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ルーマニアの生きた岩「トロヴァント」、成長して動き、時に繁殖する

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石なのに生き物のような神秘のトロヴァント image credit:WIKI commons (CC By SA 3.0)
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 自然界にはまだ多くの驚きが隠されている。ルーマニアの一部地域にしか存在しない「トロヴァントの石」は、球根状の石なのに生物のように成長し、動く。さらには子供が生まれ、それが独立して成長することさえあるのだ。

 まさに伝説と科学が交錯する不思議な存在である。

 地質学的にはこの現象をある程度説明できるものの、まだ完全な解明には至っていない。ここではトロヴァントの神秘の魅力に迫ってみよう。

生きた石「トロヴァント」とは?

 ルーマニアに存在するトロヴァントは、直径数ミリから最大で約4.5mに達することもある。重さも、数gの小さなものから数トンの巨大なものまでさまざまだ。

 トロヴァントはたいていなめらかでとがった部分の無い形をしていることが多いが、円筒状のものもあれば、多くの節を持っているもの、球状のものもある。

 この岩が初めて注目されたのは18世紀のことだ。

 かつては恐竜の卵、植物の化石、あるいは宇宙から来た生命体のカプセル、などと推測されたこともある。

 地質学者らは、これらの岩は、約530万年前の中期中新世の地殻変動によって形成されたと推測している。

 周辺の砂層には貝類や巻貝の化石が見つかることから、この地域がかつて海洋環境だった可能性が高いそうだ。

 “トロヴァント”(トロヴァンティ)という名前は博物学者のマゴチ氏の「第三紀のオルテニア」という著作物の中で名づけられ紹介された。

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トロヴァントの石 Photo by:iStock

トロヴァントはいつ、どのように形成されたのか?

 トロヴァントは、石灰岩、炭酸カルシウム、セメントによって結合された砂粒または砂岩の堆積から形成されている。

 石が存在する砂岩層は、川によって運ばれた物質が連続的に堆積した古代の水生環境を暗示している。

 トロヴァントは葉、貝殻、骨、または化石などを核として、その周囲に集まった水から鉱物が析出(沈殿)して形成されることが多い

 実際、トロバントの中に二枚貝や腹足類の化石が隠れているのが見つかることもある。

トロヴァントの石は成長し、増殖する

 疑問なのはなぜ石なのに成長するかという点だ。

 それには炭酸カルシウムを多く含んだ水が重要な要素となっている。トロヴァントは激しい降雨の後に、雨のミネラルを吸収する。

 雨水に含まれるミネラルが岩内の化学成分と反応し、内部に圧力が生じて岩が徐々に大きくなる。成長速度は約1,000年で4〜5cm程度と非常にゆっくりだ。

 固まる成分が不規則に分泌するため、トロヴァントはこのような一貫性の無い形で成長していく。

 さらに、トロヴァント岩は「繁殖」するとも言われている。新たな小さな岩の塊が元の岩から分離し、まるで子供を出産したように見えるのだ。

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Photo by:iStock

移動することもできる

 トロヴァントは成長し、時に繁殖(増殖)する能力があるだけではない。なんと場所を移動する事もできるという。

 一部の人々は、トロヴァントが「歩く」のを見たと主張している。「動く石」と同様に、トロヴァント岩も地面を横切るように見えることがあるという。

 ある研究者は2週間にわたって観察し、わずか2.5mm動いたと報告した。科学界では懐疑的な見方が多ものの、土壌の加熱や冷却によって石が動く可能性を否定していない。

 さらに、根のように伸びた部分をもっているものや、石を切ってみると年輪があるものもある。これらの独自の特徴を持つ理由を科学者はまだ見つけていない。

トロヴァント岩は、ほとんどがルーマニアのヴルチャ県に集中している。

 特にコステシュティ村やその近隣の砂採掘場で見られる。2004年には「トロヴァント博物館自然保護区」が設立され、現在はユネスコの保護対象となっている。

google mapで見る コステスティ村

 植物と岩石の特徴を兼ね合わせているので、トロヴァントを生物とみなすか、無生物とみなすかはわからないが、神秘的で興味深い石だ。

 しかし生きているかどうかに関わらず、これらの石は見ても触っても使っても面白い。墓石の材料としても人気があるそうで、地元の人々はこの石をおみやげ作りに使っているそうだ。

References: Trovants Are Stones That Seem to Grow, Move and Reproduce | HowStuffWorks / Science Focus / Trovants - The Mysterious Growing Stones of Romania

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. 岩ですら繁殖しているというのに・・・

    • +27
  2. コンクリーションやノジュールの類でいろいろな大きさや組み合わせの岩が存在しているのを「成長している」「子供を産んでいる」と見做したんだと思う。石が育ったり子を生むというフォークロアは日本にもあって、柳田国男の御石成長という小論に詳しい。

    • +19
  3. かつて魂があった生き物を核にすると、石も魂を得て模倣しだすのかも

    • +4
  4. 記事内の理屈で育つなら年輪ぽい模様ができてもおかしくない気がするが

    • +12
  5.  思い出すのは「~さざれ石のいわおとなりて~」の部分かな。 もしかすると日本でも石が成長する場所があるのかもしれません。 神奈川県中郡大磯町にはさざれ石という地名があるようですが関係あるかわかりません。
     動くってのが滑り動くってことならよくわかりませんけれども、丸いから転がって動くことはありそうだよなと小並感

    • +6
    1. 漢委奴国王の金印が見つかった福岡県の志賀島には、
      「君が代」の元ネタじゃないかと言われる神楽がある「志賀海神社」があるよ。
      その神事を見た神功皇后が喜んだ話があるから、
      「君が代」が国歌として成立する遥か昔からその神事があることは確実。
      てか、福岡県内はいたるところに神功皇后が訪れた痕跡がありまくる。
      有名な太宰府天満宮の上に、地元では恋愛成就で有名な竈門神社があるんだけど、
      そこにも神功皇后が訪れた話が残ってた(「鬼滅の刃」関連で県外にも有名になった?)

      • +1
  6. すごく面白い現象だけど、100年で5mmしか育たないのに墓石やら土産にバンバン使うのはどうなのか

    • +6
    1. それ言ったら売られてる宝石はおろかただの石材だってそうだし・・・

      • +5
  7. 生命の定義の1つに、外部との境界を持ちエネルギー源を取り込んで代謝し自己複製をする物を生命とすると言うのがあるけれど、この石はそれを満たしているのではなかろうか。

    • +2
    1. かわいらしさと雄大さを併せ持つ息子スティックだねえ……

      • +1
  8. 静岡県の「子生れ石」という石も同じ現象でノジュールの一種だね。

    • +6
  9. これが岩石生命体なのだとしたら、昔から言われるように地球はそれ自体が生命で、宇宙の星々も全て生命、ということになるのかもね。
    我々はでかい生命の表皮に張り付くダニみたいな生き物だったと。

    • 評価
  10. 正体不明のものに生命が宿ってると考えるのは世界共通なんだね

    • 評価

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