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北極海から氷が消える日はそこまで来ている。科学者が7~20年後と予測

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(著) (編集)

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北極海から分離される氷この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
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 新たな研究によると、北極海から氷がなくなる日が、7~20年後に訪れる可能性が高いそうだ。しかも最悪のケースでは、3~6年後に到来する恐れすらあるという。

 これは北極海から永遠に氷が消えるという意味ではない。暖かい季節に一時的に消えるという意味だ。

 それでも、これまで北極海が1年中氷に覆われていたことを考えれば、この地域の根本的な自然環境を覆す重大な日がやってくるということになる。

北極海から氷が消える日をシミュレーションで予測

 この研究でいう「氷がない」の定義は、北極の海氷面積が100万km2以下になることだ。

 米国のコロラド大学ボルダー校と、スウェーデンのヨーテボリ大学の気候学者チームの研究では、11種類の気候モデルに基づいて、2023~2100年までの気候が366回シミュレーションされた。

 その結果にはかなりバラツキがあった。シミュレーションの中には、最短で3年後にその日がやってくると予測するものもあれば、今世紀中には起こらないという予測もあった。

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北極の氷は今、前代未聞のスピードで減り続けている/Céline Heuzé/University of Gothenburg

運命の日は7年から20年以内に到来

 それでも、大多数のシミュレーションが示していたのは、既知の人類史上初となる北極に氷がない日は、7年から20年以内に到来するだろうという予測だった。

 しかも、たとえ温室効果ガスの排出が削減されたとしても、そのことに変わりはないという。

 コロラド大学ボルダー校の気候学者アレクサンドラ・ヤーン氏は、その運命の日について、北極海の定義が変わる日であるとプレスリリースで語っている。

これが示すのは、温室効果ガスの排出によって、北極海の自然環境を定める特徴の1つ、すなわち海氷と雪によって1年中覆われているという状態が根本的に変わるということです(アレクサンドラ・ヤーン氏)

 北極と南極の海に浮かぶ氷は、1年を通じて大きくなったり、小さくなったりしている。こうした海氷の状態は、1978年11月以来ずっと観察され続けてきた。

 例えば、2024年の海氷の面積が最初になったのは、9月11日のことだ。そのときの428万km2という面積は、記録が始まってから7番目に小さなもので、こうした減少は10年ごとに12.4%縮んでいることを示している。

 れでも、これまでは北極のどこかしらには必ず氷があったのだ。それもやがて変わってしまう。

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今年氷が最小面積(青く塗られたところ)になったのは9月11日のこと。1981~2010年(黄色い線)に比べて大きく縮小していることがわかる/NOAA Climate.gov/Data: NSIDC

最悪のシナリオでは3年後

 大部分のシミュレーションが運命の日は7~20年以内と予測していた一方、3~6年内に北極から氷が消えると予測したシミュレーションもあった。

 この最悪のシナリオを予測したシミュレーションは9つ。

 研究チームがこのような急激な変化を引き起こす要因を調べてみたところ、その年だけの状態でいきなり氷が消えるわけではないことがわかったという。

 1年だけの問題ではなく、最悪の条件が数年続いたことで、氷が消えてしまうのだ。

 その数年間では、秋になっても大気がなかなか冷えず、12月まで暖かい日々が続く。

 この暖冬では、いつまで経っても気温がマイナス20度以下に下がらず、そのせいでなかなか新しい氷が作られない。

 さらに春の訪れも通常より1か月早く、0度を超える熱波もごく当たり前のものになる。

 そして、ついに氷が消える運命の日の夏もまた10度を超える暖かさだ。また、この時期にやってくる台風も海氷に負荷をかける可能性がある。

 こうした暖かい年が数年続いた結果、8月か9月についに北極から氷が完全に消えてしまう。

 9つのシミュレーションによるならば、この日から11~53日は再び氷が戻ってくることはないという。

 一方、南極でも劇的なスピードで緑化が進んでいる

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地球温暖化によって縮小しつつある北極の氷/Céline Heuzé/University of Gothenburg

