
そんな中、世界各地の温暖な地域に生息するキイロタマホコリカビは、変異種が通常種を欺き、自分たちだけが生き延びようとする戦略をとっているということが判明した。いわば裏切り者の方が得をするという世界である。
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食べるものがなくなってくると、通常種、変異種も含めて多数の細胞が集合し、ナメクジ型の移動体(スラッグ)に姿を変える。その後は、「子実体」と呼ばれるキノコのような形になる。上部は胞子の集まりで、それを下から柄(え)が支える構造だ。

サントレッリ氏の研究チームは世界で初めて、「キイロタマホコリカビの世界では、変異種の方が通常種よりも生き残る能力が高い」ことを示した。
変異種は通常種が胞子になるのを制し、柄細胞として命をささげるように仕向けていたのだ。一方、変異種の方は、通常種と比べて、柄に分化するよりも胞子になる場合が多かった。つまり想定される妥当な割合よりも、多くの“裏切り者”が生き延びていたのだ。

「どの生物においても協力関係はもろいものだ。なんとか自分に有利に運ぼうとする。それが自然だ。しかし、通常なら、裏切り者が出ると最終的に協力関係そのものが崩壊するはずなのに、キイロタマホコリカビは違う。裏切り者がいるからこそ、すべてがうまくいくように進化しているようだ」とサントレッリ氏は話す。 また、裏切り者は協力的な個体よりも脆弱なのが普通だが、キイロタマホコリカビの場合は極めて健康的だという。
研究チームは今後の課題として、裏切り者が成功するメカニズムを探りたいとしている。「ちっぽけな粘菌が、生物の協働関係の進化的・遺伝的基盤を明らかにしてくれるかもしれない」とサントレッリ氏は期待しているそうだ。
動画:キイロタマホコリカビのライフサイクルを顕微鏡で撮影
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コメント
1. 匿名処理班
「人間の脳は自分自身の肉体を裏切っている」とでも言うのかね
イギリス人はプロテスタントを研究職に配置するの止めろw
2. 匿名処理班
さしずめ日本は、したたかな裏切り者が生きのびる驚異の年金世界ってか
3. 匿名処理班
「裏切り」って正しい訳なのか
それともこの研究者のレトリックか
4. 通りすがり
変異種のほうが生き残りやすいってなってるけど、それだと通常種っていずれは淘汰されてしまいそう。そんなことないのかな?
5. 匿名処理班
通常種と変異種をこう考えるとわかりやすい
労働者的思考の人間と経営者的思考の人間
多数の労働者よりも少数の経営者の方が残りやすい
6. 匿名処理班
こういうの、すぐ人間に当てはめる人がいるけど、その人たちは自分が粘菌レベルだと思ってんの?
7. 匿名処理班
そんなこと発見する人間のがすごい。
8. 匿名処理班
『裏切り者』と思ってるのは、人間だけかもしれんな。
9. 匿名処理班
ニジリゴケ・・・
10. 匿名処理班
ちょっと何を言ってんのかわからないんですけど
11. 匿名処理班
寄生獣思い出した
12. 匿名処理班
「裏切り者」はcheaterの訳で訳し方は正しい
社会生物学では協力的な集団内でコストを払うことなく共益を得ている個体を指す
こういうのをすぐ人間社会の構造に当てはめる人は短絡的と言われて仕方ないけど、
キイロタマホコリカビの変異株は集団にとって全く役に立たないように見えるから、
cheaterと呼ばれているのだろう
ただ、確か普通株は血縁を認識する能力があって、
ある程度の変異株を集団から排除するようになっていたと思うんだけど・・・
13. 匿名処理班
スライムwwww
14. 匿名処理班
既存の大勢いる側の細胞が、新しい細胞の助けになってより新しい者を生み出そうとする。
ということなのかな。
もう生き物ってわけがわからなくて僕は石になりたい。
15. 匿名処理班
こういう裏切りの無限ループの中で進化が進んでいくのか
ちょっと気に食わないな
16. 匿名処理班
いったい誰が誰をどう裏切っているのか説明求む。
読んだだけでは、変異種の方が胞子になる確率が高い、というだけにしか受け取れなかった。
17. 匿名処理班
性がある生物は自然に少しづつ変異して、いろいろな環境に適応できそうな種を分散するが
粘菌の場合は、裏切り者の形で変異して環境に適応種を作り出しているのかな?
