この画像を大きなサイズで見る6世紀のヨーロッパで起きた気温の急激な低下が、ローマ帝国の弱体化と崩壊に影響していた可能性が、最新の地質調査によって明らかになった。
アイスランドの海岸で発見された異質な岩石は、かつて地中海周辺を支配したローマ帝国を崩壊させる要因となった気候変動を現代に伝えている。
岩石を詳しく調べた結果、それがグリーンランドから運ばれてきたものであることがわかり、岩の中に含まれるジルコンという鉱物の分析から、当時の激しい寒冷化と氷河の活動が明らかになったのだ。
この自然現象が人々の移動や社会の混乱を引き起こし、すでに衰えていたローマ帝国の終焉に拍車をかけた可能性があるという。
ローマ帝国を襲った激しい寒冷化
6世紀から7世紀にかけて、北半球の気候は激しく寒冷化したことが知られている。この時期のことを「古代後期小氷期」という。
その引き金になったのは、536年、540年、547年と3度に渡って起きた火山の噴火だ。それによって噴出した大量の火山灰が日光を遮り、北半球の気温は大きく低下した。
そのあおりを受けたのが、地中海周辺に広大な領土を有していたローマ帝国である。政治の混乱や、経済の疲弊、ゲルマン民族やフン族といった外敵の侵入など、ローマ帝国はすでに崩壊の兆しを見せていた。
激動の時期、寒冷化にまで襲われたことで、食糧供給が不安定になり、大規模な移民を引き起こした。これがとどめの一撃となりローマ帝国は崩壊、ヨーロッパは新たに再編されることになった。
英国サウサンプトン大学のトム・ガーノン教授は、「この気候変動がいわば”とどめの一撃”となってローマ帝国が崩壊した可能性があります」と、ニュースリリースで述べている。
アイスランドの海岸で発見された岩石は、ローマ帝国の落日の物語を今に伝えるものであるという。
この画像を大きなサイズで見るアイルランドで発見された岩石が異質な理由
その岩石が異質だったのは玄武岩ではなかったことだ。
アイスランドは玄武岩だらけである。それとは違う種類の岩石は、専門家にどこか違うところからやってきたと直感させるに十分なものだった。
その出所を探るため、ガーノン教授らは岩石に閉じ込められたジルコンという鉱物結晶の年代と組成を解析。
その結果、そこには30億年にもおよぶさまざまな時代のものが混ざっていることが明らかになった。
この画像を大きなサイズで見る岩石はグリーンランドから氷河に乗ってやってきた
これを手がかりに岩石の起源を調べると、同じものがグリーンランドにあることがわかったのだ。
だがグリーンランドにある重たい岩石がどうやって海を渡り、アイスランドにたどり着いたのだろうか?
それは氷河の仕業だと考えられている。
氷河が動くと、その下の大地を削りとり、岩石を取り込んで運び出す。やがてそうした氷が海に流れると、岩石ごと漂流して予想外の場所へと運んでいく。
アイスランドで発見された異質な岩石は、そのことを示す初めての直接的な証拠であるという。
この画像を大きなサイズで見る気候変動が生んだ大移動と歴史の転換点
その岩石が氷に取り込まれたのは、7世紀頃のことである可能性が高い。つまりローマ帝国崩壊の要因となった寒冷化が起きた時期だ。
「この時期は、氷河から大きな氷塊が剥離し、海を漂った時期と一致します。そうした氷塊はやがて解けて、遠く離れた岸に岩石を散乱させたのです」と、ガーノン教授は語る。
その岩石はローマの人々が不安に包まれていた時代、船旅に出た。
ひるがえって現代はどうだろう? 何やら世界は混迷の時代を迎えているようだが、今海を漂流している岩石は、後世になって当時の混乱を伝える生き証人と注目される日が来るのだろうか?
