メインコンテンツにスキップ

鶏が先か、卵が先か?この哲学的な問題を単細胞生物の進化で探ってみた

記事の本文にスキップ

18件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

鶏が先か卵が先か?この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
Advertisement

 鶏と卵、どちらが先に誕生したのだろう?これは古代ギリシャから続く哲学的な問いであり、どちらが原因かはわからないといった、因果関係のジレンマを表現したもので、まだきちんとした決着はついていない。

 では生物学的な観点で見るとどっちが先なのか?スイス、ジュネーブ大学が発表した論文は生命の起源に迫るものだ。

 研究チームが導き出した結果は「卵が先」である可能性である。では詳しく見ていこう。

鶏が先か?卵が先か?

 鶏(ニワトリ)は卵から生まれるから卵が先?それとも、卵を産むのは鶏だから鶏が先?

 「鶏が先か、卵が先か」とは、2つの関連した物事の因果関係がわからない場合に使われる言葉で、「一方が生まれるためにはもう一方が既に存在していなければならない」といった、つじつまの合わない状況を差す例えとして使用されていた問いである。

 だが実際にどっちが先だったのかは生物学的にも非常に興味深い問題だ。

 この哲学的な論争に単細胞の進化の観点で謎に迫ったのは、スイス、ジュネーブ大学の研究チームだ。

この画像を大きなサイズで見る
細胞分裂を開始する直前のChromosphaera perkinsii/DudinLab

単細胞生物から多細胞生物に進化した生物に着目

 研究チームは2017年に、ハワイ周辺の海底の泥から発見された「イクチオスポレア綱(Ichthyosporea)」の単細胞生物「Chromosphaera perkinsii(クロモスファエラ・パーキンシー:以下C. perkinsii)」から答えを探ることにした。

 多細胞生物の動物が誕生するプロセスは基本的にどれも同じだ。

 まず2つの「配偶子」(卵と精子)が融合して「受精卵」となる。すると細胞分裂が始まり、だんだんと成長していく。

 ただし細胞分裂の最初の段階では、細胞の数が増えるだけで、全体の大きさはほとんど変わらない。この細胞分裂を「卵割」といい、これを通じてラズベリーのような細胞の塊(「胞胚」)が作られる。

 じつは動物ではない単細胞生物にも、この細胞分裂を利用して繁殖するものがいる。そうした単細胞生物は、自ら複数の娘細胞に分裂し、やがてそれらが独立した生物になる。

 この動物の誕生プロセスを理解するうえで重要なモデルになってくれると考えられるのが、「イクチオスポレア綱」と呼ばれる単細胞生物グループだ。

 このグループは、最初の動物が出現する10億年以上前から地球に存在し、動物の進化系統から分岐して多細胞生物に移行した。

 このグループは動物ではない。それでも近縁にあたるため、両者の共通祖先から同じ特徴を受け継いでいる可能性がある。

 それゆえに動物の起源を探るためのモデル生物として期待されるのだ。

この画像を大きなサイズで見る
C. perkinsiiの細胞分裂/Olivetti et al., Nature, 2024

鶏よりも卵が先である可能性

 今回の研究でジュネーブ大学の研究チームは、C. perkinsiiを同綱の仲間と比べて、その細胞分裂と動物の細胞分裂とに何か共通する特徴がないかどうか探っている。

 するとにC. perkinsiiは細胞分裂を通じて、動物の胞胚そっくりの細胞の塊を作ることがわかったのだ。

 この胞胚状の塊の内部には、また別の細胞の集合体が長期間滞在し、やがてバラバラになって、それぞれ独立した活動を開始する。

 これは動物の胚が発達するプロセスと驚くほど似ているという。ならば、このプロセスは動物とイクチオスポレア綱生物の共通祖先にあった特徴かもしれない。

 それが告げているのは、動物が誕生するよりも先に、胚を作り出すプログラムが進化していた可能性だ。つまりニワトリより先に卵があったと考えられるのだ。

この画像を大きなサイズで見る
C. perkinsiiの一生を表した生活環/Olivetti et al., Nature, 2024

ただし収斂進化の可能性も

 とは言え、しばしば自然は同じものをそれぞれ別々に作り出すものだ。

 実際、まったく異なる系統の生物が、それぞれ独自に同じ特性を進化させることがある(収斂進化)

