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いったい何が?アメリカの街灯の光が紫色に変化した理由

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(著) (編集)

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image credit: Instagram @toshay_live
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 2020年代に入った頃から、アメリカの住宅地の道路を照らす街灯が、紫色の光を放つという現象が報告されるようになった。

 幻想的とも言える、サイバーパンクな光に包まれた道路。「幻想的だ」という声も一部にはあったが、道路を照らすという街灯としての役割を果たせなくなってしまっているのも事実である

 いったい何がおきているのか?

短期間で紫色に変化した街灯の光

 現在、紫化が問題になっているLED街灯は、アメリカやカナダで2017~2018年にかけて製造・設置されたものである。

 もともとの街灯の光は白で、LEDの寿命は10年は持つと言われていた。だが設置からわずか4年ほどで、白かった街灯の光が紫になってしまったのだ。

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LEDの劣化にしては早すぎる

 実はアメリカでは2000年代後半から、省エネ化を図るために街灯をLEDにする取り組みを推進してきた。

 そのため、当初はこのLEDの色の変化は、単なる経年劣化によるものだろうと思われていた。

 そもそもLED(発光ダイオード)自体は、青・赤・緑といった固有の単色光しか出せない。現在我々が目にする白色LEDは、人の目が白い光として認識できるよう、工夫を凝らしたものなのだ。

 いくつかの方法がある中で、照明用の白色LEDとして広く用いられているのが、 「疑似白色LED」と呼ばれるものである。

 これは青色LEDに、補色である黄色の蛍光体を被せ、見かけ上白い光に見えるようにしたものだ。

 こうして作られた白色LEDは、劣化すると表面の黄色い蛍光体が剝がれてきて、その奥にある青い光が漏れ、光が白から青みを帯びた紫色に変化してしまう。

 だが今回問題になった街灯は、設置されてからまだ3年ほどしか経っていなかった。10年は持つと言われるLEDが、こんなに短い時間で劣化してしまうのはおかしいのだ。

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LEDを覆っている物質に亀裂や剥離

 この問題は多くのメディアで報道され、SNSでも大きな話題を呼んだ。そして原因を突き止めるため、LEDシステム信頼性コンソーシアム(LSRC)と呼ばれる、専門家によるチームが調査に乗り出した。

 LSRCでは、ノースカロライナ州の運輸局から提供された28個のLEDモジュールを検査した。これらは2017年の半ばに製造され、翌年にかけて設置されたものだという。

 そして彼らは、青色LEDを覆っている黄色蛍光体とシリコンの混合物に、亀裂や剥離が生じていることを発見した。

 結局この不具合の原因は、LEDや蛍光体ではなく、蛍光体をLEDに取りつけている結合剤、おそらくはシリコンにあると結論付けられた。

照明機器の製造は一社独占

 2017年当時、アメリカではAcuity Brandsというたった一つの会社がLED照明機器(SSL)の製造を独占していた。

 問題となった街灯に使われているLEDライトも、すべてこの会社の傘下にあるAmerican Electric Lightingをはじめとするメーカーが納入したものだったという。 

 同社は製造段階での不具合を認め、回収に乗り出してはいるが、補償費用は莫大な額に上っているようだ。

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「紫の光」への反応は様々

 実は家庭内暴力撲滅に向けたアクションの一環として、意図的に街灯を紫色にしたり、紫色のライトアップを行ったりといった、「パープルライトアップ」の取り組みが行われることがある。