この研究は『Geology』(2025年4月8日付)に掲載された。
編集長パルモのコメント

弱り目に祟り目というやつだね。ローマ帝国は崩壊する運命にあったかもしれないけれど、気候変動がそれに拍車をかけ、とどめを刺したということになるのか。最盛期は圧倒的強さを誇ったローマ帝国だったが諸行無常の響きありだね。
References: Geoscienceworld.org / Southampton.ac.uk















後の時代に研究できるような人間や技術が残ってればいいね…
西暦536年は人類史上最悪の年だったとされている
北半球の気候は激しく寒冷化したなら、ローマ帝国以外も一緒だと思うが、それが崩壊の一因になるんだ。
同じ頃中国では分裂状態がまとまって統一王朝に戻ったのが対比的だね
最終的な要因は食糧危機なんだね
肺炎みたいな感じなのだろう
50年前は地球寒冷化が子供向けの
本とかで書いてあったな。
地球温暖化とか言い出したのは
最近になってからという印象。
???なんかおかしくない?
西ローマ帝国が滅んだのは西暦480年頃じゃなかった?
西暦536年から三度の火山噴火は関係ないよね?
それとも東ローマ帝国の話?でも「ゲルマン民族やフン族といった外敵の侵入など、ローマ帝国はすでに崩壊の兆しを見せていた。」って内容は西ローマ帝国の事だよね?
それに東ローマ帝国は15世紀まで続いているから6世紀の噴火は関係ないよね?
記事読んで最初に私もそう感じた。欧州人がローマ帝国の事績を間違うとは思わないので、東ローマ帝国のユスティニアヌス帝が領土拡大後衰退したことを指しているのかもしれない。イタリア半島、イベリア半島南端、アルジェリア北海岸まで勢力を伸ばしたのが533~554年。565年の同帝死去後、急速に衰えているので、6世紀の寒冷化が影響したとしているんだろうか。
GPTによると、この場合のローマ帝国は東ローマ帝国のことで、ローマ帝国の正式な後継者としてユスティニアヌス帝が西方再征服を進めて領土最大になっていたが、536年のアイスランドの大噴火で一年半ほど昼でも薄暗く飢饉が発生し、続く混乱の中で発生した541年のペストの大流行で東ローマ帝国は衰退した。その後は回復と衰退を繰り返しながら、1453年に滅亡とのことです
カラパイアで「地球寒冷化の脅威」が取り上げられるなんて珍しいな
日本人も縄文人が炭水化物接種を栗とドングリから得ていたのを、
稲作に切り替えたのも寒冷化に稲の方が優位だったからだという記事あったな。
あと中国の漢王朝崩壊と黄巾の乱から五胡十六国時代までの乱世も寒冷化による食糧不足が原因だとか
稲って熱帯地方原産でないか?
そうだよ。
だから寒冷地での栽培は難しく。日本でも冷害によって稲作の収穫量が激減するのはよくあった。東北地方の”やませ”なんてのはその最たるものですね
また、ある年齢層より上の人ならだれでも名前を知っている”ササニシキ”というブランド米も、美味しいが冷害に弱く。平成の米騒動の原因になっていたりする
北海道などでは”ゆめぴりか”が出るまでは、道産の米はあまり美味しくないとまで言われる程度には、稲作の安定栽培と味の両立に四苦八苦していたまである
日本人はそういった寒さに弱い点を長い年月。それこそ千年単位でかけて、地道な品種改良で克服してきたのよ
蛮族の侵入、疫病に寒冷化から鉛中毒まで
ローマが滅んだ原因はいくつあるやら。
ローマが続いていたら⋯とはよく言われるけど、結局の所はそもそも持続可能な仕組みじゃなかったんだろうな
現代がそうじゃないことを願うばかり
日本は平安の荘園崩壊の兆しで武士の台頭
戦乱=経済なのは古今東西同じなんだな
この石がグリーンランド起源だというのは分かるけど、
7世紀頃に氷に取り込まれたというのはどうやって知るんだろう?
あと素人のイメージだけど、氷河の流出はむしろ
温暖化した時の方が活発になりそうな気がする