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またしてもボイジャー1号に奇跡!20年以上停止していた推進器(スラスター)の復活に成功

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(著) (編集)

公開:

ボイジャー1号が宇宙を旅するイメージ図この画像を大きなサイズで見る
NASA/JPL-Caltech
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 星間宇宙を旅する老ボイジャー1号は、これまで何度も深刻なトラブルに見舞われては乗り越えてきたが、またも奇跡的な復活を果たしたそうだ。

 今回ボイジャー1号が直面したのは、姿勢制御の推進器に燃料を送るチューブの詰まりだ。これが詰まってしまえば、アンテナを地球に向けられなくなり、1号は音信不通となり宇宙の闇に消えてしまう。

 この大ピンチを切り抜けるため、NASAジェット推進研究所のチームが選んだのは、20年以上機能していなかった推進器(スラスター)を復活させるというリスキーな作戦だったが、見事これに成功した。

地球との交信に欠かせない推進器(スラスター)

 1977年に打ち上げられたボイジャー1号と2号は、地球からもっとも遠くにある人工物だ。すでに太陽圏を脱出し、誰も見たことがない星間宇宙を時速約5万6000キロの猛スピードで疾走している。

 そんなボイジャー1号と2号だが、両機が地球と連絡を取るためには、アンテナを地球に向けていなければならない。そのための姿勢制御に使用されるのが推進器(スラスター)だ。

 推進器は一つだけでなく、メインの回転用推進器・予備推進器・軌道変更用推進器があり、これらを交代で使いながら、機体を上下左右に振ったり、回転(軌道変更用推進器でこれはできない)させたりして、アンテナを地球に向ける。

 推進器を交代で使うのは、それによって燃料チューブの詰まりを予防するためだ。年をとると人間の血管が詰まるように、ボイジャーの燃料チューブも推進装置を繰り返し噴射するうちに詰まってしまう。

 それを先延ばしするために、複数の推進器を利用して、それぞれの稼働を減らすのだ。

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ボイジャー1号のイメージ図 / image credit:NASA, ESA, and G. Bacon (STScI)

ボイジャー1号、メイン推進器に異変

 ところが2004年、ボイジャー1号のメイン推進器に異変が起きた。内蔵された小型ヒーターに電源が入らなくなったのだ。

 だが当時のエンジニアたちはヒーターは修復不能と判断し、以降の姿勢制御は予備推進器によって行われるようになった。

 この判断には、ボイジャー1号がそれから20年以上も稼働するとは誰一人想像していなかったことも関係するだろうと、ジェット推進研究所のカリーム・バダルディン氏はNASAのブログで語っている。

 だが老いたとはいえ、ボイジャー1号は今も健在だ。

 まさにガンダムでいうところの「まだだ!たかがメイン推進器をやられただけだ!」とボイジャー1号は根性を見せたのだ。

 これまで幾度もピンチに陥ってきたボイジャー1号、宇宙の闇の中で正気を失うこともあったが、それでもがんばって太陽系の外に広がる星間宇宙を旅している。

 想定よりも長く活躍してくれたのは素晴らしいことだが、それはそのまま機体の老朽化につながる。

 このままいけば、予備推進器の燃料チューブは8月までに詰まってしまうと予測された。

 そこでボイジャー1号のチームは、一度は諦められ、20年以上機能停止していたメイン推進器を再起動させることにしたのだ。

ボイジャー1号のインタラクティブ3Dモデル

20年以上停止していたメイン推進器を復活させることに成功

 故障の原因を再検証したところ、何らかの原因で、ヒーターの電源供給回路上のスイッチが誤動作している可能性が疑われた。

 ならばスイッチを元の位置に戻すことさえできれば、ヒーターの電源が入り、メイン推進器も再稼働できるはずだ。

 だが、それはリスクをともなう作業だった。

 ヒーターの修復と再起動を行うには、停止しているメイン推進器をひとまず起動させねばならない。だがこの状態でボイジャー1号の星追尾システムの照準が基準星(姿勢制御の基準になる星)から大きく外れると、メイン推進器が自動的に噴射してしまう。

 ヒーターが正常に作動していない状態での噴射は、小さな爆発を引き起こす恐れがある。だから復旧作業は、基準星を照準から外さないよう細心の注意を払う必要があった。

 さらに時間との勝負でもあった。ボイジャー1号と通信を交わす際、オーストラリアにある直径70mの巨大アンテナ「DSS-43」を使用するのだが、このアンテナは今年5月から来年2月にかけて改修のために利用できなくなってしまうのだ。

