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京大生は見た、チンパンジーも”連れション”する。尿意が伝染するのは人間と一緒

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(著) (編集)

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 囲いの中にいる中の良い3匹のチンパンジー。葉の茂った枝を持っているこの画像を大きなサイズで見る
Credit: Kumamoto Sanctuary
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 誰かが「トイレに行きたい」と言い出すと、つい自分も尿意を感じ、一緒にトイレに行った経験はないだろうか?実は、このような行動は人間だけのものではない。チンパンジーにも、同じ現象が見られることが明らかになったのだ。

 京都大学の研究によると、群れの中で1頭が排尿を始めると、他のチンパンジーも続けて排尿する傾向があるという。連れション(正確には連られション)である。

 この『伝染する排尿』は、社会的な絆やグループの調和を促進する役割がある可能性が指摘されている。

 この現象は、私たち人間とチンパンジーの共通祖先にまで遡る進化的なルーツを探る手がかりになるかもしれない。

連れションには進化的なルーツがある?

 誰かがトイレに席を立つと、自分も行きたくなる。これは人間ならごくありふれた日常の風景だ。

 そもそもなぜ連れション(正確には連られション)なんて奇妙なことが起きるのだろう?

 京都大学野生動物研究センターの博士課程の学生、大西絵奈氏らの解説によると、連れションは社会現象であるという。

 それは古今東西行われており、さまざまな芸術作品のテーマにもなってきた。

 また連れションは仲間意識や連帯感を感じさせるものでもある。

 それを示すように、イタリアには「仲間と一緒に小便しない者は、泥棒かスパイである(Chi non piscia in compagnia o è un ladro o è una spia)」なんてことわざまであるのだそう。

 その普遍性やそこから感じられる仲間意識を鑑みるなら、連れションという何気ない行為には、人間のような社会的動物にとって何か大切な意味があったとしてもおかしくはない。

 その行為が進化に根ざしたものである可能性だってあるのだ。

 たとえば、似たような現象はほかにもある。

 誰かがあくびをすると、ほかの人にそれが伝染することがあるだろう。連れションはこうした「半自発的な生理的行動」に似てはいないだろうか?

 だが社会的動物は人間だけではない。連れションが進化に根ざした行為なら、ほかの社会的動物にもあるかもしれない。

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Yoharsi Photo by:iStock

チンパンジーも連れションをする

 そこで大西氏らは実際にそれを確かめてみることにした。

 京都大学熊本サンクチュアリで飼育されているチンパンジー20頭を600時間にわたって観察し、本当に連れション(研究チームは「排尿同期」と呼んでいる)しているかどうか確かめてみた。

 観察期間中、記録されたおしっこは1328回。これを詳しく分析してみると、確かにチンパンジーは完全にランダムに排尿しているわけではないことが明らかになったという。

 彼らのおしっこは仲間と同期して起きている。しかもそうした同期は近くにいるチンパンジー同士で起こりやすい。つまり連れションをしていると考えられるのだ。

 ちなみに群れの中で地位が低いチンパンジーほど、連れションに付き合う(仲間の排尿を見て自分も排尿する)ことが多いという。

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京都大学プレスリリース

なぜ霊長類は連れションをするのか、その進化の意味とは?

 こうした結果は、チンパンジーのおしっこが社会的な影響を受けていることを示した初の証拠だ。

 だが、なぜ人間やチンパンジーなどの霊長類は連れションをするのか?

 これについて研究チームは、社会のまとまりを維持したり、集団行動をスムーズにするうえで重要な役割をはたしている可能性があると述べている。

 人間やチンパンジーだけでなく、霊長類以外の様々な動物の連れションを調べることで、集団行動や社会進化を解明する手がかりが得られると期待できるそうだ。

 この研究は『Current Biology』(2025年1月20日付)に掲載された。

References: In chimpanzees, peeing is contagious | EurekAlert! / 京都大学プレスリリース

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この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1.   素人の思い付きだけど、排尿中は無防備になりやすいから群れで、あるいは仲が悪くない強い個体と一緒に排尿することで、弱い個体は危険を避けやすいとか?って説はどうでしょう。 それが本能に刷り込まれているのか、本能の一般化応用パターンなのかはわかりませんが、人間で発生することが遺伝子レベルでかなり近い別の種で発生するか調べるってのはやっぱり面白いです

    • +18
  2. 排尿時は無防備だから集団でおこなう って思ってた。

    • +12
  3. 同じタイミングで同じ場所でする、ってのが捕食者から隠すのに有利なのかな
    縄張りを示すより安全第一な印象だわ

    • +13
  4. ションベンだけでなく、アクビやクシャミだって伝染するだろ
    目の前で食事や性行為をされたら、食欲や性欲が刺激されるし

    • +4
  5. 仕事柄、牛や馬を見ていますが彼らも連れションしてる気がします。
    霊長類に限らず、群れをつくる動物には普遍的なものだったり?

    • +15
  6. 前に誰かがアフリカにサファリ行って、さっきまでライオンがそこに居たような場所で一人で用足すのはすごく不安だったって言ってたの思い出した。

    • +11
  7. 他者の行動や状況で自分の身体感覚が呼び起こされるからじゃないかな
    少し違うかもしれないけど高齢者介護でオムツ換えの前に排尿してもらうライフハックとして、器に水を注ぐなどしてそれっぽい音を聴かせると条件反射で催しやすいと聞いた

    • +5
  8. うちのネコはトイレ掃除しようとすると、割り込んできて用を足すんで困る。

    • +13
  9. あくびは?
    あれこそなぜ伝播するのか解明出来たらテレパシーの基礎になると思う
    知らんけど。

    • 評価
  10. 連れションしたことないなあって思ったらそういえば通知表には決まってマイペースって書かれてたわ そういうことか

    • +6
  11. 連れションは条件反射であって、尿意が伝染するのではないと思っている

    • +2
  12. もうちょいマシなテーマはなかったんか?だからなんじゃいとしか思わないが。

    • -13
  13. 普段感じてるようで感じてないところへ一斉に意識が向かうのかもしれないね
    案外気付かないというかおざなりだったりしてるとも言えるよね

    • +2
  14. アリとか木にたくさんとまってるセミの群れとかも、同じ手法で調べたら、連れション陽性になりそうな気がしました

    • +2
  15. リスク分散のために連れションする、また同じ理由で連れションしない。
    自分は多分後者だわ

    • +4
    1. リスクがプラスマイナス0で平衡だと連れション行動が進化しない
      →ならなぜ実際に連れションがあるのか
      →捕食回避などの他種対応というよりも、種内のコミュニケーションで進化
      というのが今回の成果なのかな

      • +3
  16. 連れション
    時間が取れる時、尿意に関係なくみんな行けるうちに行っとくべえて事かと思ってた 
    あとグループ内のごく私的な情報交換をついでにちょこっとしやすい場がトイレだから?

    欠伸と鼻歌は移る しないけど

    • +1
  17. 尿意伝染るって感じじゃないけどなぁ…
    単に休み時間とかで『俺も丁度行くとこだったわ』ってなってるだけで

    • +1

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