 今回観察された胞胚状のコロニーは、C. perkinsiiだけでしか見られず、イクチオスポレア綱生物のほかの仲間でも、その他の動物の親戚グループでも確認されていない。

 したがって可能性としては、動物とイクチオスポレア綱生物の共通祖先が進化させた機能ではなく、収斂進化の可能性もあるかもしれない。

「C. perkinsiiで空間的な細胞分化がどのように確立されるのかを解明するには、
今後の研究が不可欠となるだろう」と研究者らは論文に記している

 この研究は『Nature』(2024年11月6日付)に掲載された。

References: The egg or the chicken? An ancient unicellular says egg! - Medias - UNIGE / Scientists Reveal a Shocking Solution to The Chicken or Egg Paradox : ScienceAlert

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. いや∙∙∙∙∙∙。
    普通に進化過程で考えれば「卵が先」でしかないだろう∙∙∙∙∙∙。
    「鶏にものすごく近しい生物」から「鶏」が生まれるのは、極々常識的な話でしかないんだが∙∙∙∙∙∙?
    と、小学生時分にあっさり結論づけて周囲と大人に嫌がられたしょうもない思い出。

    • +7
    1. 受精した時に遺伝子が決まるんだから卵が先しかありえないよね

      • +3
  2. Q 鶏と卵はどちらが先ですか?

    A 雛は,親鳥がいなければ成長でき ない。 したがって,卵が先ではなく親鳥が先である。

    • -7
    1. 反論:親鳥と雛が生物学的に同一種でなければならない理由はない。
      対して鶏以外の卵がその成長過程で鶏に変化することはない。
      よって卵が先である。

      • +6
  3. フナが突然金魚に変化しないように、ニワトリ直系の先祖トリが突然ニワトリの姿に変化する事は無いなので、遺伝的変化が可能な卵が先
    ただ概念的な話では卵は卵でしか無く、成鳥になってこそ家畜化したトリとして認識されるので、親トリの方が先

    • -3
  4. chickenは家禽で、範囲は非常に限定的です。
    赤色野鶏を家禽化したものが鶏だそうです。
    その真偽はさて置き、eggは範囲が広すぎます。
    つまり、「近いけれど鶏のとも言えない卵」から、鶏に成ったと思われます。

    鶏が先か、卵が先か?

    鶏が先か、鶏卵が先か?

    • 評価
  5. ここに卵を産む鶏がいたとして、その祖先をさかのぼると、
    数千年前・万年前にも卵は卵だったと思うけど、
    鶏はニワトリじゃない何か違うニタトリな気がする。
    だから卵が先と思ってる。
    これが卵が先か卵を産む親が先かと言われると、また違う話で

    • 評価
  6. ある日突然卵産めるようになんの?
    あるいはそれまでどうやって誕生してたんだろう?
    その間の過程はどういう誕生してたの?

    って感じでダーウィンの進化論の闇に通じるものを感じる。

    • -1
    1. 多細胞生物になるどこかで有性生殖をおこなうようになったみたい
      単細胞生物でも接合を行って遺伝子情報を交換しています
      それが、多細胞生物になって卵子と精子という分業を行うようになったと考えられていますね
      だから、植物にも卵子と精子があり、種子と花粉という形で見ることができます
      ボルボックスみたいな多細胞になりかけの群体でも有性生殖するので細かいことはわからないんじゃないかな

      • 評価
  7. Q 鶏と卵はどちらが先ですか?

    A 鶏が先です
      卵から魚やワニなど大勢の種が生まれますが、鶏は必ず卵を産みます
      つまり卵から鶏が生まれる確率はほぼゼロですが、鶏から卵が生まれる確率は100%です
      確率論から考えると鶏が先なのは否定できない事実です

    • -8
      1. あなたの頭で否定できるんですか?

        やってみてくださいな

        • -1
  8. 鶏を地上で繁殖させるにあたり、鶏と卵を同時に2つ作りました。それぞれ鶏は卵を産み、卵は中から鶏を出して繁殖していきました。

    つまり同時発生説

    • 評価
  9. 地球上で初めて卵による繁殖能力を獲得したのが
    卵から生まれず分裂か何かで鶏になった鶏ならともかく
    卵を産む生物から進化して来たのならどうやっても卵が先

    • 評価
  10. 単細胞の話までいくともう「鶏」と「卵」を区別できないよね

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。