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キャプテン・クックの探検船「エンデバー号」、沈没から250年後に発見

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エンデバー号 public domain/wikimedia
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英国の探検家キャプテン・ジェームズ・クックが18世紀に南太平洋を航海した際に使用した小型帆船「エンデバー号」が、沈没から約250年を経てアメリカ・ロードアイランド沖で発見された。

 船はその後「ロード・サンドウィッチ号」と改名され、アメリカ独立戦争時に意図的に沈められていた。

 オーストラリア国立海洋博物館が25年にわたり行った海洋考古学調査の末、ようやくその正体が明らかになった。

250年越しに発見された「エンデバー号」の沈没船

 歴史的な発見を証明するには、確かな証拠と長年の積み重ねが必要だ。

 航海史上もっとも有名な船のひとつ、「エンデバー号」の沈没船が、アメリカ・ロードアイランド沖の海底で発見された。

 オーストラリア国立海洋博物館(ANMM)は、1990年代末から続く25年にわたる探査プロジェクトの末、海底に沈んでいた未確認船「RI 2349」がエンデバー号であることが確認し、2025年6月4日に最終報告書『Locating HM Bark Endeavour – final report 』で発表した。

 「今回の最終報告書は、25年間の詳細かつ綿密な研究の集大成だ」と、同館のダリル・カープ館長は語っている。

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Francis Joseph Bayldonによるエンデバー号の絵 (1923年) public domain/wikimedia

英国探検史に名を刻むキャプテン・クックと「エンデバー号」

 キャプテン・ジェームズ・クック(1728年~1779年)は、18世紀イギリスを代表する探検家・航海士である。彼は3度にわたり太平洋へ遠征し、地図に記されていなかった広大な海域の詳細な地図を作成した。

 その初航海(1768~1771年)でクックが用いたのが「エンデバー号」だった。

 全長約30mの堅牢な木造船で、多くの科学者や画家が乗船し、航海中に動植物や現地文化、地理などさまざまな記録が残された。

 クックはこの航海でオーストラリア東海岸を詳細に地図化し、ニュージーランド両島を周航。その成果はヨーロッパに新たな世界像をもたらした。

 しかし一方で、探検の過程でイギリスによる領有宣言や植民地主義的影響も強まり、現代ではその評価は賛否両論となっている。

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キャプテン・クック public domain/wikimedia

エンデバー号は「ロード・サンドウィッチ号」となり沈没

 探検航海を終えたエンデバー号は、1771年にイギリスに帰還し、数年間海軍の補助船として使用された。

 その後、1775年頃に民間のマザー・アンド・カンパニー(Mather & Co.)に売却され、「ロード・サンドウィッチ号(Lord Sandwich)」へと改名された。

 船名の由来は、当時イギリス海軍本部で影響力を持っていたジョン・モンタギュー、第4代サンドウィッチ伯爵とされる。

 その後、ロード・サンドウィッチ号は軍用輸送船としてアメリカ独立戦争に投入され、1778年ごろ、英軍がロードアイランドを防衛するため港を封鎖する目的で意図的に沈められた。以来、船体はアメリカ東海岸の海底に眠っていた。

船体発見の決め手となった細部の証拠

 今回の発見は、地道な調査の積み重ねの成果だ。

 エンデバー号は沈没時には「ロード・サンドウィッチ号」と名を変えていたため、船名が直接確認できる証拠は残っていなかった。

 だが、海底で見つかった「RI 2349」の船体は、英国製の木材を使用しており、木材の寸法や構造がエンデバー号の記録とほぼ完全に一致していた。

 「船首の接合部分や木材寸法がエンデバー号の記録とミリ単位で一致している」と、発見に携わった考古学者のキーラン・ホスティ氏は語っている。

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エンデバー号の残骸の3Dスキャン / Image credit:ANMM

 キャプテン・クックの探検航海は、太平洋地域の地図作成や航海技術に計り知れない影響を与えた。

 その航跡と功罪を現代に伝える「エンデバー号」の発見は、歴史を改めて見つめ直す貴重な機会となるだろう。

References: Locating HM Bark Endeavour - final report / Captain James Cook’s lost ship Endeavour discovered after 250 years / Captain Cook's legendary ship finally identified near New England resort after 250 years

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