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宇宙飛行士は宇宙空間で認知能力が低下するが、地球に戻るとすぐに回復する

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(著) (編集)

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宇宙空間で作業する宇宙飛行士たちの画像この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
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 宇宙において、宇宙飛行士は地球では味わったことのない、強いストレスにさらされる。それらはいずれも脳に影響を及ぼす恐れがあるものだ。

 国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士を対象とした新たな研究によると、そうしたストレスは確かに宇宙飛行士の認知機能を低下させるという。

 だがそれは宇宙にいる間だけで、地球に戻れば速やかに回復するという。宇宙で認知能力が一時的に低下しても、中枢神経系が恒久的にダメージを受けることはないそうだ。

宇宙のストレスは人間の認知能力に影響を及ぼす

 宇宙は人体にとっては過酷な環境だ。たとえ比較的安全な宇宙ステーションに滞在していたとしても、宇宙飛行士の脳と身体は、放射線・重力の変化・複雑な作業・睡眠不足といった様々なストレスを受ける。

 これらはいずれも人間の認知機能に悪影響を与える恐れがあるといわれていた。

 だが具体的に、宇宙飛行士の認知能力が宇宙でどのように変化するのかは、これまできちんと調べられたことはなかった。

 そこで科学技術企業KBR社のシーナ・デヴ博士らは今回、それを確かめてみることにしたのである。

 調査の対象となったのは、現在国際宇宙ステーションに平均6ヶ月滞在した25人の宇宙飛行士だ。

 彼らには合計5回(ミッション前・宇宙滞在の初期・後期・地球帰還の10日後・30日後)、主に迅速さと正確さを主眼とした認知テストを受けてもらい、地上と宇宙とでそれがどう変化しているのかが探られた。

 その結果、処理速度・作業記憶・注意力に関連するタスクでは、確かに地球にいるときよりも余計に時間がかかるようになることが判明したという。

 その一方で、正確さの点では大きな変化がないこともわかった。

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地球に戻ればすぐに認知機能が回復することも判明

 大きな安心材料は、そうした認知能力の低下は、地球に戻ればすぐに回復することだ。デヴ博士博士は、Frontiersで次のように説明する。

たとえば注意力の低下はミッションの最初にだけ確認されました。ところが、処理速度の低下はミッションが終わり、宇宙飛行士が地球に戻るまで元には戻りませんでした(デヴ博士)

 全体として見れば、宇宙飛行士の認知能力は安定しており、6ヶ月の宇宙滞在で脳が深刻なダメージを受けることを示す証拠は見つからなかったとのことだ。

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Photo by:iStock

宇宙での認知能力を低下がミッションに与える影響は不明

 今回の研究では、宇宙のストレスに特に弱い認知能力があることが明らかになった。だが、それは地球においてもストレスの悪影響を受けやすいものだ。

地球にいてもストレスを受ければ、処理速度・作業記憶・注意力は一時的に変化します

たとえば、あまり眠れなかった日にめちゃくちゃ忙しくなれば、注意力散漫になったり、作業をこなすのに普段より時間がかかると感じることがあるでしょう(デヴ博士)

 宇宙飛行士はそうした日常的なストレスのほか、宇宙ならではの特殊なストレスにまでさらされている。その結果、ストレスに弱い認知能力が低下してしまうのはある意味当然だ。

 ただし、それによってミッション自体に悪影響が及ぶのかどうかは定かではない。

 確かに宇宙飛行士の認知機能は一部が低下したが、それでもどうにか普段通りにミッションをこなせている可能性はあるそうだ。

 こうした研究は、人間が宇宙をはじめとする普通ではない場所へ赴く際、認知機能がどのように変化するのか予測するうえで役立つだろうとのことだ。

 この研究は『Frontiers in Physiology』(2024年11月20日付)に掲載された。

References: Astronauts found to process some tasks slower in space, but no signs of permanent cognitive decline

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この記事へのコメント 18件

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  1. 年寄りが生活環境を変えたら一気にボケた
    という話はよく聞くなぁ。老人ホームに入ったとか子供と暮らすために引っ越ししたとか
    認知機能の衰え関係があるのかなぁ

