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4億5千万年前の黄金色の節足動物の化石が新たに発見される

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(著) (編集)

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新たに発見された節足動物、ロマンカス・エッジコンベイ(Lomankus edgecombei)の復元予想図この画像を大きなサイズで見る
 image credit: Xiaodong Wang
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 化石といえば、アースカラーの地味な見た目を想像するだろう。だが米ニューヨーク州で発見された4億5000万年前の化石は、なんと黄金色に輝いていた。

 黄金色といっても金でできているわけではない。”愚者の黄金”との異名がある「黄鉄鉱」という金属によって作られた化石だ。

 それだけでも珍しいが、化石となっていたのはこれまで知られていない節足動物で、これまた珍しいものだ。

 「ロマンカス・エッジコンベイ(Lomankus edgecombei)」と名付けられたこの新種は、「メガケイラ類」というすでに絶滅した海洋節足動物の仲間で、現代でも繁栄している節足動物の進化を知る貴重な手がかりであるそうだ。

黄鉄鉱の化石はどのように誕生したのか?

 化石のほとんどは、周囲の土に含まれていた石(鉱物)の成分が染み込み、少しずつ骨に置き換わってできたものだ。

 ところが、ニューヨーク州にある「ビーチャーズ三葉虫層(Beecher’s Trilobite Bed)」で発見された、これまで知られていなかった節足動物、ロマンカス・エッジコンベイ(Lomankus edgecombei)の化石は、”愚者の黄金”こと「黄鉄鉱」によって置き換えられた。

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上の2つはロマンカス・エッジコンベイ(Lomankus edgecombei)のCTスキャンによる3Dモデル、一番下の画像はホロタイプ標本 image credit Luke Parry (photograph), Yu Liu, Ruixin Ran (3D models)

 なぜ4億5000万年前のオルドビス紀を生きたロマンカス・エッジコンベイの化石だけが黄鉄鉱で化石化したのだろう?

 黄鉄鉱は「硫酸塩還元菌」の働きによって作られる。

 この菌が酸素のない場所で有機物を分解すると、硫化水素が作られる。これが鉄と反応してできるのが黄鉄鉱だ。

 つまり有機物・鉄・酸素がないという特殊な条件が揃ったことで、世にも稀な黄金色の化石が出来上がったのだ。

 地震や地滑りなどで水中の土砂が浮き上がり、その作用で形成される水(海水)の流れを「混濁流」という。

 今回のロマンカス・エッジコンベイの場合、この混濁流によって黄金色に輝くための特殊な条件が整ったのだと考えられている。

 しかも出来上がった化石は、非常に保存状態がいい。

 古生物学者にとっては、すでに絶滅したメガケイラ類の当時の姿をうかがい知れるまさにお宝のような化石なのだ。

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節足動物の進化を知る手がかりに

 メガケイラ類は、カンブリア紀(5億4100万~4億8500万年前)に多種多様な仲間が繁栄したが、それに続くオルドビス紀初期(4億8500万年~4億4300万年前)までにはほとんどが絶滅してしまった。

 黄金色の化石が4億5000万年前のものであるということは、メガケイラ類として最後まで生き残った仲間であるということだ。

 したがって、その解剖学的な特徴は、今日地球でもっとも多種多様な動物である節足動物、つまり現生の昆虫・甲殻類・クモ類たちの進化を知るヒントになる。

 オックスフォード大学の古生物学者ルーク・パリー氏の説明によれば、彼らが成功できた秘密の1つは、その頭部と付属器官がまるで「十徳ナイフ」のようにさまざまな状況に対応できることであるという。

 ロマンカス・エッジコンベイの場合、メガケイラ類の特徴一つである手のような大付属肢が変形しており、機能の変化がうかがえるという。

 ロマンカス・エッジコンベイの大付属肢の3つの爪は、他のメガケイラ類よりはるかに小さかった。ところが一方で、その爪の先端に生える鞭毛は、他の種よりはるかに長く鞭のように伸びていた。

 じつはロマンカス・エッジコンベイには目がない。このことから、鞭のような器官は捕食ではなく、センサーとして機能していたのだろうと推測されている。

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マイクロコンピュータ断層撮影によって明らかにされたロマンカス・エッジコンベイの頭部  image credit:Parry et al., Curr. Biol., 2024

 なお、やがて絶滅するメガケイラ類だが、ロマンカス・エッジコンベイの進化は「行き止まり」などではないとパリー氏は説明する。

 それはむしろカンブリア紀が終わった後もメガケイラ類が多様化をやめずに、進化し続けたという証明なのだそうだ。

 この研究は『Current Biology』(2024年10月29日付)に掲載された。

References: Gold bugs: Spectacular new fossil arthropod p | EurekAlert! / 450 Million-Year-Old 'Golden' Fossil Reveals a Prize Arthropod Ancestor : ScienceAlert

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この記事へのコメント 11件

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  1. 黄鉄鉱に置換されたアンモナイトがよく出回っているけど…

    • 評価
  2. 十徳ナイフのような頭部と付属肢ってかっこいい

    • +1
  3. 現代の節足動物はハサミ型かカマ型の付属肢で餌を保持するものが多いがメガケイラ類が生き残っていたら3~4本の指や触手を進化させてたかもしれない。ウミサソリや現生のサソリモドキの触肢も似たような構造を持つけど原始的。

    • +1

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