 そのため今回の街灯の紫化も、そのキャンペーンの一環ではないかと思った人たちも一部にいたようだ。

 だが夜間に道路を照らす照明が劣化し、色味が紫に変化すると、歩行者や自転車の安全を確保する役割を果たせないことが懸念される。

 たとえ光の明るさ自体は十分だったとしても、紫という色には視認性が落ちるだけでなく、人々の精神状態に影響を与える可能性もある。

 この紫色の街灯を見た人々からは、ネット上で様々な意見が寄せられている。

  • 紫外線が照射されているのかと思った
    • 紫外線は紫色をしているわけじゃないけどね
  • でも紫色って幻想的で素敵だと思う。自分は気に入っているし、目に優しいし、問題はないと思うんだけど
    • 歩行者が見えにくくなるんじゃないかな。目に優しいっていう点は同意するけど
    • おもしろいね。僕は逆に目が疲れるし、物が見にくくなるから嫌だな
    • 少数派かもしれないけれど、私は紫色の光を見ると落ち着かなくなる。街灯を交換してくれた時、涙が出るほど嬉しかった
  • 意図的にやっているんだと思っていたよ!
  • 僕はこの不良品の街灯の交換状況を追跡する仕事をしているんだけど、電力会社は交換費用を顧客に転嫁しようとしている。電気代の値上がりの一因になっているんじゃないかと疑っているよ
  • 紫のライトは見た目はカッコいいかもしれないけれど、安全上の懸念は大きいから、結局は全部交換されるはずだ
  • 電力会社に通報すればすぐに交換してくれると思う
  • 私はカラス対策のためだと思っていたわ
  • 昔の黄色っぽい電球が懐かしいね
  • 夜行性の動物たちのために、街灯は赤い電灯に変えてほしい。ほとんどの動物は赤い光が見えないから
    • フロリダの一部では、ウミガメ保護のために赤い電灯が義務付けられているよ
  • 青い光は人間の睡眠サイクルを乱すから、避けた方がいいんだよ
  • 紫色の光の下では静脈がわかりづらくて、麻薬常用者が薬を注射できないんだ。これはドラッグのまん延防止の一環だと思う
    • 確かに効果はあるかもしれないけど、今回の街灯の問題は単なる不良品だよ
  • 中国の単一の工場で作られた大量生産のLEDに欠陥があって、短時間で紫色に変色するんだ。でもその問題が認識される前に、世界中のサプライチェーンを通して広まってしまったのが真相だよ

 同様の問題はカナダやアイルランドなどでも発生しているそうだ。日本でもLED街灯は普及しているが、今のところ紫色になったとの報告はないようである。

 もし紫色に変化したLED街灯を見かけることがあったら、多分ポールに管理者の連絡先が書いて場合もあるので、早めに連絡してあげるといいと思う。 

Why Are Streetlights Turning Purple? In Depth Analysis and Fix
Causes of Excess Color Changes in Streetlights 05 10 2024 FINAL

References: Have you seen a purple streetlamp? A puzzling coast-to-coast phenomenon explained. / Why Did Street Lights In The US Turn Purple?

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この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. カッコイイかもしらんが
    何か起きそうで歩きたくないな

    • +5
  2. 青は防犯効果があった気がするけど、紫じゃダメなのかな

    • +6
    1. 覚せい剤の注射防止で青色だと静脈が見えなくなるから
      トイレとかが青色照明にしているんじゃなかったっけ。

      • +2
  3. 見る角度によって色が白から青っぽい紫に代わる街灯があったけど
    あれってそういう仕様ではなく単に劣化が原因だったのか…

    • +13
  4. 街灯は青色の方が犯罪が起きにくいというデータがあったはず。

    • +5
    1. 鎮静効果があるんじゃなかったっけ
      自分の車の防犯用(点滅してるやつ)は赤なんで残念

      紫がDVに効くって信じ難い
      (逆に反社会的行為を誘発しそうな・・・)

      • +2
      1. GU4Nですごめん 紫色の心理効果を利用したものではなかったです
        例えば乳がんのピンクリボン・ライトアップと同じで、啓発活動のイメージカラーでした(早とちり)

        • +2
  5. 海外は夜、出歩けないっていうから、街灯いらないのかと思ってた

    • -3
  6. LEDそのものは長寿命でも周辺部品はそうもいかないんだよなぁ。

    • +5
  7. 万事、“独占”はよろしくないということですね

    • +4
  8. わざわざ不愉快な色にして夜にたむろする犯罪者を減らす、みたいな話かと思ったらまさかの劣化

    • +2

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