    • +1
  2.  テストで測定した範囲でということですよね。 もしかして、ほかに意識すべきことがあってその分に脳のリソース(一般に資源:活動できる能力と言い換えてもいいかな)をさかれていて、テストで点が低いとか? 壁一枚の外は真空で些細に見える故障の兆候とかを見逃して死ぬかもしれないからそれらを見つけられるようにほかの事にも気を張っているからテストの点が低いと思い立った次第。 だから漁師の「板子(いたご)一枚下は地獄」と同じ状況で、漁師にも同じようなテストをすると漁の間は点が低いかも~とね。
     上記のような危険性の少ない陸(おか)の上なら両者とももとに戻るんじゃないかな。 なんてことをシロート考えで思いつきました。 普通の人でもつり橋(怖いこと(=生命に危機を覚える)の代表としての例)の上でやったら同じような現象は出ないだろうかと後続の研究を待ちたいです。 つり橋効果とか従軍経験の最中みたいな?

    • +4
    1. なるほど、ベーリング海のカニ漁師たちにも同じテストを受けてもらってから結論づけたいな

      • +1
  3. 宇宙はゴルゴ13に逐一狙われるのと同じ状態で少しでも油断したら
    自分のズトンで済まず、地球そのものが危険に襲われることになる
    そんな緊張の中ではストレスも半端でない
    そりゃ過酷な訓練しても脳は鍛えきれないし、仮に宇宙時代が来ても
    旅行するにはかなりきつそうだ

    • -1
  4. ワイも4年ほど暮らしたが、乗組員の顔を認識できなかった
    毎日「おまえ誰?」てなってたわお互いに

    • -11
  5. 現実にニュータイプが存在するならば、認知能力が飛躍的に高い人ではなく宇宙でも地上同様の認識能力を保っている人ということか。やはり人がそんなに便利になれる訳無い。

    • +2
    1. 便利になったところで、神様みたいになるわけでもなく、結局世の中で実は一般人とできることは大差ないってのも示唆されてるよね。

      • 評価
    2. 長い目で見ればストレスに対応しようとして認知能力が進化しニュータイプが生まれるんじゃない?
      今のところはオールドタイプが宇宙空間に適応できてないってだけで。

      • +2
  6. 宇宙は骨に悪いし筋肉に悪いし目に悪いし頭にも悪い。これはもう遺伝子操作でシェイバーになるかサイボーグ化してメカニストになるしか選択肢ないだろ。

    • -3
  7. あたまに体液が上がってぼーっとする(軽い脳🧠水腫だ)
    地上に戻ると治る

    飲酒時の心理テスト(知能含む)と同じだ

    • +7
  8. 空間認知能力だけ上がったりしないかな?
    地上人のテストでは測れないかも知れないが。

    • +1
  9. アポロ13号の事故、地上の管制側の指示があったにせよ、地上の管制側ではアポロ宇宙船の大雑把な位置と軌道しか解らないので、アポロ宇宙船側での姿勢制御の噴射時間計算や地球への突入角計算は船内で飛行士が計算尺を使いつつ紙で計算しとるからね。
    それを考えると、あいつらメンタルモンスターなんだな。

    • +8
  10. 四六時中ふわぁ~っとしたところにいてシャッキリしろは無理がある

    • +3
  11. 人類の中でもエリート中のエリートが選ばれる宇宙飛行士なんだから、そこら辺の人が宇宙に行けたらカス以下の行動取りそうで危険が危なさそう

    • +3
  12. 宇宙に上がって重力から自由になったら覚醒してニュータイプになるどころか、現実はストレスでIQ下がってポンコツ化するんだな

    • 評価
  13. 宇宙空間は全く関係がない

    閉鎖され不自由な場所に居たらストレスで認知能力が減るのは当たり前

    • -4
  14. キャバクラで酔うと認知能力が無くなり
    カードでばんばん使ってしまう。
    家に戻ればすぐに認知機能が回復して
    真っ青になる。

    • +2

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