 2025年8月には一時的に通信が再開される予定だったが、それまで待っていたらボイジャー1号の燃料チューブは完全に詰まってしまう可能性があった。

 2025年3月中ば、ボイジャー1号のチームは、この困難な状況の中、地上からヒーター復旧のためのコマンドを送信。

 それから46時間(地球からの電波が往復するにはこれだけの時間がかかる)、1号からの返事を待った。

 その瞬間、地上のエンジニアから歓声が上がっただろうことは想像に難くない。

 3月20日、失敗すればボイジャー1号が損傷を被る恐れがある中、ヒーターの温度は無事に上昇し、うまく電源が入っていることが確認された。

 ジェット推進研究所のトッド・バーバー氏は、「感動的な瞬間でした。チームの士気は最高潮に達しました」と語る。

推進器は死んだとみなされ、実際それは正しかったのですが、あるエンジニアの洞察で別の原因が見出され、修復可能であるらしいことがわかりました。またも奇跡的な救出劇が起きたのです(トッド・バーバー氏)

 そんなわけでボイジャー1号はまたも危機を乗り越えた。

 遠い宇宙で何度も困難を乗り越える歴戦の探査機は、機械でありながらも地上にいる私たちを勇気づけてくれる。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

私の推し探査機の1つ、ボイジャー先輩がまた奇跡を起こしてくれた。探査機のがんばりもすごいがNASAの技術者たちの諦めない心と、強い思いは私以上のものがあるな。元気玉くらいしか出せないけど、私の願いが先輩たちを救えるのなら、いくらでも地上から両手を広げて空に向かってパワーを送るよ。今ちょっと肋骨ヒビ入っててうまく手が上がらないけども。

References: NASA’s Voyager 1 Revives Backup Thrusters Before Command Pause

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. パルモさんなにがあったんだ…お大事にね

    • +26
  2.  すごい! 機器の復活もそうだけど、その可能性を見出す職員もまたヒーローかな。 多分ヒーターなしだと太陽に近いとはいえ、放熱して宇宙背景輻射の温度にかなり近づいているだろうから熱伝導を考えても摂氏 -260 度くらいには落ちているんじゃないかと思うと温度の上下によるダメージも今後でてくるのかななどと思ったり。 でも、ほんと不死鳥のごとくという言葉が似あうと思います

    • +16
  3. あ、それっ! スイスイスイ スラスターラッタ スラスラスイスイスイぃ~~♪

    • -18
  4. 10年以上乗っている車で初めて使うボタンを押してもちゃんと作動したりするから、車って耐久性あるなあと感心するんだが、過酷な宇宙で何十年も活躍するボイジャー1号には感動させられるね。
    技術者さんたち凄い。
     
    それと肋骨お大事にー。パルモさんにも元気玉送っておきました

    • +16
  5. まったく知りませんでしたが、読んでいるだけで心うち震えます。今、泣きそうかも^^;
    肋骨、お大事に。早く治りますように☆

    • +12
  6. これは嬉しいニュース
    人類はまた宇宙に近づく

    • +9
  7. ガタガタな1号、絶好調な2号
    この差はなんなんだろう?

    • -4
    1. >ガタガタな1号、絶好調な2号
      と、思うでしょ?
      実は2号は打ち上げ直後から問題が起きてて、メインの通信機が不具合を起こして
      それからずっと予備の通信機を使ってる、とかね。

      • +5
  8. ボイジャーの後継って出ないもんなんですかね?

    • 評価
  9. あぁ、今ボイジャーがどうなってるのか見てみたい。回り回っていつか地球に上手に帰って来てくれないかな。
    ボイジャー達、今何を見てるんだろう??

    • +8
  10. 最終的にはビジャーになって帰ってくるからそれまでは無事?だよきっと

    • +2
  11. さすが先輩やで
    あとパルモ姉さんはご自愛ください

    • +6
  12. がんばれー
    ベータ宇宙域まで行けば直してくれる機械生命体がいるそうだ

    • +10
  13. そういやスタートレックの映画でボイジャーが帰ってくるのあったような

    • +9
  14. ボイジャーのスラスターですら20年ぶりに再稼働したというのに・・・
    おまいたちときたら・・・

    • -5
  15. 諦めない心いいね
    噴射式の推進器について気になって調べてみたら
    「惑星科学のための宇宙探査機
    燃料である ヒドラジンはまだ十分に残っています‥ボイジャー1号は2040年まで、 ボイジャー2号は2034年まで姿勢を制御することが可能です。」だそうでした

    • +12
  16. もう休ませてやれよと思ったけどまだ50歳前なんだね

    • 評価
  17. 光のォ~ ロ~ドをォ♪
    超えェて行ゥ~くゥ~♪

    • -4
  18. モニターや書類に向けて繰り広げられる恐らく物凄く静かな、果てしなく熱い闘い

    • +3
  19. はやぶさが何度も絶望的な状態から立ちあがった事を連想させる というより何十年も前の機体 とんでもない遠い距離を考えるとそれ以上の事をやっていると思う どこまで連絡を取る事が出来るのだろう?

    • +4

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