今我々にできること

 シミュレーションからはもう1つ大切なことがわかる。

 それは、こうした最悪のシナリオが予測されたケースでは、いずれも地球の平均気温が産業革命前の基準値を1.5°C以上上回っていたということだ。

 すなわち、パリ協定の目標を達成できた場合、このような極端なシナリオにはならない可能性が高いのだ。

 研究チームは、各国が協定で定められた削減目標を守ることができれば、北極から氷が消える日の到来を遅れさせることができるだろうと述べている。

 だが残念ながら、2024年はこの1.5度を超える最初の年になる見込みであるとのこと。あまり想像したくないが、私たちは早い段階でその日を迎えることになるのかもしれない。

 この研究は『Nature Communications』(2024年12月3日付)に掲載された。

References: First Ice-Free Day in Arctic Ocean Could Arrive This Decade, Study Finds : ScienceAlert

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この記事へのコメント 17件

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  1. 北極と南極の莫大な資源と土地の活用ができるから
    地球温暖化はメリットのほうが大きいな

    • -21
    1. 極地方が有効活用出来るぐらい温暖化したらそれ以外の地域でその何倍もの土地が有効活用出来なくなっていますよ

      • +8
    2. 北極の場合は周囲の海産資源が大打撃を受ける。先日のカニとか。
      あと米ロでの資源争奪戦が始まるので、国際政治的には不安定化する可能性もある。

      • 評価
    3. 南極の氷床が消えると、現在の海水水位が40~70m程度上がるので、プラマイどころかマイナスしかないですね
      日本だと関東平野の大半が水没する感じでしょうか?
      また、海洋の海水循環が消える。つまり海流が消えるので海洋生物に致命的な打撃を与えるので、デメリットしかないですね
      しかも南極は現状で「誰の土地でもない」という国際条約がありますが、それを誰かが使うとなると…まぁ。きっと大変でしょうねw

      つまりメリットよりデメリットしかない

      • +4
    4. なんでそんなトンチンカンな事を書き込む前に、自分で下調べをしないのか。
      マジで不思議でならない。

      • +2
  2. もう無理な気がする。
    転げていないデカい岩は留めておけるが、
    転がり出した大岩は勝手に止まるまで手出しできない。
    20年ほど前に賽は投げられたんじゃないか。

    • +5
    1. できることが無いわけではないと思うけどね。
      現在転がってる真っ最中の大岩は止められなくても
      別の今まさに動き出そうとしてる大岩は
      やり方次第で抑えられるかも知れない。
      岩が一つだけということはないだろう。

      • +2
  3. ロシアが悲願の不凍港獲得か?
    カナダやグリーンランドは北側の土地開発・資源開発に期待できる。

    • +1
  4. 地球の両極に氷が存在してなかった期間は、実は過去に何度もあったという話。

    • +4
    1. 南極に氷が無かったのは南アメリカや
      オーストラリア大陸と繋がってた時代だけどね。

      他の大陸から孤立してからはずっと氷があると考えられてる。
      南極還流が低緯度からの暖流を遮断するので。

      • +2
  5. この地域から氷が消えると
    太陽の光の反射が無くなり温度が高まるのが加速し
    その結果北極での水蒸気の発生が多くなり
    地球規模での災害発生が大きく増えそう

    • 評価
  6. 地球儀や北極点中心の地図を見るとよくわかるが、北米大陸とロシアは北極圏越しだと案外近い。だからアメリカもロシアも互いに、カラパイアでも少し前に取り上げられていたグリーンランドの核軍事施設のように北極圏に相手との核戦争を想定した備えをしようとしていたのだが、北極圏という環境から建造・維持コストやリスクが膨大であり双方力を入れなくなっていった。それがより低緯度地域でロシア・中国に対する「太平洋進出への蓋」となる日本がアメリカの軍事政策上重要となっている理由の一つ。
    北極海で凍結しない範囲が増える等で北極圏での活動が容易になれば、北極圏での米露軍事競争が活発化して相対的にアメリカにとっての日本の重要性が低下し、日本の安全保障環境が大きく変化する可能性がある。

    • -1
  7. 今後10年くらいで人類は
    食糧危機が起きて滅びるのか
    もう崩壊と滅亡と破滅からは
    逃れられないな

    • -3
  8. 環境問題を増税の理由に利用するから胡散臭く感じるようになる

    • +4

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