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4700万年前の植物化石、人類が知るどれとも違う「エイリアン植物」だった

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(著) (編集)

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4700万年前の植物化石 image credit:Florida Museum of Natural History/Jeff Gage
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 米国の大学に所蔵されていた4700万年の植物の化石は、過去と現在を含め、これまで記載されてきたどんな植物とも違うエイリアン植物であることが判明したそうだ。

 その植物を「Othniophyton elongatum(オスニオフィトン・エロンガタム)」という。文字通り、”細長いエイリアン植物”という意味だ。

 このすでに絶滅した古代の植物は、1969年に米国ユタ州で最初の化石が発見されて以来、朝鮮人参などが含まれる「ウコギ科」に分類されてきた。

 ところが新たな化石の分析から、それが既知のどんな種とも違うまさに異世界の植物であることが明らかになったのだ。

 この発見は、被子植物の進化の歴史が、想像以上に複雑なものであることを示しているという。

既知のどんな植物とも違う奇妙な植物の化石

 問題の植物の化石が初めて発掘されたのは、ユタ州・コロラド州・ワイオミング州にまたがる地層「グリーンリバー累層」だ。

 当初、この化石を研究した古植物学者は、セリ目ウコギ科の植物であると考え、「Oreopanax elongatum(オレオパナックス・エロンガタム)」と名付けた。ウコギ科は朝鮮ニンジンなどが含まれるグループだ。

 だが、偶然の出会いによって、この学説はくつがえることになる。

 古代の植物を長年研究してきた米国フロリダ自然史博物館のスティーブン・マンチェスター氏は、カリフォルニア大学バークレー校で所蔵されていたオレオパナックスのものとされる化石に目をとめた。

 それは驚くほど保存状態がいい代物で、枝に葉と果実がどちらもついていた。そんな化石は滅多に見つからない。

 こうして新たな標本を手に入れたマンチェスター氏がそれを調べてみると、オレオパナックス属とも、ウコギ科ともまったく違うことが明らかになったのである。

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Oreopanax elongatum(オレオパナックス・エロンガタム)の化石 Manchester et al., Ann. Bot., 2024

果実が成熟しているのにおしべがある!?

 最初にマンチェスター氏が感じた違和感は、その葉だ。

 それまでオレオパナックスの葉は複葉(1枚の葉に複数の小葉がなるタイプ)とされてきた。だが、じつは単葉であることがわかったのだ。

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これらの化石は1960年代に最初に発見され、朝鮮ニンジンが含まれるウコギ科の植物の複葉に似ていることから同じ科として分類されていた。Credit: Manchester et al., 2024

 さらに顕微鏡を使って、果実の内部にある種子や、花の微細なパーツまでも具に観察してみると、これまで誰も見たことがない特徴が明るみになったのだ。

 最大の、そしてもっとも奇妙な特徴は、果実が成長しても、「おしべ」がそのまま残っていることだ。

 普通の植物なら、果実が大きくなるにつれて、おしべは落下する。ところが、問題の植物は果実が成熟し、種をばら撒く準備ができているのに、まだおしべがついているのだ。

 マンチェスター氏は「現代の植物で、そんなの見たこともありません」と、ニュースリリースで語る。

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果実の化石。花托筒からおしべが突き出ている。青緑の点は種を示す image credit:Manchester et al., Ann. Bot., 2024

人類が知らない絶滅した未知の種であることが判明

 マンチェスター氏はその後、この奇妙な化石を、新生代(6500万年前から現代まで)の植物の化石と比べてみることにした。

 だが、これはある意味、失敗に終わった。というのも、これまでに発見された化石の中に、この植物に似ているものが一つとしてなかったからだ。

 ナデシコ目など、多少なりとも似ているグループはあったが、それ以上に違いが多すぎて、同じグループとは考えられなかった。

 こうしてかつてオレオパナックス・エロンガタムと呼ばれた植物は、おそらくはもう完全に絶滅したこれまでに知られていなかったグループだと結論づけられ、新しい名前が授けられることになった。

 新たな名称は、「Othniophyton elongatum(オスニオフィトン・エロンガタム)」。「細長いエイリアン植物」という意味だ。

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オスニオフィトン・エロンガタムの復元図 image credit:Manchester et al., Ann. Bot., 2024

 オスニオフィトン・エロンガタムは、植物がどのように多様化し、さまざまな環境に適応してきたのかを知る新たな手がかりになると期待されている。

 オスニオフィトン・エロンガタムの系統はすでにこの地上から消えてしまった。だからその特徴を調べれば、変化する地球環境を生き残るのに失敗した戦略が見えてくるかもしれないのだ。

 また、証拠もないのに、勝手に決めつけてはいけないという教訓でもある。

 「現生の科や属に分類できるだけの証拠があるものもありますが、無理やり当てはめてはいけないのです」と、マンチェスターは述べている。

 この研究は『Annals of Botany』(2024年11月9日付)に発表された。

References: This mysterious plant fossil belongs to a family that no longer exists – Research News / 47-Million-Year-Old “Alien Plant” Baffles Scientists With Strange Features / Fossils Reveal Mysterious 'Alien Plant' Is Unlike Any Other Known : ScienceAlert

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この記事へのコメント 16件

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  1. 植物なら保存状態良い種とかあれば現代に復活するとかもありえそうだよね 化石からは不可能かもだけど琥珀とか凍土層とか(数千万年くらいなら?)

    • +1
    1. 4700年前だと琥珀に閉じ込められてたとしてもDNAが分解されちゃってるから難しいんじゃないかなあ。

      • +1
    2. DNA自身の半減期の関係から完璧な保存条件でも
      150万年くらいで遺伝情報が失われるようなので
      種子の制限時間は少なくともそれより短いはず。

      実際に発芽した最古記録は永久凍土から見つかった
      3万2000年前のナデシコとのこと。

      • +8
    3. 植物の化石って2パターンあって
      1・植物そのものが化石化した
      2・植物の周りが石化した後、植物自体は腐敗して消滅、その空間を型にして全く別の物質で再現された天然レプリカ
      1だと解析出来る可能性はあるけど、2だと形しかわからない

      • 評価
  2. グリーンリバー累層って光ってそうなお名前(小並感

    • +5
  3. イチョウとかメタセコイアとか
    滅んでたかと思われた化石植物が
    発見されるってのがあるから
    こいつもどこかで生き延びてるかも?

    • +7
  4. 進化の途中みたいな感じなのか
    おしべが落ちないぶんずっと
    受粉できるのは多様性の分では
    有利かも

    • +2
    1. 植物なども含めて、「その人・地域によって身近すぎる生物は、新種と全く気付かれない」のは結構ある話だったりする
      自分の名前が学術系の書籍に載るチャンスですぞ!

      • +6
      1. スーパーに並んでる日本のサザエ、2017年になって「学名の付いてない新種」だと分かったくらいだしな。ワンチャンあるぞ

        • +5
  5. 復元図を見ると実は仏教で使う香花に凄く似てる
    でも葉っぱは違うなあ

    • +3
  6. 改めてページ中段の化石画像を見ると香花の花にしか見えない

    • +2
  7. 一瞬、ヴォイニッチ手稿に出て来る不気味な植物に見えて鳥肌

    • +2

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