬間に、お花がついていて完璧だと思ったの。お花が大好きだから”レイラはこのジーンズをまだ三回しかはいていない。二回は結婚式のパーティで、もう一回は祖父を訪ねた時で、まだシリアにいた頃だ。次にはく時は、シリアでまた誰かの結婚式でと望んでいる。

11.携帯電話 ユスフ

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 現在はレバノンのベカー渓谷の難民避難所にいるユスフ。昨年彼の一家はダマスカスからこの地に逃れてきた。まだシリア国内にいる父親と話し、携帯に保存した家族の写真を見るために使っている。

12.杖 アフメト(70)

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via:dailymail 原文翻訳:konohazuku

 ドーミッツキャンプで、イラクとの国境を越えるときに役に立ったという杖を持つ、70歳のアフメト

 シリアの危機 溢れる難民たち

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この記事へのコメント 47件

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  1. アメフトってw
    アメリカに憧れてるんだろうな

    • -80
    1. ※1
      よく見ろ、「アメフト」じゃなくて「アフメト」だ…

      • 評価
  2. 日本にいると、いまだにこんなことが・・・と思ってしまうけど、
    今は自分たちもまったく他人事でない。 
    載せてくれて、ありがとう。

    • +12
  3. これを見て、凄く可哀想に思ったんだけど、同時に人の強さというものを感じた。
    震災の被災者もそうだけど、多分、彼らと似た様な心境で、どん底から這い上がろうとしてるんだろうなぁ。
    国も思想も言葉も違っても、家族の大切さ、故郷への想い、命への慈しみは同じ。
    どんな形であっても、「帰れる家」さえ存在すれば、お金や安定した生活なんかよりも、苦難に立ち向かっていく何よりの勇気になるだろう。

    • +25
  4. 遠い、遠い地だが、これが現実なんだよな
    風邪引いて辛いけど仕事頑張るか

    • +11
  5. お願い、もう誰も殺さないで。
    こんなの辛すぎる。殺さないで。
    憎しみに取り憑かれる前に、逃げて。

    • +3
  6. まさか最後に落ちが来るとは思わなかった
    アメフトwwwww

    • -5
  7. 悲惨過ぎて同じ時代での出来事だというのが信じられない。

    • +13
  8. 泣けるわ。自分なら学生時代に購入した古書かな。

    • +4
  9. 家の鍵ってのが地味にくるわ
    もうすぐ北がミサイルぶっ放すようだから真剣に考えるか

    • +14
  10. 逃避先がレバノン、ヨルダンか
    リビアやシリアと同様、テロ支援国家としてマークされてるから
    戦火が飛び火しない事を祈るよ

    • +2
  11. 同じ人間なのに
    住んでいる場所、立場でこんなにも違うものなのかと衝撃を受けた。
    戦争は悲しみしか生まないね。
    本当に大切なモノは、案外少ないのかもしれないね。

    • +11
  12. まぁこんなの内戦始まる前から分かってた事じゃん。
    シリア政府皆殺しにしないと終わりそうにないな
    ロシアの武器商人は儲かってるんだろうなぁ

    • -9
  13. とても賢い友人がシリア人にいます。今も勉学に勤しんでいるけれど、どうか生き延びて欲しい。心配でたまらない…。

    • +5
  14. 悲しいけど愛がある
    この悲しみは消えないけど愛も消えない

    • +20
  15. それでも、家族と一緒にいられる人が多くて良かった。
    …作為的にそんな人ばかり選んでないよな?

    • +5
  16. なんかイスラームに同情する気が起きない。
    日本人もこいつらに多く殺されてるだろ。

    • 評価
  17. >6
    通帳や登記簿など日本なら再発行できる

    • -39
  18. 命に次に大事なものってなんだろ?まだわかんないや
    とりあえず生きてりゃなんとかなる!

    • 評価
  19. 日本は日本で、いつ震災でこの立場に置かれるかわからないぞ。

    • +2
  20. 妻の写真を持っている医師の奥さんは健在なのだろうか。
    産後二十日だったとしか書いてないし写真大事にしてるし亡くなっていそうな雰囲気だけど
    何も書いてないからすごく気になる…

    • +2
  21. アレッポで作られるオリーブオイルの石鹸はとても質が良いんだ。
    ジーンズがサイズアウトする前に誰かが結婚式を挙げ、皆で祝福する。
    そんな日が来る事を切に願う。

    • +14
  22. 戦後、生後4か月の父を抱え
    単身で台湾から引き揚げてきた祖母の遺品に
    日本に入港する時に出す持ち物申告書?みたいな紙があったんだけど
    『オシメ カッポウ着 ナベ』
    たったこれだけだった。
    乳児は長旅に耐えられないから置いていきなさいとか
    現地の人からも面倒見ると実際何度も言われたとか
    それでも女ひとりの身で息子を連れて帰ってきた

    • +20
  23. 私もアレッポの石鹸愛用してます。
    もう作られないのかな(T_T)
    ぜひ、再建できる平和がくる事を本気で祈ってます…
    また、イスラムと言っても普通の方も多いです。宗教でひとまとめに嫌うのは良くないよ。

    • +25
  24. なぜ目の見えない車椅子のアリアは、制服の男たちがいきなりやってきて飼っていた牛を殺し、家の外で戦闘が始まり、おびただしい兵士の死体があったのを知ってるのだろうか?

    • +14
  25. 目が見えなくても音は聞こえるし、触感もあるわけで。銃撃音、牛の悲鳴や倒れる音。車椅子に引っかかる寝ている遺体、そういうものから判断したんじゃないかな。

    • +4
  26. 紛争などに巻き込まれる事はまず無いであろう国に生まれ育った身としては、本当に、自分にとって大切な物とは何だろうかと考えさせられる記事。関係ないけど、シリアのゴタゴタのせいで、アレッポの石鹸の価格が高騰したりとかはないのかな?

    • +7
  27. せつないなぁ…。本来なら経験する必要ないことなんだよね。
    あたしだったら、位牌と死んじゃった兄ちゃんの写真かな。

    • -14
  28. ヤマザキマリさんのマンガでそれなりに平和な頃のシリアを知っているから、ただただ酷いなと
    世界有数の美女の多い国だから、最初の女性の危惧ももっとも

    • +3
  29. >4
    この武力衝突で精神を病んだ人、肉体に損傷を受けた人の写真が1枚も無い
    切り捨てられた人の弱さの部分は日の目を見ることがあるのだろうか

    • +2
  30. アサド政府は本当に自国民を虐殺しているのだろうか?
    シリアの国民を虐殺しているのは、反体制派のイスラム過激派だろ。
    そして、それと共にシリアを攻撃しているのがアメリカとイスラエルだ。

    • +7
  31. 女の子の宝物がブレスレットとジーンズで、自分のための実用品であるところにフフッとなりつつ切ないな。

    • 評価
  32. コーカソイドがいつも戦争しているね

    • 評価
  33. トランプよ……こういう人達が世の中にたくさんいるんだぞ?

    • 評価

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