18. 匿名処理班
食えるの?
19. 匿名処理班
利益というのを自分の残せる遺伝子のコピー数、とする
キイロタマホコリカビは普段単体で生活して分裂で増殖するが、
周囲の環境が悪化すると集合してスライム状になり移動する
環境の良い場所につくと止まり、上に伸びて胞子を飛ばす形になる
この時、より広範囲に胞子を飛ばすため、土台(柄)となる奴は、
自分では遺伝子を残せない→自己犠牲的な役割をする
しかし、胞子を作る奴と血縁でつながっていれば、
いくらか自分の遺伝子のコピーを残せる
そういう意味で、利益を共有している協力的な集団と言える
ところが真っ先に胞子を作る性質の変異種は通常種と血縁的に遠い
世代を経れば、変異種(裏切り者)が侵入した集団は、
変異種の子孫だけとなりやがて協力して胞子を飛ばせなくなって消滅する・・・
はずなのに、なんで維持できてるのか不思議だねって話
20. 匿名処理班
魔王「見ろwこれが生命の本質だよwww」
勇者「違う!人間は…人間は…っ」
21. 空缶
これ、迷路でネトワークつくったりする粘菌とはまた別な奴でしょ?
22. 匿名処理班
よくわからないけど、変異種が作った胞子からも一定の確率で通常種が生まれるの?
それとも、変異種も通常種も同じように「健康」ということだけど、胞子の発芽率が異なって2種の増殖率が均衡してるとか?
単純なタカハトゲームでもESSではタカハトの混合になるよね。そういう発想ではいかんのだろうか。
23. 匿名処理班
菌類は意思を持っていない。過去の様々な環境をその都度、適応し残ったものが今存在している。
この菌類は全体としてみれば進化を促し、新しい環境に適応しやすいようなシステムを持っているのだろう。変異種となったとき何らかの作用により、胞子を残す側になるように体が機能するようになるのだろう。もし変異種の割合が少ないとしたら健康な変異種にも子孫を残す機会を与えて、適応性を高めているのかもしれない。
すなわちこれはシステムなのであり、裏切りなどではない。
生物は必ずしも自分だけの遺伝子を残そうとするとは限らないということ。
要はどのようなシステムを採用し、それが世界の中でどれだけ有効だったか、ということだけ。
24. 匿名処理班
種として進化の可能性を探っているという事だと思う。裏切り者という発想は当たらないのではないか?
25. 匿名処理班
>>ぼっちで部屋にこもり食うだけで一生を過ごすというような感じだ。
おいやめろ
26. 匿名処理班
SFによく出て来る集合知的生命体を連想させるなw
人間から見ると裏切りに見えるが、一つ一つの単細胞のようでいて、種全体でひとつの生命体なのだ
ある程度のコロニーごとに共通していて、離れると思考の接続が切れるけど みたいな
我々は変化し続けるひとつの壮大な夢をいるのです・・みたいなw
なんかすげーSFっぽいww
27. 匿名処理班
変異種が残った方が多様性が生まれて生存戦略的にはそっちの方がいいんじゃない?
28. 匿名処理班
柄になる細胞も遺伝子を渡すのだから生き残っていると言えないかなぁ?
それともその遺伝子食われているのか?
29.
30. 匿名処理班
変異種の方が環境に適応しやすい柔軟性を持っているから、生き残りやすい変異種に優位性を持たせて生存し続けているんだと思う。
裏切り者というより、環境適応能力がある変異体が生き延びやすいのはどの生物も言えると思う。
それにしても、人間って姿形を変えず知恵だけで生き延びてて、生命体としては進化してない気がする。地球が出来てから海中に住もうとした人間ていないなぁ。