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平手打ちだけで勝敗を競うビンタ大会は脳損傷のリスクがあると脳神経外科医が警告

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(著) (編集)

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Photo by:iStock
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 スラップファイティングという格闘競技の人気が高まっているという。これは、2人が対峙して交互に相手の頬を思いっきり平手打ちするビンタ大会だ。

 受ける側はヘルメットやマウスピースなどの防具をつけることも、身をかがめてかわしたり逃げ腰になることも許されない。

 どちらかが立ち上がれなくなるまで続けられ、ビンタをくらってもいかにぐらつかないで平気でいられるかで勝敗が決まる。

 だが、これが脳に深刻な影響を与えるとして、脳神経外科医の間でかなりの懸念の声があがっている。

平手打ちの危険性の調査で約78%に脳しんとうの兆候

 米ピッツバーグ大学医学部の神経外科医たちが、このビンタ大会(スラップファイティング)の参加者が被る神経損傷を分析した。

 その結果はかなりヤバいものだった。

 78回の試合における333回の平手打ちの映像を調査し、脳震盪の目に見える兆候を探した。

 脳震盪の兆候は、無表情、虚ろな視線、なかなか立ち上がれない、運動協調性の喪失、嘔吐、記憶障害、衝撃による発作などがあり、どれかひとつでも認められれば脳しんとうが起こっていると判断される。

 調査では、出場したファイターの78%が少なくとも1回は脳震盪の兆候をはっきり示していたことがわかった。

 このことは、こうしたビンタ大会が出場者に外傷性脳損傷を引き起こし、長期的な悪影響を及ぼす可能性があるという結果を物語っている。

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image credit:Pixabay

スラップファイティングは無防備でビンタされる過酷な競技

 このファイトには、つねに直立の姿勢を保たなければならないルールがあるが、その姿勢が脳損傷のリスクをより高めるのだという。

 本研究の主筆者である脳神経外科准教授のニティン・アガルワル博士は、非常に憂慮すべきことだと懸念を露わにする。

 軽度の脳しんとうであっても、繰り返すことによって徐々に損傷が蓄積され、接触スポーツ選手によく見られる慢性外傷性脳症(CTE)につながる可能性があって非常に危険だという。

 実際にどんな競技なのかはYoutubeなどで見ることができる。男性のみならず、女性の競技者もいて、そのチャンピオンシップともなると、あまりにも痛そうなので自己責任で閲覧して欲しい。

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SlapFIGHT: REDEMPTION – BRUTAL 8 Man Slap Fighting Tournament image credit:Youtube

スラップファイティングの今後はどうなる?

 ほとんどアンダーグラウンドで行われているこのビンタ大会は人気があり、オンラインでも視聴され、有名人が観戦に来ることもある。

 専門家から危険性への警告は高まっていても無視され、その人気は衰えることがないのが実情だ。

スラップファイトが問題になるのは今回が初めてではない。

 2021年、ポーランドの大会でファイターのアルトゥール・ワルチャックがノックアウトされ、致命的な脳損傷を負った。

 2023年には、女性ファイターのコートニー・オルソンが激しい平手打ちを受けた後の記憶障害と混乱の壮絶な体験を引退後に語った。

 本研究は、縛りが緩いこのアングラスポーツをなんらかの形で規制することについて、緊急に議論を進めることを促している。

 プロフットボール選手が使っているマウスピースのようなものを使用して、平手打ちの物理的影響を測定する研究を行い、安全規制に役立つデータを提供する予定だ。

 しかし、研究者の中には、そもそも平手打ちをスポーツとみなすのかどうか疑問視する声もある。

 アガルワル博士も、これをスポーツとして喧伝すべきではないとする。「人々が進んでこのようなファイトに参加するのは非常に危険です。この危険性はしっかり認識されるべきです」

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Photo by:iStock

脳損傷に対する意識の高まり

 サッカー、ホッケー、ラグビーなど、どうしても接触過多になるスポーツ界では、やはり脳への影響が大きな懸念になっていて、脳しんとう症状への認識やアスリートを守るためのより安全な対策措置を促進する活動も始まっている

 しかし、スラップファイトではこうした意識はほとんどない。

 大会の主催者が、なんらかの安全対策を講じるのか、それとも大会そのものが禁止されるのか、それはまだわからない。

 今のところ、スリルを求めるファイターや観客を魅了し続けている。しかし、これは長期的に見た代償に見合うエンターテイメントと言えるのだろうか?

 人間同士でビンタするのはやめて、猫に肉球パンチを食らう大会とかのほうが和むし、傷も浅いだろう。爪はちゃんとカットしておくことが前提だが。

本研究は『JAMA Surgery』誌(2024年9月28日付)に掲載された。

References: Neurosurgeons sound alarm over concerning levels of brain trauma in slap fighting matches / https://www.sciencealert.com/study-of-slap-fighting-reveals-signs-of-brain-injury-in-78-of-participants

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この記事へのコメント 18件

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  1. なんでそんなもんがウケてるのかが分からん
    どう考えても脳にダメージ与えるための競技

    • +11
  2. パンチドランカー不可避。ボクシングより危険なんじゃ?

    • +11
  3. 障害が出ないと思うのがおかしい
    むしろわかっているけど「パンチを受けるよりはマシ」くらいか
    確かに外傷は少なく見えるけどね

    格闘技には掌打と言われる技があるし、ロシアンフック風に打つ技もある
    脳を揺するにはこの方が効くという人もいるからね

    避けないというのが凄いのだろうか?
    上手に避けて当たったとき耐えるのが強いならわかる
    相手は時に動くのだ…目や耳に当たれば重い障害が残るかも
    まあその辺もわかってやっているなら止めないけどね

    • +4
  4. 「大丈夫だと思ってる」わけじゃなくてむしろヤバいのがわかっててチキンレースするから闇なんだろうよ
    そのへんの殴り合いと同じ

    • +7
  5. まぁ、ルールがあるという一点においてスポーツかもしれないとは思います。多分首の筋肉が強いと脳が揺さぶられにくいとは思いますが、頭蓋骨のほうがダメージ受けそう

    • 評価
  6. 海外では時々信じられないくらいのア◯が出るよね。
    高いビルでぶら下がったり、アイスバケツチャレンジとかナメクジ食ったりとかとかわらないね。

    • +1
    1. 「日本人は”海外”より賢い ”海外”はア◯」 長年TVでやってきた日本スゴイ番組に洗脳されると平気でこういこと言っちゃう

      • 評価
  7. 格闘技ねぇ
    ひたすらビンタを鍛えていざという時一発かませれば護身術のかわりにはなる、のかな?

    • 評価
  8. 脳震盪以前に、口の中を歯で傷つけて口内炎とかできそうな時点で嫌すぎる

    • +2
  9. 大変 痛そうですね 体に影響はないのでしょうか 、心配になります。

    • 評価
  10. 見たことあるけど、完全にKO狙いで顎に掌底くらわす競技になってんじゃん。
    まともにビンタで勝負してる人が勝ってるところ見たことない。

    • +2
  11. たこ八郎を思い出すのは古すぎかな
    ガードのできない格闘技なんて普通にいやだわ

    • 評価
  12. コメントの9割が肉球パンチをくらう大会の話してるかと思ったらまだゼロだった。

    • 評価

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