地球上の寒冷地、極地には、身体が凍りつくほどの冷気を浴びてでも見てみたい息をのむほどに美しい神秘の世界が存在する。こうした天然の奇景の大半はごく一部の研究者たちや冒険家、あるいは経済的に余力のある人にしか肉眼では見ることができない。自然が作り上げた氷の彫刻は、その不安定性と場所のせいで、年に限定されたわずかな期間しか見られないのだ。
1.ブルーリバー / グリーンランド
グリーンランドにある、カヤックには理想的な川。融解したペテアマン氷河は目を見張るほど美しく、青い水で低地を満たす。その水が満ちるパターンは季節ごとに変化し、この川の形も変化させる。鮮やかなブルーは氷河期のシルト(沈泥。砂と泥の中間の粒径の堆積物)によるもの。
2.氷河の滝 /スヴァールバル諸島、ノルウェー
"冷たい岸辺"という意味のスヴァーバルは北極圏にあり、ヨーロッパとノルウェーの最北部を構成している群島。ヨーロッパ本土から北650km、北極とノルウェー本土の中間に位置する。にもかかわらずこの島々はメキシコ湾流の暖流作用のおかげで比較的暖かく、住みやすくなっている。実際、スヴァールバルは地球上で継続的に人が住んでいる地域の中では最北地だという。
スヴァールバルは総面積62,050平方km、およそ60%が氷河で覆われ、多くの氷河が海まで続いている。巨大な氷河、Brasvellbreenはこの諸島で2番目に大きなノールアウストランネ島にあり、幅200kmにも及ぶ。高さ15mから20mもあるその氷河の鋭い氷の崖には何百もの"溶ける滝"が存在している。そしてこれらの滝を眺めることができるのはほんの数ヶ月間の暖かい時期に限られている。
3.クリスタルケイブ / アイスランド
氷河の中にあるこの洞窟は、浸蝕が作った窪みに入り込んだ小石などが回転し、穴を拡大するという氷河臼、又は雨や氷河表面で溶けた水が流れになり、その裂け目に流入してできるというムーラン(管状穴)の結果だ。その滝はたまった水が低地に向かって排出すると同時に氷河の穴を溶かし、氷河末端の排出口まで長い氷の洞窟の数々を形成する。
洞窟の上部が深い青色を見せると共に、水中の細かな堆積物と風に乗ってくる砂粒等が合流し、凍った雪解け水の流れを茶色に濁った色に染める。デコボコした地形の上を日に約1m移動するという氷河の速さの影響で、この洞窟は末端で亀裂が入り、そこでセラックと呼ばれる深いクレバスに落ち込み、口を開ける。その両端から間接的な日光が洞窟に入り込むため、氷のトンネルが均一に照らされることになる。
海岸線の入り口では7mの大きさの開口部から洞窟へ入ることができ、最後には高さ1.2mにも満たないほど狭くなっている。氷の洞窟は一般的に不安定で、いつ崩壊してもおかしくない。これらの洞窟に安全に入れるのは気温の低い冬に限られる。それでも内部では常にひび割れの音が聞こえるという。しかしそれは崩れるせいではなく、洞窟が氷河ごと動いていたからだ。氷河が1mm動くごとに出す大きな音が聞こえる時がある。
4.ブリクスダール氷河 / ノルウェー
ブリクスダール氷河はもっとも訪ねやすい氷河の一つであり、"ヨステダール氷河の両腕"としても良く知られている。ノルウェーのヨステダール氷河国立公園の一部を占めている。この氷河の裾には海抜346mの小さな湖、ブリクスダール氷河湖がある。
滝や峰々に囲まれた、美しい氷河口のみごとな眺めを見るため世界中から観光客が訪れる。
適切な装備と氷河専門のガイドがつくことで、何千年も時を経ている巨大な氷塊を訪ねるという安全、かつエキサイティングな旅行ができる。
5.バースデー・キャニオン / グリーンランド
溶けた水に削られたバースデー・キャニオンは深さ45m。写真は2008年撮影された。谷の縁に沿った壁は、長い時間を経て雪と氷が幾度も重なり合った層の線を見せている。
水路の底にある黒い堆積物はクリオコナイトと呼ばれる、粉末状の吹きさらしのちりなどが堆積し、雪や氷河、または氷帽の上に集まったものだ。
6.エレファントフット氷河 / グリーンランド
"北極ゾウの足"と呼ばれるこの氷河はグリーンランドの北部で発見された。その氷河の低い場所にある灰色の部分は、溶けた水の流れよって侵食地帯が切り開かれたもの。一段高い位置にある白い堆積物地帯の表面からくっきりと分かれている。このユニークな氷河はグリーンランドの北東の海岸(北緯81度)にある。
氷の波 / 南極大陸
このユニークなアイス・ウェーブ(氷の波)はアメリカの研究者、トニー。トラヴォロンが2007年に発見したという。突如襲い掛かった巨大な波が、一瞬にして凍りついたわけではない。この波は青い氷を含んでいるので、短期間で造られたものではないことがよく分かる。
