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こいつ、登るぞ!史上最速で梯子を登る犬型ロボットのがんばりにきゅんとくる

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(著) (編集)

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 こいつ…登るぞ!しかも速い!少々の梯子のゆれもなんのその。ひたむきに登る姿がなんだか健気で、初期の四足歩行ロボットみたいにハラハラしながら応援したくなるやつだ。

 近ごろ活躍の場を広げている犬型ロボットにも弱点がある。それは梯子登りだ。

 ロボットを必要とする産業界には梯子が多い。だがこれまでのロボットにとって梯子登りは途中で落ちたり、登りはするけど遅すぎる、など難しい課題だった。

  だがついに、その弱点を克服し、史上最速で階段を登る産業用犬型ロボット「ANYmal」が、チューリッヒ工科大学(ETH)の研究者らにより生み出された。

ロボット史上最速で梯子を登るANYmal

 こちら四足歩行の犬型ロボット「ANYmal」 は、スイスのチューリッヒ工科大学(ETH)開発した産業環境用ロボット。そのロボット史上最速の梯子登りの様子が公開された。

 ガタガタと音を立てて登り始めると…

 すごい。確かに速い!一瞬あれ、今踏み外した?って感じもしたけれど、ちゃんと登って上に着いたぞ

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 いやほんと、思った以上にずっと速くて仰天したわ。

 なんかこう、動きがやたら動物っぽいし、よく見ると、足がC形でちゃんと横木にかけて登れるようにもなっている。

 頂上に着いたANYmalも心持ち誇らしげに見えたりして。まさか梯子までこんな速さで登れるようになっちゃうとはね。

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 かつて歩行の練習に頑張っていたロボットたちの新たな進化をまたひとつ、見届けた気分だ。

産業環境で働くロボットの改良型

  産業環境で自律的な検査やデータ収集を行うために設計されたこのロボットは、単純な四足歩行だけでなく、階段を含む足場の悪い場所や湿った場所もバランスをとって器用に進む。

 平坦なところであれば、足のパーツをタイヤに取り換え、より速く走ることもできるが、梯子登りはなかなかできず、改良の末にようやく素早く登れるようになったんだそう。

梯子用にチェンジしたC型の足

 ANYmal は、工場やガスプラント、倉庫、鉱山などで安全・セキュリティ検査を自律的に行うことができるが、これらの現場の中には梯子でしかアクセスできないところもある。

 そこでETHロボティクスチームは、ANYmal の足をC型のフック付きエンドエフェクターにチェンジした。

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 これで梯子の足場となる横木に圧縮力と引張力を加えることで重心が安定した。

AI制御で成功率90%と232倍の速度を実現

 さらにチームは「教師-生徒強化学習アプローチ」という機械学習を使い、ANYmal に梯子を登る方法を教えた。その手順はざっくりいうとこうだ。

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 まず、あらかじめ梯子のデータが入ったコンピューターモデルを用意し、たとえ登ってもガタついたり動いたりしない、という理想的な環境設定でシミュレーションを行い、その梯子を着実に登るのに必要な動作のルールやアルゴリズムを「教師」となるデータに学ばせた。

 さらにその教師の行動を模倣する「生徒」データを訓練した。教師を真似る生徒データには、実際にガタついたり動いたりする「ノイズの多い」梯子の感覚データを使用し、その中で最適に登る方法を学ばせた。

 そこで得た動作のルールやアルゴリズムを、ANYmal のソフトウエアに組み込んだという。

 つまり基本動作を予習して、そこから現実の環境をふまえ、経験からのコツというか、実際に必要なものを身につけたって感じかな。

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 その結果、ANYmal はなんと、設置角度70度から90度の梯子を登れるようになり、その成功率90%を達成。しかもそのスピードも並外れて速く、他のロボットの232倍も速いのだ。

Robust Ladder Climbing with a Quadrupedal Robot

2017年から進化を続けるロボット

 ANYmalが初めて世界の注目を集めたのは2017年。その時は、高層ビルで犬っぽい仕草でエレベーターのボタンを押すロボットとして話題を呼んだ。

ANYmal Using an Elevator

 その後このロボットは、ETH から派生したスタートアップ企業、 ANYbotics を通じて商業化され、現在では、Swiss Mile(スイスマイル)という名称の四輪バージョンも販売されている。

 なお現在のANYmal の標準モデルは、通常の歩行時速2.7km、充電1回の連続使用時間90〜120分間で、屋内だけでなく屋外での移動も対応。

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 また360度のLiDAR(レーザー光で物体の距離や形を測る高精度計測センサー技術)モジュール、さらに6つの深度センサー付きカメラ、2つの光学カメラなども搭載しており、それらで得たデータを2つのIntel 6コアプロセッサに送信するという先進的な機能を有する。

次の目標はリアルタイムで梯子を登る能力

 今後 ANYmal が目指すのは、深度画像などの新たなセンサーを使い、いきなり梯子に出くわした時もリアルタイムで状況を判断し、確実に登れる能力だという。ということは事故や災害救助にも役立ちそうだ。

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ANYmalの市販バージョン 。この研究に使われたロボットは、カメラなしで他のセンサーに頼っている。image credit:ANYbotics

 従来のロボットには厳しかった梯子まで攻略しだしたなんて本当に驚きだ。進化を続ける ANYmal はこれからもっと広範囲で活躍しそうだね。

References: Multi-talented quadruped robot now climbs ladders faster than any other / Robust Ladder Climbing with a Quadrupedal Robot

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この記事へのコメント 5件

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  1. 昔あった災害救助テーマの自律二足歩行ロボットコンテストで誰一人としてはしごを登れなかったのを思い出した
    (手でつかまって一段目に足をかける→その姿勢でじっと考え込む→意を決して体を持ち上げる→そのまま転げ落ちる が王道パターン)
    隔世の感というべきか

    • +1

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