青色の氷は、その氷が圧縮され、閉じ込められた気泡が押し出されるためにできる。見た目の青さは厚い氷を光が通過した時に、青色光は透過して出てくるが赤色光は吸収されるためだ。つまり、その濃い青色は、その氷が即座に形成されたというより、ゆっくりと時間をかけて造られたことを示す。溶解してはすぐに再び凍るという過程が長年に渡り繰り返されることで滑らかな、波のような形に仕上げられる。
8.ストライプの氷山 / 南極海
多くの氷山には青と緑、時には茶色の線がついている。この現象は南極海でよく起こるという。黄色、茶、黒、そして青といった多彩色の帯をつけたストライプ柄の氷山は南極大陸周辺の冷水の中では結構よく見られるものだ。また、氷山は棚氷から大きな氷塊が割れ、海に落ちることで生まれる。
氷河は何千年に渡って南極海に降り積もった雪でできているため、その氷は淡水で成り立っている。そのため浮いている淡水の氷と塩水が互いに作用していることになる。海水は過冷却された氷河と接触して凍り、硬い皮が覆う形になる。海水でできた氷の上層は有機物質やミネラルを含む。数々の波に洗われ、風に吹かれて、氷山には様々な形や質感の素晴らしい色の帯が描かれる。
氷に閉じ込められた非常に小さな気泡と光の拡散により氷山は白く見える。数々の青い筋は氷の亀裂が溶けた水で満たされ、急速に凍る時につくられたもの。またその場合、気泡ができる時間は無い。亀裂に入る水が藻類を多く含む時は緑になるなど、別の色になることもある。
9.エレバス山のアイスタワー / 南極大陸
標高約3,800mのエレバス山に点在する何百もの氷の塔は巨人の顔に生えた無精髭のようだ。南極大陸の活火山は、炎と氷が出会い、混ざり、そして両方の相反する性質がユニークなものを作り上げる唯一の場所だろう。
これらの氷塔は20mほどの高さにも伸びる。塔から吐き出される蒸気が南極の空へ流れる様子は、まるで彼らが生きているようにも見える。火山による噴気の一部が凍ってこれらの塔の内部に付着し、塔を拡大させて、伸長させているそうだ。
10.The Fang in Vail 氷の滝 / 米コロラド州
コロラド州のベイルの町付近に位置する滝。この巨大な氷柱の姿が見られるのは極端に寒い冬のみで、その柱は高さおよそ50m、そして付け根の部分は幅8mになることが知られている。
11.ペニテンテ / チリ、アルゼンチン
高地の平原上、とりわけアンデス山脈のそびえる海抜4,000m以上の高所に、自然に形成した氷の棘が広がる光景がある。氷でできたこれらの小尖塔はペニテンテと呼ばれ、その高さは草地を思わせる数cmから、氷の林を思わせる5m程度まで様々に成長するという。まるで無数の剣が太陽に狙いを定めて立っているようだ。これらの棘達は早朝の光の中で氷が溶け始めると、ゆっくりではあるが着実に姿をあらわす。
via:11 Magnificent Wonders of the Ice World
原文翻訳:R
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コメント
1. 匿名処理班
アイス食べよう
2. 匿名処理班
カキ氷を食べたくなったの自分だけ?
3. 匿名処理班
すごく寒そうだけど是非生で見てみたい
4. 匿名処理班
アクアフレッシュ!
5. 匿名処理班
青色って食欲減退の色なはずなのに
真青な氷河の画像ってものすごく美味しそうに感じるよな
食べたくても食べられない場所にあるからなのか
ガリガリ君による刷り込み効果なのか…
6. 匿名処理班
温暖化が進んだらこれらのほとんどは見られなくなりそうだなあ……。
直接見る機会はまずないから映像に残ってれば大抵の人は問題ないわけだけど……。
7. 匿名処理班
エレファントフット氷河と氷の波は見てみたいなぁ
8. 匿名処理班
作家が一生懸命考えて作ったファンタジーの世界より、現実にあるたかが氷の塊の方がよっぽどファンタジーしちゃってるという…
9. 匿名処理班
素晴らしい
10. 匿名処理班
バースデー・キャニオンの2枚目の画像の人マジキチすぎだろ…
11. 匿名処理班
ペニてんてー!
こんなに大っきいのか!かわいいよペニてんてー。
12. 匿名処理班
構造色だからこの青は美しい
モルフォ蝶の羽やタマムシの羽、虹、夕日などと同じ
13. 匿名処理班
本当に美しいね。
14. 匿名処理班
ふつくしい
15. 匿名処理班
泳いでみたいけど泳いだらしぬwww
16. 匿名処理班
綺麗だなー
17. 匿名処理班
バースデーキャニオンの画像見て背筋凍った
18. 匿名処理班
こういう素晴らしい景色が温暖化で失われていってるんだよな。
節電にご協力を。
19. 匿名処理班
ここまでいかないけど、埼玉県の奥秩父で見れる三十槌の氷柱も好き
駐車場でボロい商売してるの以外好き